書きそびれてしまってましたが、センゴクさんの掌底による衝撃波に技名を付けてみました。
仏が手で示す印の一つ、施無畏印から。
仏が人々の心の恐れを取り除き、救うとされてるようです。さすがは仏のセンゴク。
胸に深く刻まれた十字の傷。
この傷は生涯消えることなく残り続けるだろう。その傷は勲章か……それとも恥か…。
「ゼェ……ゼェ……や、やってくれるじゃねェか!
若造と老いぼれがよォォォ!!」
しかし、これだけの傷を負わされながら倒れないとは、頑強さはすでに四皇級か…。
五番目の皇帝と海軍の英雄達の猛攻を受けて倒れぬ者など、この広い世界でもほんのひと握りのみ。火拳のエースを打ち倒し、王下七武海の座に上り詰めたのもまぐれではなく、実力だったということだ。
そもそも、一度はトルコが戦うことを躊躇したほどの相手。それが黒ひげという海賊なのだから当然か…。
「脂肪に守られたか。
なら、次で決める…」
その黒ひげを討つべく、トルコは斧に覇王色の覇気を纏わせ、斧を振り被る。
黒ひげも同様に構えを取った。グラグラの実の力で、トルコを迎え撃つ気でいるのだろう。
「ゼハハハハ!
上等だ!受けて立ってやる!
破壊者か!それとも救済者か!勝者は1人!
来いッ──狩人ォォォ!!」
迸るトルコの覇王色の覇気と、黒ひげのグラグラの実による地響きが、マリンフォードを大きく揺らす。
それは今まさに、天変地異が起きているかのようだ。
「ガープ、どうした?」
そんな状況のなか、その光景をもっとも近くで見ていた海軍の英雄──モンキー・D・ガープは、その時なぜか、今より30年以上も前の過去を思い出していた。
いったいなぜ、このような状況でガープが過去を思い出してしまっているのだろうか…。
「あの顔…まさかのォ…」
いや、この状況だからこそ、ガープは黒ひげの顔に既視感を覚え思い出してしまったのだろう。それだけ、
「ありがたく使わせてもらうぜェ……オヤジィ!
ゼハハハハハ!
━━〝
白ひげから奪い取ったグラグラの実の力を左拳に込め、横薙ぎに拳を振るう。その様はまるで、巨大なハンマーを振るっているかのようだ。
この瞬間、ガープは確信してしまった。
〝黒ひげ〟──マーシャル・D・ティーチがいったい誰の息子なのかを…。
「やはり
此度の戦争の黒幕である黒ひげもまた、世界最悪の血を引いていたのである。
今より40年ほど前、当時世界最強と呼ばれた海賊団──〝ロックス海賊団〟。一つの儲け話を元にかき集められ、海賊島〝ハチノス〟にて結成された集団だが、若き日の白ひげ、ビッグ・マム、百獣のカイドウの他、金獅子のシキやキャプテン・ジョンなど、錚々たる顔触れが所属していた。
そのロックス海賊団の船長こそが、ロックス・D・ジーベック。
〝海賊王〟ゴール・D・ロジャーの台頭するより前の時代に活躍した伝説の大海賊である。
「なんだと!?」
センゴクの驚愕ぶりからしても、ロックス・D・ジーベックがどれほど危険な海賊だったのかは明白だ。
全盛期に比べると、まだ発展途上ではあっただろうが、若き日の白ひげ、ビッグ・マム、百獣のカイドウ、金獅子のシキ等がロックス海賊団に所属していたことも、その恐ろしさにより拍車をかけている。
唯一の救いは、ロックス・D・ジーベックが
いや、救いなどなく、何一つ安心できる要素はない。まさか、ロックスに息子がいたとは…。
「ロックスに妻子がいたことは
どうやら、海軍の上層部のみに限り、その情報を得てはいたようだ。とはいえ、この戦争の元凶である黒ひげがロックスの息子だったということまでは掴めているはずもなかった。
はっきり言って、全てにおいて最悪のタイミングだ。火拳のエースの処刑に失敗し、取り逃してしまった。それだけでなく、
生き延びた
「まったく〜〜〜っ〝D〟はいったいどうなっているのだ!?なぜこうもたて続けに大問題を起こし、必ず騒動の中心にいるのだ!?」
そこに五番目の皇帝まで合わさるといったいどのような化学反応を起こしてしまうか、それは誰にも想像することなどできず、予想もつかない。
〝智将〟と称えられるセンゴクであろうともだ。
もはや、マリンフォードは平和の中心地などではない。ここから、世界が混沌に包まれていく。
それと同時に、一筋の光が世界を照らしてもいる。その光はどこまでも眩く、それでいて身を焦がしてしまうほどに熱く滾っている。だが、それは使い方を間違えてはならない力も同然。間違えたが最後。全てを巻き込み滅ぼす力も持っているのだ。
「短い天下だったな、黒ひげ。
━━〝斧動尊・
神速で振るわれた斧は炎を纏い、グラグラの実と衝突し周囲一帯を吹き飛ばしてしまう。
世界を滅ぼす力と救済する力。
海軍の英雄達の目の前で、相反する力であり、表裏一体でもある力が衝突する。
✮✮✮✮✮
〝白ひげ〟エドワード・ニューゲートは死んだ。
しかし、頂上戦争は終わりを迎えることはなく、さらなる混沌の渦に飲み込まれていた。
「カハハハハ!強ェ奴は嫌いじゃねェ!
いいぞ!もっとだ!もっと全力で来い──〝狩人〟ォ!
━━〝
元ロジャー海賊団の
「この薄汚ェブタ野郎ォ!
余計なもんまで解放しやがって!
━━〝斧天〟!!! 」
そしてこれも当然と言うべきか、運命の巡り合わせか、はたまた神の
「ゼハハ!
おれは目的を果たした。そいつの相手はお前に任せてずらからせてもらうぜェ!」
とはいえ、これもすべて〝黒ひげ〟マーシャル・D・ティーチがインペルダウンのレベル6に収監されていた囚人達を解き放ってしまったのが原因だろう。
黒ひげはマリンフォードに姿を見せる前、インペルダウンへと侵入し、レベル6にて殺し合いによる仲間募集を行なっているのだが、このダグラス・バレットはその殺し合いには参加せず、混乱の隙に生じて脱獄していたのである。どうやら、黒ひげでも手を持て余してしまう怪物だったが故に、仲間に引き入れられることはなかったようだ。
とにかくその結果、レベル6最悪の脱獄囚がマリンフォードに来襲してしまった。ただ、インペルダウンを脱獄後、そのまま逃げて一旦姿を隠すでもなく、マリンフォードに来襲するとは…。実に鬼の跡目らしい。
そして、元凶である黒ひげは傷だらけになりながらも、どこ吹く風といった様子でマリンフォードから立ち去る準備を始めていた。トルコに受けた傷は深く、今はまだトルコに勝てないと悟っての敗走だが、グラグラの実の能力を得た黒ひげがこれ以上この場に留まる理由はないからだ。
「カリュウ・D・トルコォ!
五番目の皇帝の本気の力を見せてみろ!」
鬼の跡目直々のご指名もある。ここで邪魔するのは野暮というものだ。それか、触らぬ神に祟りなしとでも言うべきか…。
全開の覇気を解放し全身を青黒く染め上げたバレットのその姿はまさしく鬼神の如し。これが、ただひたすらに強さを追い求める男の姿だ。
「おれが最強へと至る為の第一歩。
それが貴様だ!光栄に思え狩人!!
━━〝
鍛え抜かれた拳の乱打がトルコへと襲いかかる。
「無礼者!
━━〝
しかし、その拳がトルコに届くことはない。
覇王色の覇気を纏った愛ある蹴りの八連撃がバレットの孤高の拳を弾き返した。
「キミの相手はぼくとハンコックだ!
━━〝雷鳴八卦・不動氷瀑〟!!! 」
それに続いて、冷気を纏った金棒の一振りが真上から振り下ろされる。並の覇気使いでは、その一撃を防ぐのは不可能だろう。防御するよりも先に冷気で凍結し、粉々に砕かれてしまうはずだ。
「ちィ〜〜〜〝海賊女帝〟ボア・ハンコックと〝氷狼〟ヤマトか!?」
石化する蹴りと凍結する金棒による攻撃を受け切ったバレットだが、さすがのバレットもハンコックとヤマトの乱入に険しい表情を浮かべている。
バレットの表情はトルコとの戦いに水を差されたからではなく、彼女達の実力の高さを表してもいた。
「黒ひげといい貴様といい、わらわの愛しいトルコの手を煩わせおって!トルコは少し休んでおれ!いや、わらわもトルコと休むとしよう!トルコに膝枕して頭を撫でたい!
ということでヤマト!そこの不届者の相手はおぬしに任せるとしよう」
鬼神の如き強さを持つバレットが警戒する女海賊達。ただ、これこそがトルコの強さの源であり、トルコとバレットの違いでもある。
トルコにとってかけがえのない仲間達であり、安心して背中を預けれる部下達。トルコにあってバレットにないものだ。
「ぼく1人で戦うのはいいけど、ハンコックばかりトルコを独占するのはズルいよ!ぼくだってたまにはトルコを独占したいんだからね!?けど、今のぼくの実力を確かめる相手としては申し分なしだから任されたよ!!
━━〝降三世
ヤマトは上空へと飛び上がり、相棒である
彼女達は強い。
「ぐうッ〜〜〜小娘がぁ!!」
両腕を交差させ防いだバレットだが、苦悶の表情を浮かべており、バレットの様子からもヤマトの一撃の威力の高さが垣間見れる。この世における最強生物の娘は伊達ではない。
いや、ヤマトが百獣のカイドウの娘であることは事実だが、それを抜きにしてもヤマトは強い。そもそも、本当にカイドウの娘なのかと疑っている者達も多いくらいだ。その点に関しては、実力云々の話ではなく、ヤマトの整った容姿が関係しているのだが…。ヤマトは少々、頭のネジが緩い部分があるが、美しい女性である。
それはともかく、ヤマトの力はダグラス・バレットすらも脅威を感じてしまうほどに至っていた。
「うわッ!?」
とはいえ、ヤマトがバレットに勝てるかどうかはまた別であり、実際のところはまだ無理であろう。
「おっと……ヤマト、大丈夫か?」
「トルコ!?
ありがとう!」
その証拠に、ヤマトはバレットに攻撃し、脅威を抱かせることはできたのだが、攻撃を防がれ、吹き飛ばされてしまったのだ。
吹き飛ばされたヤマトをトルコが受け止め、どうにか事なきを得たようだが、トルコもヤマトではまだバレットに勝てないことに気付いているのか、ヤマトの前に出る。
吹き飛ばしたヤマトに追撃できたはずのバレットも、トルコがいたこともあり、追撃の手を止めたようだ。
「悔しいなぁ。やっぱりまだぼくじゃ無理だったかぁ…」
ヤマトはトルコに守られていたのである。
ヤマト自身もそれを理解していた。ただ、
「ヤマト、お前は確実に強くなってるよ」
「それでもぼくはトルコにカッコイイ姿を見せたかったんだよ!」
誰よりもトルコに、強い姿を見せたかった。トルコの双翼として相応しい力を見せたかったのだ。
決着こそついていないが、ヤマトにとってこの一戦は敗北も同然。己の不甲斐なさを身に沁みて知ることになった悔しい敗北だ。
ただ、だからこそ強く誓う。
「次は必ずぼくが勝つ!
頭を洗って待ってなよ!!」
「ヤマト、頭じゃなくて首だ」
ヤマトの正確な次なる目標が今ここに決まった瞬間だ。
打倒──〝鬼の跡目〟。
百獣の娘が鬼の跡目を倒す。なんとも興味深い。
そして、それは確実にヤマトが目標に追いついた瞬間でもあるはずだ。
「当然じゃな。
わらわと共にトルコを支えるつもりなら、この程度の相手は倒してもらわねば困るというもの」
そのヤマトに、ハンコックも激励の言葉を送る。ヤマトならば勝てると信じているからこその言葉だろう。それと同時に、ハンコックは己ならばダグラス・バレットに勝てると言っているように聞こえなくもないが、ハンコックならばもしや…。
「ってことで、ダグラス・バレット。
今ここでお前を倒したいとこだが、ウチのヤマトがどうしてもお前を倒したいらしいから、戦いはお預けだ。
それとも、今ここで
ただですらトルコと黒ひげが暴れた後のこれだ。もはや海軍本部は、全壊に近い状態である。
そこに、四皇〝赤髪のシャンクス〟まで加わってしまってはどうなるか…。
「ぐゥ〜〜〜シャンクスだと!?」
遠方からバレットに襲いかかる強大な覇王色の覇気。
離れた位置からピンポイントで覇王色の覇気を飛ばして威嚇し、敵の身動きを封じることが出来る者は、この広い海でも片手で数えられる程度のはずだ。
「遅れてすまない、トルコ」
隻腕の大海賊の登場に、マリンフォードは騒然とする。
いや、絶望のドン底を通り過ぎ、海兵達の精神は廃人寸前となりかけているだろう。
火拳のエースの処刑失敗に、トルコ、黒ひげ、鬼の跡目の乱入。さらに赤髪までやって来てしまってはそうなってしまうのも仕方がない。
唯一の救いは、ここにやって来た四皇が百獣のカイドウとビッグ・マムではなく、赤髪だったということだ。前者2人のどちらかでも、マリンフォードは確実に沈み、地図から消えてしまっていた可能性が高い。
その点、赤髪は此度の頂上戦争を事前に食い止めようとしていた人物である。
「この戦争を終わらせに来たが、まさかバレットまでいたとは…。トルコ、よく抑え込んでくれたな」
「ちィ!
ロジャー海賊団の見習い小僧でしかなかったお前が随分と偉くなったんもんだな。興が冷めた!狩人と氷狼、この続きは何れ必ず……覚悟しておけ。おれが最強であることを必ず証明する」
さすがの赤髪も、戦況が泥沼化し、これ以上戦い続け〝海軍〟と〝白ひげ海賊団〟両軍の被害が無益に拡大するのを抑える為にやって来たところ、元ロジャー海賊団の昔馴染みがこの地で暴れ回っているとは思いもしてなかったようだが…。
そのバレットは、赤髪に苦虫を噛み潰したような表情を向け、トルコとヤマトに向けて再戦の宣言をしこの場をあとにする。
「遅い。
もっと早く来てくれれば、黒ひげとバレットによる被害ももっと食い止められた」
そして、此度の戦争による被害拡大を身を粉にして抑え込もうとしていたのがトルコ達〝狩人海賊団〟である。
赤髪もカイドウ率いる百獣海賊団と小競り合いを起こしていたようだが、トルコ達は戦争勃発前にはビッグ・マム率いるビッグ・マム海賊団と戦い、勃発後は金獅子のシキと戦い、マリンフォードに到着後は海軍、黒ひげ、ダグラス・バレットを食い止めていたのである。
少数精鋭でありながら、トルコ達の戦いっぷりはまさに獅子奮迅で孤軍奮闘だ。
「悪い。
今回はお前達狩人海賊団に多大な労力を強いらせてしまった。必ず詫びはする。
だがとりあえずここは、おれの顔を立ててくれないか?」
それを理解し、あの赤髪がトルコに向けて頭を下げる。赤髪のこの行動に、マリンフォード全体に動揺が走る。
「ちょっとぉ〜シャンクス!
一番苦労したのは私達であり、トルコなんだよ!?それを横取りするように現れちゃってさァ!!」
そこに、いつの間にやらトルコのそばにやって来ていたウタが赤髪に向けてチクリと苦言を呈した。
「別に気にすることはないさウタ。
それに、俺達は自分のやるべきこと、やれることをやった。だから、あとのことは赤髪に丸投げだ。というかさすがに疲れた」
赤髪は可愛い娘からの苦言と、信頼の置けるトルコの様子に苦笑いを浮かべると、静まり返ったマリンフォードの戦場の中心へと静かに向かった。
その中で落ち着きを取り戻した白ひげ海賊団の面々は、今ようやく、改めて白ひげを喪った深い哀しみと喪失感に襲われながら、体を引きずるようにして退却を始めた。無論、海軍には喜びなどはなく、虚無感と無力感、逃してしまったものの大きさに脱力してしまう。
その空気を肌で感じる中、シャンクスは鋭い表情を浮かべながら口を開く。
「〝白ひげ〟の弔いは、おれ達に任せてもらう。戦いの映像は世に発信されていた!これ以上、白ひげの死を晒す様なマネはさせない!!」
それは、赤髪なりの白ひげに対する敬意であり、この戦争を終わらせる為の行動だ。
「何を勝手なことを!?世界最強の海賊の首を晒してこそ、我ら海軍の勝鬨は上がるのだぞ!?」
「我ら海軍の勝利に泥を塗る気つもりか!?」
「海賊風情の指示など決して受けんぞ!!」
当選、赤髪の宣言に海軍は猛反発するわけだが…。
しかし、意外にも海軍のトップであるセンゴクがそれを承諾した。
「
赤髪はセンゴクに短くと〝すまん〟返すと、センゴクは動ける海兵達に負傷者の手当てを急ぐよう命じた。
海軍元帥の命令に、海兵達はそこでようやく気付く。
この戦争が終わったことに…。
今この場所で、もうこれ以上血が流れることはない。
「戦争は……終わりだァ!!」
センゴクは終戦宣言を告げる。
それと同時に、一つの時代が終わりを告げた。
コビーがまったく出てこなかったけど、ルフィの一撃でショック覚醒はしております。命ある数秒がなくなっただけ。トルコとバレットの覇王色に当てられて気絶してた。
もうすぐ今年が終わってしまうゥ。
今年も残りわずかですが!感想と励みになるクリスマスプレゼント的なご評価よろしくです!!