『愛』貴方の為のエーデルワイス 作:ある日そこに居たであろうクマさん
可能性の観測所禁止事項 第二条〜
懺凪女史に喧嘩を売ってはいけない。
売ってしまったが最後...
そして...
「次は
前回のあらすじ。
突如現れたゲヘナ風紀委員会の委員長こと空崎ヒナ。そしてそれを迎え撃つ可能性の観測所メンバーの
「「ッ!?」」
突如彼女達の間に割って入るかの如く飛んできた二色の帯。まるで蛇の様に反則的な動きで宙を舞うそれを放ってきた者こそ...
「観観、下がりなさい」
「っでも「下がりなさい」...分かった」
「面倒くさい...とは言えないわね」
ゲヘナ最強は感じていた。明らかに異質な気配。先程戦っていた観観や離れた地点に居た他メンバーとは一線を画す力。人体の些細な動きから呼吸に至るまで。
「ここからはこの私...」
「可能性の観測所の懺凪がお相手するわ」
可能性の観測所 特殊技能部門 研究所長 異能調査チーム隊長。
可能性の門番 懺凪!!
可能性の観測所内の最強の女にして...
「とりあえず、手足の二、三本を折るだけにしといて上げる。まあ、あまり抵抗するなら別だけどね」
「ッ!なら、抵抗させてもらう!」
可能性の観測所とゲヘナ風紀委員会。
二つの組織の最強達は今ここに...
「フッ!」
「ッ!」
ぶつかり合うッッ!!!!!
シュルルルルルルルッッッ!!!!!
先に動いたのは懺凪。ヒナが居る地点から距離にして役数十メートル。キヴォトスでもトップクラスの身体能力と動体視力を持つヒナでさえも完全に捉えられない速さで彼女の眼前に膝を突き出した状態で制止しており、それに気づいたヒナは咄嗟にその攻撃を避け、退避するが...
「っこれは...!?」
「あら、上手く避けたみたいね?」
「!?」
ヒナ目掛けて放たれた懺凪の蹴りは先程まで彼女の後ろにあった可能性の観測所メンバーの建てた建造物に直撃し、そのまま更に五つほどの建物を貫通しながら崩壊させ...
「でもまだ終わってないわよ」
「ごおォッ!?」
「喉元...捉えたわ」
そのまま自身の帯を移動したヒナの背後の建物に巻きつけていた事で瞬時の帰還とその腕で彼女の喉を締め上げる事を成功させた。
「私の帯はよく伸び、よく縮み、よく巻き付く。その上で強く、強靭で、破れることはない。私の帯はそれほどの上質品。貴女達の身体の様に柔じゃない」
「ぐっ放...せッ!」
ドドドドドドドッッッ!!!!!
だが、このままでは不味いと踏んだのかヒナは即座に自身の首を掴む彼女の腕を足で蹴り上げ、もう片方の足で彼女の胴体を土台にし空中へと避難。そこから翼を広げて浮遊しながら懺凪目掛けてデストロイヤーから弾丸を連射するが...
「へぇ...まだそんな元気があるのね?てっきり今ので終わるのかと思ってたわ」
「ッ!」
(完全にこちらの動きを読まれてるッ!今の移動も蹴りを繰り出す前に既に帯を私の移動先に巻き付けていた。それに接近戦も十分強い!)
「どうしたのかしら...早くいらっしゃい。痛めつけてあげるわ」
「っ舐めるな!」
発射した弾丸は全て懺凪が操作する無数の帯に握り潰される様にかき消され、帯は再びヒナに向かいその矛先を向けた。
そして彼女自身も迫り来る帯を避けながらも反撃の隙を作るために走りながら再び無数の弾丸を撃ち放っていた。
だが...
「やはり...圧倒的に緩い!!」
数十発に及ぶ紫の死弾。キヴォトスの住人より圧倒的に身体が脆い外の人間が喰らってただで済むとは思えないソレら全てを素手で弾き飛ばす。変則的な動きの弾にも余裕を持って対処し、最後の一発に至っては右脚からの蹴りで撃ち込んできた張本人へと蹴り返す。
そして...
「脆いわね」
「ガッ!?」
蹴り返された弾丸を横に避けたヒナ。だが、避けた直後に自身の背後から巨大な何かが時速80キロを超えるであろう速度で突っ込んできており、背中にその直撃を喰らい懺凪の方へと吹き飛ばされる。
(今のは...崩れた瓦礫!それを避けた筈の帯がッ!?)
「ほら...もう一発」
「ッ!させない!!」
飛んできたヒナに対しそのまま膝蹴りを喰らわそうとした懺凪とそれに対して空中で体勢を立て直し、そのまま膝に手を掛け反転した体勢のままで踵落としを繰り出そうとするヒナ。二人は再び戦闘を近接戦に持ち込むが...
「
「ぐっ!」
「
「ぐあァァァァァァァァッッッ!?」
「
どこまでも鮮やか、どこまでもしなやか。まるで踊りでも踊るかの様に眼前の
四の工程とそこから到達する一の結果。
完全なる工程の後に残るのは完全なる結果。
「ぐっ!...」
「あら、まだ息があったのね」
再び吹き飛ばされたヒナだったがその身を自身の予想以上にボロボロにされつつもなんとか体勢を整え地上に着地。ただ流石の彼女でもここまでの戦闘でダメージも蓄積されてきたのだろう。観観との戦闘時より明らかに疲弊している。
だが...
(なるほど...確かに強い。さっきの観観って子とはあまりにも違い過ぎる...でも!)
「隙が無いわけじゃあないッ!」
「っ!」
(また走り出した?それも今度は全く違う方向に...何を考えているの?)
(こちらも見つけさせてもらったわ!攻略の糸口!)
攻撃を避けつつ、自身の愛銃で応戦するヒナ。だが、ここで彼女は懺凪も予測していなかった行動を取った。それは自身が退避していた方向と真逆の方向に...この巨大な地下の中で一番大きい
「逃すかッ!!」
「っ!」
たが、たとえ何が目的であろうとも一度敵対した相手を逃してたまるかと懺凪が帯での追撃を加える。だがヒナはこの短期間で懺凪の帯の攻撃パターンを分析していたのである。迫り来るその帯を躱し、掴み、いなし。最低限の動きだけでその攻撃を避けていく。その動きは正しく自由自在に空を舞う燕が如く、滝の流れに逆らうが為に一筋の正解たる通り道をすり抜ける鯉が如く。あまりにも繊細、あまりにも豪快、あまりにも迅速、あまりにもしなやか...その様な動きであった。
(相手は明らかに私より硬い。という事は私に効かない攻撃はあちらにも効かないと考えて動く事が第一...つまり、取れる手段は...)
「とにかく距離を取るッ!」
「!」
「これでも喰らってなさいッ!!」
どれだけ避けられ、躱わされ、逃げられようとも執拗に追撃を続ける懺凪の帯。そしてそれに対しやはりと言うべきか、続けて逃げを取りつつ、今回に限り
その目的地とは...
そして、投げられたその特殊なグレネードは...
「ッ!なるほど...予め登録した者以外の生体反応を感知したら爆発する爆弾ね...小賢しい!」
投げられたそれに対し、懺凪はそれがかつて自身の仲間が作っていた物と同じ物だと判断し、そのまま帯を向かわせ、センサーの感知範囲内に自身が入る前に帯によって起こされる風圧でその進行方向を変更させ、そのまま迫ってきたグレネードを遥か先の空へと吹き飛ばした。
「っ一体、どこまで行く気!どこまで逃げても一緒よ!」
「ッ!」
(もう少し!!)
ここは彼女達可能性の観測所が作った地下空間。それはアビドスに存在する砂漠化現象を止め...否。止めている最中だが、それと並ぶかそれすら霞むほどの開発を...
「っ!着いた!!」
「しぶといわね...大人しく捕まりなさいッ!」
「残念、まだ私の
そして現在ヒナ達が走っているのはレジャー施設内の(必要あるのか分からない)ホテルや宿泊施設などが集まるエリア。和風、洋風。様々な宿泊施設が立ち並び、その先には
彼女はこの施設の存在を確認した際、最初に見たその中の巨大なホテルの外側へと辿り着き、そのままホテルの窓ガラスの上を走り、それを懺凪は自慢の帯を使い追撃していた。
複数の帯が空中と地上を行き交い、ヒナはホテルの一階部分から上層までの窓ガラスなどを足場としながら駆けていく。それはただ速いだけにあらず。まるで、外敵、風、熱。全てを無視し、思うがままに舞う蝶が如く。
そしてそんな彼女の動きすらも瞬時に分析、理解し、そのまま次に
今回はその
「っもらったッ!!」
「っ一体何...!!まさか、コイツッ!」
現在二人の一番近く、その場にあるホテル。それは高さにして凡そ100階建てになっているものであった。そして問題は...ヒナが何故ここに目をつけたのか。それはとても単純で...
「コイツッホテルを崩してッ!?」
「っそのまま潰れてなさい!!」
現在のキヴォトスに存在する生徒達の中でも一、二を争う自身の戦闘能力。それを理解しているヒナからしてもあまりに異常な可能性の観測所側の戦力。特に今相手にしている懺凪と呼ばれる女。コイツだけはあまりにも別格過ぎる。
(だからこそ...今は!!)
もし、下手に刺激すれば普段から仲の悪いトリニティや普段から関わりの無いミレニアム。他の三代校と手を組んだとしても勝てるかどうか...そして自身の側にはこの女を絶対に刺激するであろう人物が複数人いる。特にあの観観と呼ばれた子に良く似た女。アレは一、二年前にシャーレ特別顧問と呼ばれるあの男...二虚ロンに手を出してアレだけ痛い目を見たのに未だ反省が無い。そして自身が退散以外の術が無かったと分かれば即刻使いを送り込み、そのまま戦争にでもなるだろう事は目に見えていた。
「「ッ!!」」
故に...ここで倒せなくとも...
一度この脅威を外に伝えなければ...
ヒナの心境。懺凪の技。それらを知らぬと言わんばかりに彼女達の攻撃でその二つの体を叩き潰そうとしてくる巨大なホテル。その影は銃弾や帯などによる攻撃を建物内にある巨大なレストランの厨房の油などに引火させた事も相まって全体の半分を業火に包まれる形で彼女達の前へと迫ってきていた。
たとえ直撃を避けたとしても、ヒナであれ、懺凪であれ、多少のダメージは入るだろう。
「さて、次はここか...」
「「!」」
迫る巨塔を粉砕せし、『黒』の皇拳。それはあまりに重く、あまりにも強大。見る者全てに大小関係なく圧倒的な『力』を見せつけ、その魂を観測した懺凪とソレを理解したヒナに...
「そん...な、あっァァァァっ!!」
「ナニ、あれ...ありえない...アレは、
『
『魔』に続き、『愛』へと至る超越者。
「よお...
『黒』なる頂きは彼女達にも深淵を齎す。