鷹の目が七武海に入ったのがいつ頃なのか、原作では言及されてなかったと思うので、個人的にはこんな感じで……
〝狩人〟カリュウ・D・トルコと〝鷹の目〟ジュラキュール・ミホークの出会いから1年と少し…。
そんなある日のことだ。
「おれは
「はい?」
世間が新たな〝四皇〟の誕生に驚愕してからまだ日が浅いなか、鷹の目が王下七武海に加入した。
1年前、強制的に弟子入りさせられたトルコは、その一報を事後報告という形で鷹の目から聞かされたようで、目を点にしているところである。
「七武海ってあの?政府の狗って蔑まれる?」
「その七武海だ」
王下七武海とは、世界政府に公認された七人の大海賊のことだ。鷹の目が大海賊に分類されるのかは疑問が残るところだが、世界最強の剣士と称される鷹の目個人の力が世界の均衡を保つ抑止力になり得るのは紛れもない事実。
とはいえ、トルコが口にしたように、七武海に加入するということは世界政府の傘下に入り、政府に協力することを条件に、指名手配、懸賞金の解除と共に一定の条件の下、他の海賊や世界政府非加盟国からの略奪行為まで認められるという権力を与えられるほどに、数多の海賊達への抑止力として政府に期待されていることもあり政府の狗と蔑まれてしまう。もっとも、鷹の目を含み、政府への忠誠心を持ち合わせた七武海など誰一人としていないのだが…。それどころか、七武海の権力を隠れ蓑に凶悪な犯罪を企むメンバーまでいるという噂だ。
そこに関しては、いくら政府公認といえど海賊だから仕方ないだろう。海賊はどこまでいこうと海賊なのだ。
「最近は海兵狩りをしてないとはいえ、なんでまた七武海なんかに……って、ああ、なるほど。
ただ一つだけ言えることは、ここに歴代最強の七武海が誕生したということだ。
なんせ、鷹の目は世界最強の剣士である。
世界最強の海賊と恐れられる〝白ひげ〟エドワート・ニューゲート、世界最強の女海賊〝ビッグ・マム〟シャーロット・リンリン、この世における最強生物〝百獣のカイドウ〟と並び、四皇の座に上り詰めた〝赤髪のシャンクス〟にも勝る剣技とまで称されているのだ。
単騎の力だけならば、四皇にすらも匹敵している。
「上手く避けるようになったではないか。
では、今日からはもう少し本気を出して相手をしてやろう」
「こ、この……ッ!
上等だ!七武海加入の祝いに一発食らわしてやる!!」
だが、政府は知らない。
その七武海歴代最強にして、四皇に匹敵する世界最強の剣士が弟子を持ち、鍛え上げていることを…。おまけに、その弟子が〝狩人〟であることを…。
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鷹の目が七武海に加入して数カ月。
鷹の目は七武海に加入し、政府の傘下に入ったわけで、当然ながら政府からの要請、命令が何度かあったわけだが、無論……鷹の目がそれに応じることは一度もなかった。
それどころか、鷹の目はここ数ヶ月の間一度たりともシッケアール王国跡地から出てすらいない。
改装した城から出てないわけではないが、鷹の目の現在の日常は弟子に修業をつけ、その傍ら農作業を行う毎日である。どうやら、この地をかなり気に入っているらしく、自給自足を始めたようだ。何の因果か、その手の知識と技術もトルコが持ち合わせていたのも、鷹の目が農業にハマる大きなきっかけとなったようである。
ここ最近は畑を耕し額に汗を掻く毎日に生の実感を犇々と感じているようで、島から一歩も出ていない半引きこもりなわりに、実に健康的なようだ。
おまけに、弟子は年若くして億を超える懸賞金を懸けられた逸材。斧や包丁、サバイバルナイフといった刃物は扱えるのに刀剣は一切扱えないという致命的な欠点こそあるが、狩猟で鍛え抜かれた精神力と無尽蔵な体力を持つ磨けば輝く原石。そんな弟子に修業をつける毎日に充実感も覚えており、かつてなく活き活きとした表情をしているようだ。
古くから鷹の目を知る人物が今の鷹の目を見たら、別人と思ってしまうだろう。
「トルコ、今日から〝覇気〟の修業に入る。
これまで以上に厳しくいく。覚悟しておけ」
そして、一番の大きい変化は、鷹の目のトルコに対する呼び方だろう。トルコのことを姓のカリュウと呼んでいたが、いつぞやか名前で呼ぶようになっていた。
それはきっと、鷹の目がトルコを弟子として認め、身内のような存在としても受け入れた表れなのだろう。
「おれが知る限り、最強の斧使いはロジャー海賊団No.3──海賊王の左腕にして、〝山喰らい〟と恐れられたスコッパー・ギャバンだ。どうせなら超えてみせろ」
それ故に、弟子に寄せる期待も相当に大きいようだ。
「相変わらず規模が違いすぎる!
けどやってやるよォ゙!そんくらい超えられないんじゃ悲しみの連鎖なんて終わらせられないからなァ!!」
「その意気だ。
では、
当然、鷹の目の修業を厳しく、激しい。
覇気に関する説明は実に理論的でわかり易く。しかしその反面、実戦的な修業に関してはスパルタだ。
「始めるぞ」
「ッ……」
ごくり……これから始まる地獄のような修業に覚悟を決めたトルコが、鷹の目の強大な覇気を感じ取り、緊張のあまり喉を鳴らす音が静かに響く。
対して、木刀を持つ鷹の目は嬉々としている。まずは木刀から始め、次に木刀に覇気を纏わせ、最終的には愛刀に持ち替えるつもりでいるらしい。
この日からしばらく、叫び声が響き渡ることだろう。
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〝覇気〟とは、全世界の全ての人に潜む意志の力であり、気配、気合、威圧、殺気、闘争心などの目に見えない感覚を自在に操れるようになる力だ。
しかし、多くの人間がその力に気付くことなく一生を終える。
ただ、
つまり、新世界を航海するにあたり、覇気は必須の力ということだ。
覇気は大きく分けて
相手の気配をより強く感じ取る〝見聞色の覇気〟。
見えない鎧を着るように纏う〝武装色の覇気〟。
最後に、相手を威圧する〝覇王色の覇気〟。
一つだけ訂正すると、覇王色の覇気のみは王の資質を持つ選ばれた者のみが持つ覇気であり、全ての人に潜んではいない。
「す、すげェ。
つっても、俺が放った矢だけど、武装色の覇気纏わせるとこうも貫通力が上がるのか…」
とはいえ、覇王色の覇気は別物として、武装色の覇気と見聞色の覇気も極めれば強大な力になるのは疑いようもない事実。
「お前は幼い時分から、長く狩猟をやって来た影響もあるのか、武装色、見聞色、どちらの覇気にも偏りがないようだな」
ちなみに、目隠しをした状態で武装色の覇気を纏った木刀を持った世界最強の剣士に殴り続けられるという拷問を受けたカリュウ・D・トルコも、苦痛と引き換えに覇気を開眼することに成功したようだ。
よく、開眼するまで心と体が保ったものだ。
「それに、この島全体……いや、近隣の海の中の気配も感じ取ることができる」
「まさに狩人だな。
(だがトルコ、お前の真の力はこの程度ではない。
武器の扱いを覚えた厄介なヒヒ達が従う姿はまさしく王者。何れ、王の資質が花開く時がやって来る。
クク……まさかこのおれが弟子を持ち、お前と同じ思いを味わうことになるとはな。
いや、だからこそ鷹の目が弟子として迎え入れたのだろう。
オリ主、鷹の目の修業を受けても刀剣の才能は皆無。改善する見込みもなかった模様。
手からスッポ抜ける呪いは根強かった。