転生したら蛇だった件   作:朝昼晩昼夜逆転

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 お久しぶりです。
 本編の方がなかなか筆が乗らず、おそらくスランプになった今日この頃、そういえば今日ハロウィンだし、気分転換に番外編書くかーと思って書いたお話です。
 本編とはなんの関係もございませんが、お楽しみいただければ、幸いです。


番外編 最古の魔王のハロウィン事情

〈三人称視点〉

 

 ギィが自身の居城でヴェルザードと寛いでいた時、

 

「トリック・オア・トリート!!!」

「トリック・オア・トリートなのだ!!!」

「トリック・オア・トリートなのよさ!!!」

 

 扉の向こうから、元気な声が響いた。

 

「何の用だ?」

 

 不機嫌そうに扉を開け、声の主……ミリム、ラミリス、フィアラを見やると、3人はいつもと違う格好をしていた。

 

 ミリムはキョンシーの仮装を、ラミリスは魔女っ娘の仮装を、フィアラはゾンビの仮装をしていた。

 

「………何してんだ?お前ら」

 

「別の世界に、人間がモンスターに仮装してお菓子を貰いに行くハロウィンっていうイベントがあってね。2人が興味を持ったからやることにしたんだ」

 

 イタズラっぽく笑うフィアラに、ギィは呆れたようため息を吐く。

 

「ハァ、あのなあ。今日は一日中ヴェルザードと楽しむ予定だったんだが?」

 

「あら、良いじゃない。楽しそうだわ」

 

 ギィの後ろからヴェルザードが楽しそうな声音でそう言う。

 

「どうせなら私たちも仮装しましょうよ」

 

「いや、人間がモンスターの仮装をするんだろう?俺らはそもそも人間じゃないだろ」

 

「あら?私はギィの仮装見たいのだけれど?ギィは私の仮装見たくないの?」

 

「…………見たいといえば見たいな」

 

「じゃあ、仮装しましょう」

 

 ヴェルザードはそう言うと、ギィを引きずって別の部屋へと去って行く。

 

 魔法を使えば簡単に仮装など出来るが、仮装する過程も楽しみたいのだろうかと考えながら、ギィはヴェルザードに連れられて行った。

 

 さて、ミリムとラミリスとフィアラはその場に残された訳だが……

 

「行っちゃったね」

 

「行っちゃったのだ」

 

お菓子かイタズラか(トリック・オア・トリート)って言ったのに」

 

「つまり、ギィは、イタズラがお望みということなのだ!!!」

 

「望みは叶えてやんなきゃなのよさ!!!」

 

「それじゃあ、始めようか!!!イタズラの時間だー!!!」

 

 ラミリスがパチリと指を鳴らすと、その部屋に結界が展開された。

 

 その結界は、結界内部を感知不可能にし、更に結界の中は外から見ると全く変わっていないように見える優れものだった。

 

 こうして、3人のイタズラは開始された。

 

 

 

 

 

 ところ変わって、ラミリスの結界のせいでイタズラのことなど知る由もないギィは、

 

「これとこれとこれと……あー、これも捨て難いわねえ」

 

「おーい、まだか?」

 

 頭の上には犬耳がつき、手には獣の手のような手袋を着けて、そして額にお札を貼られと、ヴェルザードの着せ替え人形になっていた。

 

「ギィは、元からかっこいいから、今回は可愛い系が良いかしら?それとも怖い系?」

 

 大量の衣装を創りながら、ヴェルザードは、悩む。

 

 これは当分終わらないなと思ったギィは、ヴェルザードに似合う仮装を考えることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 数時間後、ギィは可愛い系狼男、ヴェルザードはネコミミメイドの仮装に決定した。

 

「そろそろ戻ろうぜ。あいつらが何かやらかしてるかもしれないしよ」

 

「そうね!!!可愛いギィも見せたいし!」

 

 ギィとヴェルザードは、先ほどの部屋に戻った。

 

 そして、扉を開けた瞬間、目に飛び込んできたのは闇。ただひたすらの暗闇がそこにあった。

 

 照明を消した所ではない漆黒に、ギィは、あの3人が何かしたのだと瞬時に理解した。

 

「あいつら……一回〆るか」

 

 そう言いながら、ギィはヴェルザードを伴って、闇の中へと入っていった。

 

 闇の中は、魔力感知も全く意味をなさず、自分がいる位置すらも分からない。

 

 次の瞬間、ケタケタケタと笑う声が響いた。

 

 声の方を見やると、淡く光る骨の群れが歩いていた。

 

 骨は、ドラゴンのようなものもあれば、犬などの小型動物のようなもの、他にも大型動物のもの、人型のものなど、様々だった。

 

ケタケタケタと笑い続けながら、骨はギィたちから遠ざかっていく。

 

 骨が見えなくなった次の瞬間、ギィの首の後ろに、何かヒヤリとした冷たいものが当たった。

 

 振り返っても、何もいない。

 

 とりあえず3人の捜索を優先することにし、ギィは、更に歩みを進めた。

 

 次に現れたのは顔が彫られたカボチャだった。

 

 しかし、聞こえるのは笑い声ではない。

 

 カサカサカサと、生理的嫌悪を想起させる音が響く。

 

 そして、カボチャの目と口から大量の小さい蟲が這い出てきた。

 

 ギィは、それを一瞥すると、とりあえずカボチャを蹴り飛ばした。

 

 そこで、ギィはふと気づく。

 

 そういえば、先ほどからヴェルザードが喋っていないなと。

 

 そして、ヴェルザードがいる方を見ると、そこには、生気を感じさせられない虚な目で、口の中から蟲を覗かせたヴェルザードがいた。

 

 ギィは、それを見ると、大きくため息を吐いた。

 

「ハァーーー、なるほど、お前らグルか」

 

 ギィは、そう言うと魔力を高める。

 

「ヴェルザード!!!ミリム!!!ラミリス!!!フィアラ!!!今すぐ出てこい!!!出てこないなら、この世界を消す!!!!!」

 

 そう叫ぶと、闇が晴れ、部屋が元に戻り、ヴェルザード、ミリム、ラミリス、フィアラが出てきた。

 

「まったくー、少しは驚いてほしいのだ!!!せっかくリアルなヴェルザード人形も作ったというのに!!!」

 

「ホントなのよさ!風情がないのよさ!ここはもっと怖がってほしいのよさ!」

 

「ギィが怖がるのは想像できなかったし、そんなことは起こらないと思ってはいたけどさ、ちょっとぐらい怖がった演技してよ」

 

「まったくね!私も怖がるギィを愛でたかったわ!」

 

 ミリム、ラミリス、フィアラ、ヴェルザードが口々に文句を垂れる。

 

「いや、どう考えても俺が文句を言われる筋合いないだろう!?!?!?あと、このヴェルザードの人形リアル過ぎだろ!!!何、魂まで再現してんだ!!!フィアラの仕業だろ!!!」

 

 あの生気が感じられないヴェルザードは、フィアラが腕によりをかけて作った人形だった。

 

 ただギィについていくことだけしかしない人形なのに、ヴェルザードの魂の複製まで入れていた。

 

 入れ替わったのは、部屋に入ったタイミングだ。

 

「怒られる筋合いはないのだ!何せ、トリック・オア・トリートって言ったのに、ギィはお菓子をくれなかったからな!イタズラしてほしいってことなのだろう?」

 

「そうか、そうかイタズラか………お前らイタズラに本気出し過ぎだろ!!!あの闇の空間、どう考えても世界だろ!?イタズラのためだけに魔力感知が通用しない世界作ったんだろ!?結界の中に異空間仕込むだけで済むものを、何世界作ってんだ!!!」

 

「何事も本気で取り組むから価値があるんじゃないか!!!」

 

「限度があるだろうが!!!!!」

 

「まあ、そんなことより、せっかくだし、お菓子パーティでもするのよさ」

 

 ラミリスがそう言いながら、机の上にお菓子を広げた。

 

「ハァ、まあ良いけどよ」

 

 ギィは、呆れながら椅子に座った。

 

 こうして、仮装姿で最古の魔王とヴェルザードは、お菓子パーティを楽しんだ。

 

 なお、ハロウィンは、この4人の間で定期的に開催されることになり、最終的に、みんなで仮装して、そしてイタズラを仕掛け合い、最後にお菓子パーティをするという、ハロウィンに似ているだけのまったく別のイベントになるのだが、それはまた別の話である。

 

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