『知』いつか未来のナナカマド 作:ある日そこに居たであろうクマさん
夏、それは海、ビーチ、水着。
即ち、出会いの季節。
少なくとも兵藤一誠からすれば夏とはそういうものなのだッ!!
だが、今は違う!
何故ならば...
「ゼェゼェ...みんな、何でそんなに...」
「一誠君、大丈夫かい?ほら、もう少しだから」
「木場、お前まで...」
彼が歩んでいたのはビーチまでの階段では無く。
山の奥地にある合宿地への道のり。
そう、今の彼が来たのは『海』では無く...
「そう、山なのであった!」
「アンタは何でそんな楽してんですか!?」
「えっ先生だから♡」
「可愛子ぶんなよ!この女装教師がッ!」
「アハハ☆舐めてんじゃねえぞ♪この可愛い教え子めッ!!」
「ギャアァァァッッ!?ごめんなさーい!!」
ライザー襲来から既に一日。
ロンは一誠達オカルト研究部と共に合宿の為にとある山奥までやってきていた。そしてここはリアス達が本来来ようとしていた山では無く...
「ロンさん!本当にここで合宿しても良いの!?」
「リアスちゃん、大丈夫だよ!ここはお兄さんの知り合いの土地の一つだからねぇ」
そう、この山は彼の...篠ノ之ロンの『知り合い』の所有地。
実はあの後、ライザーとの話には続きがあった。
だが、ある事情から本来そこでライザーとリアス双方に伝えられるレーティングゲームでの決着の話が知らせられずに終わったのだ。
そしてその原因こそが...
『この女装男オォォォッッッ!!!』
『ギャアァァァッッッ!?誰かと思ったらデカチチメイドイタイタオバサン!』
『貴様ァァァッッ!!性懲りも無くまたその名をォォォッッ!!』
『ぐっグレイフィア様!どうかおし『煩いッ!!』グバァァ!?』
『お兄様ーいつまでも及びになりませんから勝手に...お兄様!?何があったんですの!お兄様ッッッーーーー!?』
との具合で本来、双方の中間に入り尚且つ婚約の件に関してのレーティンゲームの話を伝える筈のグレイフィアがロンの姿を目の当たりにした瞬間に暴走し。部室内から学園外までロンを追いかけまわし続けたという訳であった。因みにリアスとライザーにゲームの話が伝わったのは実際にはその日の夜であった。
「でっでも、あのクールで冷静沈着を絵に描いたような人をあそこまで怒らすなんて...一体何やらかしたんですか?先生」
「えぇーロンさんは何もやらかしてないよ!ただあのオバサン...ああ、グレイフィアちゃんの事ね〜あの人が子供と寝てる時に隙を見て服装をバニーガールの服装に変えて、背中にラクガキで『私の恥ずかしい姿を旦那様に見てほしいピョン♡』って書いてあげただけだよ!何も悪くないじゃん!」
「...アンタ、それを本気で言ってます?」
「えっ本気だけど...」
「アホですか!そりゃあグレイフィア様でしたっけ?あのメイドさんも怒るわ!?しかもあの人そのまま魔王様に会っちゃったんでしょう!最低だよ、アンタは!」
「何ィィィッッ!?一誠君!君ってやつは何で教師不幸者なんだ!?」
そしてグレイフィアとロンの間のアレコレを話しつつ、グレモリー眷属一同は山の中でテントを立てられそうな場所を発見し、そこでようやく荷物を下ろし腰を下ろした。
「それにしてもこんな山が日本にあったなんて...全然知らなかったわ。空気も美味しいし、それに道のりが予想以上に険しいお陰で修行にも最適ね」
「そうですわね...わたくしもこの様な場所を見るのは初めてですわ。それに何やら様々な色の光...あれは蛍か何かでしょうか?...ロンさん、ここは何という山ですの?」
そしてリアスや朱乃が周りを見渡すとそこには黒や青や緑の様々な光がそこら中を飛んでおり、彼女達や一誠達もその光景に目を奪われており。朱乃はまた今度、一人でゆっくりとこの場所に来ようと思いロンにこの山の名前を聞くことにし、彼にそれを問うた結果。彼はこう返した。
「あれ、言ってなかったっけ?ここはね〜
「しゅっシュヴァルツガーデン?」
「えっここ本当に日本よね...」
「...因みにロっ...先生。本当は此処はどこですか?」
「えっ別に『知り合い』の土地だよ。その代わり日本でも冥界でも無く...
シュヴァルツガーデン。あまりにも日本語では無く外国の...それもロシア語や英語での単語。そして彼等はようやく気づいた。そう言えばこの人...知り合いの土地とは言ってたけど...日本の土地とは一言も言って無い...と。
そして一誠もそうだが、他のメンバーはそれより前からこの人の事を、ロンの事を知っている。無論、その問題行動の数々も...
故に次の言動、行動。どちらにしても来るのは...
とてつもないものだと分かっていた。
そう、
ドオォォォッッッ!!!!!
「えっなに!?」
「なんなんだよ...」
「まさか...」
「おっ来たみたいだねぇ〜」
ニャアァァァッッ!!!
故に彼等は予測出来ない。
彼等はあくまでもロンとの付き合いが故に次に来る事がどれほど規格外でも驚かなくなり、大抵の事は予想程度は出来てしまうようにすらなった。
だが...
ロンでは無く、巨大な化け猫が空からふってくるなどと...
誰がそんな未来を予測できるだろうか...
「「「「「はあぁぁぁッッ!?」」」」」
「凄く大きい猫さんですね。私びっくりしました」
そして皆がそれぞれ驚愕を(一人だけ目を輝かしていた)示す中...
ロン本人はその化け猫に対して一人喋りかけていた。
「やあ、久しぶりだね〜おそらくあの人は留守でしょ...大丈夫!時の界王神や大神官とかには見つからないからさ!という訳であの人にも言わないでよね!どうせ、数日か一週間したら帰るからさ♪」
ニャア?
「ええ、餌が無いかって...しょうがない、ならこのシュークリームを差し上げよう!これで取引成立!あの人には内緒だからね♪」
ナアァァァッッッウ!!!!
そしてロンと巨大な化け猫が何らかの交渉をしてから...
数分後...
「さて、それじゃあ修行を始めるよ!!」
「「「「「出来るかッッ!!!」」」」」
「あの〜私はどうすれば...?」
「あれ、みんな何で怒ってんの?」
それから数十分。
修行は始まらなかったという...