『魔』いつか過去のフリージア 作:ある日そこに居たであろうクマさん
この世で最も重要なものとは何なのだろうか...
この問題に答える場合、世界中の全ての者達がバラバラの答えを出すだろう。
ある者は金。ある者は宝石。ある者は異性。ある者は食事。
様々な者がそう答えるであろう問題ではあるが...
『彼女』からしたらそんなものは最初から決まっている。
それこそが...
前回のあらすじ〜
遂に始まったバトルパート第一試合。フェアリーテイルAチームのルーシィとインパクトジェネレーションのハウリングの試合の最中。
ルーシィに召喚されたタウロス。彼の斧がハウリングに振りおろされる中...
「来な、
「なっ!?」
「これって!?」
二人を驚かせたのハウリングの持つ薙刀とそれによりタウロスの怪力と斧による攻撃が防がれた光景であった。
こうしてルーシィとハウリング。二人の戦いの火蓋は改めて切って落とされたのであった!
「ッ開け!」
「スコーピオン!!」
「ウィアァァァーー!!サンドバスター!!!!」
「一刀流
「嘘ッ!?スコーピオンのサンドバスターを吹き飛ばした...いや、あれって!」
「気をつけろルーシィ!あの女、サンドバスターの射程範囲内の空間だけを目に見えねえ程の超高速の斬撃で繰り抜きやがった!!」
続いてルーシィの呼び出した精霊のスコーピオンによる尾の先端から強烈な砂嵐を噴射する攻撃であるサンドバスターがハウリングに襲いかかるも彼女はこれを星雷天戒を使った技。一刀流 四角落としと呼ばれる技によって難なく追撃する。
「へぇ、蠍みたいな奴の癖に随分と賢いんだな。ここまで正確にアタシの技を見切った奴はお前で十六番目だ」
「おいおい、それって褒めてくれてんのか?明らかに数が多い気がするが...」
「安心しな。その数は数十億人の人間が居た場合のアタシの技を見切った人数。だから決して低い数字ではないよ」
「なるほどな」
(こいつ、ガチでやべえな。ルーシィも良くこんな化け物を相手にしようと思ったもんだ。だが、主人の頼みだ。踏ん張りますか!)
三、四。幾つかの問答を重ねる一人の人間と一体の精霊。一方は見知らぬ存在であり、自身の技の一つを看破した精霊という存在に興味を抱きつつ、その実力を高く評価し、もう一方は人間でありながら自身達よりも...ましてやドラゴンより上かもしれない存在を前により緊張感を増していく。
「二人とも!もう一度行くわよ!」
「ウィアーーーー!!!任せなルーシィ!!」
「MOooooチロン!!ルーシィさんの為ならどんな相手でも構いませんッ!...ただ、あの方はルーシィさん以上にナイスバディなのですが、少しお声がけしてきても?」
「真面目にやれ!!」
「お前ら、ふざけてんのか?」
そして...
「今度はこっちから行かせてもらおうか!」
『おおっと!今度はハウリングが動く!ルーシィと精霊の周りを超高速で円を描く様にして動き回る!!』
『なんとも凄い動きだね。おそらく武芸に長けているのだろう。彼女のあの動きは何かしらの武術や戦闘法の独自の歩法か何かじゃないかと思うがね』
「ッ!慌てちゃ...ダメだ!」
続いて動いたのはハウリング。薙刀を持ったまま、彼女は残像を数十体ほど残す様な動きでルーシィの周りを移動し、彼女を撹乱していく。
一方、彼女の独自の歩法による超高速の動きに翻弄されつつもルーシィは呼吸を落ち着けながら本体の位置を見極めていた。
「スコーピオン!私を抱えて地面にサンドバスターを!タウロスは一度下で待機してて!」
「「おう!」」
そして彼女が選択したのはスコーピオンのサンドバスターを下に放ち自身とスコーピオンが上空に飛び立ち、半径数メートル内へ牽制を行う。これにより相手への目潰しを行うと同時に上空への一時的な撤退が行えるのだ。
更にタウロスには下に残ってもらい、その場でハウリングが姿を現した時に攻撃を行なう役割ともし空中に退避した自身達を追いかけて彼女が上空に飛ぼうとしたらそこを追撃する様に指示を出しておいた。
ただ、これらは全てルーシィのアイコンタクトとそれだけで指示の全てを理解した精霊達。両者の相当の信頼あってこそ成り立つものでもある。
後はハウリングがどう動くのかだけ...
だったのだが...
「さあ、どうす「こうするだけだが?」は...?」
「ッ!ルーシィ背後だッ!!」
「しまっ!キャアァァァァッッッ!!?」
『ここでルーシィの背後...いや、
『驚いたわ。まだ周囲に残像も残ってるからそのどれかに紛れてるのかと思ってた...完全に騙されたわね』
「MOoooo!?そんな馬鹿な!まだ周囲に残像も残り、更に周りをサンドバスターとは別の暴風のような風が囲んで!」
「悪いが、それは随分前に走った余韻だろ?アタシはアンタらが上空に退避した瞬間には筋肉の動きでアンタの主人の行動を先読みして上空に飛んでたんだよ」
「なっなんと!ならば...MOooooッッ一度!突進あるのみ!!」
「やっぱそういう所は牛だなッ!!」
ルーシィが辺りを見渡した直後にその背後からハウリングの声が響き、気づいた時にはその体を闘技場の大地へと叩きつけられていた。そして土煙が上がる中、タウロスの質問にハウリングが自身が既にルーシィの動きを先読みし、更に彼女が空中へ逃げる前に自身は空に飛び出していた事を述べた。
無論、タウロスもただ問答するだけで無く...再び自身の斧を彼女に向け、横一線に振り払う!
それに対して彼女は薙刀の石突を地面に押し付け、そのまま体を捻らせながらタウロスの頭上へと退避し、上空で逆さの体勢から自身の体を更に捻り回転させ穂を彼の首元へと向かわせる。
だが...
「ッMOoooo!!」
「っハハハハッッッ!!凄いな。今のを止められんのか!?それも
『なっなんとルーシィが召喚した精霊タウロス!自身に向かう薙刀の攻撃をその首の筋肉のみで受け止め、刹那の瞬間に反射で自身の拳をハウリングの無防備なボディに打ち込んだァァァ!!!』
『まさしく捨て身の判断と行動としか言えない...主人である精霊魔導士のの為に本能的に最善の行動を取ったと言ったところだろうね。実に見事』
ハウリングの背後からの薙刀による一閃。それに対してタウロスが行ったのはとても
これがタウロスの考えた最適解。正しく彼の怪力とそれに見合う戦闘におけるシンプルな考え方があってこそ...そしてルーシィに対する信頼と絆があってこその判断でもあった。
そしてその判断はタウロスに退場寸前までのダメージを負わせると共にハウリングの腹に一発の強烈な拳を入れるという結果を生み出し。
同時に...
「開け!」
「っそうか!」
「アリエス!」
「ごっごめんなさいぃぃッッッ!!!」
「主人が残ってたな!」
拳が直撃し、
「チッ!母ちゃんと同じで可愛いのは嫌いじゃないが...流石に鬱陶しい!」
「開け!双児宮の扉!!」
しかし、その直後。ハウリングが自身の手の中に現在消え掛かっているほどに弱ったタウロスの首に刺さっている自身の薙刀を召喚し、そのまま自身の技の一つ月華聖円斬と呼ばれる技で周囲の綿とその近くのルーシィが居るであろう地点の土煙を薙ぎ払う。
「良し、じゃあ次は...」
彼女がそう言おうとした直後!
「MOoooooo!!最初で最後のOooo!!」
「なっ!?」
天を測り天を開きあまねく全ての星々。その輝きをもって我に姿を示せ!!
そのダメージ故に後少しで精霊界に強制的に帰還せざるを得ないタウロス。彼の
「MOoooo烈なこの一撃ィィィィ!!」
「くっクソガアァァァァッッッッ!!?」
テトラビブロスよ、我は星の支配者。
アスペクトは完全なり...!!!!!
一方それを見ていた
「何という一撃だ。今までのルーシィが召喚したどの精霊達の攻撃よりも強力に見えるぞ!」
「スッゲェ!やるじゃねえか、タウロスの奴!普段はエロい牛なのに!」
「お前、ソレ褒めてないだろ...でもまあ、確かにあそこまでの一撃は中々見れねえものがあるな」
「ですね...でも、問題なのは...」
情熱の在り処側〜
「ン〜確かに凄いけれど...」
「流石にあの程度じゃ、
「ですよねー♪いやぁ、あそこまで慌てるハウさんを見ますとどうも...ふふっ」
「ルミリさん...後でどうなっても知りませんよ」
そして場面は戻り...
「MOoooooooッッッ!!!!!」
荒ぶる門を解放せよ...
タウロスの行うこの戦い最後の攻撃。巨大な斧と限界以上に引き出されるパワーと魔力。それらによって普段の推定二十倍ほどはあろうかという程の一撃は先程まで彼の拳が直撃してもその場から少し後退するだけであった彼女に
だが...
「いい加減...邪魔だッ!!」
「ぐっすいません、ルーシィさん。後は...お任せ、し」
「やっと消えやがったか!流石に強かったな...」
(後、あの牛、あんな戦闘の最中にメチャクチャ器用に意識の数%だけをアタシの胸に向けてきた気がしたのは気のせいか?)
流石に最後の力を込めた、自滅覚悟の攻撃。そのパワーもそこまで長くは持たず。最後はより力を込めたハウリングに押し負け、そのままその姿を精霊界へと返して行った。
「クソッ随分時間を取られた!あとは...!!!!」
残りは精霊魔法の使い手。つまりは精霊達を呼び出しているルーシィだけ...もしくは新しく召喚され精霊だけ...
と、彼女が思っていたその時だった!
「全天88星.....光る!!」
「これはッ!?マズイなッ!」
気づかぬうちに周囲に広がった光景。光る星々の輝きと共に作り出される小さき宇宙。それまで変化した事に何故気づかなかったのかという程の一瞬、刹那の変化。だが、おそらくこの攻撃であろう魔法が広がった以上。
「騒いだところでしょうがないよな...」
そして今ここに星々の裁き。その代行たる光が世界を照らす!!
「ウラノ・メトリアァァァァ!!!!!」
解放された星々はその光を闘技場全体に広げていき、その矛先を敵対者たるハウリングに向け、その身を穿とうと差し迫る!
この光景を見たこの会場の
そう...
例外一 情熱の在り処。
「さーて、ハウリングを迎えに行きましょう。決着はついたわ」
「そうだね...二人も早く入場口までいくよ」
「「はーい!」
例外二 皇帝たる彼女。
「ふむ...存外良い収穫があったやもしれぬな...」
「王よ...まだ試合は「いや、決着だ」へ?」
「
そして例外三 時、空間、次元、世界。全てから外れた...
「...久しぶりに見たな」
『彼』である。
そして例外達以外の全てを取り残し、『彼女』はただただ星を見る。
「今より未来...先の自分。今見れるであろう
「それは在りし
「だが、この先はあれど...この今はあれど...」
「アタシの道に
「あいつらと歩む今の為に.....!!!!」
「これからの
「切り裂けッッッ!!!!」
自身を突き動かす熱では無い。自身という『熱』をより熱くする為に彼女は
否、
迫り来る星々を前に雷帝は今、星を
「
今ここに『稲妻』は...
「あ、あっあぁ、そん、な...私、みんな...ごめん」
「ふぅ〜やれやれ...お前ら.....」
容赦無く
大魔闘演武 バトルパート一回戦
勝者:ハウリング!!
ルーシィの必死の作戦と精霊達の限界を超えるほどの力強さ。そして最後のウラノ・メトリアに驚きはしたものの見事勝利を収めた!!
『けっ決着ゥゥゥゥ!!勝ったのは情熱の在り処、ハウリングだァァァァ!!最後はルーシィのウラノ・メトリアを破って見事勝利!!』
『いや〜これは良い試合だったんじゃないかい?ここまでの熱戦は中々見れないねぇ』
『確かに、近年ここまでの試合はお目にかかれませんでしたからね。観客の皆様も相当盛り上がってるみたいですし...』
「NICE!良い試合だったわよ、ハウリング!」
「試合お疲れ様。流石の腕だね...最近見てなかったから衰えてなくて安心したよ」
「ハウさんお疲れ様です。タオルとドリンク使ってください」
「流石です!よっ情熱の在り処の不良娘!!」
「マミュ、グレイ、ラック。ありがとう」
「でもルミリ、てめえはダメだ」
「何故にWHY!?」
そして...
「ルーシィ」
「っごめん、ね。ッみんな...!!勝てなかった!」
「泣くなよ。涙は優勝した時の為に取っておこうぜ!」
「それに...」
「えっ...!!」
倒れたルーシィにナツが歩み寄り、涙を見せる彼女の身体を上へと向かせ、周囲の『音』を良く聞かせる。
そこには...
『良くやったぞォォッッッ!!案外強いんだな!妖精の尻尾って!!』
『嬢ちゃん!!また試合に出てくれよ!応援するぜェェェーーー!!』
『精霊魔法もウラノ・メトリアって魔法も良かったわ!妖精の尻尾の魔導士ってあんなに強いのね!?』
『お姉ちゃーんッ!!精霊さん達もかっこよかったよーーー!!』
有り余るほどの声援と歓声。勝利したハウリングでは無く、敗北した筈の自身を励ますかの如く、会場中から届く
最初の内にあった妖精の尻尾への批判や不安。それに失笑。そんなものは見る影も無し!二人の先程の攻防。観客達はあの闘いを目に焼き付け、実感する他無かった。
七年のブランク?現在の最弱?問題集団だらけの存在?
その全てが関係無し!全てが無効!
その様なものが『強さ』という概念に...!!
その様なものが『熱』を持った存在に...!!
どう影響しようものか!?
彼等
彼女達
そこにかける想いは全てのチームと同じかそれ以上で、その強さは
観客達は知ったのだ!!
彼女達の戦いという絶大な『熱』をもって!この果てしなき可能性の先にある...絶対の無い『熱』の力を!!
「っ!ありがとう、ナツ。それにみんな...次は勝つ!!」
「おう!任せたぞ!ルーシィ!!」
これにて大魔闘演武バトルパート一回戦は終了。
そして...
試合後。全ての試合が終わり、大魔闘演武一日目が終了した頃〜
情熱の在り処の宿では...
『フフッ久しぶりだな...お前ら』
『誰?』
目の前に現れた謎の老婆に困惑するマミュ、ハウリング、ラック。
だが、残り二人。グレイとルミリだけは違った。
「ん?この匂い...ルミリッ!」
「はい...
「なんですって!?それを使ってるのは...
「はあ?...なあ、アンタ...まさか!」
現れた老人は...
「シスター...なの?」
「
『魔』なる者。『竜』なる者。『人』として生きる者。
全ての思惑を無視して『頂点』は密かに降臨する!!
PM:8:35分 『頂点』 ロン・クロイツ降臨!!
事態は更なる混沌へと動き出す!!