海の狩人   作:紅涙

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バスターコールって、オハラの時は後の大将の赤犬と青キジもいて凄かったけど、今はそうでもないよね。

ガープ1人の方がよっぽどヤバいという…。

さすがは現四皇のおじいちゃんにして伝説の海兵だな。



狩人と革命の火

 

 

 五番目の皇帝の誕生を喜ぶ者が1人…。

 

 場所は偉大なる航路(グランドライン)にあるクライガナ島〝シッケアール王国跡地〟。数年前まで続いた内乱によって滅んだこの場所を、現在1人の男が根城としている。

 

「くくくッ……ワッハッハッハッハ!

 五番目の皇帝と呼ばれるまでに至ったかトルコ!」

 

 王下七武海最強の男にして、世界最強の大剣豪。

 

 そして、知るのはほんのごく僅かな者のみではあるが、五番目の皇帝と呼ばれるにまで至った〝狩人〟カリュウ・D・トルコの師匠──〝鷹の目〟ジュラキュール・ミホークが、ワインを片手に豪快に笑っている。

 

 ここまで陽気な鷹の目を見れるのは稀だ。

 

 だが、鷹の目がかここまで喜ぶのも無理はない。愛弟子の成長が嬉しくないはずがない。

 

「くく、今のお前と剣を交えたいものだ」

 

 それと同時に、五番目の皇帝と呼ばれるにまで至った弟子の実力をその身で味わいたいようだ。

 

 かつて、〝海兵狩り〟と呼ばれていた鷹の目は、昔の己と似た目をしたトルコと出会い弟子にした。2人の関係は、師と弟子である同時に父と子のようなものでもあった。

 

 いつの世も、子供の成長は親を喜ばせるものだ。

 

「しかし、五番目の皇帝ともなれば政府と海軍が常に動向を気にし、ここにはなかなか帰って来れんかもしれんな。

 それならば、偶然を装っておれから会いに行くとするか…」

 

 ただ、五番目の皇帝と世界最強の剣士。直接的な血の繋がりはないが、凶悪すぎる師弟(親子)関係である。

 

 もし、この事実を政府と海軍が知ることになれば、間違いなく鷹の目は王下七武海の地位を剥奪され、高額な懸賞金を懸けられてしまうだろう。それこそ、四皇に匹敵するか準ずる程の額になるはずである。

 

 公になったとしても、鷹の目もトルコもさして気にはしないだろうが…。それどころか、トルコが鷹の目を船に乗せてしまう可能性もある。仮にそうなってしまったら、五番目の皇帝が率いるのは、〝銀狼〟〝海賊貴公子〟〝海賊女帝〟〝大剣豪〟……恐ろしいにも程がある。

 

 鷹の目とトルコの師弟(親子)関係はまさにパンドラの箱。知らぬが仏というものだ。

 

「さて、暇つぶし(海賊狩り)をしつつ、弟子に会いに行くとしよう」

 

 そんな鷹の目だが、この時の彼は知らない。

 

 暇つぶしがてらに偉大なる航路(グランドライン)入りしたばかりの海賊団の艦隊を潰し、逃げた本船を追って辿り着いた先にて、後の大剣豪になる可能性を秘めた若き()()()()()()に出会うことを…。その出会いを喜ぶことになることも…。

 

 きっと、鷹の目本人も気付かぬ本心では、育てるなら()()()()()()()()()のだろう。カリュウ・D・トルコの身に深く刻み込まれた謎の神がかった呪い(刀剣が手からスッポ抜ける)は、世界最強の剣士ですらお手上げだったのである。

 

 

 ✮✮✮✮✮

 

 

 五番目の皇帝の誕生を喜ぶ者もいる一方で、大笑いする者と悲観に暮れる者もいる。

 

「ぶわっはっはっはっは!

 さすがはわしに傷を与えた男!いいぞもっとやれ!」

 

「黙らんかガープ!!」

 

 正義の中心地とされる海軍本部〝マリンフォード〟。

 

 マリンフォードは今、大荒れ模様だ。

 

 五番目の皇帝の誕生はつまり、海軍の大敗北を意味している。意味しているもなにも、バスターコールを破られたという事実が五番目の皇帝の誕生に繋がっているのである。

 

 海軍を指揮する者からしたら心中穏やかではいられない。対して、一度戦ったことのある〝英雄〟モンキー・D・ガープが高笑いし、五番目の皇帝を称賛し、尚且つ煽る姿がより一層、海軍本部元帥──〝仏のセンゴク〟の苛立ちを大きくする。

 

「貴様が狩人を取り逃さなければここまで大きな騒動は起きなかったのだぞ!?」

 

 〝狩人〟カリュウ・D・トルコと海軍の因縁は深い。

 

 ガープたった1人に、その責任を押し付けるのは如何なものか…。そもそも、〝狩人〟が海軍に牙を剥く原因を作ってしまったのはガープではない。

 

「センゴク、若者の成長は早く、無限の可能性を秘めておる。甘く見るでない。あのまま戦っていたら、今以上に強くなっていた可能性は高い。それに……()()()()のはこちらの方じゃろうて」

 

 五番目の皇帝の誕生も、すべては海軍と世界政府の自業自得のようなものだ。

 

 政府と海軍にとって、狩人はこの世の禁忌を犯した大罪人。しかし民衆にとっては、理不尽な不文律に異議を唱え行動した英雄なのである。故に、五番目の皇帝と呼ばれるに至ったのだ。

 

「狩人の捜索、討伐もすぐに中断するように()()()()()()に伝えるんじゃ。手痛いしっぺ返しをくらうことになるぞ」

 

 バスターコールを破る戦力は政府と海軍にとって大きな脅威だが、唯一の救いはカリュウ・D・トルコが破壊者ではないことだろう。寧ろ、彼はそれを止める側だ。

 

 海兵を狩っていたのも、正義の名の下に罪なき者達にまで被害を与えてしまったからである。犠牲なくして……しかし、限度というものがある。

 

「天竜人が黙っておらんぞ」

 

「あやつの矢が何処からともく降ってくるとでも言っておけ。まァ、あやつなら本当にやってのけてしまいそうじゃがな、ぶわっはっは!!」

 

 そして、一番の原因は天竜人だろう。

 

 幼子にすら躊躇なく銃口を向け殺害しようとする神など存在してはならない。まさしく悪神だ。カリュウ・D・トルコにとって狩るべき害悪でしかない。

 

 その害悪に従う海軍などに、この世界の秩序と正義を任せてなどおけないはずである。

 

 此度の一件で、ブルジョア王国は世界政府加盟国から除名された上でバスターコールを向けられてしまったわけだが、騒動終結後、ブルジョア王国はカリュウ・D・トルコの旗を掲げ、彼のナワバリとなった。無論、彼自身がそうしたわけではない。ブルジョア王国の王と民衆達の総意によって、そうなってしまったに過ぎないが…。

 

 今後、世界政府加盟国を自ら脱退し、カリュウ・D・トルコの旗を掲げたいと申し出る国は他にも出てくるはずだ。

 

 なんせ、天竜人という存在に不満を抱く民衆はこの世界にごまんと存在するのだから。

 

「時代が変わろうとしている。〝革命軍〟が──()()()()()が接触を図るかもしれんぞ…ガープ」

 

 革命の炎が少しずつ燃え広がりつつある。

 

 世界は今、大きく変わろうとしているのだ。

 

「そうかもしれん。

 じゃが、トルコは大きな組織に属するタイプではない。己の領分をわきまえておる。協力はしても、加わることはないはずじゃ……が、今やあやつが変化の中心じゃ」

 

 老兵達は新時代の到来を肌で感じ取り、己達の引き際を見定めるのである。

 

 

 ✮✮✮✮✮

 

 

 人ひとりを有に乗せる大きな亀に乗り、偉大なる航路(グランドライン)を1人で渡る美しい女がいた。

 

 その美女は、1枚の手配書を眺めながら静かに涙を流し、そして静かに呟く。

 

「あの時……もしあなたが()()()()()()()()()()……オハラも救われていたのかしら──カリュウ・D・トルコ」

 

 〝ブルジョア王国の奇跡〟が世界に与えた衝撃はあまりにも大きく、それと同時に、世界に与える影響は計り知れないものがある。

 

 そのなかでも、今回の一件に誰よりも驚いているのは彼女だ。彼女はかつて()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。法律という名を得た理不尽にして暴力(殺戮)によって滅ぼされた〝オハラ〟唯一の生き残り──〝悪魔の子〟ニコ・ロビンは、当時まだ生まれて間もなかったであろうカリュウ・D・トルコに対し、行き場のない想いを口にする。

 

 それも無理はない。

 

 バスターコールによって己以外の全てが滅ぼされてしまったオハラ。

 

 バスターコールを向けられながらも、誰一人死ぬことなく生き残ったブルジョア王国。

 

 この二つの国の大きな違いこそが、〝狩人〟カリュウ・D・トルコの存在なのだから…。

 

 もし、彼がオハラにいたら、バスターコールによって滅亡することはなかったかもしれない。ブルジョア王国のように救われていたかもしれない。〝もしも〟の話をしても、トルコはまだ当時生まれて間もなかったのだから酷な話ではあるが、ニコ・ロビンはそう思わずにはいられない。

 

 それだけ、彼女が味わった傷は深いのだから…。

 

「どうして今なの!?

 どうしてッ……あの日に現れてくれたらオハラはッ──う…あああああぁ!!」

 

 手配書を強く握り締め、ニコ・ロビンは大粒の涙を流しながらこの場にいない、会ったこともないトルコに対し行き場のない怒りを泣き叫ぶ。

 

 しかし、ニコ・ロビンは知らない。カリュウ・D・トルコの過去を…。そして、トルコが悲しみの連鎖を断ち切る為の旅の最中にオハラ跡地を訪れ、オハラに起きた悲劇を目の当たり(過去視)にし、唯一の生き残りである彼女を保護し守るべく捜索していることを…。

 

 悔やんでいるのは彼女だけではない。

 

 トルコもまた、オハラに起きた悲劇を視て、己がもしその場にいたならばと、〝もしも〟の思いを口にしていたのだから…。

 

 世界政府と海軍によって全てを喪い、今も尚追われ続け、逃げ続けるニコ・ロビン。

 

 海軍と海賊によって全てを喪いながらも、悲しみの連鎖を断ち切るべく強くなり、五番目の皇帝と呼ばれるまでに至ったカリュウ・D・トルコ。

 

 果たして、この2人が出会える日はやって来るのか…。

 

 

 ✮✮✮✮✮

 

 

 衝突する剣と鉄パイプ。

 

 互いに金髪であり、気品ある服装に整った容姿(イケメン)

 

 どことなく似通った2人が戦っている。

 

「君はどこかの王族か貴族の出だな!?

 ぼくにはわかるぞ!!」

 

 片や、世界政府と海軍に真っ向から喧嘩を売り、返り討ちにした一派の〝海賊貴公子〟にして剣術の天才。

 

「おれが貴族の出だと!?

 ありえないな!!」

 

 片や、世界政府と海軍が危険視する()()()にて、つい最近ではあるが若くしてNo.2(参謀総長)にまで上り詰めた〝竜爪拳の達人〟。

 

 そんな才ある若き2人の戦いを、今や世界で最も有名な男──五番目の皇帝と呼ばれるまでに至った〝狩人〟カリュウ・D・トルコは、止めるでもなく眺めている。

 

 だが、その表情はどことなく険しい。

 

「トルコ、どうかしたの?

 それともまた、君の〝見聞色の覇気〟が働いたのか?」

 

「ヤマト……ああ、そうだな。

 ここ(革命軍)もまた、悲劇に満ちている。どうやら、おれ達と天竜人、世界政府の因縁はこれからも続きそうだ」

 

 今、トルコ達は〝革命軍〟の本拠地である白土の島〝バルティゴ〟に招かれている。

 

 世界政府と海軍が血眼になって捜索する世界最悪の犯罪者──〝反逆竜〟ドラゴン率いる革命軍にトルコ達が招かれた理由だが、それは容易に想像できるだろう。

 

 反世界政府組織〝革命軍〟。

 

 主に世界政府によって奴隷労働を強いられている人々の解放活動や、海賊に襲われていた市民の救助を行ったりもしているが、革命軍の真の目的は、世界政府の圧政……つまりは現在の権力構造を破壊し、天竜人を引きずり降ろし、自由と平等な世界を実現することだ。

 

 その思想は世界各地に広がっており、クーデターや反乱によって世界政府加盟国のいくつもが滅亡に追い込まれている。当然、世界政府は革命軍の影響力を恐れ、黒幕の革命軍本隊と総司令官であるドラゴンを追い続けている。

 

「得体の知れない我々〝革命軍〟の招待を受けてくれたこと感謝する──カリュウ・D・トルコとその仲間達よ」

 

 そしてどうやら、トルコ達が引き起こしたブルジョア王国の奇跡は、〝反逆竜〟ドラゴンにまで影響を与えたらしい。

 

「お前達が今回起こした奇跡は、世界各地でくすぶっていた革命の火を大きく燃え上がらせた。

 我々革命軍の士気もいつになく高まっている」

 

 影響を与えると同時に活気も与えていた。

 

 もっとも、これはトルコが意図したことではない。彼は革命を起こしたいわけではない。彼の行動がたまたま、そのような結果(革命)に結びついているだけだ。

 

 それ故に、革命軍からの招待は必然と言えるだろう。

 

 遅かれ早かれ、トルコは革命軍から招待されることになっていたはずだ。今やトルコの敵は革命軍と同じなのだから…。

 

「カリュウ・D・トルコ、そして〝銀狼〟ヤマト……我々、革命軍の仲間に加わるつもりはないか?もちろん、キャベンディッシュもだ」

 

 招待された理由は、無論──革命軍への勧誘だ。

 

 果たして、トルコの返答は…。

 

 

 ✮✮✮✮✮

 

 

 場所は偉大なる航路(グランドライン)。目指すは凪の帯(カームベルト)

 

 どうやら、トルコは革命軍からの誘いを断ったようである。もちろん、トルコと革命軍が敵対することはない。協力できる範囲でならと、トルコと革命軍は同盟を結んだ。

 

 今はまだ、トルコ一派と革命軍の同盟は世界政府と海軍にも知られてはいないが、これが公になれば、世界に与える影響は大きく、革命の火はさらに増すことになるだろう。

 

 そして、今後これまで以上に強力な敵との戦いが待ち構えているであろうことをトルコは予想し、〝海賊女帝〟ボア・ハンコックを仲間に引き入れること、それに伴い五番目の皇帝として女ヶ島〝アマゾン・リリー〟をナワバリとし、トルコの旗を掲げることをついに決意し、ハンコックを迎えに行くことにしたようなのだが…。

 

 ただ、その道中にて、〝シンシア号〟の目の前に一隻の黄色い潜水艦が浮上した。

 

()()()()()()()()()()

 辛かったろう。家族を……弟妹を目の前で喪う辛さは誰よりも知ってるつもりだ。とりあえず食え。残された俺達は、亡くなった家族の為にも生き続けなければならない。その為にも食え。食って力をつけろ」

 

 懸賞金1億ベリー。キャベンディッシュの一つ下の世代であり、北の海(ノースブルー)代表のルーキー海賊として名を馳せる〝死の外科医〟トラファルガー・ローとその一味〝ハートの海賊団〟である。

 

 ハートの海賊団の母船にして潜水艦〝ポーラタンク号〟が目の前に浮上した瞬間は、億超えのルーキー海賊の挑戦かとヤマトとキャベンディッシュは警戒したが、敵意を一切感じていなかったトルコは警戒することなく、それどころか見聞色の覇気(悲劇センサー)が反応し、トラファルガー・ローの壮絶な過去(悲劇)を視たトルコは、彼をシンシア号のキッチンへと招き手料理を振る舞うことにした。

 

「ッ……う、うめェ。

 母様が握ってくれたおにぎりみてェだ。焼き魚の焼き加減と塩加減も……うめェ。

 うう、母様、父様、ラミぃ…」

 

 その結果、カリュウ・D・トルコの長男力と母性によってトラファルガー・ローは陥落。

 

 元々、トラファルガー・ローは世界政府と海軍を相手に真っ向から勝負を挑み、勝利したトルコ一派の仲間に加えてもらうべく、トルコ達を探していたらしいのだが、胃袋もがっつり掴まれてしまったようである。

 

 〝海賊女帝〟ボア・ハンコックを正式に仲間に引き入れるよりも前に、トルコは船医を獲たかもしれない。

 

 






ようやくロビンを出せた。けど、ロビンはトルコに対して心中穏やかではいられない。オハラはバスターコールで滅亡してロビンは全てを喪い、ブルジョア王国は守られたのだから当然。トルコの過去を知らないロビンに怒りをぶつけられても静かに謝罪するタイプだけど、当時まだ生まれて間もなかったという辛さ…。

でも、それもこれも全ては世界政府が悪いという…。

ハートの海賊団仲間入りか?
まだ、ローとベポとシャチとペンギンの4人の時です。

ローの好物はおにぎりと焼き魚。

料理は火加減!
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