合併号明けの休載は辛いぜ…。
凄まじい覇王色の覇気の衝突。
片や、上空を見上げ、睨みつける四皇──〝ビッグ・マム〟シャーロット・リンリン。
「ハーッハハマママ!
聞き間違いかィ?おれに今ここで殺してくれって聞こえたんだが、どうなんだィ!?なァ……若造!!」
片や、海面を見下し、睨みつける五番目の皇帝──〝狩人〟カリュウ・D・トルコ。
「年は取りたくないもんだな。耳は遠くなるわ、被害妄想は激しくなるわ……ハンコックに手を出した報いをお前ら全員に受けてもらうって言ったんだよ!」
トルコとビッグ・マムの覇王色の衝突によって、バリバリと黒い稲妻が迸り、その衝撃で波のうねりも大きくなる。ビッグ・マム海賊団の下っ端の船員達は意識を保てずに気絶してしまい、トットランド沖に緊張が走る。
起きてはならない小競り合いが今、勃発する。
後に、この一戦はこう呼ばれることとなるのだ。
時代の転換期──〝マリンフォード頂上戦争〟の盤外戦にして、〝トットランドの天変地異〟と…。
「ハンコック!ヤマト!キャベン!
3人は俺に続け!エネルは〝
最後に一つ!誰一人として欠けることは決して許さん!これは船長命令だ!破れば飯抜き!肝に銘じろッ!!」
海賊王世代の大海賊を相手に、新時代の異端児が挑むこの戦いは、一見して戦力差は一目瞭然。ビッグ・マム海賊団の戦力はビッグ・マムを含み100人近い人数だ。対して、トルコ達はたったの6人。
これほどまで、多勢に無勢を再現した戦場はないだろう。
「ヤマト!」
「うん!
━━〝地異氷獄〟!!! 」
しかし、今この
キャベンディッシュ以外の3人は能力者。勢いよく方舟〝マクシム〟から飛び降りたが、このままでは海に落ちてしまう。まさに、自殺行為でしかない。だが、そうはならない。
その凍結現象は海軍大将〝青キジ〟にも引けを取らない。
ヤマトの能力によって、広範囲の海面が凍結し足場が出来上がり、トルコ達の戦闘準備は整った。寧ろ、トルコ達の
青キジを相手に、どちらの凍結能力が優れているか比べたいと啖呵を切ったのは、決して強がりなどではなかったのだ。
「これが〝氷狼〟の力かィ!?
さすがはカイドウの娘だねェ!おれはアイツのことを今でも弟のように思ってる!つまりお前はおれの姪っ子も同然!可愛がってやるからウチに来なッ!なんだったら、息子達の誰かと結婚するといい!誰にする?
ヤマトの力を目の当たりにしたビッグ・マムは、かつての
ただし、ビッグ・マムではヤマトを制御することはできない。
「断る!
〝おでん〟以上にカッコイイと思えるトルコに、ぼくは一生ついて行くって決めてるんだ!」
ヤマトには心に決めた主君がおり、これから先もそれは一生変わることはない。
ヤマトが幼い頃より憧れ続ける〝おでん〟という名の侍……その
ヤマトにとって、トルコと狩人海賊団の仲間達、おでん以外の存在はビッグ・マムであろうと有象無象も同然。
「トルコは海賊王にならない。
けど絶対に!唯一無二の偉大な存在になる!
そんなトルコの……右腕はハンコックで、ぼくは左腕だ!!」
ヤマトの宣言はトルコ達の士気を上げる。
「わかっておるではないかヤマト!
そなたなら〝側室〟も歓迎じゃ!!」
「勝手に決めんな!」
この危機的局面にも、一切の恐怖心を持ち合わせていない。トルコ達は本気で……たった6人で乗り越えるつもりだ。
前例のない、この多勢に無勢の戦場を…。
「ビッグ・マム以外の女性陣達は皆、ぼくが相手をしよう。さァおいで!ファン達よ!!」
いや、多勢に無勢の危機的状況も案外簡単に覆せるかもしれない。ビッグ・マム海賊団の女性陣、つまりはビッグ・マムの娘達なわけだが、彼女達のなかには〝海賊貴公子〟キャベンディッシュのファンがそれなりにいる。
これで、幾分かは戦力減となるだろう。
その一方で、男性陣達は〝海賊女帝〟ボア・ハンコックの美しさに魅了されていたのだが、ハンコック自らがトルコの本妻であると取られかねない発言をした為に、醜く嫉妬に狂い戦力が増強された可能性がある。
おまけに、あの百獣のカイドウの娘であるヤマトの美貌まで加わり、独身者の醜い嫉妬がトルコに向けられており、それと同時に、カイドウの娘がこんなに可愛いわけがない……と、失礼極まりない心の声がこの戦場に響き渡っていたりもした。
海賊らしいと言えば海賊らしいのだが…。
とにかく後にも先にも、これほどまでの多勢に無勢の戦いは……いや、前例がないわけではない。
誰もが知る伝説の海戦。
それはかつて、新世界のエッド・ウォー沖で勃発した戦い──〝エッド・ウォーの海戦〟だ。
まだ、ゴールド・ロジャーが海賊王と呼ばれる前、ロジャー海賊団と、大海賊〝金獅子のシキ〟率いる大艦隊が衝突した伝説の一戦である。この一戦も多勢に無勢で、金獅子のシキの勝利を誰もが疑ってはいなかった。しかしその結果は、戦闘中に突如発生した大嵐によって金獅子海賊団の艦隊の半数が沈み、金獅子のシキが奇跡的な不慮の事故……頭部に舵輪が刺さる重傷を負い、これを機にロジャー海賊団は戦場を離脱することに成功した。
一応は痛み分けだが、金獅子海賊団は悪天候による戦力激減の大損害と、金獅子のシキの重傷という被害を被ったのである。
規模こそ、エッド・ウォーの海戦を縮小させたようなものだが、五番目の皇帝 VS 四皇という構図は、かつての海戦を彷彿とさせるものがあるのではないだろうか…。
そして今、かつてを彷彿させるのではなく、当時を再現するかのように、美しくも恐ろしい
「狩人海賊団の一員としての初陣!
見ててトルコ。強くなった私の姿を!
━━Tot Musica・第二番〝
しかも、漆黒のロングコートを纏い、青みがかったロングヘアーの姿へと変貌したウタが歌い始めると
ウタの歌を聴いた者達は口を揃えてこのように口にする。その歌声は天使の歌声だと…。その一方で、敵対する者は今後このように口にするだろう。聴いてしまったが最期……悪魔の歌声だと…。与えるのは恐怖と破滅だ。
「ッ!?
(この小娘、我が主トルコが認めただけはある!
歌で天候までも支配する能力者だとは…。
負けてられんな。おれも続かねば!)
━━〝
正確には違うのだが、エネルが恐怖を感じるのも当然。ウタの能力は
トットムジカと戦い、滅ぼしたはずのトルコは、ウタの身にこのような現象が起こっていたことに驚く反面、ウタに害をなすような現象ではないと判断すると、彼女の成長した姿に称賛の声を上げる。
「凄ェじゃねェかウタ!!
(エネルもウタに触発されやがったな。
これで、この空間はこっちのもんだ。あとは……ビッグ・マムだけだな!)」
あの日……自ら命を断とうとした少女はもういない。今ここにいる女性は、その歌声で多くの者達に感動と勇気、救済を与える新時代の歌姫だ。
トルコもウタの成長した姿と歌に勇気と力をもらったことだろう。
「ビッグ・マム達にとっては破滅の譜だろうが、俺達にとってはこれ以上ない援護……応援歌だ!
俺もあの時よりも強くなった姿を見せないとな!
━━〝
ここからが、海の狩人の本領発揮だ。
空を分厚い雷雲が覆い尽くし、雷鳴が鳴り響き、雨のように降り注ぐ雷、暴風に見舞われ、竜巻まで発生し、海面まで凍りついたこの戦場に、百万本の箭がトルコ達狩人海賊団とビッグ・マム海賊団を囲うように出現する。
「さァ……狩りの時間だ」
トルコが口角を上げ不敵な笑みを浮かべながら手を上げると、その手に一本の箭が飛び込んできた。
獲物は超大物。
「本物の皇帝の力ってのを見せてやるよ!
来なッ……青二才!!」
「神だの皇帝だの飽き飽きだ!
そんなもんどうでもいいんだよ!!」
規格外の盤外戦にして、新旧〝皇帝〟対決が幕を開けてしまった。
✮✮✮✮✮
ここは海軍本部が置かれる島──〝マリンフォード〟。
長きに渡り、世界の海を守り続ける正義の要塞だ。しかし今、海軍本部ではけたたましくサイレンが鳴り響き騒然としていた。
『センゴク元帥!!新世界〝
その報告を聞いた
「このクソ忙しいタイミングにッ…!毎度毎度いったいどうなっているんだ〝
「ぶわっはっは!
最高!そのままビッグ・マムを倒してしまえトルコ!」
ガープはともかく、センゴクが怒鳴り散らすのも無理はない。
海賊の中でも最大勢力を誇る、あの世界最強の白ひげ海賊団2番隊隊長〝火拳のエース〟の公開処刑。それに伴い起きるであろう、白ひげ海賊団と海軍本部との戦争。
世界は今、緊迫している。センゴクの長い海兵人生でも、これほどまでに緊迫した状況は片手で数えられる程度しかないはずだ。
だが、この緊迫した状況で次々と到来する
「やかましいわガープ!
貴様が狩人を捕らえられていないことも要因の一つだというのにッ!!」
思い返してみれば、この一連の騒動の元凶はやはり〝Dの一族〟である。
そして、その筆頭にして、最たる要因はまず間違いなく〝狩人〟カリュウ・D・トルコだろうと、センゴクは強く危険視していた。
最初は、海兵にも危害を加える億超えの
世界の秩序を守る海軍に牙を剥く存在と化してしまったのなら、己達の手で…。
だが、カリュウ・D・トルコという存在はセンゴクの予想を遥かに上回り、強大な存在へと成長してしまった。今では五番目の皇帝と恐れられ、彼が狩るべき対象は海軍だけにはとどまらず、恐れ多くもこの世の神と称される存在まで……神狩りを成し遂げてしまった。
カリュウ・D・トルコが成し遂げてしまったそれは、極一部の間でDの一族が恐れられる
エニエス・ロビーを陥落させた〝麦わらのルフィ〟。
白ひげ海賊団2番隊隊長を討ち倒し、サー・クロコダイルの後釜として七武海入りした〝黒ひげ〟。
そして、黒ひげの踏み台となってしまった
3人揃ってDの一族だ。
「トルコに関しては気にするだけ無駄じゃ。
わしらと敵対してはいるが、あやつは決して堅気には手を出さん。それに寧ろ、正義に酔いしれ行き過ぎた海兵達のストッパーになっているじゃろうて…」
とはいえ、ガープが言っていることはもっともだ。カリュウ・D・トルコは堅気に手を出さないことで有名だ。それどころか、一度たりともない。
「そこが問題なのだ!
それに、ヤツが革命軍と手を組んでしまったらどうなる!?海軍に取って代わる存在になってしまうぞ!!」
だからこそ、センゴクは強く恐れている。
世界政府に不満を持つ者達がトルコの下に集い、何れは海軍に取って代わる巨大な組織を築き上げてしまうのではないかと…。Dが嵐を呼ぶことを…。
センゴクの恐れも強ち間違ってはいない。どうやらまだ、海軍と政府は把握しきれていないらしいが、すでにトルコと革命軍は協力関係にある。
あくまで、革命軍では対応できない事案をトルコ達が代わりに解決するという協力関係ではあるが…。ただそれこそが、唯一の救いであるのかもしれない。そこが、トルコと革命軍の違いでもあるのだ。
「前にも言ったが、あやつは革命などに興味がない。
今回も大方、この機に白ひげを討ち取ろうと動いたビッグ・マムの前に立ちはだかっただけじゃろう」
さすがはガープ。
トルコをよく理解している。
もっとも、そのガープも、トルコが赤髪からの協力要請を受けて行動してるとは思いもしてないだろうが…。
『センゴク元帥ッ!!』
「うるさい!今度は何だ!?」
とにもかくにも、世界は今〝Dの一族〟を中心に回っていると言っても過言ではない。
『
騒ぎは連鎖する。
▪️地異氷獄
ヤマト版の
▪️ウタウタの実の覚醒。
ウタワールドに引きずり込むのではなく、その空間が歌そのものの空間へと変貌する。
覚醒姿が某氏のアバター姿のような……トットムジカの残留思念がウタの中に残ったというか一体化し、ウタのパワーアップの要因となった模様。
▪️Tot Musica・第二番〝
まさしく天災。
▪️
百万ドルの夜景より…。能力自体は、某死神の殲景・千本桜景厳みたいなもの。
百万本の箭が辺り一面を囲うように…。