アルベド姿のモモンガ様が至高の四十二人目をナザリックに閉じ込めて終わる話 作:シャリ
後編はモモンガがメインの三人称視点
転生先が『オーバーロード』だった件。
いやはや、最初は世界が終わりに向かってるサイバーパンクだかSFだかの世界に転生しちゃったな~と嘆いた訳よ。科学技術とか凄いんだけど大気も自然が死んでいて外出すら推奨されない世界だったからさ。
前世の記憶はあっても転生チートは無かったので、現実を受け入れて前世知識を土台に勉強して、どうにかまともな技術職にはありつけた。
この世界の中ではマシな生活基準にはなれたが……食事は楽しむものではなくエネルギー摂取でしかないし、旅行とかも行けない。
俺にとって、この世界にある娯楽の中では安全な家で出来るゲームこそが一番。その中でも臨場感ある仮想世界で現実にいるかのごとく遊べるDMMO-RPGが至高!
だから新作ゲームとかの情報は常に追っていて『ユグドラシル』の名前を見つけた時はビックリした。前世ではオーバーロードのアニメを楽しんでいたし二次創作も見てたからな。
これはもうやるしかねぇよ!
モモンガさんと一緒にクソみたいなリアル世界からサヨナラして、原作知識で展開をより良くするぜー!
◆ ◆ ◆
ユグドラシルは人間形態と狼形態がある狼男にして始めた。わおーん!
やっぱり人間に見える形態があった方が転移後に便利だからな。うむうむ。
キャラ名は転生後の世界の実名と同じ『リオ』にした。良い感じの思いつかないし。
俺はサービス初日からアイテム集めやレベル上げに勤しんだ。他のゲームは辞めて、ユグドラシルだけに金も集中させた。
やがて目的のギルドが設立してからすぐに俺は入り込むことに成功したわけだが……。
モモンガさんが骨じゃねぇ!
それアルベドの姿だろ!
ただ見た目だけで、中身は俺が知ってる原作と同じ男性の鈴木悟だった。
ふぅむ……世界線の違いってやつか。
まぁいいかぁ! よろしくなぁ!
モモンガさんと行くオーバーロード本編の世界が目的だが……ユグドラシルは一人のプレイヤーとして楽しみまくったよ。
みんな良いやつだし、ゲームは良い出来だしな。ゲームで絡む相手としては当然モモンガさんが一番多い。
てか、モモンガさんの性格でアルベドの姿はズルじゃないか?
可愛いねぇ。下手したら惚れそうだねぇ。これがバーチャル美少女化ってやつに違いない。
◆ ◆ ◆
残念ながら原作通りにギルドのメンバーは徐々に消えていき、実質的には俺とモモンガさんだけのギルドになってしまった。モモンガさんとギルドの維持費を稼ぎつつも、転移後に備えてアイテムはできる限り集め続けている。
あとはNPCを引き連れた上でモモンガさんと二人で探索や稼ぎなどを行った。原作通りならNPCはユグドラシル時の記憶もあるんで……ちょっとした布石だ。
そして迎えたサービス終了日。
ログインしているギルドメンバーは俺とモモンガさんの二人だけ。
ヘロヘロさんはちょっとだけ来てログアウト済み。原作のモモンガさんが口に出せなかったサービス終了までログインし続けるお誘いは俺がやった。原作だと引き留めなかったことを後悔してる感じあったからな。
まぁ普通に断られてログアウトされたが……モモンガさんの悔いは減らせたってことで良し!
そろそろサービス終了の時間だ。
原作と違う点として、玉座の間にはプレアデスや守護者達を漏れなく全員集合させている。最後はみんなで終わりを迎えようって事前に俺から提案したからだ。
うむうむ、壮観だねぇ!
二人で時間を確認し頷き合う。
モモンガさんがスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを掲げる。
23:58:39
いよいよ、本編世界に転移だ。楽しみだなぁ。
23:58:50
ちゃんと転移するよな? 不安になってきた。
23:59:02
どうせ転移するからと俺の身体を全て担保にした借金で、最後の課金アイテム補充をしたんだよな。返済日は明日だ。
23:59:20
金ではなくリアル世界に残る担保の塊(身体)で返す前提なので、転移しなかったら人生終了である。
23:59:31
流石に全賭けしすぎだったかもしれん。転移しない可能性が頭からすっぽ抜けてた。
23:59:43
不安で具合が悪くなってきた。
頼むから飛んでくれよー!
アインズ・ウール・ゴウンよ!
永久に栄光あれ!
00:00:06
不安と緊張感から解き放たれ、俺は力が抜けて倒れこんだ。
俺の勝ちだあああああ!
心配させてスマンな、モモンガさん。もう平気だよ。
ルプちゃんも〈
ほぉらよーし、よし、よし。良い子で悪い子め!
撫でがいがあるな、こやつ。
ルプちゃんを離したところで、モモンガさんから二人でちょっと話したいと言われた。みんなにはその場で待機して貰い、転移。
話の内容はまぁアレだった。臣下から見限られないよう、みんなの期待の目に答えるための尊大な態度を取ろうって提案。
俺は無言で頷き、さも提案に合わせましたよと狼男モードに変身。覚悟を決めた顔つきのモモンガさんと共に戻る。キリっとした横顔も可愛いな。
モモンガさんがみんなに向けてボスっぽく声を出すのに被せて、俺から全員に問いかけた。モモンガさんが金色のジト目で抗議してくるが無視。
問いはナザリックにいた頃を覚えているかという内容だ。全員、覚えているとハッキリ答えてくれた。
フフフ……計画通りだ。
モモンガさん! これで分かったでしょう!
今からみんなに威厳のある姿を取り作っても、今更もう遅い!
モモンガさんに先導を任せたダンジョンで行き止まりに当たりまくって意気消沈する姿や、隠された宝箱を見つけて可愛くバンザイする姿や、綺麗な自然フィールドでしゃいだ姿とか、その他もろもろ全員が覚えているんですよ!
俺の勝ちだ。NPCを引き連れてお出掛けを重ねていたのは楽しむためだけなく、このためでもあった。
理由は原作のモモンガさん……もといアインズ様にはさせないため。
そりゃね、原作でのアインズ様は好きではある。一人のファンとしてな。
ただなー、あくまでも俺の個人的な解釈というか感覚なんだけど、アインズ様ってアインズ様として振る舞う内にモモンガの部分が擦り減っているよね。それこそ転移した直後と大虐殺の時期では精神性も変わっている。どこか痛々しさもある状態にはなってほしくない。
種族的には俺もモモンガさんもナザリックのみんなも寿命が無い。例えば数百年後なんかにはアインズ様は摩耗しすぎてアインズ・ウール・ゴウンを成り立たせるただの心無き歯車になっていてもおかしくない。
そんなの断固拒否である。
目の前にいるモモンガさんは、今では俺が好きなキャラじゃない。俺が一番好きな人だ。
モモンガさんは、モモンガさんとして幸せになって欲しい。あっ、今の無し。ちょい訂正。
俺がモモンガさんを幸せにする。
──共に時間を重ねてきた親友として!
痛っ! いだだだだ!!
恥ずかしい思いをさせたからって、マズル鷲掴みはルール違反だろ!
というわけで、原作と違ってナザリックのみんなには俺たちが失敗することもあると説明した上で、手を貸して欲しいとお願いした。
みんなが俺たちを敬っているのは変わらないが、理想フィルターは薄い。因みにデミウルゴスには、お前がナザリックで一番賢いから今後の説明とか詳細によろしくなと言った。深読みされて、よく分からないまま進行されるのは回避したいからね。
◆ ◆ ◆
それからは原作イベントをこなしつつも、原作では始末されたニグンやクレマンティーヌなどを取り込んで戦力増強や情報収集などを進めていった。
今はリザードマンを取り込み終えた帰りだ。やったことをザックリ言うと……。
生簀アドバイザーとして近づく。
川の上流に自然にできた風のダムをつくり、魔法で雨を降らせ続ける。
このままだと里壊滅だよと、さも最近気づいた風に助言。
集落が協力し防波堤を作り、その完成間際でダム決壊!
程々に飲み込まれたタイミングで魔法で助け、その後に全員蘇生。
みんな信徒化! イエスだね。
生簀の種類や数を今後増やしていけば、ナザリック印のお寿司屋さんを開ける日もきっと遠くない。
いつか、冒険者チーム青の薔薇にいる忍者のティアとティナに寿司を提供してみるか。ニンジャスレイヤーみたく、寿司で回復しないかな。
次はフロストドラゴンとドワーフを取り入れて雪山にスキー場を作る計画だ。娯楽関係が薄い世界だからヒットするのは間違いなし。
そんでもって王国の八本指も引き込む。薬物になる植物を育てていた関係者は植物育成の経験と知識を使わせて茶葉とかを任せたい。娼館をやっていた関係者はサービス業の経験者ということで、スキー場の近くに作る予定の温泉街の従業員にいいよなぁ。
食の飢えと退屈という心の飢えを満たす組織になっていくことで、この世界におけるナザリックの重要度を上げて敵対を回避する!
他にも水族館とかモンスター版の動物園とか、この世界でも作れそうな娯楽施設はまだまだ沢山ある。いやはや、今後も忙しくなるぜー。
にしても、ちょっと久々のナザリックだ。まぁモモンガさんには里にいる間にも〈
そういえば今日の朝に慌てたモモンガさんから〈
呼ばれていた玉座の間に行くと、守護者とか皆が集合していた。なんだろう、朝の件で大事な相談でもあるのか?
なっ!?
守護者が一斉にアイテムやら魔法やらを俺にぶつけて身動き取れなくなったんだが……。
声も出せない。何事だよ。
なんか悪いことしたかな俺。
ん?
モモンガさんが出したそれって〈
使うの!?
なにされるの?
マジでなにされるの???
「リオはナザリックの外に出られなくなる」
な、な、な、なんだとぉー!?
【後書き】
ハーメルン投稿6作目です。
次回の後編(モモンガがメインの三人称視点)で種明かしです。