再登場はあるのか?
迫る雷。
普通、雷というものは斬るものでも、斬ろうと思って斬れるものではない。
しかし、この世界には雷を容易く斬り裂く強者が存在する。まるで、雷が紙や豆腐であるかのように…。
「なにが神だコノヤロウ。
ロビンに雷放ちやがって。おまけにハンコックがお前の女に相応しいだと?寝言は寝て言え。
━━〝
その強者にとって、雷など恐れるべきものではない。
ましてや、その雷が
「あ、ありがとう、トルコ。
(か、雷を斬るなんて。
す、凄い。これが〝五番目の皇帝〟の力…)」
「こ、これはもしや、トルコが嫉妬で怒り狂っておるのか!?わらわ嬉しすぎて昇天してしまいそうじゃ!」
覇気はこの世のすべてを凌駕する。
「雷を斬った……だと?
あ、ありえぬ!神の放つ雷を斬るなど!!」
これは、この世界の海──〝
如何に強力な能力といえども、能力がこの世界を制することは決してない。
それはすでに一度、〝海賊王〟ゴールド・ロジャーによって
「お前は神にはなれねェよ」
しかし、この場所は上空1万mにある〝空島〟。空島の住民達が、下の海がどのような場所なのか知らぬのも当然。下の海から空島を目指す者はそれなりにいるが、空島から下の海に降りる者はごく稀だ。
つまり、この空島で神を自称するゴロゴロの実の能力者──〝
「き、貴様はいったい何者なのだ!?」
対して、これまで興味の欠片も湧かなかった1万m下の海〝青海〟は、自称
「下の海じゃ〝狩人〟と呼ばれてる。
ただそれだけだ」
これまで、何の弊害もなく力という恐怖によって空島を支配してきたエネルにとって、青海から突如現れたこの男──〝狩人〟カリュウ・D・トルコは悪魔そのもの。
エネルは今、知ったはずだ。
空島を天国とするならば、青海はまさに地獄だと…。
「まァ、お前を倒すのは
とくと味わうといい。これまで見下してきた青海の海賊にブッ飛ばされる悲劇をな…」
この後、自称
エネルにとって、人生最悪の不運である。
トルコ達からしたら、ただ空島に行ってみたいという軽い旅行気分だったのが、また一段とエネルの不運さを際立たせている。とはいえ、エネルのこれまでの悪行の数々を考えたならば、致し方なしと言う他ない。
エネルの悪行の数々は、トルコが狩るべき相手として認定するのに十分なものだ。
ただ、エネル討伐を己の手で成すことなく他の者に任せるのには、それだけの理由があるのだろう。恐らく、トルコがエネルを討ち取るのは簡単だ。それどころか、今のキャベンディッシュでも可能だろう。
「ハンコック、ヤマト、キャベンディッシュ。俺達はこれ以上この空島に被害が出ないように
トルコはいったいどこまで先の
自らを全能なる神と呼び、憚らない傲岸不遜な男だ。緻密に練り上げられたエネルの計画を尽く潰した上で、トルコは自身が期待を寄せる麦わらのルフィにエネルを討伐させるつもりなのだろう。それがどれだけ大きな屈辱をエネルに与えるのか…。これまでの悪行の数々に対しての罰である。
エネルにとっては不運以外の何物でもない。トルコ達と麦わらの一味が出会っていなければ、トルコ達が空島にやって来ることもなかったのだ。もし訪れることがあったとしても、エネルの計画が完遂された後だったならば…。
いや、どちらにしてもエネルの計画は頓挫していた。被害の大きさの差異はあれど、麦わらのルフィの前にエネルは敗北していたはずだ。
「ルフィ、ゾロ。
お膳立てはした。あとは経験を積み、強くなれ」
これは、下の海──〝青海〟では決して語られることのない
物語の結末は、美しい天使の鐘の音と共に…。
そこに、エピローグをさらに追加するとしたら…
「キャベン、おめでとう。
✮✮✮✮✮
この世界には星の数程の海賊が存在するが、空を飛び
有名どころだと、かつて海賊王ロジャーとも鎬を削り渡り合った〝空飛ぶ海賊〟の異名を持つ大海賊──〝金獅子のシキ〟だろう。いや、寧ろ金獅子のシキ以外には名前が出てこないかもしれない。
しかし、金獅子のシキが
「いやァ、空を飛んで航海するってのはなかなかにイイものだな。景色もいいし、風も気持ちいい」
掲げられた海賊旗は、狼の髑髏の背後に交差した矢と斧。それが意味するのは、世界政府と海軍の〝天敵〟だ。
「絶景じゃな。
それに、わらわの隣にトルコがおる。わらわ幸せじゃ」
空飛ぶ海賊船に乗る船員は
世界に名を轟かせる強者達なのだ。
「むぅ。
トルコとハンコックが仲良くなってるのは嬉しいけど、なんか胸がモヤモヤする?どうしてだろ?
んーまァいっか!トルコとハンコック大好きだし!」
血筋からして特別な者もおり、この者達にかけられた懸賞金額からも、政府と海軍がどれだけ危険視してるかも明白だ。
「ハハハハハ!
黄金に輝く空飛ぶ海賊船!美しいぼくに相応しい!ぼくをより美しくする方舟だ!
しかもようやく脱下っ端!頑張ってくれ後輩!」
老若男女を虜にする美男美女も揃っているのだから、世間に与える影響力もあまりにも大きすぎる。おまけに、この者達の
「くッ……おれの方舟〝マクシム〟にこのような低俗な旗が掲げられてしまうとはなんたる屈辱!
(それより、雷であるおれがこの中で一番弱いとはッ……青海はいったいどうなっているのだ!?)」
それどころか、数ある悪魔の実の能力の中でも、無敵の能力の一つと謳われるゴロゴロの実の能力者が一番の下っ端とは末恐ろしいにも程があるだろう。
幹部の3人全員が3億ベリーを超える高額賞金首なのは伊達ではない。
これもまた、〝狩人〟カリュウ・D・トルコが五番目の皇帝と恐れられる所以なのだ。
そこに、ゴロゴロの実の能力者まで加わり、その能力によって機動する空飛ぶ海賊船まで手にした今、政府と海軍はいったいどれだけトルコを危険視するのだろうか…。
「いやァしかし、麦わらの一味に便乗して空島に行って正解だったな。
唯一の救いは、狩人海賊団に〝悪魔の子〟ニコ・ロビンが加わらなかったことだろう。トルコ本人も、彼女に無理強いはしなかった。政府と海軍に追われ続けてきた彼女が、安心できる在処を得られたのならば、トルコにできるのは陰ながら守るだけ。大人しく身を引き、ニコ・ロビンに幸あらんことを願い、麦わらの一味に加わることを見届けたのである。
その中で、トルコは麦わらの一味との関係性を深めた。元々、トルコと麦わらの一味は接点があったのも大きいだろう。師匠〝鷹の目〟が期待を寄せる〝海賊狩り〟ロロノア・ゾロの他に、トルコが救ったウタの幼なじみにして、その過程で出会った
四皇の一角と世界最強の剣士、そして五番目の皇帝までも期待を寄せるルーキー海賊というのも、極めて危険度が高いが…。
「しかし、トルコは麦わらの一味に甘すぎではないか?そ、そんなにニコ・ロビンが気になるのか?わらわ嫉妬で…」
いや、唯一の救いではない。ニコ・ロビンはトルコの仲間にこそ加わっていないが、トルコの庇護下にあるようなものだ。彼女を狙い、麦わらの一味に下手に手を出せばトルコ達との全面戦争に突入してしまう。
ただ、すでに〝バスターコール〟を何度も打ち破られている政府と海軍は嫌でも慎重にならざるを得ない。その一方で、トルコはニコ・ロビンに手を出させない為の牽制にもなると同時に、エネルという
「政府と海軍からしたら、クロコダイルという隠れ場所を失った今がロビンの狙い目だ。彼女が奴らの手に渡るのは避けなきゃいけないからな」
それに、トルコは麦わらのルフィと海賊狩りのゾロに期待を寄せているが、彼らはまだ弱い。彼らだけでニコ・ロビンを守り切るのは不可能だ。トルコにとって憎き海軍大将〝赤犬〟が出てきたら……その結果は火を見るより明らか。一目瞭然だ。しかも、彼女を狙っているのは政府と海軍だけではないのだ。彼女を手に入れることは、〝
トルコが共に行動するのは、それを止める為の抑止力。今はまだそれが必要だ。
「!……噂をすればなんとやらだ。
それがこうも早く効果を発揮するとは…。
トルコの見聞色の覇気が捉えた大物はいったい誰なのか…。海賊なのか、それとも…。
とにもかくにも、世間は知ることとなる。狩人海賊団の力がまた一段と増したことを…。
「貴様にしたがはッ…!?」
「無礼者!
主であるトルコに向かってなんたる口の利き方!新入りといえど、手加減するのは今回のみ!次は蹴り砕いてくれる!」
空島で神を自称し、民を恐怖で支配していた男も、この中では礼儀を躾けられる側。
その男を躾けるのが海賊女帝とは恐るべし、狩人海賊団。
「ハンコック。
このマクシムを動かすのにエネルは必要不可欠だから程々にな」
「はい!」
その海賊女帝を従えるからこその五番目の皇帝。
大海賊時代が今、けたたましい雷鳴と共に大きく動き始める。
✮✮✮✮✮
見渡す限り海が凍りつき、この近海を統べる海王類すらも凍結している。
こんなことが可能な能力者は、世界広しといえども限られている。
いや、正確には
「残念だな。
〝ヒエヒエの実〟の能力者なら、ぼくとどっちが凍結能力が上なのか戦ってほしかったなァ」
内1人は、〝百獣のカイドウ〟の娘であり、懸賞金5億ベリーを超える狩人海賊団の守り神──〝氷狼〟ヤマトである。
ただ、今この場所でこの海域を凍結させたのはヤマトではない。
「まァ
「そうだね!
ぼくもトルコにカッコいい姿を見せてあげるよ!」
なら、もう1人はいったい誰なのか……それは言うまでもないだろう。
海軍本部最高戦力。現在の三大将は、全員が
トルコの仇敵である〝赤犬〟と対の力を持つその大将の名は──〝青キジ〟。
「やれやれ……ルーキー海賊を見に来ただけだってのに、どうして五番目の皇帝と出会すかねェ?
しかも、ゴロゴロの実の能力者までいるなんて初耳なんだが…。
(他の四皇に比べたら人数は雲泥の差だけど、質がヤバすぎでしょうよ……どうなってんのよ本当に!)」
〝だらけきった正義〟を掲げる穏健派の大将である。
「くッ、これが青海の秩序を保つ海軍とやらの最高戦力か。
(神を名乗っていたのが恥ずかしい!!)」
その青キジと、トルコからの命令でエネルが戦っていた。
エネルは今、かつての己を殴りたい気分だろう。それと同時に、神を自称していた頃を記憶から抹消したいはずだ。井の中の蛙大海を知らずとはよく言ったものである。
しかしそれにしても、トルコが見聞色の覇気で捉えた大物がまさか青キジだったとは…。
いや、考えるまでもなく答えは明白。トルコはすでにその答えを知っているのだ。
「かつて己が
「!
どうしてお前がそれを知ってんのかねェ…。
過去視でオハラに起きた悲劇を視たトルコは、青キジが事の中心にいたことを知っている。
だからこそ、青キジが向かう先がニコ・ロビンのもとであることもすぐに理解した。
だが、青キジが赤犬とは違う、市民の平和を心から願う海兵であることも過去視で理解していた。だからこそ、トルコは穏便に済ませるべく、相手が大将であるにも関わらず、エネルに戦わせたのだ。
青キジは話が通じる海兵なのだから…。
「ニコ・ロビンに一切危害を加えないのであれば案内してやる。ただし、彼女に会ってお前の
「ったく…。
五番目の皇帝と呼ばれるのは伊達じゃねェってか。
いったいどこまで知り、どこまで
もし、この場にいた大将が青キジでなければ、この海域近辺の島々の気候が変わってしまう程の戦いは免れなかっただろう。とはいえ、油断はできない。
五番目の皇帝と海軍本部大将が接触したのだから…。
▪️
天から降る雷を斬ると天罰をかけてみました。
神速の斧の一振り。
斧だから斬ではなく伐。
▪️方舟〝マクシム〟
この度、トルコの新たな海賊船となった。航空という新たな機動力を得た。金獅子のシキの船と違い、嵐なども怖くない。シンシア号も格納されている。
▪️自称
狩人海賊団の新入り。雑用兼マクシムの船大工(エンジニア)。原作で自力で直す描写あったし、船大工は彼しかいない。この度、トルコに上には上がいるという恐怖という名の現実を突きつけられ植え込まれ、原作主人公のルフィに敗北し、これまでの悪行の数々に対する償いを兼ねて狩人海賊団で雑用兼船大工と青海にての奉仕活動を行うことに。
期限はトルコが納得するまで。月に行けるのはそれから…。多分、3D2Yの間には行けるんじゃないかな?
執筆捗るのてご評価と感想よろしくです!