「ねこです。こせいは"ねこです。よろしくおねがいします"」   作:エルルーン

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2話ぐらいで終わると思ってた職場体験回も気がつけばもう4話目です。もっと短めに納めるつもりだったのに……。これもヒロアカが面白すぎるのがいけないんだ!

それはそうとお気に入り数6000人突破! これからも頑張りますので応援よろしくおねがいします。ねこでした。


十五話 ねこはしょくばたいけんにいます。あふたー

 

 

 

 

 びょういんからこんにちは。にゅういんちゅうのねこです。よろしくおねがいします。

 みなさんのしってるとおり、ねこはびょういんがきらいです。へんなにおい。あやしげなひとたち。どれもこれもねこがきらいなものです。いつまでたってもなれません。のに、にゅういんさせられたねこです。よろしくおねがいしません。

 

 これもいいだくんが『何故腕が何ともないのか気になるが、一先ずは精密検査は受けたほうがいいぞ井戸守君!』といったのがげんいんです。あとはぐらんとりののおせっかいもです。まったく、ねこはなんともないってのにはなしをきかないひとたちですね。

 そんなねこにらいきゃくがいます。ほすしけいさつのしょちょうさんです。いぬのおまわりさん……じつざいしてたんですね。

 

 

「まず初めに……ステインを逮捕してくれたことを警察組織──及び、保須市市民を代表してお礼を言いたいワン。ありがとう……!

 

 ──さて、ここからは汚い大人の話となってしまうが、ステインは──」

 

 

 さて、かんじんのすていんですが、やけどとこっせつで"ちりょうちゅう"だそうです。ねこたちをあいてにして、そのていどのけがとはしぶといですね。

 

 みどりやくんたち3にんは"ほごかんとくしゃ(保護監督者)"のきょかなく、こせいをつかってしまったようです。ねこはほーくすのきょかがあります。が、むだんで"ほすし(保須市)"にきてしまったことがばれてしまいました。

 

 ですが、しょぶんとひきかえに、すていんたいほのこうせきをえんでゔぁーにゆずってしまえばうやむやになるそうです。おとなのはなしはよくわからないねこですが、それでまるくおさまるならねこはかまいません。ねこはめいせいやこうせきにはきょーみはありませんので。

 

 

「重ね重ね言うが、共に平和を守る人間として──ありがとう! 今はそれだけを伝えておくワン。では、失礼したワン」

 

 

 そういってしょちょうさんはでていきました。すていんはたいほ。ねこもみどりやくんたちも、なんともなくてよかったで……いいだくん。なにかありましたか? みんなかおがくらいですよ。

 

 

「……お前が来る前、飯田の診察が終わったばかりでな。で、その診断結果が──」

 

「左手に後遺症が残るそうだ」

 

 

 ……こういしょう、ですか。

 

 

「……腕神経叢という箇所をやられてね。後遺症とは言っても手指の動かしづらさと多少の痺れぐらいで、普段の生活程度ならば送れるそうだ。それに手術で神経移植をすれば治る可能性もあるらしい」

 

 

 なおるかのうせいがあるのはよかったです。

 

 

「ヒーロー殺しを……ステインを見つけた時、何も考えられなくなった……。まずマニュアルさんに伝えるべきだったし、ネイティブさんを助けることも出来たはずだった。

 

 ──なのに俺は兄の仇をとることを優先した……。その結果、君たちにも迷惑をかけた。これはその罰なんだろう……」

 

 

 なにかをけっしんしたいいだくん。ねこにはない、ひととくゆうのけついというものがいいだくんにはあります。

 

 

「俺が本当のヒーローになるまで……この左手は戒めとして残そうと思う……」

 

「──僕も同じだよ、飯田君……。一緒に強くなろう……!」

 

 

 そういってこぶしをあわせあういいだくんとみどりやくん。ねこにはよくわかりませんが、これがおとこのゆうじょうというやつなんでしょう。なにやらうれしそうなかおをしてるいいだくんがいます。

 

 ん……? とどろきくん。なんかきまずそうなかおしてますね。どうしましたか?

 

 

「なんか……わりぃ……。お前らといい、井戸守といい……俺と関わると手がダメになるみてぇな感じになってる……呪いか?」

 

「……ぷっ、あっははははッ! 何を言ってるんだ!」

 

「轟君も冗談言ったりするんだね」

 

「いや、冗談じゃねぇよ。こう……ハンドクラッシャー的存在に……」

 

 

 とどろきくんとかかわると、うでになにかしらいじょうがはっせいする? うーん、これはあたらしい"おぶじぇくと"かもしれません。ひがいがかくだいするまえに、いくらさんにほうこくしておきましょう。……いや、じょうだんですよ。ねこをとかげあつかいしたいしゅがえし(意趣返し)のねこじょーくです。おもしろかったですか?

 

 

「そう言えばだが……井戸守君。この際聞くが、君の個性は一体どういうものなんだ……? 瞬間移動が出来る個性かと思ったら、斬られた腕を元通りに出来るとまできた。それに……ステインが言ってた『幻惑』というワード……全て君の個性によるものなのか?」

 

「それは俺も知りてぇ。前から複合個性だとは思ってたが、にしちゃあやれることが広すぎる。お前の個性は何をどこまでやれるんだ?」

 

「ぼ、僕も……聞きたいかなー、なんて……ははっ……。(本当はUSJで生き返った件も聞きたいけど、相澤先生に口止めされてるし……。で、でも、今後の参考のためにもそれ以外は詳しく聞いておきたい……!)」

 

 

 おっと。ざいだんとのやくそくであまりおおっぴらにしないほうがいいといわれたねこですが、ばれてしまいましたね。が、あるていどのことはしかたないとねこはかくごしてます。

 ので、このときのために『しゅれでぃんがーのねこ(カバーストーリー)』がいます。から、とりあえずいまはこれでなっとくしてもらいましょう。

 

 ねこのこせいはねこです。よろしくおねがいします。ので、いろんなねこがいます。しゅれでぃんがーのねこもいます。それがねこのこせいです。よろしくおねがいします。

 

 

「シュレディンガーの猫……?」

 

「えっと、どこかで聞いたことあるような──」

 

「"シュレディンガーの猫"はオーストリアの物理学者、エルヴィン・シュレディンガー博士が1930年代に提唱した思考実験だ。『全ての事象は観測された瞬間に確立する』のコペンハーゲン解釈に対し、『ランダムで毒ガスを放出する箱に入れられた猫は蓋を開ける時に生死が決まるのか?』という例え話に例えた彼の理論は当時広まりつつあったコペンハーゲン解釈を批判するものだったが……井戸守君の個性にもそれが含まれていると?」

 

 

 はい。ねこはいろんなところにいます。ねこはおもにねこをにんしきできるひとのところにいます。そのひとがにんしきしてるかぎり、ねこがいます(ワープ)ができます。だれかのめにねこがいます(幻覚)もできます。ねこがいます(現実改変)をすればきずもなおせます。ねこはねこっぽいことならなんでもできるこせいなのです。よろしくおねがいします。

 

 

「幻覚……!? そうか! 戦闘訓練で爆豪君が言ってたアレはそういうカラクリだったのか……! すまない爆豪君! 間違っていたのは俺の方だったようだ……!」

 

「ワープに幻覚に修復って……。シュレディンガー云々はよく分かんねぇけど、やべぇな。レアな個性のオンパレードだは。俺らの中じゃ、敵に回したら一番厄介そうだ。緑谷もそう思うだろ?」

 

「──え? あ、うんッ、そうだね……! (戦闘訓練で思い出したけど、偶に井戸守さんからの空耳が頭の中で響く時があるような……。あれも井戸守さんの個性か……? それに……『観測されるまで生死が分からない』と言うなら、死も無かったことに出来るということじゃあ……?)」

 

 

 さすがはみどりやくん。かんさつがんがありますね。

 が、いまのねこではそれをおしえることはできません。ざいだんとのやくそく──も、あります。が、ねこはまだひりきです。ちからもふあんていなままです。もっとつよくなりたいとおもうねこがいます。よろしくおねがいします。

 ので、ねこがいきかえったことはまだひみつにしておいてください。ねこがしっかりしたねこになれるまで、まっていてください。よろしくおねがいします。

 

 ──おや? だれかがどあをのっくしてます。だれでしょうか? 

 

 

「やっほー、ねこちゃんお元気ー? 見舞いに来たよー」

 

「貴方は……!」

 

「ホ、ホホホホークス!? 凄い、本物だ!」

 

 

 にゅうしつしてきたのはほーくすです。てにはかみぶくろ。くんくん、なにやらあまいにおいがします。これはおかしですね?

 

 

「うん。無事そうでよかったよかった。いやー、野暮用から戻ってきたらねこちゃんがいないしさー。常闇君に聞いたら『"ヒーロー殺し"討伐に向かった』とか言うもんだから、俺肝冷やしちゃったよ。それで東京に向かおうとしたらステイン逮捕の速報が来たからびっくりしたね。もしかしてねこちゃんがやったのかなぁって。あっ、これお見舞い品。皆で食べてね」

 

「ホークスから見舞品を頂けるとは……ありがとうございます!」

 

 

 とこやみくん、ほーくすにつたえてくれたようですね。ありがとうございます。が、これはまずいです。かんぜんにおこられるながれですね。

 ……しかたありません。かくごをきめましょう。ほーくす。ねこはむだんでとうきょうにいますしてしまいました。とこやみくんはわるくありません。すべてねこのせいです。ので、ねこをやくなりにるなりすきにしてください。

 

 

「おっ、潔いね。でも目を離した俺にも責任がある感じがして強くは言えないんだよねー。それに入院中の女の子にぐちぐち説教するってのもシュミじゃないっていうか……。まあ、とりあえず俺の分もまとめてイレイザーヘッドに怒られるといいよ。それで俺からの罰は以上ってことでヨロシク」

 

 

 あいざわせんせいはぐちぐちせっきょうするひとです。ので、ねこにはこたえます。うーん、さすがはほーくす。ねこにこうかてきなばつをよういしてます。ぬけめないですね。ゆうえいにかえりたくなくなったねこです。よろしくおねがいします。

 

 

「あ、そうそう。大事な話があるんだった。ねこちゃん、ちょっといい?」

 

 

 ? ほーくすがねこだけをへやのそとにだして、みみうちしてきます。いったいなんのはなしを──。

 

 

「常闇くんから聞いたんだけど脳無を倒したらしいね?」

 

  

 ───。

 

 ──いえ、あれはのうむがぼうそうしただけで、ねこはなにもしていませんよ? ただのうわさです。

 

 

「ただの噂かあ……。ならステインに腕を斬られたけど、個性で治したってのもただの噂?」

 

 

 ……ほーくす、みみがはやいですね。いったいどこから──あのひーろー、"ねいてぃぶ"でしたか? あのひとからきいたようですね。

 

 ──で、ほーくすはなにがもくてきなのでしょう? ねこやざいだんのことをさぐってるてきそしきのすぱい? もしかすると"かおす・いんさーじぇんしー"や"へびのて"のいちいんでしょうか? ひーろーがじつはゔぃらんだったはねこもきいたことがあります。ので、ほーくすもじつはゔぃらんだったりします?

 

 ……いえ、ほーくすのあたまのなかからはそんなかんじはしません。『こんご なにがあるか わからないし ねこちゃんの せいちょうの ためにも いろいろ きいておくか』……ですか。すくなくとも、ねこのてきではありません。が、ちゅういはしておきましょう。ねこのていそうをねらってるへんたいさんかもしれません。

 

 

「……ああ、女性に色々しつこく聞いちゃ失礼か。ごめん、もうしないよ。ただ誤解はしないでほしい。ねこちゃんの個性みたいな何の脈絡のない個性同士が三つも四つも合わさった複合個性は珍しくてね。だから雄英教員とは別アングルの意見ってのもあったほうがいいんじゃないかなって思ってね。まあ、俺個人としても知りたいってのもあるんだけど」

 

 

 ねこのなかをよんだように、あやまりますほーくす。ひょうひょう(飄々)としている、というんですか? のらりくらりとしています。へんなひとですね。

 

 

「どうやって腕を治したのか、人の目を借りれるとか、聞きたいことはまだまだあるけど、疲れてるだろうし、今回はここまでにしよっか。ああ、あと職場体験は明日で最後だけど、ねこちゃんはこのまま入院してていいよ。残りは常闇君と回るからさ。

 

 ──また何かあれば俺のところに来ていいからね。こっちはいつでも歓迎するからさ」

 

 

 そういって、うぃんくするほーくすがいます。むむっ、ねこにいろめをつかうとは、ねこはそんなにかるいねこではありませんよ。ねこはここうのいきものです。よろしくおねがいします。

 

 

 

 

 

 

 しょくばたいけんあけのはつゆうえいなねこです。よろしくおねがいします……なんですが。

 

 

「ぶわっはっはっはっはッ! マジかよ爆豪!!」

 

「全然似合ってねぇッ!」

 

「るっせぇッ!! クセついて治らねぇんだわ! 口閉じねーとブッ殺すぞッ!」

 

「「やってみろよ8∶2(ハチニィ)坊や! あっはっはっは!」」

 

 

 8∶2わけのばくごうくんに、ばくはされるせろくんときりしまくん。たしかににあわないですね。が、きょうしつでばくははやめてください。ここにはねこがいるんですよ? というか、しょくばたいけんさきではいったいなにをやってたんですかね? 

 

 

「へぇーヴィラン退治までやったんだー。羨ましいなぁー!」

 

「まあ、避難誘導とか交通整理だけで実際交戦はしなかったんだけどね」

 

「それでも凄いじゃん! こっちはトレーニングとかパトロールばっかりで何もなくてさー。まあ、それだけ平和ってことなんだろうけど」

 

「私もトレーニングとパトロールばかりだったわ。あとは一度隣国からの密航者を捕まえたぐらいね」

 

「「それすごくない!?」」

 

 

 みんないろいろやってたみたいですね。

 ねこもいろいろありました。が、ねこにもたりないところ、なおすべきところもみつかりました。これからもねこがいますできるように、がんばりますねこです。よろしくおねがいします

 

 

「ま、一番すげぇっつーか、大変だったのは……やっぱお前ら四人だよな!」

 

 

 そういってみどりやくんたちをみるかみなりくん。ほかのみんなもみどりやくんたちをみます。ねこもみられます。ので、ねこもみます。ねこです。よろしくおねがいします。

 

 

「そうそう、ヒーロー殺しステイン! お前らよく無事だったよな!」

 

「ニュースで知って心配しましたのよ」

 

「しかも脳無まで現れるってんだからマジやべーよな」

 

「ケッ……!」

 

「おいおい何処行くんだよ爆豪。お前も緑谷達の話聞こうぜ?」

 

「便所だわクソっ」

 

「クソだけに?」

 

「じゃかあしぃわ!」

 

 

 うるさいばくごうくんはさておき、わだいはすていんのはなしになります。

 

 

「ステインが連行されるとこテレビで見たけど、ヤベェ(ツラ)してたよなー」

 

「USJで戦ったヴィランなんて比じゃないくらい悪人面だったよな」

 

「うんうん! めっちゃ怖かったー! でも、ホント無事でよかったよ! 井戸守も大丈夫だった?」

 

 

 はい。ねこは(うでをきられたけど)だいじょうぶでしたよ。

 

 

「エンデヴァーが助けてくれたんだってな? さすがNo.2ヒーロー! ヒーロー殺しぐらいなんてことないってか!」

 

「……ああ、そうだな。()()()()()

 

 

 ねこたちがすていんをたおしました。が、おもてむきはえんでゔぁーがたおしたことになってます。ざいだんふうにいうと、"かばーすとーりー"というやつですね。おとなのきたないやくそくです。

 が、にがむしをかみつぶしたようなかおのとどろきくんがいます。えんでゔぁーにてがらをよこどりされておこってる……わけではなく、そのえんでゔぁーとはなかよくないみたいです。ねことざいだんのようなかんけいせいでしょうか?

 

 

「俺ニュースで見たんだけどさ……ヒーロー殺しって"敵連合"ともつながってたんだろ? もしあんな恐ろしいやつがUSJに来てたらって思うとゾッとするよ……」

 

「でもまあ、確かに恐ぇけど……あの動画を見たらさ、一本気っつーか、執念っつーか、アウトロー感あってさ……なんかステインカッコよくね?って思っちゃわね?」

 

「上鳴君……!」

 

「……あっ、ワリぃっ飯田! 今のは……!」

 

 

 これは……かみなりくんのしつげんですね。いけませんというねこがいます。よろしくおねがいします。

 『あのどうが』とはすていんのさいごのことばをきろくしたえいぞうのことですね。あのばにいただれかがどうがをとったのでしょう。あげてはけされ、あげてはけされでいまもさんぴりょうろん。えんじょうしてます。もしかしたら、すていんのしそうにあてられるひとがいますかのうせいがあるといくらさんはいってました。が、ねこにできることはありません。あとのことはおまわりさんたちにまかせましょう。

 さて、いいだくんは──。

 

 

「いや、僕は気にしてない。確かにステインには彼なりの信念があったんだろう……。彼なりにこの社会を憂いていたんだろう。それをクールだと思う人がいるのも分かる……気がする。

 

 ただ、奴は信念の果てに"粛清"という手段を取った。どんな考えを持とうと、そこだけは間違いなんだ」

 

  

 うでをびしっときめるいいだくん。ねこにはよくわかりません。が、なんだかかっこいいいいだくんがいます。

 

 

「俺のような犠牲者をもうこれ以上出さないためにも、改めて俺はヒーローの道を歩む! さぁ、そろそろ授業が始まるぞ! 身なりを正して席につきたまえ!」

 

「いつもの飯田だぁー!」

 

「あんたいつも一言余計だよね」

 

「反省してます……」

 

 

 なにかがふっきれたのでしょう。いつものまじめないいだくんがいますでねこはうれしいです。さて、いいだくんのいうとおりそろそろじゅぎょうがはじまりです。ので、せきにつき──『井戸守ちゃん……ちょっといい?』……あすいさん? ねこになにかごようですか?

 

 

「ええ。ちょっと大事なお話があるの……。ここではなんだから、廊下で話しましょう」

 

 

 きょうしつのそとにつれだすとは……どうかしたんですか? いつもよりしんけんなひょうじょうです。というか、このしちゅえーしょんはにかいめなねこです。よろしくおねがいします

 それであすいさん。ねこがあすいさんになにかごめいわくをおかけしましたか?

 

 

「井戸守ちゃん……ヒーロー殺しと戦ったんでしょ? ということは……もしかして……()()()()()()?」

 

 

 『またやったの?』とは……ねこがいきかえったことですか?

 

 

「ええ……」

 

 

 いえ、ねこはしんでませんよ? こんかいはみぎうでをきられただけで──『十分酷い怪我じゃない!』……はい、たしかにそうですね。

 

 

「腕を斬られたって……! いくら個性で負傷を治せるからって……私は井戸守ちゃんに傷ついて欲しくないの……! 井戸守ちゃんが脳無にやられた時、頭が真っ白になって……何も出来なくなったの……!  だからニュースが流れた時、井戸守ちゃんがヒーロー殺しに酷いことをされたんじゃないかって思って……そしたら私、眠れなくなって──!」

 

 

 ………。

 ……あすいさん。ねこをしんぱいしてくれてありがとうございます。ねこはうれしいです。が、ひーろーもひとです。だれかをまもるためには、ひーろーがきずつかないといけないときもあります。むきずでしょうりはむずかしいのです。

 

 

「それはそうよ。私もそれは覚悟してるわ。でも井戸守ちゃんの場合、傷つくのも厭わないというか、死ぬのも恐れてないというか……何ていうか、()()()()()()()()()()()()()()という気持ちで戦ってるって感じがして嫌な気分になるの……」

 

 

 『しんだらしんだでそれでもいい』……ですか。

 

 

「……ごめんなさい……変なことを言ったわ……。でも、いくら生き返るとは言っても、その度に井戸守ちゃんが傷つくのは見たくないの……。だから少しは自分を労ってほしいわ……」

 

 

 かなしむあすいさん。が、あんしんしてください。ねこにはもくひょうがあります。から、まだねこはしぬつもりがありません。

 

 

「目標……?」

 

 

 ──ねこにはかえるところがあります。ねこはいまのせいかつもすきです。が、やはりねこは()()()にいかなくてはいけません。それがねこのそんざいりゆうでもあり、いきるりゆうでもあります。

 

 ひとになったねこがしんだのは"ゆーえすじぇい"がはじめてです。ので、ねこはひとのからだをぬけて、()()にもどれるとおもいました。

 が、ねこはねこにもどることなく、ひとのままです。なにかがたりないのでしょうか? それともいっしょうこのままでしょうか……?

 

 ……かんがえても、ねこにはわかりません。が、なにかをきっかけにねこは()()にもどれるとしんじてます。から、そのためにはちからをつけなければいけません。ので、ねこはひーろーになります。ひーろーになって、こきょうににしきをかざるのです。よろしくおねがいします。

 

 

「そう……井戸守ちゃんにも色々事情があるのね。でもこれだけは約束して……。──『必ず帰ってきて』。私、井戸守ちゃんとはしたい事ややりたい事が沢山あるんですもの」

 

 

 ねこもです。ねこもあすいさんとはいろいろしたいことがあります。あすいさんだけじゃありません。くらすのみんなとも、おせわになったひととも、したいことはいっぱいあります。すべてのひとにおんをかえすまで、ねこはここにいます。ので、これからもよろしくおねがいします。

 

 

「ふふ。こちらこそ改めてよろしくね、井戸守ちゃん」

 

 

 さて、そろそろあいざわせんせいがきます。せきについてませんと、あいざわせんせいはおこります。ので、はやくきょうしつにもどりましょう。

 

 

「そう言えば、登校した時に偶々会った相澤先生に『井戸守は来たか?』って聞かれたわ。ちょっと怒ってる感じだったけど。井戸守ちゃん、何かしたのかしら?」

 

 

 ……ほーくすがいってたせっきょうですね。しかもこんなあさっぱらから……。

 ……さぼってもいいですか?

 

 

「ダメよ。飯田ちゃんを助けようとしたのは立派だけど、ホークスや常闇ちゃんに迷惑をかけてしまったのよ? 反省しなさい」

 

 

 ……はい。

 

 これからおこられることをかんがえますと、あしどりがおもいねこです。しょくばたいけんでいちばんいやなおもいでがきまりましたね。

 というわけで、ねこでした。よろしくおねがいしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──井戸守と蛙吹が話してるその近くで、ある人物が聞き耳をしていたことに二人は最後まで気がつかないままだった。

 

 

「どういう事だぁ……あの猫女ァ……!」

 

 

 トイレから戻る途中に偶然その場に出会してしまい、出るべきか、戻るべきか──判断が遅れ、そのまま聞き耳を立てる形になってしまった爆豪。

 そこで聞いたのは『腕を斬られた』という到底聞き逃すことの出来ない言葉。ステイン戦の後、緑谷も飯田も轟もボロボロだったと聞いた。だが井戸守がそんな怪我を負ったとは一言も聞いていないため唯一無傷で済んだのだと、この時までは思っていたが──。

 

 

「話が違ぇじゃねぇか……! 一体どうなってやがる……!?」

 

 

 それだけじゃない。その前後にあった『個性で負傷を治せる』と『生き返った』というワードも爆豪の思考を一瞬で凍りつかせるには十分なパワーを持っていた。

 しかし、やはりそこは爆豪。立ち直りから解明までは素早いもので、持ち前の地頭の良さを活かして少ない情報から答えを導き出そうとする。

 

 倒れてた脳無。様子がおかしかったデク達三人。頑として語らない相澤──。

 

 USJ事件以来、爆豪の中に残っていた数多の違和感同士が線で繋がるようにして結びつき──一つ目の答えが浮かび上がる。

 

 『井戸守の個性は治癒も可能』

 

 希少な治癒系個性を有してる事に爆豪は内心軽く驚くが、直ぐ様浮かび上がった二つ目の答えによってそれはどうでもよくなってしまった。

 

 

 『井戸守はUSJで一度死に、そして蘇って脳無を倒した』──。

 

 

(っ……! なんでテメェのことで……俺がこんな気分にならなきゃなんねぇんだよ……!)

 

 

 嫉妬とも、心配とも違う感情が爆豪の中で蠢き始めたが、それが何なのかまだ答えを見つけられないでいた。

 

 

「チッ、クソがっ……!」

 

 

 爆豪のイラつきは誰にも聞こえることなく、遠くから聞こえてくる談笑の声に掻き消されていくのであった──。

 

 

 

 

 

 

 

メモ

 

 

   

 

 

 

 





・『井戸守はUSJで一度死に、そして蘇って脳無を倒した』
 賢明に考察したけど間違っている爆豪君。正解は『死んだ状態のままで脳無を倒して蘇った』なんだけど、当たるわけないんだよなあ……。



・井戸守ちゃんがヒーローを目指す理由
 ①お世話になった人への恩返し。
 ②ねこ(SCP-040-JP)に戻るため
 ③『いど』に帰るため。 
 未熟な自分がこれらを叶えるのに最も効率的な手段を考えた結果、雄英ヒーロー科に行けばいいのでは?と思い立ったのが理由。優先具合は大体4∶3∶3の比率なので結構人間に絆されてるが、本人は気づいてなかったりしてる。
 



・カオス・インサージェンシー
 財団関係者が離反して結成した組織。"異常(オブジェクト)"を私利私欲のために用いるのを目的としており、前世では財団と敵対していた。


・蛇の手
 異常存在を一般にも公開、使用可を進めようと画策していた組織。C・I(カオス・インサージェンシー)と同様に財団とは敵対関係にあった。



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