バッカニア族の罪って何なんだァ!?くまさんの過去が悲惨すぎるのもあって、早くそれを知りたい。知ったとしてもくまさんの過去は悲惨すぎだと思うけども!?
〝百獣のカイドウ〟の娘であるヤマト、〝海賊女帝〟ボア・ハンコック、〝海賊貴公子〟キャベンディッシュ……そして〝狩人〟カリュウ・D・トルコ。
この4人が同じ船に乗っている。それはあまりにも異色の組み合わせである。
ヤマトはトルコと共に航海している為、他の2人に比べても別段おかしくはないだろうが、百獣のカイドウに娘がいるというのは、世界に激震が走るはずだ。
海賊女帝と海賊貴公子、この世界の美の集合体ともいえる絶世の美男美女が同じ空間に存在することに、ファン達は鼻息を荒くすると同時に意識を飛ばし泡を吹く者達が続出するだろう。あらゆる意味で阿鼻叫喚の光景だ。
「ボア・ハンコック、キャベンディッシュ……なぜお前達が俺の船に乗っている」
そこに、この3人を束ね、纏める存在ときた。
いや、纏めてはいない。
ただ勝手に、船の所有者であるトルコの許可なしに、ボア・ハンコックとキャベンディッシュは乗っているだけだ。
「わらわの虜にならず、わらわを前にしながらわらわに目もくれず他の女を探すなど許し難い大罪。これまで味わったことのない屈辱じゃ!おぬしが探す女を石にして目の前で砕いてくれる。おぬしに絶望を!!」
「ぼくを知らないだけでも罪深いというのに、ぼくよりも君の方がカッコイイなんてあってはならない。君よりもぼくの方が美しく、強く、カッコイイという現実をヤマトに教えなくてはならないからね!」
どこまでも自己中心的な美男美女を纏め上げるなど不可能。
しかし、もしこの異色の組み合わせが海軍と世界政府に知れてしまったら、かなりの大事に発展してしまうのではないだろうか…。
「それにしても酷いボロ船じゃな。
わらわと同じ〝覇王色の覇気〟の使い手が聞いて呆れる」
一番の大きな問題は、王下七武海の
「トルコはこの船が好きなんだ!!」
「その言い方だとヤマトにもボロ船って思われてた?」
海軍と世界政府が相手になるとそうはいかないだろが、ボア・ハンコックは大概の事をその美しさで解決してしまう。自意識過剰であることも否定はできないが、彼女が美しいのもまた事実。その上、彼女はただ美しいだけではない。
強く、気高く、美しい。
だからこそ、ボア・ハンコックは王下七武海の座に長らく君臨し続けているのだ。
「そ、そういうわけじゃないよ!?」
「こんなボロ船、わらわが蹴り壊ッ──!?」
そのボア・ハンコックが、己が率いる〝九蛇海賊団〟から離れ、トルコの船に乗っているのには、それだけの理由があるのだろう。
「壊す前にお前を海に沈めてやろうか?」
そして、その理由というのがトルコである。
ボア・ハンコックの美貌に魅了させることなく、彼女の能力も一切効かず、船が軋む程の覇王色の覇気を前に支配されることを強く拒む彼女ですら抗えぬ存在だ。
「ふ、ふん!
わらわが壊さんでも嵐で沈没するのが関の山じゃ!」
「はあ……この船は師匠から貰ったものだ。
そう簡単に沈まねェよ」
とはいえ、トルコはボア・ハンコックを力で支配するつもりなど一切ない。大切な船を侮辱されたことに対しての怒りを露わにしただけだ。力による支配は殺戮と同じ様なもので、トルコが何よりも嫌うものなのである。
「ぼくもこの船好きだよ!」
「ぐぬぬ!
このボロ船のどこがイイんだ!?ぼくの眠れぬ森の白馬号と比べたら雲泥の差じゃないか!!」
そもそも、ボア・ハンコックとキャベンディッシュには己自身が率いる海賊団がある。
ボア・ハンコックは九蛇海賊団。
キャベンディッシュは美しき海賊団だ。
それらはいったいどうしたというのか…。
「貴様と同意見なのは非常に遺憾じゃが、わらわが乗るには小さすぎる!直ぐに新しい船を用意するのじゃ!せっかく女ヶ島から
「最初からぼくの眠れる森の白馬号に乗ってればすべてが丸く収まっていたというのに!」
それもこれも、美しさ故に全てを魅了するボア・ハンコックとキャベンディッシュが同じ場所に揃ってしまったのが原因だ。
キャベンディッシュが率いていた
対して、ボア・ハンコック率いる
トルコの覇王色の覇気で気絶させられ、目を覚ましたがいいが弱っていたところに、世界一の美貌を持つ男と女が存在してしまっては仕方がなかったのかもしれない。
そんなこんなあり、キャベンディッシュを前に使い物にならなくなってしまった九蛇海賊団を女ヶ島に帰すことをボア・ハンコックは決めた。
同じく、ボア・ハンコックを前に使い物にならなくなってしまった美しき海賊団の船員達を祖国に帰すことをキャベンディッシュは決めた。
その結果、ボア・ハンコックとキャベンディッシュはどちらがより美しいか決着をつけるべく、そして何より……ボア・ハンコックはトルコを魅了するべく、キャベンディッシュは己の方が美しくカッコイイ存在であるとヤマトに証明するべく、傍迷惑にもトルコの船に乗り込んだというわけである。
「賑やかになったね!トルコ!」
「コイツら海賊だよな?
斬っても問題は……いかん、落ち着け俺。それじゃあただの殺戮者と何ら変わらん。心を落ち着かせろ俺」
意図せずして、トルコの受難が幕を開ける。
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真新しいコルベット帆船──シンシア号。
本人が意図せずして掲げられた海賊旗は、狼の髑髏の背後弓矢と斧を交差させたマークが記されたシンプルなもの。
その船長にして…。
「トルコ!今日の夕飯は何!?」
コックでもあり…。
「次は何処に向かっておる?」
航海士でもあり…。
「くッ……剣術の天才と謳われたぼくが一番弱いなんて!傷だらけのぼくも美しいだろうが手当てを頼む!」
船医でもあり…。
「トルコ!夕飯は米が食べたいな!」
「トルコ、新しい服が欲しい。
光栄に思いながら、美しいわらわに見合う服を見繕え」
「トルコ、そろそろぼくのファン達に会いに行かないと!欠乏症を発症してるはずだ!」
そして保護者でもある。
懸賞金5億2160万ベリー。
意図せずして率いるは〝百獣のカイドウ〟の娘と〝海賊女帝〟と〝海賊貴公子〟。
これが〝狩人〟カリュウ・D・トルコの
しかし、それもこれも全てはトルコのお人好しが招いてしまった結果なのだから仕方ないだろう。トルコの実力なら、ヤマトをワノ国に帰すことも、ボア・ハンコックを九蛇海賊団に突き返すことも、キャベンディッシュを美しき海賊団に突き返すことも出来たはずだ。
だが、トルコはそうしなかった。
溜め息を吐きつつ、彼女達を受け入れた。突き返すことを面倒に思った可能性もなくはないが…。
それに、彼女達が本物の悪人だったならば、その場で葬っていただろう。
ただ、トルコはそうしなかった。
それはきっと、彼女達の本質を見抜いたからなのではないだろうか…。クセが強すぎるが、それでも彼女達はトルコが嫌う人種ではないと……善人であると判断したのだろう。
突き返さず、船が手狭になったからと船を新調したのも、勝手に海賊旗を掲げられていたことも溜め息一つで済ませたのもその証拠だ。
「お腹減ったよトルコぉ」
「いつになったらわらわに魅了されるのじゃ!?
わらわと同じ空間にいられることがどれだけ幸福なことだと思っておる!?」
「ヤマトもボア・ハンコックもトルコばかり!
なぜぼくを見ないんだ!?」
純粋無垢なヤマトはともかく、後者2人は善人に分類できるか怪しいところではあるが…。
もしかしたらこれも、多くの弟妹達の面倒を見て鍛えられた長男力によって引き寄せられた結果なのかもしれない。トルコの方が年下ではあるのだが…。ハンコックは三姉妹の長女でこそあるが、妹達からも性格は最悪と称されるだけあり、トルコとハンコックのどちらが大人かと聞かれたら、大半の者がトルコだと答えるのではないだろうか…。
「働かざる者食うべからず。ほら食器出せ!」
同時に母性も持ち合わせているようだ。
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コルベット帆船──シンシア号には各々それぞれの部屋が用意されている。
スループ帆船をより小型化した帆船ではあるが、船員はたった4人のみ。それぞれの個室を確保する余裕はある。
当然、シンシア号の主であるトルコの部屋は一番大きい。
「!
どうぞ……って、何バカなことやってんだハンコック」
そのトルコの部屋に、ボア・ハンコックがやって来た。
しかも夜遅くに、
本来、夜遅くに女性がその様な魅惑的な格好で男性の部屋を訪れるということは、つまりはそういうことである。おまけに、その女性が強く気高い世界一の美女ともなれば、男は狼へと即座に豹変してしまうだろう。
「ッ……わらわの裸体を見てもその反応とは、あいも変わらず不愉快で失礼極まりない男じゃ。だが、口ではそう言いつつ、身体の方はどうじゃ?」
ボア・ハンコックの裸体を前にし、彼女に押し倒されてしまったら尚の事。逆らうことなどできない。まさに据え膳食わぬは男の恥。それどころか全世界の男を敵に回すことになるだろう。
もっとも、この男は全世界の男を敵に回すことも意に介さない。寧ろ、全世界の男を敵に回してでも、一度懐に入れた者は守り通すはずだ。
「お前はバカか。いや、バカだったな。
「ッ!
な、なぜそれを!?」
それに何より、悲劇を経験し心に傷を負った者を、カリュウ・D・トルコは決して放っておかない。放ってなどおけないのである。
「言っておくが意図してではねェからな。
おれの見聞色の覇気は本人の意思関係なく、辛い過去に反応する。だからお前の過去も視た」
強く気高い〝海賊女帝〟がどのようにして男嫌いになってしまったのか……その壮絶な
「!」
「ここにはお前を傷つけるヤツも、従わせようとするヤツもいない。もしいたとしても、俺が叩き潰してやる。だから安心しろ。怯える必要もねェ。自分を偽る必要もねェ。騙す必要もねェ。お前は自由だハンコック」
その優しさに、温かさに、彼女は自身の凍てついた心が少しずつ、ほんの少しずつ解けていくような気がした。
この男だけは違うのだと不思議とそう思え、誰かの前で絶対に泣くことのなかった彼女が涙を流す。その涙はあまりにも自然に流れ出し、止まることはなく…。
彼女が心に負った傷は深い。今この瞬間に、その傷が癒えたわけではない。
ただこの男──カリュウ・D・トルコの前では、弱さを見せることができた。
多分だけど、キャベンディッシュにもメロメロの実は効かないと思うんだよね…。
美しき海賊団→ハンコックにメロメロの刑で祖国に強制帰還させられ、ブルジョア王国の兵として復帰。
九蛇海賊団→キャベンディッシュにメロメロの刑で女ヶ島に強制帰還させられ、しばし待機命令。
新調された船。
▪️シンシア号
スループ帆船(サニー号)より少し小さめのコルベット帆船。
名前の由来は狩猟の女神であり月の女神でもある〝アルテミス〟の別名〝キュンティアー〟の英語読み。
コルベット帆船は沿岸警備のような役割を担うことが多かったみたいなので、オリ主の目的とかも考えたらピッタリかな…と。