「ねこです。こせいは"ねこです。よろしくおねがいします"」 作:エルルーン
2025/04/23追加
多忙の身なので感想への返信が遅れることが多々あります。それでもいいよって人はどんどん書いてもらって大丈夫です。。今後の励みになります。
たいいくさいです。ちょっときんちょうしているねこがいます。よろしくおねがいします。
あれから2しゅうかんたちました。そのあいだ、ねこはきんとれしました。が、あんまりつよくなったきがしないねこです。やりかた、まちがってました?
「コスチューム着たかったなー」
「公平を期すために着用不可なんだって。仕方ないさ」
ねこは1−Aひかえしつにいます。くらすのみんなもいます。かいさいまであとわずか。きんちょうをとくために、あれをやります。てのひらにひとをさんかいかくやつです。ねこはねこなので、ねことかきましょう。ねこ、ねこ、ねこ……。
「緑谷」
「轟くん……? 何?」
おや? とどろきくんがみどりやくんにはなしかけてます。いがいなくみあわせ。いったいなんのはなしでしょう? ねこはきになります。
「客観的に見ても実力は俺のほうが上だと思う。お前が何でオールマイトに目ぇ掛けられてるかは知らねぇし、別に詮索する気もねぇが……お前には勝つぞ」
とどろきくんのせんせんふこくです。あついですね。そういえば、ねこはとどろきくんとおはなししたことありません。ので、ねこともっとおはなししましょう。とどろきくん。ねこです。よろしくおねがいします。
「悪ぃが、俺は仲良し小好しするために雄英に来たわけじゃねぇ。友達作りてぇなら別のやつにしな」
ふられちゃいました。しょぼん。
「ちょっと轟! その言い方はないんじゃない?!」
「そうだよ! 井戸守ちゃんはただ純粋に轟君と仲良くしたいだけなのに!」
あしどさん、はがくれさん、ありがとうございます。ねこはきにしてませんよ。
「井戸守ちゃん……でも……」
むしろふっきれました。ねこはまけません。ねこはかちます。とどろきくんも、みどりやくんも、ばくごうくんも、きりしまくんも、あしどさんも、はがくれさんも、くらすのみんなも、ほかのくらすのひとも、ぜんいんたおしてゆうしょうします。ので、あらためてねこです。よろしくおねがいします。
「……っ! わかった! 私、負ける気はまったくないからね! 井戸守にも勝ってやるんだから!」
「私だって! ただ透明なだけの個性だけど、本気で優勝を獲りに行くから!」
「……おお」
「かー! 井戸守からの宣戦布告か! こりゃあ断るってのは野暮ってもんだよなぁ! 俺も負けねぇぞ!」
「ケッ……!」
みんな、ねこのおともだち。が、きょうだけはねこのらいばるでおねがいします。
『そろそろ始まるぞ。A組、準備をしろ』
あいざわせんせいのあなうんすです。いよいよたいいくさいがはじまります。
ねこはみんなとへやをでます。すすむさきは"めいんすてーじ"。めざすはゆうしょう。らいばるはおおいです。ので、おうえんよろしくおねがいします。ねこでした。
◆
「お前らの目当てはこれだろコイツらだろッ!? ヴィランの襲撃を受けたにも拘らず鋼の精神で乗り越えた超新星ッ!!
ヒーロー科ァァァァ、1年ッAェ組ィィィィ!!!!」
プレゼント・マイクの入場アナウンスを皮切りにメインステージに足を踏み入れる1年 A 組生達。
直後、彼らの元に何千何万といる観客の視線が向けられる。当然だ。彼らの背負う肩書きはヴィランの襲撃を凌いだヒーローの卵達。話題を集めるお題目としてはこれ以上ないほどにうってつけのものと言えよう。
「わあああ人がいっぱいいるぅ〜……!」
「落ち着け緑谷君! 手と足が同時に出てるぞ!」
そういう飯田も動きがどこかぎこちなく、まるでロボットのような歩き方をしてることを緑谷は黙っておくことにした。
むしろ、この状況下で平常心でいられるほうが極めて珍しいだろう。飯田だけじゃない。クラスメイトも、他科の生徒達も、どことなく緊張を孕んだ面持ちをしており、開催前に決めたはずの覚悟もどこかへ吹き飛んでしまっていた。
「選手宣誓! 選手代表、1−A組、爆豪勝己! 登壇なさい!」
1年生が出揃ったところでミッドナイトがムチを鳴らして壇上する。
セクシーヒーローの登場に観客から野太い声が上がるが、A組からは困惑したような声が上がった。
「えっ!? かっちゃん!?」
「あいつ一応入試一位通過だからな。人は見かけによらねぇぜ」
「聞こえとるわ醤油顔!」
ポケットに手を入れ、ふてぶてしい態度のまま台に上がる爆豪。
付き合いこそ浅いが、A組にとっては見慣れた諸相故にこの時のA組生の脳裏には奇しくも同じ考えが浮かんでいた。
(((なんだろう、嫌な予感が……)))
「せんせー。
──俺が1位になる」
「絶対やると思った!」
あまりに唯我独尊な宣誓に会場中からブーイングの嵐が巻き起こる。
特に同学年からの反応は顕著なものでB組、普通科等はもちろんのこと、同じA組からも批判的な声が上がり、会場内は爆豪への非難一色。もはや A組を敵視どうこうの話ではなくなった。
そんな中、緑谷だけは違う視点で爆豪を見ていた。
(違う……前のかっちゃんならああいうのは笑って言ったはず……。自分を追い込んでいるんだ……!)
目に映る人間全員が蹴落とす敵なら、今の自分も蹴落とすべき敵。
異常なまでのストイック性を有する爆豪らしい宣誓だと感心すると同時に、いつもとは違う爆豪の姿に緑谷は軽く気圧される。落ち着いてきたはずの精神が再び波打ち始めたところで気を紛らわせようとすると──ふと、井戸守が目に映った。
(井戸守さんは……いつも通りなんだな……)
大観衆の好機に満ちた目に、爆豪の喧嘩腰な宣誓を受けて尚、相も変わらず井戸守は前に立つ尾白の尻尾を目で追っているだけ。彼女らしいというか何というか、何事にも平然としていられるのが彼女の強みなんだろう。
だからこそ、USJで脳無に立ち向かっていけたとも言える。
『ぜんいんたおしてゆうしょうします』
控え室で聞いた、いつもより強めな口調で語った優勝宣言は普段の井戸守なら決して口にしないような、決意を塊にしたような台詞。
この一言だけで井戸守がどれだけの覚悟で今大会へ挑んでいるかがよく分かる。
(僕も……負けないからッ……!)
人知れず、胸中で井戸守からの宣戦布告に応じる緑谷の脳裏に聞き慣れた声が響いた。
──ねこもです。ねこはまけません。よろしくおねがいします
果たしてそれは気の所為だったのだろうか──。
◆
「それじゃあ早速第一種目に行きましょう! いわゆる予選よ! 毎年ここで多くの者が
「障害物競走……!?」
「ルールは簡単! 貴方達はこの場にいる全員による総当たりレースをしてもらうわ! コースはこのスタジアムの外周4キロ! そしてそのコースさえ守れば何をしてもいいわ! もちろん、妨害もね♡」
妨害OK──その言葉に生徒たちの目の色が一変し、静かな闘気が波立った。
力こそが正義、勝利こそが全て。
そう体現したかのようなルールに誰もが周囲を警戒し、そして身構え──隣に立つクラスメイトですら信用足り得ない環境へと駆り立てた。
ミッドナイトの説明が終わるとスタジアムの開閉ゲートが軋む音を立てながら開き始めた。そこで待ち受けるのは空から、地中から、あらゆる方向から障害物が容赦なく襲いかかる4キロの外周コース。たかが予選の腹づもりで臨めば、文字通り"踏み台"にされて終わることだろう。
「さあさあ位置につきなさい! スタートはもうすぐよ!」
ミッドナイトの声に従い、我先にスタートラインに駆け込む選手一同。当然、A組生達も少しでも有利な状況を作ろうと各々がスタート位置についた。
誰もがライバルであり蹴落とすべき敵。そんな状況下で彼らが考えることは一つ、
(悔しいけど……
50メートルと持久走共に小数点第二以下の記録を叩き出すことが出来る個性『猫』。それを有する井戸守がこの競技をトップになるのは確定した未来だ。
どうあがこうと勝てない勝負ならばそれを捨て、堅実に二位を穫る──初戦を勝ち抜くためには致し方ない戦法とも言える。
『君が来たってことを世の中に知らしめてほしい』
(すいません、オールマイト……。この勝負は捨てさせてください……! でも、絶対に二位は獲ってみせます!)
開催前のオールマイトと交わした言葉に謝罪し、緑谷は新たな決意を決める。
ゲート上のランプが点灯していくにつれて場の緊張は色濃くなっていき、それに飲まれまいと身体に力を入れて悪しき空気を受け流す。
最後のランプが点灯しようするその手前で──緑谷の瞳に鋭いものが宿った。
(目指すは……二位ッ!!)
『スタートぉ!』
──そしてその決意はいい意味で裏切られたのだった。
『よぉお前らァ!! 実況担当のプレゼン……んん? な、なななーんとッ! 早くも一位に躍り出たのはA組の井戸守ねこォッ!! スタートダッシュを決め、
「……っ!?
井戸守ねこという人物を知ってるからこそ、"ゴール"ではなく"第一関門突破"という実況に緑谷達の表情に困惑が表れた。
それは解説席に居る相澤も同感のようで『どういうことだ……?』という微かなアナウンスを零し、そして歓声に掻き消されていった。
「ねこはひとがみないところにいます。が、ここはひとがみますところがおおいです。ざんねん」
どんな強個性にも弱点やデメリット、欠点や制約があるように井戸守の個性『
井戸守の代名詞となったそれはいつでもどこでもワープ出来るという単純明快な代物ではなく、中心視野外(目のピントが合わない処)や暗所といった『人が意識して見ないところ』に"ねこがいる"という観念を植え付けることで、そこに『ねこがいた』という
そのため、個性把握テストでゴールにワープ出来たのは誰もゴールを見てなかったから可能だった訳であり、今回の障害物競走は十何万という観客に加えてレースを全国生中継されてるため、どこかの誰かが一人でもゴールを見てしまえば
故に、辛うじてワープ出来たのは第一関門と第二関門の道中でカメラにも映らず、尚且つ人の視線が届かない暗所である大型仮想敵の足元という中途半端な場所。
スタートからゴールまでワープするには人が多すぎたのが原因だ。
とはいえ、最長最速のスタートダッシュを決め、後続と一気に距離を離せたという事実に変わりはない。
しかし、それを後続が許したままにしておくかは別であり、むしろ井戸守がまだゴールしてないことに安堵し、彼女を抜かそうとA組の大半が追上げに躍起になっていた。
そして察しがいい人間なら気づくだろう。あの瞬間移動には何かしらの制約がある、と──。
「……なるほど、
『1−Aの轟!! ロボを凍らせて攻略と妨害を一度に決めたぁ! こいつぁシヴィーっ!!』
スタートと同時にスタート地点に氷を張って二位となった轟が仮想敵を氷結しながらその距離を縮めようとしてくる。
その後ろでは轟の妨害を予見していたクラスメイト達が各々の個性を使って上位にランクインし、そのまま第一関門へと差し迫った。
「やっぱクラス連中は一筋縄には行かねぇか……。そして見えたぞ、井戸守……」
「とどろきくん、あしもはやいですね。が、ねこにはかてませんよ」
『大半が第一関門に突入する中、先頭は早くも第二関門の『ザ・フォール』に挑戦中ーッ!! 落ちたら闇にまっしぐらだぜ! 気ィつけなー!!』
『
轟が遥か先に井戸守の姿を捉えた時には井戸守は既にロープを渡り始めていた。
個性の副産物である『猫』の能力が持つ平衡感覚は幅数センチしかないロープ上を減速することなく走ることが可能で、縮まりつつあった轟との距離をまたもや引き離す。その後ろでは調子が上がってきた爆豪や馬力に物を言わせて走る飯田などが追い上げてくるのが見えた。
第二関門をトップで通過した井戸守はそのままコースを突き進み、その次に見えてきたのは一面何もない平原だった。
『何かある』──元SCPとしての直感が脚にブレーキをかけた。
『さぁーてッ、次が最後の関門! 一面地雷原! 『怒りのアフガン』! 威力は大したことねぇが、音と光がマジやべぇ! 目と脚を駆使して潜り抜けなぁ!!』
『音と光』と聞いて井戸守の尻尾が僅かに逆立つ。
「なるほど。ねこのにがてなおととひかりですか。が、よくみますしてあるけばもんだいはな──」
──カチッ
「ふにゃ!?」
『おおーっと先頭の井戸守! 不運にも一歩目で地雷を踏み抜いてしまったぁー!! しかも井戸守はどうやら混乱中の様子! これは後続チャンスだぞッー!!』
偶々巧妙に隠れていた地雷を踏んでしまったのか、井戸守はびっくりした声をあげ、その場で尻もちをついて目を回してしまう始末。きっと彼女の中では頭の上でヒヨコがピヨピヨと回っていることだろう。
その間、後続の中でも先頭を走る勢力がそのまま井戸守へと迫る。先頭は轟と爆豪のツートップ。井戸守との距離が10メートルを切ったところで彼女はようやく混乱から目覚めた。
「まずいですね……」
そう吐露した瞬間、第三関門入り口付近で大爆発が起き、思わずその方向へ視線を向けると──宙に投げ出された緑谷の姿を見た。
『故意か、偶然か! A組緑谷、爆風で猛追ー!?』
◆
『故意か、偶然か! A組緑谷、爆風で猛追ー!?』
ばくはつおちなんてさいてーです。いえ、みどりやくんです。よろしくおねがいします。
みどりやくんがばくはつでとんでます。まるでばくごうくんです。とんだみどりやくん、ねこをぬかします。ねこははしりますが、まにあいません。が、ねこはねこなのでねこはいますでぎゃくてんします。
まずはみどりやくんをさがします。どこにでもいるねこはあたまのなかにいます。から、だれかのなかにおじゃまします。しかいもかります。ので、よろしくおねがいします。
──いました、みどりやくんです。
じらいげんをぬけました。あとは、すたじあむだけ。ごーるげーと、くらくてたすかります。さて、ねこをいますをしましょう。
みどりやくん、ねこはあなたのうしろにいます。ねこです。よろしくおねがいし──。
「そうはさせねぇぞ猫女ァ!!」
ま、す。
てが。かお、に。