転生したら蛇だった件   作:朝昼晩昼夜逆転

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祖父として、孫の成長を見させてもらおう

〈三人称視点〉

 

 ハクロウと幾重にも剣戟を重ねた侍姿の悪魔は、混乱の最中(さなか)にいた。

 

 刀がぶつかり合うたびに、侍姿の悪魔の脳内にどこか懐かしい風景が浮かぶのだ。

 

 それは、自分と似た誰かと知らない子供の修行の日々だった。

 

 その知らない子供は、どこかハクロウと似ていた。

 

(ああ、そうか……これは……)

 

 侍姿の悪魔は、確信し、ハクロウから一度距離を取り刀を構え直す。

 

原初の黄(ジョーヌ)様の配下として、つい先ほどまでは剣を振るっていた。しかし、これからは祖父として、孫の成長を見させてもらおう」

 

「フォッフォッフォ、やはり、貴方は儂の予想通り、お祖父様でしたか……では、孫として、そして弟子として、貴方を越えさせて貰いましょうかのう」

 

 ハクロウも刀を構え直し、緊迫した空気が両者の間に流れる。

 

「この技は、終ぞお前に見せることがなかった朧流の最奥技。対処してみせよ」

 

「儂もこれまで遊んでいたわけではない。儂が編み出した新たな奥義……とくとご覧あれ」

 

 一呼吸おき、2人は同時に駆け出した。

 

「『朧・百華繚乱』」

 

「『黒百合・百咲』」

 

 百の連撃がぶつかり合い、空間すらも震わせる。

 

 そして、その連撃が終わると、ハクロウの剣先は侍姿の悪魔……白夜の首に触れ、白夜の剣先もまたハクロウの首に触れていた。

 

「引き分け……だな」

 

 白夜のその言葉に、ハクロウも

 

「ええ、そのようですじゃ。やはり、まだまだお祖父様は越えられませぬか……」

 

「まだまだワシは負けるつもりはない。が、しかし、ここまで強くなるとは……孫の成長は嬉しいものだ」

 

 感傷に浸りながら、2人はお互いを称え合う。

 

「いやー、最高だったよハクロウ!それにしても、まさかお前の孫だったとは、とんでもない偶然だな」

 

 原初の黄がそう言い、2人を讃える。

 

「本当だったら配下にしたいんだが、満足させたら帰してやるって言ったのは私だからな。帰してやるよハクロウ」

 

「おお、ありがとうございますじゃ」

 

「なーに、最高の余興をやってみせた褒美としては少ないぐらいさ。ま、契約だから褒美の追加はないがな」

 

「いえいえ、帰して貰えるだけで十分ですじゃ」

 

「そうか、それじゃ、早速基軸世界へ繋がる門を開くか?それとも祖父と孫で歓談した後にする?」

 

「いえ、儂はすぐに帰らなければならないのです。今すぐに帰りたいところですじゃ」

 

「分かった。お前もそれで良いな」

 

「ええ」

 

 白夜も名残惜しそうにしながらも、ハクロウの決定を尊重した。

 

「それじゃ、帰してやる。だが、私の配下になりたくなったらいつでも来い!歓迎してやる!」

 

 原初の黄は、そう言うと基軸世界に繋がる門を開いた。

 

「それでは、お世話になりました」

 

 ハクロウは頭を下げ、礼を言うと門の中へと消えていった。

 

 

「お前から見て、ハクロウはどうだった?」

 

「技量は、既にワシと同格……いや、ハクロウが一歩先にいると感じました。ワシは身体能力でなんとか引き分けに持ち込めただけです。あそこに更に経験と身体能力が加われば恐ろしいことになりそうですね」

 

「恐ろしい……ねぇ?笑いながら言うことか?」

 

「ええ、楽しみなので」

 

「そっかそっか。まあ、近いうちにまた会えるような気がするし、それまで気長に待っておけ」

 

 

 

 

 

 時は遡り、シオンの死とハクロウの失踪を知ったリムルは自分の無力さに打ちひしがれていた。

 

「涙も出ない……俺は、本当に魔物になったんだな……」

 

 リムルはそう呟くと、このまま死んでしまった仲間たちを野晒しにしてはいけないと思い、みんなを『暴食者(グラトニー)』で捕食しようとした、その時……エレンたちが来訪した。

 

 エレンがもたらした情報は、リムルの心に希望を宿すには十分だった。

 

 それは、真なる魔王への覚醒。

 

 それに伴う死者蘇生。

 

 更に皮肉にも忌々しい結界があるおかげで仲間たちの魂がまだ無事だという可能性。

 

 そして、ソウエイからの報告でファルムス軍の本隊約2万が魔国(テンペスト)へと向かっているという情報も得た。

 

 全てのピースが揃い、リムルは行動を開始した。

 

 まず新たに結界を張り、仲間たちの魂の保護をより強固にし、そして結界を張った実行犯の1人であるミュウラン……ヨウムの想い人をクレイマンから救った。

 

 

 

 場所は移り、会議室。

 

「それじゃあ、これからについて話すぞ」

 

「「「「「はっ!!!」」」」」

 

 リムルは、最初に自身のことを語った。

 

 人間を攻撃しないというルールを作った理由を。

 

 皆はそれを静かに聞き、そして誰もリムルを責めることはなかった。

 

 さらに、リムルに頼り切っていた現状を見て、皆は自分にも責任があるとし、リムルにだけ背負わせる気はないと言った。

 

 そして、話はついに対ファルムス軍についてになった。

 

「俺は、魔王になる。奪われた者たちは必ず蘇生し、ファルムス軍にはその罪を命でもって贖わせる」

 

「魔王……なるほど、リムル様ならば可能でしょう」

 

「リムル様の決定に背くことはありません」

 

 リムルが魔王となることに誰も異存はなかった。

 

「まあ、異存ないなら話を進めるぞ。ファルムス軍は俺1人で殲滅する。それは魔王化に必要だからだ。納得してくれ。代わりに、お前たちには弱体化の原因となっている結界の解除を任せる。おそらく、結界の楔は先遣隊としてやってきた奴らが守っているだろう」

 

「お一人で……」

 

「不安は分かるが、納得してくれ」

 

「……了解しました」

 

 そして、話し合いは続き、結界の楔破壊の人選が決まった。

 

「さあ、反撃開始だ!!!」

 

 

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