転生したら蛇だった件   作:朝昼晩昼夜逆転

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曼珠沙華

〈三人称視点〉

 

 『曼珠沙華』と、そうハクロウが呼びかけると共に、周囲に紅蓮の花が咲き乱れた。

 

 血のように赤い曼珠沙華(彼岸花)が、暗き大地を照らし、濡らした。

 

 自我など存在しない変異災害が、その余りの美しさと恐ろしさに、思わず動きを止めた。

 

 それは、明確な隙。

 

 ハクロウが見逃すはずもない。

 

 絶死の隙。

 

「『黒百合・百咲』」

 

 一瞬にして、変異災害は斬り刻まれた。

 

 しかし、変異災害はすぐに再生を始め、ハクロウを脅威と認識し、排除にかかった。

 

 触手を生やし、ハクロウを襲う。

 

「やはり、再生が厄介……しかし、触手はどうとてもなる」

 

 その言葉が終わった瞬間、触手は細切れとなって地に落ちた。

 

 フィアラが創った剣型生物『曼珠沙華』。

 

 その真名を呼ぶことによって解放される力は、切れ味の強化だけではない。

 

 『曼珠沙華』は、真名を呼んだ所有者の演算能力、感知能力、そして思考速度を強化するのだ。

 

 それこそが、『曼珠沙華』の真骨頂。

 

 さらに、その強化は真名を呼んでから、増加され続ける。

 

 その目安となるのが、咲き乱れた曼珠沙華。

 

 真名を呼ぶと同時に、辺りに咲き乱れる曼珠沙華の花弁が落ちるごとに能力は、強化されてゆく。

 

 曼珠沙華の花弁は自然に散りゆくその度に能力は強化され、そしてもし他者が花弁を散らした場合にも、強化は起こる。

 

「再生が脅威ならば、再生できぬまで斬り刻むのみよ」

 

 ハクロウは、息を吐き、集中する。

 

「今ならば、あの技も実現可能」

 

 集中するその間にも、ハクロウに触手が迫る。

 

 けれど、それは空をきる。

 

 その全てをハクロウは避け続け、そして、

 

「『朧奥(ほうおう)蓮華往生(れんげおうじょう)』」

 

 技は完成する。

 

 研ぎ澄まされた思考と感知と演算が噛み合って、完成させる。

 

 かねてより、研鑽を続けたハクロウのその集大成。

 

 それは、数えきれぬ連撃となって変異災害を襲い、その肉体を原子レベルで斬り刻んだ。

 

 それによって、変異災害は再生不可能となり、ハクロウは勝利した。

 

 静かに納刀すると、咲き誇っていた曼珠沙華が一瞬にして消え去った。

 

 次いでハクロウを襲ったのは、とてつもない疲労感。

 

 曼珠沙華の真名解放によって得られる能力はあくまで外付けであり、本人が耐えられるかは別問題。

 

 それが、顕著に現れた。

 

「これは……無闇矢鱈と使えるものではないのう」

 

 ハクロウは息を乱しながら呟いた。

 

 かろうじて立っていることは可能だが、息も絶え絶えだ。

 

 それもそのはず、最終的な思考加速の倍率は、100万倍にまで至っており、そのほかの感知と演算も究極能力の域に踏み込んでいたのだ。

 

 それでもなお、散った花弁はごく僅かだった。

 

 もし、あれらが全て散ったのなら……それは、果たしてどれほどのものだろうか?

 

 しかし、今ハクロウが考えているのは別。

 

 いずれは、外付けの力なく、『朧奥・蓮華往生』も使ってみせるとそう決心した。

 

 今はまだ、自身だけの力では無理でも、いずれは。

 

 ハクロウがそう決意を新たにしたその時、戦場を熱が巡った。

 

 どうやら、ベニマルたちの方も終わったようだと、ハクロウは理解した。

 

 これによって、クレイマン城攻城戦は終幕した。

 

 リムル陣営の勝利として。

 

 

 

 

 

 場所は移り変わって『魔王達の宴(ワルプルギス)』。

 

 そこでも、激闘が繰り広げられていた。

 

 

〈フィアラside〉

 

 九頭獣(ナインヘッド)の相手はランガがし、そこまで苦戦することもなくランガが圧倒し、無力化に成功した。

 

 ランガは九頭獣の確かを呼ぶ声を聞き、打倒ではなく無力化にしたようだ。

 

 クレイマンの相手も原作と同じでシオンがしている。

 

 まあ、特に苦戦する様子もない。

 

 クレイマンご自慢の魂を封入した人形による攻撃『踊る人形達(マリオネットダンス)』も、シオンの剛力丸の効果で無意味となっている。

 

 まあ、特に心配はしなくて良いな。

 

 さて、肝心のリムルだが……

 

「クッ……」

 

 暴風大妖渦(カリュブディス)の爪撃を掠ってしまったようだ。

 

 どうやら苦戦してるみたい。

 

 多分、リムルは暴風大妖渦を殺すだけなら簡単に出来る。

 

 問題は、暴風大妖渦の依代がフォビオであり、それを助けると約束していることだ。

 

 暴風大妖渦は、いくらボクが強化したと言っても、所詮は究極能力も持っていない雑魚だ。

 

 どれだけ強くても、究極能力を持っていないものは、それに準ずる何かを持っていなければ究極能力持ちに勝てないのだ。

 

 さて、その問題であるフォビオの救出だが……まあ、ぶっちゃけ『智慧乃王(ラファエル)』がどうとでもしてくれるでしょ。

 

 リムルの能力の1番やばいのは『智慧乃王』だと思うし。

 

 やっぱりどう考えても自律思考を持ってるスキルってやばいよ。

 

 長年使われてきた究極能力とかなら『正義乃王(ミカエル)』とか前例はあるけどさ、多分『智慧乃王』ってユニークスキルの時から自我あったもん。

 

 流石リムル。

 

 うんうんと1人頷いていると、

 

「突然頷いて、どうしたのだ?」

 

 ミリムが不思議そうに尋ねてきた。

 

「いや、別に。ちょっと考え事してただけだよ」

 

「ふーん。まあいいや。それよりワタシはお腹空いたのだ!!!もうリムルの強さは分かったし、クレイマンに勝ち目がないのも明白なのだ!!!ちょっと暴風大妖渦ボコボコにして終わらせてきて良いか!?」

 

「いや、ダメでしょ」

 

 これは、リムルの戦いだし。

 

「ダメだぞ、ミリム。リムルにちゃんと最後まで戦わせてやれ。どうせすぐに終わるんだ。誤差だろう?」

 

 ギィもミリムを止める。

 

「それもそうだな!!!待つとするのだ!!!!!」

 

 さて、頑張れよリムル。

 

 こんなややこしい事態になったのはボクが暴風大妖渦を改造したせいな気がするけど、ミリムに操られたフリをさせるのはどうしても嫌だったんだ。

 

 ごめんよ。




やっと『魔王達の宴』sideに戻ってこれました!!!
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