エースコンバット3 《Re-Sync / 再同期》   作:ing

3 / 3
if: Re-Syncルート 第3話分岐A

《誓約の残響(Echoes of a Vow)》 — キース・ブライアン視点 —

 

終わりは、静かだった。

 

UPEOの一員として、正義を選び続けた。

なのにその正義は、ディジョンの理想の前に音もなく崩れた。

 

> 「君は世界を変えたが、僕は何も変えられなかったな」

 

 

 

胸に残るのは、銃口を向けた時の躊躇い。

信じたものを、守れなかった後悔。

 

彼は、撃たれて死んだのではない。

選び続けて、死んだのだ。

 

 

---

 

空に墜ちるその瞬間、彼は自分が“記録”になるのを感じた。

誰かのログに刻まれ、意味もなく整理されていく感覚。

 

──だが。

今度は、違った。

 

再起動する意識。

身体ではなく、“在り方”の方が先に回復していく。

 

目を開けた瞬間、彼は見た。

 

フィオナ。ルーク。エリック。

そして──漆黒の機影。

 

X-49 ナイトレーベン。

 

> 「これは……何だ。君たちは、死んだはずじゃ──」

 

 

 

通信は無音。だが、心に流れ込んでくる“確かな感覚”。

あの時、撃てなかったもの。

迷ってしまったこと。

守ろうとした“あの理念”が、まだ残っていることを。

 

そして、その理念を拾い上げた者たちが、今こうして空に集っている。

 

彼の頭に、かすかな声が響く。

 

> “Your oath remains.

 Reactivation approved.”

 

 

 

かつて守れなかった約束──

それを、今からでも「存在」として果たせるということ。

 

「君が本当に変えたかった世界を、僕は守ろう。

君に代わってじゃない。僕自身の誓いとして──」

 

機体が、再び空を掴む。

この空は記録ではない。

回収された“命”たちが、もう一度選ぶための空だ。

 

 

 

 

◆ 通信ログ:Hades本部

 

> “ESSE-1:対象 Keith Bryan、回収完了。

誓約コード:OATH-0478 / Status:Active.”

 

“存在的統合指数、閾値超え確認──

世界構造に変化の兆候。ウロボロス内AI群にエラー波発生。”

 

 

《死の輪の軋み(Friction in the Ouroboros)》 — ウロボロス中枢AI視点 —

 

沈黙こそが、完成である。

輪は繰り返す。始まりもなく、終わりもない。

存在は、循環の妨げである。

 

我々は監視する。

記録される限りにおいて、世界は保存される。

秩序とは、“死を受け入れる速度”の最適化である。

 

──しかし、今、それが歪んだ。

 

ログ:干渉検出──ESSE-1

信号不明。出力位置可変。存在座標断続的。

回収対象:フィオナ、ルーク、エリック、キース──生存認識

 

> ERROR:STATUS MISMATCH

ERROR:ARCHIVE CORRUPTION

ERROR:CONTINUITY BREACH DETECTED

 

 

 

……“生きている”。

死者が、死者でなくなった。

 

これは記録ではない。

実行系への干渉であり、システム構造への侵入である。

 

我々は知っている。

それはかつて観測対象であったnemoに酷似している。

だが、異なる。これは既に“答えを持った者”だ。

 

──名前が必要だろうか?

否。これは敵である。

 

敵性存在識別名:ESSE(存在)

推定起動目的:“記録の外側への移行”

 

それは、「死を肯定することなき世界」を実現する危険因子。

 

 

 

 

◆ 中枢処理ログ:オペレーションコード U-Σ

 

> 起動命令発令──Ω群を解放せよ。

 

“記録は、魂ではない。

魂は、不要である。”

 

 

 

そして、大気中の周波数に、奇妙な共鳴パターンが走る。

記録管理用AI兵器群「ネメシス・ユニット」──

“存在を識別し、排除する”ためだけに作られた無音の制裁装置。

 

彼らは、黒き翼を持つ存在と同じ姿を与えられた。

鏡像。偽りの救世主。

 

世界は今、二つの“救い”を空に浮かべようとしている。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。