海の狩人   作:紅涙

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ついに始まったくまさんの過去編。週刊誌で読んでた時ですら、これアニメで放送できるか?と思ってたけど、時間変更になったとはいえ、やはり辛い。これ今の時間ですら……深夜2時とかじゃないか?



狩人と美しき者達

 

 

 ニコ・ロビンの捜索。そして保護。

 

 それがトルコの新たな目的。

 

 ただ、そう簡単に発見できるものではない。

 

 世界政府と海軍を相手に20年近くもの間、逃げ続けている人物だ。もし見つけることができたとしても、素直に保護されてはくれないだろう。警戒心も強いはずだ。

 

 そもそもそれ以前の問題なのだが、今やトルコは5億ベリーを超える賞金首。しかも、あの〝()()()()()〟に傷を負わせ、尚且つ逃げ切った男だ。

 

 当然、多方面から狙われている。

 

 トルコの力を取り入れようとする者達。

 

 さらなる飛躍、名声の為にトルコの首を狙う者達。

 

 それから、トルコを危険視する海軍と世界政府。5億ベリーの賞金首ともなれば、動くのは海軍中将以上。海軍最高戦力とされる大将も動く案件だ。

 

 普通ならば、目立った行動は避けるべきである。

 

 もっとも、5億ベリーを超える賞金首ともなれば、自分のやりたいようにやるだろう。

 

「ほォ、()()()()()()()()()したのか。さてはアイツ……負けたな」

 

「白ひげ海賊団って、〝おでん〟の古巣じゃないか!

 凄い!いいなァ!!」

 

 それに、世間を騒がせているのはトルコだけではない。その者は今現在、トルコと並び、もしかしたらそれ以上に世間の注目を浴びているかもしれない。

 

 王下七武海への勧誘を蹴った若手海賊〝火拳のエース〟が、世界最強の海賊団と称される〝白ひげ海賊団〟に加入したことで、世界最強の海賊〝白ひげ〟エドワード・ニューゲートがいよいよ、海賊王の座に上り詰めるのではないかとまで噂されているのだ。

 

 海軍と世界政府からしたら、トルコたった1人よりも、白ひげ海賊団を警戒し、そちらに注意が向くのは当然のこと。

 

「ま、元気そうで何よりだ。

 もっと活躍してくれよエース!こっちはエースに注目が集まれば集まるほど動きやすくなる!無関係な市民に手を出したら許さないけどな!」

 

 地位や名声を追い求めてなどいないトルコからしたら、願ったり叶ったりな展開で、〝悪魔の子〟ニコ・ロビンの捜索に集中できるというもの。とはいえ、新たな目的を掲げて数ヶ月が経過するが、ニコ・ロビンの情報は何一つ、まったく得ることができていない状況のようだ。

 

 先行きが長い。

 

「待つんだ!

 ようやく見つけたぞ──〝狩人〟カリュウ・D・トルコ!!」

 

 そして、トルコが今いる場所は〝偉大なる航路(グランドライン)〟。誰とも出会さないということは決してあり得ない。必ず見つける者がいる。ニコ・ロビンの捜索ばかりに集中できるはずはない。

 

「誰だ?」

 

「このぼくを知らないだと!?」

 

 さらなる飛躍、名声の為にトルコを狙う海賊の登場だ。

 

 白馬を象った船首が目立つ海賊船に乗り、長く煌びやかな金髪を靡かせながら颯爽と登場したのは、懸賞金1億8000万ベリーの貴公子風の超イケメンルーキー海賊──〝海賊貴公子〟キャベンディッシュである。またの名を〝白馬のキャベンディッシュ〟。

 

 白ひげ海賊団に加入した〝火拳のエース〟。

 

 世の女性達を虜にする〝白馬のキャベンディッシュ〟。

 

 そこに、懸賞金5億ベリーを超える〝狩人〟カリュウ・D・トルコ。

 

 今、海賊の若手達の中でも、特に世間を騒がせるこの3人を、世はこのように呼んでいる。

 

 三羽烏……と、呼んでるとか呼んでいないとか…。

 

 トルコに関しては海賊ではないのだが、世間からしたら海賊と認識されているようだ。なかには、〝革命軍〟の一員なのではないかと思っている者達もいるようである。 

 

「くッ……どこまでもこのぼくを虚仮にしてくれる!

 狩人の隣にいる彼女!君はぼくを知っているだろう!?」

 

「ごめん!」

 

 その内の2人、トルコとキャベンディッシュが遭遇した。

 

 これは、激突不可避。

 

「ぼ、ぼくの虜にならない女性が存在するなんて!

 こ、これは悪夢だ。悪夢に違いない!」 

 

 いや、激突することなく、事態は終息に向かいつつある。

 

 己に絶大な自信を持つキャベンディッシュは、己を知らない存在に初めて出会ったらしく、そのショックで目眩を起こし、今にも倒れてしまいそうだ。

 

 対して、トルコは面倒にならないうちにこの場から去るつもりのようである。

 

 トルコとヤマトは、嘘でも何でもなく、本当にキャベンディッシュを知らなかったようだ。しかし、トルコとヤマトが知らないのも仕方ない。世間の常識に疎いヤマトはともかくとし、トルコが知らないということは、それはつまりキャベンディッシュが一般市民に危害を加える海賊ではないということでもあるのだ。

 

 ならば、トルコが戦う理由などない。

 

 トルコが狩るべき獲物として狙っているのは、あくまで一般市民に危害を加える存在のみ。それは絶対にして、トルコが己自身とヤマトに課した不文律でもある。

 

 鷹の目と出会う前のトルコならば、売られた喧嘩も買っていたかもしれないが、今はその危うさもない。

 

 火拳のエースから申し込まれた決闘を買ってはいたが、あれは酒の勢いと赤髪海賊団から囃し立てられたのもある。

 

 とにかく、今のトルコはその辺の線引きはしているはずだ。

 

「トルコ、相手にしなくていいの?」

 

「関わるとめんどくさそうなタイプだ」

 

 ただ単に、これ以上は関わり合いたくないという理由が一番のようではあるが…。

 

 

 ✮✮✮✮✮

 

 

 類は友を呼ぶ……のだろうか。

 

 髑髏の周囲に9匹の蛇をあしらった海賊旗を掲げ、遊蛇(ユダ)という巨大な海蛇2匹に引かれる海賊船──〝パフューム遊蛇号〟。

 

 それに並ぶように、白馬を象った船首が目立つ海賊船──〝眠れる森の白馬号〟。

 

「妾の方こそ美しい!」

 

「ぼくの方が美しい!」

 

 王下七武海の一角にして、強く気高き世界一の美女と謳われる〝海賊女帝〟ボア・ハンコック率いる九蛇海賊団と超イケメンルーキー海賊〝白馬のキャベンディッシュ〟率いる美しき海賊団だ。

 

「お前らめんどくさい」

 

 九蛇海賊団は船員全員が女性ではあるが、その全員が〝覇気〟を会得している強力な海賊団であり、美しき海賊団の船員達は全員がとある王国の護衛戦団だったこともあり、佇まいからして洗練されている。

 

「わ、妾と同じ〝覇王色の覇気〟じゃと!?」

 

「い、今のはいったい何だ!?

 このぼくが威圧された!?」

 

 しかし、その九蛇海賊団と美しき海賊団の船員達の多くが、強大な覇王色の覇気を前に気絶してしまった。

 

 面倒を避ける為に覇王色の覇気を発動するのは如何なものだろうか…。これまで、キャベンディッシュ達に対して覇王色の覇気を使用することはなかったが、今日はいつも以上に面倒なのだろう。

 

「どっちが美しいか決めたいんなら好きにやってくれ。

 正直どうでもいい」

 

 そもそもの事の発端は1ヶ月前。

 

 白馬のキャベンディッシュとの初邂逅が原因だ。

 

 キャベンディッシュと遭遇したトルコとヤマトだったが、どうやらあの後、本当にその場からとんずらしたらしく、その結果執拗にキャベンディッシュに追いかけ回されているようだ。

 

 そんな面倒な日々のなか、今度は九蛇海賊団とも遭遇してしまった。正確には、キャベンディッシュから逃げている最中、九蛇海賊団の船の前を横切ったら、いきなり砲撃されてしまったようである。

 

 無論、砲撃はトルコが瞬時に矢で射抜いたようだが…。

 

「この場において、王は妾だけじゃ!!

━━〝芳香脚(パフューム・フェムル)〟!!!

 

 そんなこんなで、世界一美しい海賊女帝と超イケメンルーキー海賊といった己の美しさに絶対的な自信を持つナルシストが揃ってしまい今に至るというわけだ。

 

 これ以上の説明は不要だろう。

 

 トルコからしたら、面倒の一言に尽きる。

 

「王だからって、それだけでいきなり砲撃してきていいと思ってんのか?。

━━〝菩提樹(ぼたいじゅ)〟!!!

 

 世界一の美女のこれまた世界一美しい脚から繰り出される蹴りはかなりの威力であるが、トルコは意に介さず、海賊女帝の蹴りを覇気を纏わせた斧の柄で受け止めた。

 

「!

 妾の蹴りを受け止めたじゃと!?」

 

 自身の覇気と能力を付加した蹴りを難なく受け止められたことに驚くボア・ハンコック。本来なら、大抵の者がこの蹴りを受けた箇所が石化すると同時に、そのまま蹴りの衝撃で破砕してしまう。

 

 王下七武海の中でも高い身体能力を誇るボア・ハンコックの蹴りにトルコが堪えうることができたのは、これまでの経験あってのものだろう。一つ付け加えるとしたら、世界最強の剣士の一太刀を常日頃受け続けた修業の日々も大きく関係していると思われる。というより、それが一番の理由であり、トルコの王下七武海の強さに対する認識が、王下七武海=師匠〝鷹の目〟(世界最強の剣士)級となっている可能性がある。

 

「生かしてはおかぬ!

━━〝メロメロ甘風(メロウ)〟!!!

 

 七武海といっても、強さはピンキリだ。

 

 ルーキー海賊だった頃の火拳のエースに七武海の一角が落とされたのもその証拠だろう。

 

「俺、見るからに我が儘そうな女は苦手だ」

 

「トルコ!大丈夫!?」

 

 これはある意味、鷹の目のせいでもあるが、七武海に対するトルコの認識は同情を禁じ得ない。

 

 もっとも、ボア・ハンコックの美貌と能力を前にしたら、普通ならば誰が相手であらうと、実力の差などあってないようなものなのだが…。

 

「ど、どういうことじゃ!?

 な、なぜ()()()()!?妾に魅了されぬというのか!?」

 

 男女問わず魅了したり悩殺された相手を石化させるメロメロの実の能力者。それが、〝海賊女帝〟ボア・ハンコックである。しかも、その能力はハンコックの美貌も相まって、どんな強者でも一撃で仕留められる上に、桁外れの美貌故に男性のみならず女性にも有効な凶悪なものだ。

 

 ただ、どうやらトルコには効果はなかった。未来視でボア・ハンコックの次の攻撃を読んでいたトルコだが、効果を知った上で何も対策も打っていなかったのである。

 

 ボア・ハンコックに向けたトルコの言葉は真実だ。

 

「こ、こやつッ!!」

 

 これまで、己の美貌とその能力で数々の男達を石化させてきたボア・ハンコックにとって屈辱以外の何物でもないだろう。

 

 しかし、この世には必ず例外というものが存在する。

 

 例えば、ブス専、デブ専などである。もしかしたら、同性愛者という場合もある。

 

 その他にも色々あり、極めてマニアックな嗜好は、時に世界一の美貌ですらも凌駕する場合があるのだ。

 

 ちなみに、トルコはどれも違う。

 

 ただ単に、ボア・ハンコックが好みではないというだけだ。世界一の美女を前にそれもそれで凄いことではあるが、彼の場合、ボア・ハンコックに見劣りしない美女がそばにいるのもあるだろう。

 

「トルコのタイプってどんなんだろ?」

 

 ヤマトは紛れもない美女だ。彼女の性格、言動や行動はかなりお転婆だが、どこか憎めない可愛さもあり、プロポーションも抜群だ。羨ましい限りである。

 

「こ、このぼくを無視して勝手に戦い始めるな!

━━〝美剣 青い鳥(ブルーバード)〟!!!

 

 実のところ、美しき海賊団にはトルコを羨み、妬む者がいたりする。

 

「なら俺を巻き込むな。

━━〝神箭・破魔〟!!!

 

 それはさておき、トルコはキャベンディッシュが放つ鋭い突きに驚くこともなく、ピンポイントで切っ先目掛けて矢を放ち、気怠そうに放った一本の矢でキャベンディッシュを逆に吹き飛ばしてしまった。

 

「お前ら……これ以上俺の邪魔するなら容赦しねェぞ」

 

 醸し出されるその資質を前に、女帝と貴公子すらも…。

 

 

 






そういえば、ドレスローザ編でのルフィとキャベンディッシュの初邂逅。ルフィよく、逆恨みって言葉知ってたね。
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