〈リムルside〉
意識が浮上する。
温もりが俺を包んでいる。
「ここは……?」
「お目覚めになられたのですね!おはようございます!リムル様!」
「……シ……オン?……シオン!!!生き返れたんだな!!!」
「はい!リムル様のおかげで……」
「「「我ら一同、一名の欠落もなく、ここに!!!!!」
大勢の声が庭で響いた。
ああ、そうか……成功したんだな!!!
「リムル様!良かった!お目覚めになられたのですね!」
「ベニマル!」
「色々と報告があるのですが、その前に」
「なんだ?」
「合言葉を覚えていらっしゃいますか?」
「ああ、勿論だ!」
「では、シオンの料理は?」
「クs……」
「私の料理がどうかしましたか?」
大賢者!!!大賢者先生!!!どうしたら良いですかー!?!?!?
あれ?大賢者先生?どこ!?
〈解、現在、大賢者から進化して究極能力『
おお!そうだったのか智慧乃王先生!!!
それで、どうしたら良いですか!?
〈解、解答不……提案があります。こう言ってはどうでしょう?……〉
おお、それ採用!!!
「リムル様は、目覚めたばかりだ。お前の料理が恋しくなったのではないか?」
「ちょっと待ちたまえベニマル君。覚えているとも合言葉は!」
「リムル様!?」
「ベニマル君が決めた合言葉は『シオンの料理はクソ不味い』だったよね。覚えているとも」
「ほう?」
「じゃ、俺はこれで!!!」
巻き添えにならない内に逃げる!!!
さらばベニマル!
君の勇姿は忘れない!!!
街を歩く。
配下のみんなが俺を見て嬉しそうに笑った。
ああ、そうだ。
俺が守ったものがここにある。
俺は守れたんだ……取り戻せたんだ。
これほど嬉しいことがあるだろうか?
いや、無い!!!
街並みを見終わり、高台から街並みを見下ろす。
既に復興は始まっていて、街は徐々に元に戻っている。
感慨に耽っていると。
「魔王への覚醒。心よりお祝い申し上げます」
1人の悪魔が俺に
誰だ?
〈解、
ああ、いたね!そんな奴!
「ああ、まだいたんだ!帰って良いよ」
「……!?!?!?」
なんかいきなり胸押さえて蹲ったんだけど?
……………。
あれ?あと2人ぐらいいなかったっけ?
〈解、死者蘇生のエネルギーとして使用いたしました〉
…………聞き間違いかな?
〈事実です〉
oh……。
もしかしてこの悪魔が残ってるのって復讐のため?
「リムル様、先だって申し上げていた通り、私を配下の末席に加えていただけないでしょうか?」
「……本気?」
「ええ、勿論です!」
「お前の配下をエネルギーとして使用したのに?」
「彼らも本望だったでしょう!!!」
「そ……そうか」
まあ、強い奴が味方にいるのは良いことか。
「分かった。お前を配下にしてやる。配下となったからには名前が必要だな。これからはディアブロと名乗れ」
「おお、名前まで頂けるとは……このディアブロ、感激で胸がいっぱいでございます」
そ、そうか?
なんかとんでもない量の魔素が使われたんだけど!?
こうして、俺の配下に悪魔が加わった。
その後みんなで宴会をして、なぜか俺もシオンの料理を食べることになったり、なぜかシオンの料理が美味しかったり……まあ、食感とか見た目は最悪だったけど……とにかく、いろいろなことがあった。
そして、宴会が終わった後……
「それでは、リムル様。報告に移らせていただきます」
「ああ、聞かせてくれ」
「まずは、こちらのお二方の話を聞いていただきたいのです」
そう言って、ベニマルは三獣士の2人……アルビスとスフィアを連れて来た。
「……獣王国で何かがあったのか?」
「はい。事の発端は……」
そうして、アルビスは語り始めた。
〈三人称視点〉
時は遡り、
獣王国の王城の謁見の間にて、カリオンに
「それで、何の用だ?」
「現在、魔王クレイマンがカリオン様を殺し、さらにその名誉まで陥れようとしています」
「どういうことだ?」
「クレイマンは、現在、真なる魔王への覚醒とやらに固執しているらしく、その覚醒には大量の魂が必要とのこと。クレイマンは、この国を狙っております」
「……なぜ、フレイの配下であるお前がそれを知っている?」
「数ヶ月前、クレイマンは
「……しかし解せんな。あいつはなぜ魔王間で争おうとするのだ?」
「申し訳ございません。フレイ様の配下でしか無い私は、その問いに対する答えを持ち合わせておりません」
「いや、良いさ。それにしても……暴風大妖渦……久方ぶりに胸踊る戦いが出来そうだな!」
「まさか……戦うおつもりなのですか!?無茶です!!!」
「やってみねえと分からねえだろう?それに俺様は魔王だ。逃げるわけにはいかねえんだよ」
「そう……ですか?」
「いつ仕掛けて来るかは分かるか?」
「申し訳ございません。そこまでは……」
「そうか、情報提供感謝する!もう帰って良いぞ」
「……失礼します」
有翼族の女性は、一瞬にしてどこかへと消えた。
「アルビス!スフィア!住民を避難させろ!!!いくら俺様でも国に被害が出ない様に戦うことは不可能だ!そうだな……魔国を頼れ!!!」
「待ってくれよ、大将!!!オレも戦うぜ!」
スフィアがそう意気込むものの……
「相手は暴風竜の申し子だ。どれほどの強さか分からない。お前らは避難しておけ」
「そんな……」
「だが、まあそうだな。見届け人は必要だな。アルビスかスフィア、2人の内1人は残ることを許そう。存分に俺様の勝利を見届けろ」
「避難の指示は私が致しましょう。スフィア、頼みましたよ」
「ああ、オレがきっちり、大将の勝利を見届けてやるぜ!」
こうして、獣王国の民は、避難を開始した。
誰もが思っていた。
獅子王カリオンが負けるはずが無いと。
誰もがクレイマンを憐れんだ。
カリオンの強さを知らない小物だったと。
誰もが……誰もが……その真実を受け入れられなかった。
獅子王カリオンの完全なる敗北を。
フレイは、暴風大妖渦の依代になったのがファビオだと知らないため、カリオンにもその情報は伝わりませんでした。