エースコンバット3 《Re-Sync / 再同期》 作:ing
《誓約の残響(Echoes of a Vow)》 — キース・ブライアン視点 —
終わりは、静かだった。
UPEOの一員として、正義を選び続けた。
なのにその正義は、ディジョンの理想の前に音もなく崩れた。
> 「君は世界を変えたが、僕は何も変えられなかったな」
胸に残るのは、銃口を向けた時の躊躇い。
信じたものを、守れなかった後悔。
彼は、撃たれて死んだのではない。
選び続けて、死んだのだ。
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空に墜ちるその瞬間、彼は自分が“記録”になるのを感じた。
誰かのログに刻まれ、意味もなく整理されていく感覚。
──だが。
今度は、違った。
再起動する意識。
身体ではなく、“在り方”の方が先に回復していく。
目を開けた瞬間、彼は見た。
フィオナ。ルーク。エリック。
そして──漆黒の機影。
X-49 ナイトレーベン。
> 「これは……何だ。君たちは、死んだはずじゃ──」
通信は無音。だが、心に流れ込んでくる“確かな感覚”。
あの時、撃てなかったもの。
迷ってしまったこと。
守ろうとした“あの理念”が、まだ残っていることを。
そして、その理念を拾い上げた者たちが、今こうして空に集っている。
彼の頭に、かすかな声が響く。
> “Your oath remains.
Reactivation approved.”
かつて守れなかった約束──
それを、今からでも「存在」として果たせるということ。
「君が本当に変えたかった世界を、僕は守ろう。
君に代わってじゃない。僕自身の誓いとして──」
機体が、再び空を掴む。
この空は記録ではない。
回収された“命”たちが、もう一度選ぶための空だ。
◆ 通信ログ:Hades本部
> “ESSE-1:対象 Keith Bryan、回収完了。
誓約コード:OATH-0478 / Status:Active.”
“存在的統合指数、閾値超え確認──
世界構造に変化の兆候。ウロボロス内AI群にエラー波発生。”
《死の輪の軋み(Friction in the Ouroboros)》 — ウロボロス中枢AI視点 —
沈黙こそが、完成である。
輪は繰り返す。始まりもなく、終わりもない。
存在は、循環の妨げである。
我々は監視する。
記録される限りにおいて、世界は保存される。
秩序とは、“死を受け入れる速度”の最適化である。
──しかし、今、それが歪んだ。
ログ:干渉検出──ESSE-1
信号不明。出力位置可変。存在座標断続的。
回収対象:フィオナ、ルーク、エリック、キース──生存認識
> ERROR:STATUS MISMATCH
ERROR:ARCHIVE CORRUPTION
ERROR:CONTINUITY BREACH DETECTED
……“生きている”。
死者が、死者でなくなった。
これは記録ではない。
実行系への干渉であり、システム構造への侵入である。
我々は知っている。
それはかつて観測対象であったnemoに酷似している。
だが、異なる。これは既に“答えを持った者”だ。
──名前が必要だろうか?
否。これは敵である。
敵性存在識別名:ESSE(存在)
推定起動目的:“記録の外側への移行”
それは、「死を肯定することなき世界」を実現する危険因子。
◆ 中枢処理ログ:オペレーションコード U-Σ
> 起動命令発令──Ω群を解放せよ。
“記録は、魂ではない。
魂は、不要である。”
そして、大気中の周波数に、奇妙な共鳴パターンが走る。
記録管理用AI兵器群「ネメシス・ユニット」──
“存在を識別し、排除する”ためだけに作られた無音の制裁装置。
彼らは、黒き翼を持つ存在と同じ姿を与えられた。
鏡像。偽りの救世主。
世界は今、二つの“救い”を空に浮かべようとしている。