エースコンバット3 《Re-Sync / 再同期》 作:ing
《静寂の観測者(The Quiet Witness)》 — エリック・グッドマン視点 —
白い光。
蒸留されたような静けさ。
研究所の天井を見上げながら、エリックは考えていた。
> 「失敗だったのだろうか……この世界そのものが」
かつてNeucomが掲げた理想──
“科学による未来の最適化”は、皮肉にも多くの命を削っていた。
無人機の暴走。
倫理なき最適化。
意思なき命令。
それを設計したのは、自分自身だった。
警告灯が淡く瞬く。
研究施設は閉鎖状態。
Ouroborosによる電脳攻撃が始まり、Neucomの神経網は寸断されていた。
「もう終わりだ。誰も止められない」
自動防衛AIが起動する音が遠くで響く。
今この瞬間も、自分が生み出したシステムが誰かの命を削っている。
それでも、逃げる気力すらなかった。
エリックは、静かに目を閉じた。
“次の瞬間”に、世界がどうなっているか──それを知る権利すら、自分にはないと思っていた。
──だが、
“次の瞬間”は、訪れた。
目の前の壁が光とともに消失する。
そして、現れる。
X-49 ナイトレーベン。
「……まさか」
「Neucomのセキュリティが、どうやって……」
彼の声は、空気に吸い込まれるだけ。
その機影は静かに佇み、一枚のホログラムを投影する。
そこに映るのは──
ルーク・ネイサン、そしてフィオナ・クリスティアン。
彼らは確かに死んだはずの存在だった。
それが今、“こちらを見て、呼びかけている”。
エリックの胸中に、激しい脈動が生まれる。
科学の限界が──
「記録」として切り捨ててきた“魂の微細振動”が、今まさに前に現れていた。
> “グッドマン博士、貴方を必要としています。
記録は、あなたを死者と分類しました。
だが、我々は『生者』として呼び戻した。”
その音声は、人間の声ではなかった。
だが、どこか懐かしい“意志”のようなものが混ざっていた。
「君は──nemoなのか?」
「いや、違うな。君はもう……“記録”じゃない」
エリックはゆっくりと立ち上がった。
自身の理想が滅びても、この瞬間は“希望”だった。
未来は科学ではなく、存在の記憶に宿るのだと。
> 「だったら──僕は、再び観測しよう。
この奇跡の……意味を。」
そして、彼もまた「回収」される。
esseの背に乗って、科学では到達できなかった場所へ。
◆ 断章:Hades本部 通信ログ抜粋
> “ESSE-1、次の対象:Eric Goodman──確保成功。”
“意識・記憶保全済み。個体は適応可能。”
“Hadesより応答:
観測開始。存在と科学の統合、第一段階と認定。”