海の狩人   作:紅涙

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もうすぐ最新刊の発売日だ!!



狩人と本物(旧時代)の海賊

 

 

 シャボンディ諸島の広場では、映像電伝虫が海軍本部〝マリンフォード〟の緊迫した様子が映し出されており、それを多くの者達がその目で確認するべく集まっている。

 

 世界各所より集った記者やカメラマン達もまた、ここから世界へと一早く情報を伝えるべく今か今かと身構えている。

 

 いったいなぜ、このような事態になっているのか……それは理由を説明するまでもないだろうが、白ひげ海賊団2番隊隊長〝火拳のエース〟の公開処刑が原因だ。

 

 そして今、世界は驚愕することとなる。

 

 海軍の全兵を統べる総大将──海軍本部元帥〝仏のセンゴク〟の口から、海軍がなぜ、四皇〝白ひげ〟との全面戦争を覚悟してまで火拳のエースの公開処刑に踏み切ったのか、その意義が語られた。

 

 

 

お前の父親は!!!

 〝海賊王〟ゴールド・ロジャーだ!!!

 

 

 

 鬼の血を引く息子。

 

 海賊王の血は途絶えていなかった。

 

 

 ✮✮✮✮✮

 

 

 海軍本部マリンフォードで勃発した歴史上かつてない規模の大乱戦。

 

 攻め入るは ── 四皇〝白ひげ〟率いる新世界を拠点とする47隻の海賊大艦隊。

 

 迎え撃つは ── 世界政府の二大勢力とされる〝海軍本部〟と〝王下七武海〟。

 

 誰が勝ち、誰が敗けても時代が大きく変わる。

 

 その一方で、両軍共に知らない。

 

「そこをどけェ!

 狩人の小僧ォォォ!!」

 

 ()()()()()を目覚めさせてしまったことを…。

 

「海軍がエースの公開処刑に踏み切った理由は大方、検討はついていたが、やってくれたな海軍!!」

 

 そして、目覚めた獅子と五番目の皇帝の戦いを…。

 

 この機を利用し、白ひげを討たんと動きを見せた他の四皇〝百獣のカイドウ〟と〝ビッグ・マム〟を、同じく四皇の〝赤髪のシャンクス〟と、四皇と並ぶ五番目の皇帝〝狩人〟が沈静化させ、さらなる混乱は免れたかに思われたのも束の間のこと……火拳のエースが〝海賊王〟ゴールド・ロジャーの実子であったことが明かされてしまったことで、事態は混迷を極める事態へと発展してしまっていた。

 

「そのまま大人しく永眠してくれていればいいものを…。

 これ以上、世界を荒らさせるわけにはいかない。絶対にマリンフォードに行かせないぞ──〝()()()()()()〟!!」

 

 かつて、海賊王ロジャーや白ひげ、ビッグ・マム達としのぎを削り、新世界の覇権を争っていた旧時代の四皇的存在にして大海賊〝金獅子のシキ〟。

 

 その金獅子が姿を消し20年。

 

 誰もが金獅子という大海賊の存在を忘れつつあったなか、この海に舞い戻ってきてしまった。

 

 かつて、幾度となく海賊王ロジャーと死闘を繰り広げた金獅子。その金獅子が、海賊王ロジャーの血を引く存在がいたことを知ったらどのような行動に出るのかは火を見るよりも明らかだ。こと海賊王ロジャーに対しては、海軍の英雄ガープと同等か、もしくはそれ以上の執念を発揮することでも有名なのだ。

 

「一度ならず二度までも……海軍に奪われてたまるかってんだァ!!

 今度こそはおれの手でッ!必ず()()()()()()()!!

━━〝獅子舞・無限峡谷〟!!!

 

 今度は海軍ではなく己の手で…。 

 

 金獅子はそう思ったに違いない。だからこそ長き沈黙を破り、このタイミングで舞い戻ってきたのである。

 

 頭に舵輪を突き刺し、金の長い髪を靡かせる男は金獅子というよりも金の鶏。両足に突き刺した刀と両手に持った刀を踊り狂うかのように振るうことで繰り出される斬撃の嵐は、ライバルに引導を渡すのは海軍ではなく己なのだと強く物語っており、それと同時に金獅子の叫びはまるで、鶏の朝の鳴き声(求愛行動)のようでもある。

 

()()()は飾りじゃないってか!?

━━〝斬伐流転〟!!!

 

 だが、海賊王ロジャーの血を引く火拳のエースの処刑場所であるマリンフォードに急行する途中、金獅子は現代の〝空飛ぶ海賊〟と出会してしまった。

 

 そして、今に至るというわけだ。

 

 新時代(五番目の皇帝)旧時代(旧四皇)の衝突。赤髪と百獣、狩人とビッグ・マムの衝突に続き、狩人と金獅子までもが衝突してしまうとは、なんと不安定な海なことか…。

 

 しかし、それらの戦い全てに関わっているのが間接的にとはいえ海賊王ロジャーとは……何の因果か…。

 

「空はおれ様の領域だ!

 青二才が頭に乗るなァ!!」

 

 ともかく、マリンフォードにてかつてない大戦が繰り広げられるなか、世にも珍しい空中戦が繰り広げられている。

 

 とはいえ、現代の空飛ぶ海賊は金獅子のように空を飛ぶ能力を有しているわけではない。海軍と何かと衝突することの多いトルコは、海軍中将達が使用していた空中歩行なる技〝月歩〟を見て盗んでおり、空中を高速移動出来はするが…。トルコが現代の空飛ぶ海賊と呼ばれるようになったのは、空飛ぶ方舟マクシムがあるからこそである。ちなみに、トルコ以外も空中歩行は習得しているようだ。

 

 つまり、金獅子のようにトルコ単独が空飛ぶ海賊というわけではなく 正確には空飛ぶ海賊団と言うべきなのだろう。

 

「ちィ!こいつは防ぎ切るとはさすがだ!

 マリンフォードに向かう途中に五番目の皇帝に出会すとはおれも運がねェ!!

━━〝獅子威し・海神(わだつみ)巻き〟!!!

 

 さすがは元祖〝空飛ぶ海賊〟。

 

 空中を走り抜けるトルコとは違い、空中戦は自由自在に飛び回ることができる金獅子に分があるように見られる。

 

「う…そ…だろ!?

(ビッグ・マムといい金獅子といい、伝説の海賊の能力はどれも超人からかけ離れすぎてねェか!?)」

 

 おまけに、金獅子の能力──〝フワフワの実〟は、自分以外の人間や生物は浮かすことができないが、能力者の最大の弱点である海水すら浮かすことが出来るという凶悪な能力を持っており、金獅子は海水を獅子の形に変え、トルコへと襲いかからせる。

 

 空を従えるビッグ・マムといい、海賊王ロジャーとしのぎを削った大海賊の異次元の力を、この短期間で二つも体験することになろうとは…。

 

「トルコ!!

━━〝無侍氷牙(なむじひょうが)〟!!!

 

 獅子と化した海水がトルコを呑み込む寸前、ヤマトが強力な冷気を吐き出し、海水を凍結させたことでトルコはどうにか事なきを得ることができた。

 

 ただ、トルコは理解した。空中戦では金獅子に勝ち目は薄いと…。

 

「ヤマトありがとう!助かった!

 ついでにそのまま海面を凍結させてくれ!空中戦だと分が悪すぎる!!」

 

「任せて!

━━〝地異氷獄〟!!!

 

 だから、トルコはヤマトの能力で海面を凍らせ、地上戦へと切り替える。

 

 海面が凍結し、降り立ったトルコは間髪入れずに金獅子に仕返しとばかりに矢を放つ。

 

「ルフィの方も気がかりなんだ。

 さっさと終わらせてもらうぞ金獅子!

━━〝神箭・鏑〟!!!

 

 空を縦横無尽に、素早く飛び回る金獅子。

 

 対してトルコは、未来視を用いて金獅子の行く先へと目掛けて矢を放つ。

 

 回避は不可。トルコが放つ箭はま正確無比の百発百中だ。

 

「ぐあァァァ!?

 ぐ…ぬゥ…み、未来視か!?」

 

 左肩付近に突き刺さる箭。

 

 内部を破壊する覇気を纏った箭に、さすがの金獅子も痛みに耐え兼ね、左手に持っていた刀を落としてしまう。もう、左腕は使えない。これで、金獅子は四刀流ではなく三刀流だ。

 

「空中戦は分が悪いのは確かだ。

 だが、アンタがどれだけ自由自在に空を飛び回ろうとも、俺は狙った獲物は決して外さねェ」

 

 なぜ、トルコは狩人と呼ばれ神箭手と恐れられるのか、金獅子も身に沁みて理解させられただろう。

 

 金獅子もビッグ・マム同様に認めるしかない。五番目の皇帝が本物であることを…。

 

「ぐゥ…くだらねェ時代だと、そう…思ってたが、どうやらテメエだけは本物らしいな。

 ジハハハハ!認めてやるぜ狩人!テメエは間違いなくおれ達側の!本物の海賊だとよォ!!」

 

 ガープ、ビッグ・マム、そして金獅子。

 

 ここまで錚々たる顔触れが認めてしまっては、もう言い逃れなどできるはずもない。

 

 そもそも、トルコ自身も20億ベリーを超える大罪人であり、本人に従えてる気がなかろうとも、生涯をかけて付き従うつもりでいるハンコックも10億ベリーを超える賞金首。そこに、ヤマト、キャベンディッシュ、エネル、ウタと人数こそ少ないが、全員が七武海と同等か、下手をしたら超えている超個性派揃いを率いている。

 

「気が変わった!

 ロジャーが生み出した新しい時代の!新世代の海賊の力を見せてみろ!ジハハハハハ!

━━〝獅子威し・極地巻き〟!!!

 

 海賊王ロジャーとしのぎを削った大海賊達の瞳には、トルコと海賊王ロジャーがどこか重なって見える何かがあるのではないだろうか…。

 

 その証拠に、金獅子は高揚している。ヤマトが凍結させた海面をもフワフワの実の能力で氷の獅子へと変化させ高らかに笑い声を上げた。

 

 ロジャーの血を引く火拳のエースから、完全に標的をトルコに移してしまっている。

 

 ライバルを失った世界で、金獅子は新たに見つけたのだ。

 

()()()()ァァァ!!」

 

 猛威を奮う氷の獅子と同時に、残った腕と両足を振るい、三刀流で攻め立てる金獅子。

 

 トルコからしたら、それは傍迷惑もいいところ。二本の斧を振るい、トルコは金獅子の猛攻を全て捌き切ると、怒りを炸裂させた。

 

「俺は海賊でもロジャーでもねェ!

 ブッ飛ばすぞ色ボケジジイ!!

━━〝箭滅(せんめつ)・鏑〟!!!

 

 マシマシの実の能力を用い、威力、速度を増強し、さらに放った矢を増量させた。放った矢がもたらすのは、滅び。その矢によって殲滅させられる。

 

 無数の矢を受けた氷の獅子は粉々に砕け散った。

 

 高揚した金獅子とは対照的に、トルコは恐ろしく静かだ。トルコの場合、一度怒るとより冷静に、静かになっていく。

 

「アンタの時代はすでに終わってる。

━━〝箭滅・ニノ矢〟!!!

 

 そして、怒りを支配し、ここぞというばかりに爆発させる。トルコが間髪入れずに放った箭が二本に増え、内一本は金獅子の右肩へと突き刺さり、もう一本は右手に持っていた刀の刀身を粉々に破壊した。

 

「ぐあッ!

 く、くそ!この──ロジャーァァァ!!

━━〝大斬波・十字峡〟!!!

 

 これで、金獅子は二刀流。

 

 怒り任せに両足の刀を振るい、巨大な十字の斬撃を放ってきた。ここまで追い詰められ、力を削がれても尚止まらぬのは大海賊としてのプライドか…。

 

 はたまた、トルコに海賊王ロジャーの姿を重ねているのか…。恐らく、金獅子の場合後者だろう。

 

 鬼神の如き強さに、完全に重ねているのだ。

 

「俺はカリュウ・D・トルコだ!!

━━〝大斬伐・四つ辻〟!!!

 

 衝突する十字の斬撃。

 

 氷が砕け散り、氷飛沫が舞い上がる。砕け散った氷が舞い上がり、日光に照らされる様はまるでダイヤモンドダスト現象のようだ。本来なら、見る者を魅了する美しい光景ではあるが、今この場は殺伐とし、混沌としていた。

 

「ジハハ!

 楽しいなァ、ロ……あ゛?」

 

 しかし、大海賊同士の戦いの勝敗は呆気なく決することとなる。

 

 白銀世界に舞い散る血飛沫。

 

 膝から崩れ落ちてゆく金獅子。

 

「獅子よ……(ねむ)れ。

━━〝斧殺(ふさつ)〟!!!

 

 ビッグ・マムと金獅子のシキ。

 

 海賊王ロジャーとしのぎを削った大海賊ではあるが、この2人には大きな違いがあったのだ。

 

 前者は今も尚、四皇の1人としてこの海の頂点に君臨し続けている。対して後者は、長らく姿を隠し、鍛錬こそ怠ってはいなかったようだが、戦いから遠ざかっていた影響は強く、戦いの勘を失っていたのである。

 

 もし、金獅子が戦う相手がトルコではなく、ただの億超え程度の海賊だったならば、その状態でも金獅子が負けることはなかっただろう。

 

 だが、相手はこの海の頂点に君臨する四皇に引けを取らないトルコだ。トルコを相手に、一瞬の隙を見せてしまったが最期である。

 

「少し休んだら、マリンフォードに向かおう」

 

 振るわれた斧は金獅子の命の灯火を奪い、トルコはゆっくりとした足取りでその場をあとにする。

 

 これでまた一つ、時代が終わりを告げた。

 

 せめてもの手向けか…。

 

 トルコは覇王色の覇気を纏わせた斧を頭上に掲げ、そのまま氷上に叩きつけ、足場となっている氷を叩き割り、金獅子を海の中へと葬る。

 

 これは、トルコなりの配慮なのだろう。

 

 海賊の死に場所は、海に限るということか…。

 

「トルコ!!」

 

 とにもかくにも、トルコは金獅子という大きな不安要素を一つ排除した。いや、海軍の尻拭いをやったと言うべきなのかもしれない。金獅子が動いたのは、火拳のエースが海賊王ロジャーの息子であることを明らかにしてしまったことが原因なのだ。

 

「おっと…ハンコック」

 

「大怪我はしておらぬか!?

 この短期間でビッグ・マムに続いて金獅子まで!わらわ、とにかく心配で心配で…。それに、わらわはヤマトのように何も手助けできなかった。それが悔しくて悔しくて…」

 

 仮に、金獅子がマリンフォードへと赴き、参戦していたら被害は甚大だったはずだ。それこそ、正義の中心地であるマリンフォードが跡形もなく消え去っていた可能性すらある。

 

 全盛期に比べ劣っていたとはいえ、それだけの大海賊をトルコは葬り去ったのだ。ハンコックがこのような様子になるのも仕方がない。いや、彼女の場合はこれが通常か…。

 

「けど、さすがはトルコ!

 凄い戦いだったよ!金獅子は海賊王ロジャーが生きてた時代の四皇みたいなものだからね!〝おでん〟の冒険記にそんな風なことが書かれてあったんだ!その金獅子に勝つんだからトルコはやっぱり凄いよ!」

 

 対して、ヤマトは大興奮だ。金獅子のシキという大海賊をその目で見れたことも、彼女の興奮により拍車をかけているのだろう。ビッグ・マムと戦い、冥王レイリーとの邂逅と、伝説達との立て続けに遭遇できたのだから無理もない。

 

「ふと思ったんだが、ぼくと金獅子は金の長髪という点で被っていた。けど、金獅子は死んだ。なら、僕が新たな金獅子として……いや、黄金に輝くぼくの新しい異名を考えなくてはいけない!!」

 

 キャベンディッシュはいつも通りである。

 

「青海は本当に恐ろしい」

 

 エネルは改めて恐怖を覚えていた。彼が神になる日は果たしてこの先やって来るのだろうか…。何より、エネルはまだこの世界で神を名乗る〝天竜人〟を目にしていない。天竜人をエネルが見たらどう思い、どうなってしまうのか……エネルの受難の日々はまだまだ続く。

 

「トルコ!

 また無茶しちゃって!手当てするからこっち来て!」

 

 それよりも、今は少しでも休息を取るのが先だ。大きな傷は負っていないが、軽い傷は幾つもある。ウタが手当てをすると同時に、安眠作用のあるウタでトルコを眠りにつかせ、船医として少しでも休ませる。トルコはこれからマリンフォードに向かわなければならないのだ。

 

 それもこれも、トルコが金獅子と戦っている間に、大監獄インペルダウンでも大きな動きがあったからである。

 

 一度は監獄署長マゼランに捕らえられてしまった麦わらのルフィが、他の囚人達の協力を得て、集団脱獄という前代未聞の事件を起こしてしまったのだ。そこに、何の目的があってか、七武海の地位を利用し、〝黒ひげ〟マーシャル・D・ティーチまでもが部下を率い現れてしまった。

 

 いったい何処から処理すべきなのか……未曾有の事態だ。

 

 一つだけ確かなのは、この悲劇が行き着く先はマリンフォードだということ。トルコもそれを感じ取っているからこそ、悲劇の中心地へと向かうのだ。

 

 この戦争も佳境を迎えようとしていた。

 

 






映画から原作にも登場し、出るのが早すぎたと言われ続ける大海賊にしてロジャー大好きおじさん……それが金獅子のシキである。

鶏の朝の鳴き声。あれは求愛行動でもある。

「ロジャー……地獄で会おうぜベイビー」

ここの金獅子は老いもあり、全盛期に比べると劣ってはいるけども、刀を義足代わりにしていることを活かし、四刀流となっております。

それでも、STRONG WORLDよりは強いけど全盛期には劣る感じです。

▪️獅子舞・無限峡谷
四刀流から繰り出される獅子・千切谷の強化版。

▪️獅子威し・海神巻き
能力者の最大の弱点ですら操る禁忌。
海水を獅子へと変化させ対象に襲いかからせる。

▪️獅子威し・極地巻き
ヤマトの氷を利用した氷の獅子。


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