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魚拓スクショを撮り忘れていたのですが、Writeningの編集パスは覚えていたので本文最後に作者名を書き添えました。これで本人確認とさせてください。
https://writening.net/page?NvypuN
「選び取り……?」
「はい、遠く百鬼夜行で行われる伝統行事……それをあの子とやってみませんか?」
セミナーの部室に突然やってきたヒマリ先輩。何を言い出すかと思えば、横のキッズスペースでコユキにあやされている赤ちゃんにその選び取り……とやらをさせようと提案してきたのだ。
唐突だが、私達ミレニアムサイエンススクールの生徒会、セミナーは今赤ちゃんの面倒を見ている。ミレニアム自治区で拾った子で、親を探しているが未だ見つからず数ヶ月。真剣に私達で育てようと話が出ているくらい私達はその子の世話に熱中している。今じゃ他の生徒も遊びに来て、赤ちゃんの様子を見守ってるくらいだ。
そんな赤ちゃんにヒマリ先輩は選び取りをさせたいらしい。赤ちゃんのことをよく気にかけてくれる(でも際限なくお菓子を上げようとするから毎回止めている)ヒマリ先輩のことだから、赤ちゃんにとって縁起のいい伝統行事ではあると思うのだが……。
「……一応、概要を聞いてもいいですか?」
「はい。選び取りとは先ほども言った通り百鬼夜行で行われている伝統行事です。とは言っても神社やどこかのパワースポットに行ったり、大掛かりな準備をする必要はありません。お家の中でもできる、簡単な占いみたいなものですね」
「はあ、占い……ですか」
確かヒマリ先輩は占いやゲン担ぎの類が好きだったはず。それで赤ちゃんにまつわるものを調べたのだろう。ドヤ顔で胸を張っている彼女を素直に感心していると選び取りの説明が始まったので傾聴する。
先ほどの発言通り手順は簡単で、いくつかのアイテム、あるいはそのアイテムの名前が書かれた紙を赤ちゃんの前に用意。そして赤ちゃんが興味を持って、先に持ってきた物が何かで未来を占う……という行事とのこと。例えばお箸やスプーンを選んだら食べ物に困らなくなる、楽器を選んだら音楽が好きな子に育つ……と言った具合に、アイテムに関連する子供の将来像を占うのだ。
「フフッ、どうですかユウカ。とっても面白そうじゃないですか?」
「確かに面白そうですね。危ないアイテムを使わなければ問題ないと思います」
「決まりですね。アイテムはこちらで用意しましたので、早速はじめま____」
「ああ、待ってくださいヒマリ先輩!一応そのアイテムの確認をしていいですか?ヒマリ先輩を信用していないわけじゃないのですが、あの子すぐにおもちゃを口に入れちゃって……」
そう言って視線を横に向けると……ああやっぱり、モモフレンズのぬいぐるみ(ペロロって名前だっけ、あの鳥は)を思いっきり頬張っている。コユキが「そんなもの食べちゃダメですよ!ばっちいです!」と叫んで取り上げようとしているが頑なに貪っていて、見かねたリオ会長が手助けに入った。別のモモフレンズのぬいぐるみ(この子は知ってる、スカルマン)を手に持ち、必死の棒読みで気を引こうとしているが無視されている。合理性の欠片もない、時に不条理の塊たる赤ちゃんに我らがビッグシスターは勝てた試しがない。
「あの女のあんな姿が見られるなんて、世の中どうなるか予測なんて出来ませんね、フフッ。ともかく、ユウカの心配は理解できますし、こんなことで信頼されてないと思うほどこのミレニアムが誇る超天才清楚系病弱美少女ハッカーは狭量じゃありません。使うアイテムは持ってきてますので、是非とも確認をお願いします」
「ありがとうございます、ヒマリ先輩!」
ヒマリ先輩からアイテムが入ったナップザックを受け取る。中を開いて大まかに確認してみると多種多様な形のおもちゃが入っており、しかしどれも柔らかい素材で出来ていて、赤ちゃんが飲み込めないようなサイズだった。これなら安全だろう。
「鏡にペンに定規、本当に色々なアイテムを使って占うんですね」
「ええ。鏡ならおしゃれさんに、ペンなら勉強が得意に、定規なら几帳面な子に……と言った具合ですね」
「なるほど……あ!電卓!?」
ナップザックに手を突っ込み、電卓を模った小さいクッションを取り出す。愛用している電卓にデザインが似ていて……これの占い結果はもしかして……!
「それを選んだら数学が得意な子に育つ。ユウカが喜びそうだと思って入れておきました」
上品に笑うヒマリ先輩の予想通り、一目見ただけで私は嬉しくなってしまった。もし赤ちゃんがこれを選んでくれたら、大きくなって数学が好きになって、私と一緒に問題を解いたり数学の話で盛り上がってくれるかも知れない。
未来なんてどうなるか分からない、ただの占いだからこれを選んだからって数学が好きになるとは限らない。そんなこと分かってはいるけど、その可能性に心躍らずにはいられない。自分の単純さに呆れてくるが、それでも気持ちを抑えることができなかった。
「最高ですヒマリ先輩!きっとあの子はこれを選んで…………あれ?ちょっと待って下さい。何ですかこれ?」
目を輝かせていたら、ナップザックの中に変なものが見えた気がする。ヒマリ先輩が持ってきた最後のアイテム、恐る恐る取り出してみると、それはヒマリ先輩をデフォルメしたぬいぐるみだった。
「……ええと、ヒマリ先輩…………?」
「ふっふっふっ、それこそが本命にして100%……いえ120%選ばれるであろうアイテム。その名も超天才清楚系病弱美少女ハッカーぬいです!これを選んだ赤ちゃんは将来この明星ヒマリと同じ全知の称号を得ることになるでしょう……!!」
「そ、そうですか……」
よく知る先輩がドヤ顔で自分のぬいぐるみを持ってきたことに対する何とも言えなさはともかく、占い結果はとても良いのでゴーサインは出しておく。アイテムの確認完了、かんぺき〜。
「それじゃあヒマリ先輩、早速選び取りを始めましょうか」
「ええ、それでは____」
「ちょっと待ったーーーーーー!!!!」
2度目の待ったに驚きを隠せないヒマリ先輩、目をまんまると開いて声のする方へ顔を向けた。私もそうすると、モモイがノアの手を引き駆け寄って来るのが見えた。
「あら、今度は何でしょうか?」
「話は聞いたよヒマリ先輩!面白そうなことするんでしょ!?」
「ちょっとモモイ!書類不備の直しは終わったの!?」
「安心してくださいユウカちゃん。私がしっかり見てたので、ちゃんと終わらせてくれましたよ♪」
「うん!ノア先輩色々教えてくれてありがと!ってそれよりも!その選び取りとやら、私達ゲーム開発部にも参加させてよ!」
「参加?……って言っても、赤ちゃんが何を取るか見るだけよ?まあ見学くらいなら全然良いけど」
「ちーがーうーよ!私もアイテム持って来るの!安全そうなゲーム持って来るから」
「アイテムを持って来る!?しかもゲーム!?」
「うん、これを選んだ赤ちゃんはゲームが大好きになって、将来はゲーム開発部の部員になるんだよ!」
「ダメに決まってるでしょ!これはただの占いで、あの子がどんな部活に入るか決めるものじゃないんだから!」
「分かってるよそんなこと、でも赤ちゃんの未来は無限大なんだよ!将来は何にだってなれるんだから!じゃ、すぐ持って来るから待っててね。絶対だからね!」
「ああ、ちょっと!」
私が次の句を言う前にモモイは走り去って行った。セミナーの部室から彼女の姿が消えるだけで一気に静かになった気がする。……いや、静かではないか。コユキの鳴き声とリオ会長の棒読みは未だに聞こえている。ともかく!
「全くモモイは人の話も聞かずに!」
「モモイちゃんはいつも元気いっぱいですね♪でもどうしますかヒマリ先輩、モモイちゃんを待ちましょうか?」
「構いません。赤ちゃんの未来は無限大……ですからね。私の用意したアイテムや超天才清楚系病弱美少女ハッカーぬいが選ばれない可能性があるのは残念ですが、たくさんの可能性、選択肢があった方がきっと面白いでしょう」
「……はあ、分かりました。ヒマリ先輩がそう言うなら、モモイが来るまでに準備を整えておきましょう」
呆れの溜め息を吐きつつ、だがヒマリ先輩がいいのならと思って私は鉾を収めた。電卓が選ばれなくなる可能性が上がったのは確かに残念だけど、ゲームが好きになってゲーム開発部に入る未来もそれはそれで良いものだと思う。個人的には、他のアイテムより優先度は低いが……。
「す、スカルマンよー……あっ」
「ああ!ペロロ人形の次はスカルマン人形が犠牲に!!ユウカ先輩!ノア先輩!手伝って下さーい!!」
小さな怪獣に手を焼くコユキの悲鳴が響き渡る。リオ会長は焦った様子でこちらを見ている。2人とも子守は下手ではないのだが、なにぶん赤ちゃんのムラっ気故にたまにこんな風に振り回されるのだ。そう言う時は私とノアも含めて4人がかりで赤ちゃんを宥めすかしている。今回もその必要がありそうだ。
「行きましょ、ノア」
「はい、ユウカちゃん」
「全く見てられませんねぇリオ、この私が手本をお見せしましょう!」
3人でキッズスペースに足を踏み入れる。そして全員で赤ちゃんの相手をしてやり、無事に人形の救出に成功したのだった(ヒマリ先輩は髪を引っ張られ口に含まれてベチャベチャになった)。
……そして10分後。キッズスペースに小さな毛布を敷き、その上にヒマリ先輩が持ってきてくれたアイテムを並べる。あとはモモイが持って来るアイテムをおけば選び取りの準備は完了だ。
「来たよー!」
「ああ、モモイ。こっちも準備が終わったところ……で…………え?」
セミナーの部室に戻ってきたモモイを迎え入れると、その後ろには満面の笑みを浮かべるウタハ先輩、スミレ、ハレ、アカネが立っていた。手にはそれぞれ何かを持ってて……あ、もしかして!
「話は聞いたよ、ユウカ。面白そうなことをするそうだね」
「是非とも私達も参加させて下さい!」
「セミナーの対抗勢力として、赤ちゃんの偵察に来たよ」
「フフッ、その赤ちゃんは私達も気にかけていますから。よろしいですか?ユウカ」
「いや別に良いけど……モモイあなた言いふらしたの?」
「違うよ!たまたますれ違って話しかけられただけ!こんな大所帯になるとは思わなかったけど……とにかく!アイテム持ってきたから参加させて!」
「はぁ……まあいいわ。確認するから列になって並んで」
手頃な椅子を持ってヒマリ先輩の隣に座る。ヒマリ先輩が抱っこしている赤ちゃんと目が合い、ふっくらほっぺをつっついた。何だかよく分かってない表情をしていたご、遊びに来てくれたたくさんのお姉ちゃん達を視界に捉えると元気に笑い出した。
「よかったですね、たくさんの人達があなたの未来を祝福してくれますよ」
「きっと楽しいイベントになるわね。さて、アイテムのチェックを始めるわ!」
ちょうど並び終えた面々に声をかける。何だか面接みたいになったわね……まあいいや、1番前の人が私に近づいてきたから、彼女のアイテムを確認しなくては。
「……って、ノア!?」
「フフッ、せっかくだから私もアイテムを提供しようと思いまして」
「そっち側に行くなんて……でもまあ、いいと思うわ。それでアイテムは?」
「はい、この絵本です。これを選んだら本が大好きな子に育ちます♪」
「素敵ね!子供向けの絵本だから安全そうだし……よし、ノアのアイテムは合格よ!次!」
「にっはっはっは!コユキお姉ちゃんとして、赤ちゃんにプレゼントを持ってきました!」
「そう言うイベントじゃないわよ。で、何持ってきたの?」
「はい!この前印刷した偽造債券の余りです!これを選んだら将来大金持ちですよ!!」
「却下ァ!!って、まだ持ってたの!?没収!!」
「うわああああん!何でですか!?赤ちゃんには大金持ちになって欲しいじゃないですか!!」
「それはそうだけどアイテムがダメなのよ!せめて財布とかにしなさい!」
「私の財布口に突っ込まれたら流石に嫌ですよ!!………あ、でもこの前見つけたクローバーの押し花で栞を作ったんですけど……いやダメですね。この大きさじゃあ赤ちゃんも飲み込んじゃいますね」
「はあ、最初からそう言うの出してちょうだい。でも確かにそうね、よだれでベチャベチャになりそうだし……そうだ、おやつの赤ちゃんクッキーにクローバーの形をしたものがあったはず。それで代用しましょう」
「分かりました!持ってきます!これを選んだらラッキーな人生を送れますよ!」
「いいわ、お願いねコユキ。じゃあ次!」
「やあユウカ。私はエンジニア部の代表として、これを持ってきたよ」
「おもちゃの工具……これを選んだら将来はエンジニア部になるってことですね」
「ああ、そうなるね。しかし時間がなかったから何の改造もできなかったのが残念だ」
「いやいいんですよただのおもちゃで」
「いや、最低でも自爆機能は____」
「付けたら私の権限でエンジニア部の予算を100分の1にしますから」
「ユウカ!?それは強権が過ぎないかい!?」
「この子を守るためですから合法です!!はい次!」
「ユウカさん、私はトレーニング部とその他運動系部活の代表として、ボールを持ってきました」
「スポーツ万能祈願ね!スミレらしくていいと思うわ!」
「ありがとうございます!でもただ願掛けをするだけじゃもったいないですから、赤ちゃん用のトレーニングメニューも考えてきました」
「ええ!?まだハイハイしか出来ないわよ!?」
「分かってます。だからもう少し大きくなったら始めましょう!是非セミナーの皆さんも!」
「わ、私達よりも先を見据えてるわね……。でもまあ、メニューはありがたく貰っておくわ。じゃあ次!」
「フフッ、次期C&C部員の赤ちゃんに最高の装備を持ってきました。これを選んだら将来最高のご奉仕ができるメイドになれるでしょう」
「あ、メイド服!大きくなった時用のサイズね!………待って、この手榴弾はいらないわ」
「どうしてですかユウカ?メイドは武装しているものですよ?」
「確かにそうだけど今は赤ちゃんよ!危ないものは持たせられないの!」
「残念ですが、確かにそうですね……。ではメイド服に隠していた武装は全て取り外しておきましょう」
「ええ、お願い。…………待って待って待って待って、メイド服のどこからその量の爆薬が?まあいいや次!」
「はいこれ、新フレーバーの妖怪MAX」
「却下ァ!!イカれてんの!?ハレ!?ダメに決まってるでしょ!?」
「フフッ、冗談。まだミルクだもんね。私からはヴェリタスを代表してスマートフォン……のカバーだけを。これを選んだらIT系に強くなると思う」
「心臓に悪過ぎる……!でもIT強くなれるのはいいわね、採用!はい次!」
「……私が名乗っていいものではないと思うけど、セミナー代表としてこれを。これを選んだら将来、優秀なセミナー部員になるわ」
「あ、会長………あの、それはいいのですけど、そのアイテムは………?」
「これ?………アバンギャルド君のフィギュアよ」
「ああっ、ええと………セミナーを代表してアバンギャルド君?あ、ちょっと尖ってるところがあって危ないので、紙に名前を書いてそれを代用と言うことでよろしいですか?」
「………それもそうね」
「はい、お願いします………って、紙にアバンギャルド君って書くんですね。てっきりセミナーって書くものかと……」
「ああ、それもそうだったわね。でも、アイテムはアバンギャルド君よ」
「何だかこれじゃセミナー=アバンギャルド君みたいな図式に………ま、まあいいや次!」
「ふっふっふっ……!最後はゲーム開発部代表にして赤ちゃんのお姉ちゃんのモモイだよ!」
「赤ちゃんじゃなくてミドリのお姉ちゃんでしょ?」
「どっちのお姉ちゃんでもあるよ!とにかくこれ、テイルズ・サガ・クロニクル」
「却下、せめて2を持ってきてちょうだい」
「何でさ!アリスの義務教育にも使用された由緒正しいゲームだよ!?」
「私聞いたわよ!そのアリスちゃんがTSC終わった後の第一声が「コロシテ」だったんでしょ!?ユズには悪いけどクソゲーよこれは!」
「ああっ、言ったな!!」
「あとシンプルにゲームソフトを口に入れたら大変だから、リオ会長みたいに紙に書いて頂戴」
「あっはい」
「………………2って書き忘れてるわよ」
「頑なに2にしようとするじゃん!」
ともかく、持ってきたアイテムの検品は完了。全員合格だ。
全員からアイテムを受け取り、毛布の上に並べた。ヒマリ先輩のおもちゃの鏡、ペン、定規、ぬいぐるみ。ノアの絵本。コユキのクローバーのクッキー。エンジニア部のおもちゃの工具。トレーニング部とその他運動系の部活からボール。C&Cからメイド服。ヴェリタスからスマホカバー。セミナーからアバンギャルド君。そしてゲーム開発部からテイルズ・サガ・クロニクル。計12種類。
「さあ、おいで」
ヒマリ先輩から赤ちゃんを受け取り、キッズスペースに下ろす。その様子を全員で見守る。よく分かっていない赤ちゃんはこちらに向けて遊んで欲しそうに手を振っていた。
「フフッ、何して遊びたい?気になったものをそこから選んでみて」
まだ赤ちゃんだから言葉の意味は理解できていないだろう。それでも話しかけてみて、分かりやすいようにジェスチャーも行う。すると赤ちゃんは広げられていたアイテムに気がついたようで、興味津々にそれらへと近づいた。周囲から歓声が上がった。
「おや、工具に触ったね。エンジニア部の勝ちかな?」
「持ってきた物……だからまだだよウタハ先輩。ほら、私のスマホカバーも触ってる」
「ボールをコロコロさせていますね。持ってきてはくれなさそうですが、ボール遊びを楽しんでいるならOKです」
「メイド服はまだ早かったでしょうか?これは今のうちに刷り込んでおいた方が良さそうですね……」
「絵本、後で読んであげますね♪」
「クローバーのクッキー、食べたら私の勝ちでいいですよね……ってああ!踏んづけて終わり!?そんなあああ!!」
「フフッ、超天才清楚系病弱美少女ハッカーぬいに興味津々で……ってああ!頭から食べた!?そして捨てた!?そんな……!?ダメだと言うのですか!?」
「仕方ないわ、ヒマリ。あの子はさっきも人形を口に入れていたもの。それより、ほら、アバンギャルド君よ。紙だけど、そこにアバンギャルド君があるわ。ほら見て頂戴………ダメそうね」
「隣にはテイルズ・サガ・クロニクルがあるよ!モモイお姉ちゃんとゲームしよ!」
みんなして一喜一憂して5分間、赤ちゃんは毛布の上に散らばったアイテムを真剣に精査している。湧き上がった興味に突き動かされて掴み取り、様々なアイテムを眺めていた。そろそろ頃合いか。そう思い、私は赤ちゃんに声をかけた。
「じゃあ、どれで遊ぶ?持ってきて!」
私は腰を下ろし、手を広げて赤ちゃんを待つ。すると赤ちゃんは振り返り、私に気がつき、笑い声を上げながら近づいてきた………毛布を掴んで。
「え?毛布?」
お昼寝がしたいのかな?一瞬そんな風に考えたがどうやら違うようで、赤ちゃんはゆっくりと毛布を、上に乗っているアイテム諸共引っ張って私のところに来たのだ。
「えっと、これはつまり……これ全部使って遊びたいってこと?」
「あぅ!」
私の問いかけをちゃんと理解しているかは分からない。でも確かにそう言う意味で赤ちゃんは返事をした……その場の全員がそう思えた。つまり今回の選び取り、その結果は………。
「…………ぷっ、アハハハハハ!!いいじゃんいいじゃん!赤ちゃんの未来は無限大だもんね!じゃあ全部やろうよ!私応援するし、ゲームなら喜んで教えてあげる!」
そう言ってモモイは私の隣に座り、赤ちゃんを抱き上げた。高く上げられた赤ちゃんは楽しそうで、周りのみんなの顔をよく見ることができて嬉しそうに笑ったり、手を伸ばしたりしてはしゃいでいる。その様子にみんな顔を綻ばせ、そして遂に大笑い。
「フフッ、くっ……!はぁ……せっかくなら超天才清楚系病弱美少女ハッカーぬいを選んで欲しかったのですが、誰のものを選んだって良かった。言ってしまえばただの占いですから、選んだアイテムと違う未来になったとしても祝福するつもりでした。でも……そうですか、全部ですか。フフッ、小さなその手で……いえ、その手ならきっと全部掴むことができるでしょう。ね?小さな小さな後輩ちゃん?」
ウインクして見せるヒマリ先輩、だがさすがに分からなかったようで赤ちゃんはキョトンとした顔で首を傾げた。その様子に私は、みんなはまた大笑いしたのだった。
その後は私、ノア、コユキ、リオ会長、ヒマリ先輩、モモイ、ウタハ先輩、スミレ、ハレ、アカネの全員で赤ちゃんと遊んだ。キッズスペースは全員入るほどのスペースはないからそばの床にマットを敷いて、それぞれが持ってきたアイテムをおもちゃにして思い思いに楽しんだ。
一息ついた頃、私は電卓のクッションを手に取って赤ちゃんに手渡す。そして自分の電卓を取り出し、赤ちゃんに見せながらボタンを押して見せた。
「いつかこれの使い方を教えてあげる。だからその時は一緒に遊んでね。約束よ?」
「うぅ?えへへ!」
楽しそうに笑って、そして私の真似をして電卓のクッションのボタンを押し始めた赤ちゃん。その様子を私は隣で見守り、その子の頭を撫で続けた。