絶望が晴れないミリィに対して昔話を始めるU。その話を他人事のように語るUだったが、その話は彼の昔話とも言えるものであった………
「………そうだな、もう少し詳しい話をしよう。件の白髪の男は人間じゃないと言ったが………そいつはこの地球の周りを回っているとされる月の人間だった」
ミリィに話の続きを催促されたUは、先程の話の続きを始めた。
「月の人間………Uさん人間じゃないの?」
Uは話を濁していたが、ミリィは白髪の男をUだと断定しており、彼が人間ではなく月の人間だという嘘みたいな話に首を傾げていた。
「………そういう種族の生物もいるとだけ言っておこうか。とにかくそいつは純粋な人間じゃなかった上、その妻も半分人間の血を持っていたが、もう半分は魔族………人々が化け物と称する種族の血を持っていた。つまり奥さん共々普通の人間じゃなかったって訳だ………周りの仲間が優しかったからその男は表面上こそ気にしていなかったが………それでも心の中で悩み続けていたのもまた事実だった。そして力が強まる度に人間の域を逸脱した強さを得てしまい………ますます人間としての自分から離れていく事となった訳だが………それでも大事な仲間を守り、家族を想っている内に気付いたのさ………自分が人間かなんて考える事じゃない………大事なのは自分の心………自分の心が人間だと思えるならそれでいい。その男は結果として自身が人間じゃないという問題を自分の中で割り切る事が出来た………という話さ」
Uが語る人物は妻共々純粋な人間では無い事を明かし、次第に人間の域を逸脱した強さを得ていく事となったと語る。だが、結果としてその人物は心が人間であれば自身の身体が人間で無くともいい………そう結論づけられたという事を語る。それを聞いたミリィは………
「………Uさんって壮絶な人生を歩んでいたんだね………?」
件の白髪の男がUであると完全に結び付けており、彼の壮絶な過去に同情するように首を傾げていた。Uは右手に先程ピンクから得たブランクの鍵を握りしめると………
「僕だとは断定できないだろ」
この期に及んでもはぐらかそうとしていた。だがミリィのそれは確信によるものであり………
「………私の記憶にある人の中でそこまで大変な生き方をした人はUさん以外知らないよ?」
Uが壮絶な生き方をしている………過去の彼の話を何度も聞いてきたミリィだからこそ、そのように考えていた。それを聞いたUはフッと笑いをこぼし………
「………博士、この間ビリジアンが持って帰ってきた情報をミリィちゃんに見せてやってもいいんじゃないかな」
そう言って近くにいたピンクに対して、先日ビリジアンが奪取した情報をミリィに見せても良いと考えていた。それを聞いたピンクはUの口からその言葉が出てくるとは思っていなかったのか………
「………いいの?」
心の中で困惑するようにUへ疑問を問いかける。
「覚悟は出来てる」
Uは覚悟を決めたからこそ、ミリィに話すべきではないかと考えていたのだった………
Uの昔話を聞き、絶望から少しずつ立ち直り始め、彼に対し口を利き始めるミリィ。果たして、Uが見せる真実をミリィが知った時、彼女はどのような思考を抱くに至るのだろうか………?
To Be Continued………
次回予告
ピンクの部屋へ案内されたミリィは、先日ビリジアンが奪取した情報を見せられる。しかし、今のミリィにとってその情報は絶望を想起させるものでは無くなっていたのだった………
次回「絶望を乗り越える心」