転生したら蛇だった件   作:朝昼晩昼夜逆転

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お久しぶりです!!!続き書けました!!!


思いの力

〈三人称視点〉

 

 時は遡りシュナとアダルマンの開戦直後。

 

 アダルマンの放った『侵食魔酸弾(アシッドシェル)』がシュナに迫っていた。

 

 しかし、シュナは動じることもなく術を発動させる。

 

「『幻炎の防壁(フレイムウォール)』」

 

 シュナを取り囲むように出現した炎の防壁が侵食魔酸弾を完全に無効化した。

 

「なるほど、余の前に立つだけはある。ならばこれならどうだ!!!『呪怨束縛(カースバインド)』!!!」

 

 呪いそのものというべき束縛のオーラがアダルマンより放たれて、シュナへと迫る。

 

 シュナは、それでもなお眉ひとつ動かさず、その場に座り、祈る。

 

 そして、

 

「『聖なる福音(ホーリーベル)』」

 

 聖なる魔法が顕現する。

 

 福音が響き渡り、呪いが霧散した。

 

「神聖……魔法!?……バカな!!!何故魔に属する者が神聖魔法を使う!!!神聖魔法は……神への信仰心がなければ使えぬはず!!!」

 

 アダルマンは、目に見えて動揺した。

 

「神聖魔法は、奇跡を信じ、願う者には誰にでも応えてくれるのです。信仰対象も聖なる存在である必要もないのです。善も悪もなく、ただ純粋な思いを力へと変えるのが神聖魔法なのですから」

 

 シュナの言葉にアダルマンは過去を思い出す。

 

 かつて、ルミナス教の枢機卿であった時、そのルミナス教の指導者たちに嵌められ、死地へと追いやられたその時を。

 

 神ルミナスは、アダルマンに手を差し伸べなかった。

 

 故に、アダルマンは信仰を失ったのだ。

 

 だからこそ、もう二度と奇跡たる神聖魔法は自身は扱えない。

 

 そう、アダルマンは思い込んだのだ。

 

 神聖魔法は思いの力。

 

 シュナの言うことが正しいのであれば、魔に堕ちてなお、再び自身の手にも……

 

「娘よ。名はあるか?」

 

「シュナと申します」

 

 名を聞き、アダルマンは確信する。

 

 名持ちということは、おそらくその名を与えた者をシュナは信仰しているのだと。

 

「そうか……シュナ殿、頼みを聞いてくれぬか?」

 

「頼み?」

 

「ああ、シュナ殿ならば気づいていよう。余をそして彼らを縛りしこの呪縛を。余を核としたこの呪縛を。それを、彼らの分だけでも解いてくれぬか?」

 

「何を言い出すかと思えば。それはご自身でなさりなさい」

 

「余には無理だから言っている」

 

「無理?あなたは、本当にそうだと思うのですか?」

 

「この呪縛とも長い付き合いだ。それ故、この呪縛の強大さは理解している。し過ぎているのだ」

 

「言い訳にしか聞こえません。わたくしには、貴方がこの程度の呪縛に囚われていることの方が驚きです」

 

「言ってくれるな」

 

「それに、今は敵同士でしょう?ならば、力でもってわたくしを打ち負かし、呪縛からの解放を強要すれば良いでしょう」

 

「ああ……そうかもしれんな『侵食魔酸弾』」

 

 アダルマンはそう呟き、術を発動させる。

 

「これは効かないと分かったはずでは……」

 

 炎の防壁が再び出現し、シュナを包む。

 

 『侵食魔酸弾』は、シュナにとって脅威ではない。

 

 しかし、それはアダルマンの本命ではなかった。

 

「『神へ祈りを捧げたてまつる』」

 

 祝詞が紡がれる。

 

「『我は望み』『聖霊の御力を欲す』」

 

 神々しき魔力の本流が解き放たれた。

 

 アダルマンは心の内でシュナに感謝し、そして謝罪する。

 

 今、シュナの言葉でアダルマンは再び神聖魔法を手に入れた。

 

 覚悟が足りなかった自分自身に憤りながら、アダルマンは決意した。

 

 カザリームの呪いにより自死できない。

 

 故に、今ここでシュナを巻き込み、自身もそして自身の親友もこの呪縛から死をもって解き放とうと。

 

「『我が願い』『聞き届け給え』」

 

 戦場を巻き込む聖なる魔法が完成する。

 

「万物よ尽きよ!『霊子崩壊(ディスインテグレーション)』!!!」

 

 今、全てを無へと帰す魔法が解き放たれた。

 

 その瞬間

 

「それを待っていました!『霊子暴走(オーバードライブ)』!!!」

 

 霊子が暴走し、魔法が書き換えられる。

 

「やはり、貴方ならばわたくし以上の聖なるエネルギーを集めることができると思っていました。見事です。その覚悟の対価とし、この地より解き放ちましょう」

 

 シュナの手中に集められた聖なるエネルギーがアダルマンにそして不死系魔物(アンデッド)へと殺到した。

 

 大量の不死系魔物が消え、その場にて形を保っていた不死系魔物は、ハクロウが相手にしていた死霊騎士(デスナイト)とソウエイが相手にしていた死霊竜(デス・ドラゴン)、そして、アダルマンだけだった。

 

 ゆっくりと、アダルマンが目を覚ます。

 

「余は……私は何故生きて……」

 

 アダルマンは感じとる。

 

 自身の力がただの死霊(ワイト)程度に弱まっていることに。

 

 しかし、それよりも生きていることが不思議だった。

 

「言ったでしょう。解き放って差し上げましょうと」

 

「あれは……死ではなく……」

 

 アダルマンは呆然と立ち尽くし、そして……

 

「あのっ!!!私を貴方が信仰する神に会わせては貰えませんか!?」

 

 そう叫んだ。

 

「え?」

 

「私の『霊子崩壊』を上書きしたあの魔法……素晴らしかった!!!そんな貴方が信仰するお方!!!さぞかし素晴らしい方なのでしょう!!!願わくば、私も彼のお方を信仰したい!!!」

 

「あの……急に言われましても」

 

「なるほど、確かについ先ほどまで敵対していた者がすぐに会うなど厚かましいお願いございました!!!では、どうでしょう!?下っ端として雇って頂けませんか!?貴方に負けた私ではございますが、これでもクレイマン配下幹部の実績がございます!!!多少なりとも使えると思います!!!そして、役に立つと示し、謁見してみせます!!!どうでしょうか!?!?!?」

 

「いえ、あの、そもそもわたくしはリムル様を敬ってはいますが信仰しているわけでは……」

 

「リムル様!!!なんと神々しき御名前!!!」

 

「聞く耳持ってませんね。貴方」

 

 そう、話していた次の瞬間。

 

 轟音が響き、何かが吹き飛んできた。

 

「何が!?」

 

 慌てて確認すると

 

「ゴホッゴホッ!フットマンとやら……なかなかの強者(つわもの)!!!」

 

 ボロボロになり、血を吐くガビルがそこにいた。

 

「すぐに治療を」

 

 ソウエイが完全回復薬(フルポーション)をガビルに飲ませた。

 

「大丈夫ですか?」

 

 シュナのその問いに傷が回復したガビルは首肯した。

 

「うむ。だが、戦況はあまり良くないのである」

 

 いつもお調子者のガビルがいつになく真剣に言う。

 

 戦場は後1つ。

 

 最も苛烈な道化との戦場。




アダルマン戦は原作とそこまで変わらなかった……シュナの活躍は潰したくなかったので、そこまで変えられませんでした。お許しを。ただ、次話のベニマルたちの戦いは独自展開満載なのでお楽しみに!!!
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