そろそろロジャー海賊団のレイリー達の懸賞金を知りたいこの頃です。
まさに悲劇である。
「何してくれてんだヤマトォォォ!!」
親しい者に対しては、滅多に怒ることのないトルコが珍しく怒っていた。
「ふえェェェ!
ご、ごめんなさいィィィ!!」
ワノ国の偉大な侍に憧れ、目指す為、スタイル抜群の女でありながら男のように振る舞うヤマトも、トルコの怒り様には驚き、恐れ、泣きじゃくってしまっている。
だが、トルコが怒るのも無理はない。
何故なら、トルコ達は今〝
ヤマトに船番を任せ、トルコは昼寝をしていた。そして起きたらあらびっくり……目の前には超大型の海王類がいた。
昼寝をするから船番を任せていいかとヤマトに頼んだトルコ。それを快く引き受けたヤマト。当然、海に出るのだからヤマトも航海術は身に付けているものだとばかりトルコは思っていた。しかし、いざ蓋を開けてみたら、ヤマトは指針ではなく雲を目印に眺めているばかり。
その結果がこの有様であり、この状況だ。
そもそも、鷹の目から頂いたとはいえ、小船で
ヤマトが増えたこれを機に、船を新しくするのも考えてはどうだろうか…。
とりあえず、トルコとヤマトはオールを必死に漕ぎ、その場から命からがら逃げ出すのであった。
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骨を咥えた犬の船首が愛嬌を漂わせる軍艦。
これもまた、市民達から英雄と讃えられる理由の一つ。
だが、海賊達にとっては真逆の存在だ。
年老いた今でも、海賊達は恐れる。
まさに悪魔だと…。
「海兵を狩る不届き者は貴様かァ!?
━━〝
新世界から楽園への航路。ちょっとしたトラブルが起き、
死への片道切符とはよく言ったもの。
〝拳骨のガープ〟とも恐れられる海軍の英雄──モンキー・D・ガープの登場だ。
恐らく、命からがら
とはいえ、海軍と遭遇するにしても、まさか海軍の英雄と遭遇してしまうとは…。ある意味では強運。傍から見たら凶運。出会って数秒で挨拶もなしに
相手が海賊ならまだしも…。
「海賊を名乗ったこともなければ、ましてや海賊旗を掲げるつもりもないんだが、これまでの行いを考えたら仕方ないか。けどなァ……こっちにも海軍を許せねェ理由があんだよ!
━━〝
トルコが斧を振り抜くと斬撃が飛び、素手で放たれた砲弾が斬り裂かれ爆発する。今、狩人と英雄の戦いの火蓋が切られた。
一方で、ここ最近こそ落ち着いているものの、当時まだ鷹の目の弟子入りする以前のトルコは、次々と海兵を狩っていた。とくに、正義の名の下に市民の犠牲も厭わない過激思想の海兵を中心にだ。無論、邪魔する海兵は一人残らず…。
そんなトルコの海兵狩りに、かつての鷹の目を重ね、世界政府と海軍は初頭で1億を超える懸賞金を懸けた。
海軍の上役達はトルコを、鷹の目の再来と呼んでいるほどだ。
しかし、トルコがなぜ海兵狩りをするのか、海軍はその理由を知らない。知ろうともしていない。
海軍も組織である以上、綺麗事ばかりではいられないのだ。臭いものには蓋もする。
「仲間を殺されたか!?
海賊を討ち倒し、捕まえるのが儂らの仕事じゃ!!お前達海賊が儂ら──ッ!?
(驚きじゃ。こやつ、覇王色の覇気の開眼者か。
この若さでここまでとは末恐ろしいのォ)」
それ故に、この
トルコから放たれる覇王色の覇気に、ガープの部下達が次々と気絶していく。これには、さすがのガープも驚きを見せる。
ガープはトルコの逆鱗に触れてしまった。
「お前達海軍にお袋を!弟妹達を!家族を殺された!
お袋は子を身籠っていた!再婚するはずだった!そのお袋を……まだ幼い弟妹達を!あの
「!」
ガープの言葉に、トルコは怒りを露わにする。
その怒りは、海軍は絶対的な正義の存在ではないと物語っているかのようだ。
「お前……故郷と家族を
「その名を口にするな!!
━━〝
そして、トルコにとっての最大の禁句は、海軍本部大将〝赤犬〟の名である。この名を耳にした瞬間の暴れっぷりは、鷹の目すらも舌を巻いた程だそうだ。
怒り狂いながらも、流麗に斧を振り続け斬撃を飛ばし続ける様はあまりにも異様。しかも、斬撃が威力を増しているのがまた、トルコの怒りの大きさを表している。
「トルコの過去にそんなことがあったなんて…」
止まることなく斬撃を放ち続けるトルコの過去の一部を知り、ヤマトはただただ驚いていた。
しかしながら、ヤマトが原因で
「何が徹底的な正義だ!
あのクソ犬がやったのはただの殺戮だろうが!!」
「ぬゥ!?
(こりゃいかんのぅ……一気に決めんといかんな。)」
威力が増していく斬撃に、ガープですらも危機感を覚える。
おまけに、威力だけではなく範囲も増し、動ける海兵達も必死に斬撃を捌いているが、トルコの覇王色の覇気に辛うじて堪えることはできても、萎縮した身体では防ぐことは不可である。
ただ、若造の勢いも歴戦の猛者である海軍の英雄を前にしては、風前の灯火も同然。
トルコが
「!
(
しかし、その伝説を前にして若者は冷静だった。寧ろ、一周回って冷静になってしまったのかもしれない。冷静になり、これから起きる悲劇を食い止めるべく恐るべき勢いで進化する。
過去に起きた悲劇を視ることに長けているトルコの見聞色の覇気は同時に、
そして今、トルコの視る力は新たなる境地へと至る。
「そんなことさせっかよ!!
━━〝神箭・鏑〟!!! 」
得物を斧から弓に持ち替えたトルコは、手慣れた動きで弓を引く。その動作はあまりにも自然で、美しい。それでいて早く、狙いを定めることもなく、何かに導かれるようにトルコは矢を放つ。
「ぐう!?
(儂が拳を振り下ろす前に的確に肩を狙ってきたじゃと!?まさかこやつッ……〝未来視〟の見聞色にまで至っておるというのか!?)」
トルコが放った矢は英雄ガープの右肩に突き刺さり、内部にまでダメージを与え、ガープが拳を振り下ろすのを阻止していた。これから起きたであろう悲劇を食い止めた矢は、人力を超えた神秘を示した矢の如し。
これぞまさしく狩人の本領だ。
「す、凄い……凄いよトルコ!!」
「褒めてくれるのは嬉しいが、今のうちに逃げるぞ」
トルコが視るのは絶望の未来の後に、トルコにとって最良の希望ある未来。災いの後に幸福ある未来を視る見聞色の覇気は海軍の英雄すらも制する。
拳を振り下ろす直前に、絶妙な箇所に矢を食らい体勢を崩した英雄の隙を突き、トルコはヤマトとともにオールを必死に漕ぎその場から離脱する。それがトルコの視る今時点の最良の未来なのだ。
逃げることもまた、賢い選択の一つ。
その2人を、肩に突き刺さった矢を抜き取りながら英雄はただ見つめていた。その表情はどこか憂いに満ちている。
「やられたのォ。儂も衰えたもんじゃ。
(サカズキ……お前さん、とんでもないバケモノを生み出してしまったようじゃぞ。
徹底的な正義…か。否定はせん。犠牲はつきものじゃ。あの
そしてこの翌日、全世界にトルコの新たな手配書が出回ることとなる。
世界政府も海軍も無視できなくなった。
海軍に明確な敵意を持つ存在を…。
〝狩人〟 カリュウ・D・トルコ 懸賞金5億2160万ベリー