ロジャーやガープの全盛期時代の過去編はいいね!
というより、あの人が思った以上にカッコいい!!
この日、狩人海賊団のもとに一人の海賊が訪れていた。
逆立った赤い髪に分厚い唇がトレードマークの海賊の名は、ロックスター。四皇の一角に数えられる〝赤髪のシャンクス〟率いる赤髪海賊団の新入りとのことである。
「赤髪が俺に?」
「え、ええ……重要な話だとの事で…」
トルコは思う。
新入りとはいえ、四皇の一角がわざわざ使者を送ってくるような存在になった覚えはないと…。
「フン!
トルコを相手になんと無礼な!赤髪に伝えるのじゃ!トルコに話があるのならば直接来いと!!」
副船長兼副料理長 〝海賊女帝〟 ボア・ハンコック 懸賞金11億9200万ベリー
相変わらず、己自身に対して無頓着すぎる。
己自身の懸賞金額だけではなく、仲間達の懸賞金額を改めて見た上で同じことを言えるのだろうか…。
「ぼくは会ったことないけど、赤髪のシャンクスって〝おでん〟に赤太郎って言われてたんだろ?」
航海士 〝氷狼〟 ヤマト 懸賞金8億1000万ベリー
ガープと青キジとの三日三晩の戦いを経て、トルコ達の懸賞金は新たに更新されている。
トルコの懸賞金額はついに20億ベリーを超え、ハンコック達もそれぞれ2億ベリー以上も上乗せされた形だ。
「内容は?
ぼくのブロマイドが欲しいって?」
操舵手 〝海賊貴公子〟 キャベンディッシュ 懸賞金6億8000万ベリー
四皇達が率いる海賊団と比べると、船員の数こそ雲泥の差ではあるが、幹部の懸賞金額だけを見たならばそこまで大きな差がないのだから恐るべきことだ。
「赤髪とやらはともかく、おれも賞金首になったようだが、この額はどう判断すればいいのだ?おれが一番低いことに疑問はないのだが…」
エネルが初頭手配額で5億ベリーを超えてしまうのも、トルコと彼が率いる狩人海賊団がそれだけ危険視されているということを意味している。もちろん、エネル自身の厄介さもあるだろう。一番弱い下っ端新入りがゴロゴロの実の能力者なのだから末恐ろしすぎる。
たった5人の海賊団。
だが、彼らの実績と実力は恐るべきものだ。
トルコはこれから先、狩人海賊団をどこまで大きくしていくつもりなのだろうか…。世界政府と海軍はトルコの動向が気がかりでならないはずだ。
ちなみに、トルコは船医とパティシエを欲しているようだ。コックに関しては、ハンコックに料理を教えたところめきめきと料理の腕前を上げ、今では彼女と一緒に料理をするのがトルコの日課のようだ。
ハンコック曰く、厨房は〝トルコとわらわの愛の巣〟とのことだ。彼女が料理の腕を上げたのも、トルコの指導のおかげであり、愛の成せる業だったのだろう。
さっさと結婚してしまえばいいものを…。そして全世界の男達に命を狙われるといい。
それはともかく、トルコがパティシエを欲しているのはお菓子作りだけはどうも苦手だからのようだ。それでいて、トルコは甘い物に目がないのである。密かに、一流のパティシエを探し続けているとのことだが、果たして見つけることができるのだろうか…。
「赤髪のビブルカードもあるし、会いに行くか。
ロックスターだっけ?ついでに送ってってやるよ」
狩人海賊団船長兼料理長 〝狩人〟またの名を〝神箭手〟 カリュウ・D・トルコ 懸賞金23億2160万ベリー
話がそれてしまったが、五番目の皇帝と四皇〝赤髪のシャンクス〟が接触するとなれば政府と海軍は厳戒態勢を敷かなければならない事態だ。決して見過ごすことなどできない。
だが今は、
「話がしたいってのは、間違いなく
それにしても、政府と海軍は何を考えてる?まさか
今、世間は白ひげ海賊団2番隊隊長〝火拳のエース〟の公開処刑の話題で持ちきりだ。いや、それどころではない。火拳のエースの公開処刑=四皇〝白ひげ〟との全面戦争を意味しており、全世界の人々は大海賊時代がどう変化してしまうのかと戦々恐々としている。
そんななか、狩人と赤髪の接触。
世界の均衡が少しずつ崩れつつある。
一時は、バナロ島での一件を知り、エースが捕らわれの身となったことを独自に知ったトルコは単身、エースを救出しに向かおうとした。だが、ハンコック達にそれは止められてしまった。トルコがそこまでする必要があるのかと…。
確かにその通りだ。エースの身に起きた問題はエース自身の問題で、ひいては白ひげ海賊団が解決すべき問題だ。かつて旅を共にした間柄といえど、トルコが出しゃばる問題ではない。エースにはエースの仲間がおり、トルコにはトルコが守るべき仲間達がいる。エースと面識のあるヤマトだけは最後まで渋ってはいたが、トルコは冷静な判断を自ら下したのである。
トルコの役目は他にあるのだから…。
だからこそ、赤髪のシャンクスはトルコとの話し合いの場を設けようとしているのだ。
「
やって来てしまうのか……混沌の時代が。
ったく、余計なことしてくれたな。なんか、考えてたら腹立ってきちまった」
トルコは人一倍、悲劇に敏感だ。そのトルコが、これから到来するであろう悲劇の数々を
「あ……ぐ……
(こ、これが五番目の皇帝!
ッ……意……識が……)」
激しい怒りと同時に解放された覇王色の覇気。
トルコの強大な覇気は、新入りとはいえ赤髪のシャンクスに使者を任せられた船員の意識を瞬く間に刈り取ってしまう。トルコのその怒りは何に対して……いったい誰に向けられたものなのだろう。
「
意外にもその怒りは、エースの身柄を手土産に七武海にのし上がった黒ひげでもなく、公開処刑に踏み切った政府と海軍でもなければ、この一件の渦中の人物──〝火拳のエース〟に向けられるものであった。
恐らく、短かい期間だったとはいえ共に航海したことで、トルコは多少なりエースの性格を知っており、今回の一件はエースの短所が災いし招いてしまった結果なのだろうと、トルコは判断している。
トルコですら、得体の知れなさ故に戦いを避けた相手が黒ひげだ。その黒ひげに事情はどうであれ無謀にも戦いを挑み、結果……エースは捕らわれの身となり、事態は公開処刑にまで至ってしまった。
エースを救出するべく白ひげが大艦隊を率い動くのは明白で、政府が海軍本部と七武海の二大勢力の全戦力をもって白ひげを迎え撃つのは当然のこと。
もはや、〝大海賊時代〟始まって以来の大戦争は免れることができない。
「赤髪のもとに向かう。
みんな……忙しくなるから覚悟しておけ」
だからこそ、トルコと赤髪はこうして動くのである。
この戦いが世界に与える影響を少しでも和らげるべく…。少しでも、無駄な血が流れてしまわぬように…。
✮✮✮✮✮
四皇〝白ひげ〟率いる新世界47隻の大艦隊 対 世界政府の二大勢力〝海軍本部〟〝王下七武海〟連合軍
世紀の大戦争を前に、世界は今緊迫している。
まだ起きてはいないが、戦争は必ず起きる。誰もが……この世界そのものがそれを感じ取っている。
その影響は至る所に…
「トルコ……この
「お、おばッ!?
トルコ……この無礼な小娘は何者じゃ?」
五番目の皇帝に見初められし女と四皇の愛娘が火花を散らせている。そのような事態が平然と起きてしまう。
「ウタ、紹介する。彼女はボア・ハンコック。ウチの副船長兼副料理長だ。
ハンコック、紹介する。彼女はウタ。赤髪の娘で、赤髪海賊団の音楽家だ」
なんと不安定な海なことか…。
「小娘。
わらわはボア・ハンコック改めカリュウ・D・ハンコックじゃ」
「ぐぬぬ」
とりあえず、ハンコックとウタの戦いは海賊女帝の一歩リードといったところか…。
いや、そう判断するのはまだ早計である。
赤髪のシャンクスの愛娘が大人しく引き下がるなど決してあり得ない。
そもそも、ウタのトルコに向ける熱情は凄まじい。元々、依存しやすい彼女の性格もあるだろう。命を救われ、父親達と和解することもでき、夢を諦めずにもすんだ。それもこれも全てはトルコのおかげだ。ウタにとってトルコは大恩人なのだ。
ただ、トルコに対するウタの想いはそれだけではない。
己の為に〝
「わ、私は──ウタ!
今日から狩人海賊団の音楽家兼
「なん……じゃと?」
トルコに救われ、赤髪海賊団のもとに戻ったウタは、この数年の間ずっと、今すぐにでもトルコに会いたい気持ちを必死に抑え、血反吐を吐く思いで努力を続けた。
それもこれも、己の夢を果たす為だけではなく、トルコの隣に立つに相応しい存在になる為だ。それは仲間として、人として……女としてもだ。
音楽家としてだけではなく、非力な自分に出来ることを考え、ウタは医学を必死に学んだ。一度、闇に堕ちかけたウタにとって、医学を学ぶことは合っていたのだ。とくに、精神が不安定になった者達を安眠作用のある歌を用いて治療するなど、ウタならではの治療法も開拓した。他にも、己の身は己で守れるように、最低限の
そう、全てはトルコの為に…。
「トルコ、私……少しは成長できたかな?」
トルコと再会した時、立派になった姿を見せる為に…。
「少しどころじゃねェよ、ウタ。
凄ェよ。本当に──イイ女になったな、ウタ」
「トルコ!!」
惚れた男からの最大限の賛辞。
感極まったウタは、ハンコックの存在などお構い無しにトルコに抱きついた。
そしてウタは…
「ししし!
(どうよオバサン!!)」
さすがは赤髪のシャンクスの愛娘。
トルコと共に過ごした時間で負けていようとも、逆境を己自身の力で乗り越え、ハンコックに正面から宣戦布告。
「こ、この小娘ェェェ!!」
ただ、ハンコックとウタの小競り合いなら、まだ可愛い方であろう。
五番目の皇帝と四皇が小競り合いを起こすよりは…。
「斧を抜けトルコォォォ!
ウタはまだお前にはやらないぞ!おれの方がまだ17億ベリーも上だ!」
「お頭。今回はおれも混ぜてもらおうか…。
ウタがいながら海賊女帝まで……男としての
なんと不安定な海なことか…。
✮✮✮✮✮
場所は
その新世界に存在するとある海域……島全体がケーキの形を成す〝ホールケーキアイランド〟と周辺の34の島々で構成された
「赤髪のヤツ、無茶振りしやがって…」
この海域全てが、四皇〝ビッグ・マム〟シャーロット・リンリンのナワバリである。
「シャンクスがごめんね、トルコ。
たまにというか、基本子供っぽいっていうか…」
現在、トルコ達狩人海賊団は、その
トルコ達がわざわざビッグ・マムのナワバリ近くにまでやって来た理由だが、これも赤髪のシャンクスと接触したことが関係している。正確には、赤髪から頼み込まれたのだ。
今回の一件を機に、残る四皇のどちらか、もしくは両方が白ひげを討ち取ろうと動きを見せる可能性があると…。いくら赤髪といえど、残る四皇……〝百獣のカイドウ〟と〝ビッグ・マム〟の両方を相手にするのは不可能。そこで、赤髪の協力者として、トルコに白羽の矢が立ってしまったのである。
いや、トルコしか頼める者がいなかったというべきか…。赤髪海賊団も四皇の一角であるのだから、傘下の海賊団が多くいる。しかし、赤髪海賊団は傘下が弱いことで有名だ。もし、ビッグ・マムが白ひげを討ち取るべく動き、赤髪海賊団の傘下がそれを止めるべく立ちはだかったとしても、全滅してしまうのは火を見るより明らか。
ビッグ・マムによる蹂躙、大虐殺……力の差は歴然だ。
「ウタが謝る必要はねェよ。
俺も無駄な血が流れるのは望んでないしな。とはいえ、引き受けたからには本気でやるが、ビッグ・マムを相手にどこまで足止めできるやら…」
だが、五番目の皇帝ならばビッグ・マムを相手にしても引けを取ることはない。赤髪はそう判断したのだ。一見、ウタが言ったように、娘可愛さに大頭と副船長が揃ってトルコに襲いかかったのは大人気なく、子供っぽく見えてしまうが、赤髪達はトルコの現在の実力を試したのだ。
その上で、赤髪はトルコにビッグ・マムの対応を任せたのである。そもそも、海軍の英雄と海軍大将を相手に生き延びる実力を持ち、フットワークの軽い少数精鋭は狩人海賊団をおいて他にない。
目的は討伐ではなく足止め……まさしく適任だろう。
赤髪にとって苦渋の決断ではあっただろうが、かねてより愛娘の願いの一つであった狩人海賊団への移籍もこのタイミングで行われ、戦力補強もされた。
「誰であろうと、ビッグ・マムであろうと、トルコとわらわの愛を打ち破ることなどッ────ふえ?」
それでも、赤髪からの頼み事が無理難題であることに変わりはない。相手は女海賊の中でも最高懸賞金額を誇る化け物だ。狩人海賊団の皆が生まれるよりも以前からこの海で海賊として活動し続けている。海賊としての経歴も、踏んだ場数も圧倒的だろう。
「ハンコック、ここはすでにビッグ・マムの本拠地付近。一瞬たりとも気を抜いてくれるな」
それを理解しているトルコは、ハンコックを守るように抱き寄せ、斧を前に構えている。斧の鋒は何かに向けられており、そしてたった今、何かを斬った。
「は……はい…。
(ト、トルコがわらわを抱き締めて守ってくれた!わ、わらわ、戦う前に嬉しさのあまり死んでしまいそうじゃ!!)」
すると、トルコは強大な覇王色の覇気を放ち、視線の先にいるであろう何かに怒りを向ける。己の目の前で、大切なハンコックの脳天に向けてジェリービーンズを放たれたのだから当然だろう。もはや、この時点で赤髪からの頼み事は破棄し、討伐に変更してもいいくらいだ。
「ハーッハハマママママ!
まさかお前自らおれの前に現れるとはねェ──〝狩人〟。何の用だィ?おれの傘下に入りにでも来たのかィ?強ェのは大歓迎だよ!今からちょうど、ニューゲートの首を取りに行くとこだったが、さっそくお前も来るといい!」
どうやら、赤髪の読みは間違ってはいなかった。
願わくば、杞憂に終わることを願っていた。
しかし、その願いは叶うことなく…。
今この世界に、安全な場所などないのかもしれない。
「ハッ!
狩られるのはお前だ──シャーロット・リンリン!!
━━神箭・嚆〝流星雨〟!!! 」
皇帝同士の小競り合いという前哨戦の火蓋が切られる。
ようやく、狩人海賊団の一味の役職を書けた。
厨房はハンコックにとっての愛の巣。花嫁修業真っ只中。
そんななか、最大のライバル再登場。狩人海賊団にいなかった医学を身に付けた歌姫。
専門は精神科医。闇落ちしかけたからこそである。もちろん、医療全般の技術は習得済み。