転生したら蛇だった件   作:朝昼晩昼夜逆転

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ラミリスは強い(確信)

〈リムルside〉

 

 俺たちは、ラミリスに迷宮の最奥……本当の精霊の棲家に案内された。

 

 そこは、神聖な魔素が充満した、心地よい空間だった。

 

 早速精霊の召喚を始めることにした。

 

 流石に上位精霊を呼び出すことは難しい様だったが、下位精霊を捕食し、『統合』することで新たな上位精霊にし、子供達に付与していくことが可能だった。

 

「無茶苦茶ね、アンタ」

 

 それを見たラミリスには呆れられた。

 

 まあ、とりあえずみんなが助かるならなんでも良いだろう。

 

 このままみんなには、俺が作った上位精霊を付与していこうと思っていると、なんとケンヤが光の上位精霊を召喚した。

 

 これにはラミリスも驚いた様だった。

 

 なんでも、光と闇の上位精霊に認められた存在は勇者を名乗ることが出来るらしい。

 

 ……ケンヤが勇者か……似合う……のか?

 

 成長すれば似合うかもな。

 

 まあ、そんなこんなで、ケンヤが勇者の素質を見出されたこと以外は特に変わったことがなく、ついに後はクロエだけとなった。

 

 そして、それは起こった。

 

 突如として現れる精霊ではないナニカ。

 

 女性の姿をしたそれは、精霊と同じく精神体(スピリチュアルボディー)であるものの、存在力が桁外れだった。

 

「クロエッ!!!逃げっ!!!」

 

 すぐにクロエを逃がそうとした次の瞬間……

 

 パチンッと、指を鳴らす音が響いた。

 

 

 

〈三人称視点〉

 

 指が鳴る音と共に突如世界の時間が停止した。

 

 突然の出来事に、現れたナニカ……クロエはすぐさまその原因を探った。

 

「随分と……物騒な登場じゃないのよさ」

 

 背後から聞こえてくる幼い声。

 

 振り向くと、そこには圧倒的なまでの圧を放つラミリスがいた。

 

「アンタ……何?」

 

 ラミリスの問いに、クロエは黙る。

 

「存在自体に時間軸のズレ……過去?それとも未来からでもやって来たのよさ?」

 

 圧は強まり続け、世界が悲鳴を上げる。

 

 過去から記憶を保持して来たクロエは、混乱の最中にいた。

 

 今までこんなことは一度たりともなかったからだ。

 

 今までの全てのループでラミリスは力を失っていた。

 

 だからこそ、なんの妨害もなくクロエに回帰することが出来たのだ。

 

「うそ……今まで……一度もこんなことは……」

 

 その混乱は、意図せず声として発せられた。

 

 クロエは、今回のループではラミリスと会うことがなかった。

 

 それ故に、今回もまたラミリスは弱体化していると思い込んでしまったのだ。

 

 しかし、そんな予想は裏切られ、ラミリスは弱体化などしていなかった。

 

 そして、クロエは思い出す。

 

 フィアラという、今までのどのループにも存在しなかった異分子を。

 

「フィアラ……あの異分子の影響!?」

 

 僅かばかりの怒気を滲ませて、クロエはそう言った。

 

 それが、ラミリスの怒りを買った。

 

「今……なんて言ったのよさ?……異分子?ねぇ異分子って言ったのよさ?よっぽど異分子である自分を差し置いて?アタシの親友を異分子って言ったの!?ねぇ?」

 

 決して大きな声ではない。

 

 しかし、その声はクロエを恐怖させるに十分な圧を放っていた。

 

 それでも、クロエは黙っているわけにはいかなかった。

 

「私は……今まで何度も何度もループを繰り返して来た……リムル先生を助けるために……ずっと……ずっと!!!ある程度の流れ自体は分かるから……それを元にしてリムル先生を救う手立てを試し続けた。そして、フィアラという存在は、今までのどのループにも存在しなかった。もう、私の知識が役立たない……」

 

 心からの叫びだった。

 

 現状、クロエはラミリスに勝つことが不可能である。

 

 まず、ここが停止世界だという事実がクロエに重くのしかかる。

 

 クロエも時間停止が出来るが故に、その厄介さを知っている。

 

 停止世界では、魔法が使えない。

 

 使えるのはスキルと自分の戦闘技術だけだ。

 

 しかし、現状ユニークスキルでしかないクロエのスキルでは、ラミリスに対する決定打にはならず、戦闘技術はクロエよりも長く生きている分ラミリスに分がある。

 

 そして、ユニークスキルでは、ラミリスが発動した停止世界を解除することは出来そうになかった。

 

 弱体化していない……いや、弱体化しなかったからこそ未だ強くなり続けているラミリスには到底叶うはずもなかった。

 

 死を覚悟した。

 

 自分のループは、ここで途絶えるのだと。

 

 そう諦めてしまうのも仕方ない程に力の差があった。

 

 それでも、クロエは足掻くことを選んだ。

 

 愛するリムルを救うために。

 

 一気に接近し、攻撃を仕掛ける。

 

 そう、覚悟を決めた瞬間、クロエはラミリスに組み伏せられていた。

 

 ラミリスは依然として子供の姿のままであり、本気を出していないのは明白だった。

 

 究極能力さえ持っていれば……そんなたらればは意味がないことだと分かっているのに、考えずにはいられなかった。

 

 このまま自分は死ぬのだろうとクロエは思った。

 

 しかし、いつまで経ってもラミリスの追撃がなかった。

 

 気になり、ラミリスを見ると、少し悩んでいる様だった。

 

 そして、決心がついた様な顔をして、ラミリスは口を開いた。

 

「見逃してあげるのよさ」

 

「……え?」

 

「だから、見逃してあげるって言ってんの!アンタ、詳しくは分からないけど、ループってことは、多分あそこのクロエって子なんでしょ?そして、あのリムルを助けるために何度もループを繰り返している。……多分、毎回ここを起点にしてたんでしょうね。そして、毎回アタシは弱体化していたからこんなことは今まで起きなかったと……ま、フィアラを異分子呼ばわりしたことは気に入らないけど、そのリムルを想う健気さに免じて見逃してあげるよのさ」

 

「……良いの?」

 

「良いから、早くいくのよさ」

 

 ラミリスはクロエの拘束をとき、停止世界も解除した。

 

 クロエは助かった喜びと、リムルに再会出来た万感の思いを込めてリムルに一度キスを落とし、クロエ(自身)の中へと吸収されていった。

 

「な……何が……どうなって……?」

 

 何が起きたのか理解できないリムルはただ呆然としていた。

 

「あれは特に気にすることはないのよさ」

 

 ラミリスが笑顔でそう言うと、リムルは、完全には納得出来ないものの、クロエの魔素が制御されていることを確認し、ほっと胸を撫で下ろしたのだった。

 

 




 ラミリスとクロエの力関係は迷ったのですが、確かクロエは原作でギィに勝てないって明言してたよな、と思い、この世界線のラミリスなら原作ギィと同等かそれ以上に強くなってる想定だったので、こんな感じになりました。ご了承ください。
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