エンデュミオンの奇蹟 -the another story-   作:Toa-Kise

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疾走∴失踪

夜の闇に包まれた路地裏を疾走する。

 

彗星の如く駆け抜けて行く。

 

夕方から降り続く雨は一向に止む気配を見せない。

 

顔を打つ雨粒も、乱れる赤い髪も気にせずになお走り続けるその男は呟いた。

 

「クソッ…間に合ってくれよ上条当麻!!」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

『ね、どこか遊びに行こうよ!』

 

「ゔぁー、具体的にはどこをご所望で…?」

 

お出かけ気分全開のアリサに眠そうな顔を向ける上条。

 

『うーん、映画館とかどうかな?』

 

「アレの一人ポップコーン早食い大会を止めてくれるなら上条さんは喜んで行くんですがね…」

 

猫を頭に乗せて戯れていた『アレ』が振り向く。

 

『む、それは流石に失礼しちゃうかも。私はしっかり味わって頂いているんだよ。あんな食べる速度だけを求めている人達なんかと一緒にしないでほしいんだよ!』

 

「そこじゃねーよ!!味わってようが味わってなかろうが上条さんちの生活はお前のそのスキルのせいで超ピンチだっつってんだろうが!!ったく、ポップコーンならここでも作れるから…」

 

『でも映画館ですくりーんを眺めながら食べることに意味がある気がするんだよ』

 

「そんな『普通の人』発言をしたからにはポップコーンは1カップでいいな、いいんだな!!!?」

 

そんな二人のやりとりを あはは、と笑って眺めるアリサ。

 

『よかった…また『ここ』に戻ってこれて…』

 

『え?アリサ今なにか言った?』

 

『何も言ってないよ』

 

?と首を傾げているインデックスにアリサは優しく微笑んだのだった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

『は〜ポップコーン美味しかったんだよ』

 

「映画館から出てきて最初の一言がそれかよ…つか何、なんなのあの馬鹿みたいに巨大なカップ、アメリカ人でもあんなの食わないと思うんだが」

 

財布の中に目を落としながらがっくりとうなだれる上条。

 

『当麻くん、インデックスちゃんっ』

 

唐突に呼ばれて顔を上げる。

 

上条とインデックスの歩く少し先をアリサが駆けていく。

タンッと足を止めて振り返る。

 

『ううん、なんでもない♪』

 

 

その笑顔は本当に幸せそうで。

 

これがあの塔の物語のHAPPY ENDなのだろう、未だ天高く聳(そび)える宇宙エレベーターを見上げながら上条はそう思う。

 

 

上を向いたままの上条の頬に何かが落ちた。

次いで二つ、三つ。

 

「げ」

 

『あ、雨だ』

 

「やばい、洗濯物干しっぱなしだ!!インデックス、アリサ、走るぞ!!」

 

『ちょ、とうま!?返事を聞かずにいきなり全力疾走はないかも!!修道服は激しい運動には適してないんだよ!?』

 

『え、えぇ!?二人とも待ってよ〜!』

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

『まったくとうまは!!女の子二人をおいて洗濯物にまっしぐらとはどういうことなんだよ!!」

 

三人がこの部屋に着いた時には、既に時計の針は5時を過ぎていた。

 

『でも私達傘持ってなかったから、どっちみち走ることにはなったかもね』

 

言ってアリサは ふふ、と笑う。

 

取り込んだ洗濯物を抱えて上条が言う。

 

「それで、アリサは今日はどうするんだ?帰るって言うなら傘を貸すけど…」

 

体勢はそのまま、首を動かして外を見る。

アリサもそれにつられて窓に目をやる。

 

依然、雨はガラスを叩いている。雨足は弱まるどころか、次第に強くなっているようにさえ感じた。

 

「この調子だと帰れそうにないな…」

 

苦笑を漏らす上条。

 

『そうだね…』

 

アリサも困ったように笑う。

 

『そうだ!!アリサは今日はここに泊まっていけばいいんだよ!!いいよね、とうま!?』

 

「いや、もとよりそのつもりっつーかそうしてもらうしかな、いやなんでガチガチ歯を鳴らしているの!?いいっつってんだろ!?お前もう噛みつきたいだけだろ!どうどう!!」

 

『あはは…ありがと、当麻くん、インデックスちゃん』

 

こんなにも大切な場所があるから、あたしは何にも負けずに歌い続けていける────

 

いつかこの想いを歌に乗せて…

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

轟音。

 

その部屋全体を震わせるような振動に浴槽の中で飛び起きた上条はダンッと扉を開ける。

 

竜巻、そう直感させるような暴風。窓ガラスが割られている、というより、そこに窓はなかった。かつて窓だったものは破片となって嵐の中で渦巻いている。吹き荒(すさ)ぶ風に呼応するかのように凶器は唸りをあげる。

 

「ッ!!!!アリサ!!!インデックス!!!?」

 

轟という音にかき消され、その声が届いたのかもわからない。踏み出そうとした刹那、なにか目の前に煌めくものがあった。

 

咄嗟に風呂場のドアを閉めて伏せる。

 

瞬間、ドアを半ば突き破り刺さるガラス片。

 

「クソッ、これじゃ……あ…?」

 

ピタと

 

振動が止んだ。

 

おそるおそるドアを開ける。

 

壁中にガラス片が突き刺さっていた。

しかしその惨状に目をやることもなく、叫ぶ。

 

「アリサ!!!インデックス!!!!」

 

返事は、なかった。

 

最悪の可能性が脳によぎる。

 

赤黒いそれを頭の中から閉め出し、しかし震える足で一歩ずつゆっくりと進んでいく。

 

そこには

 

 

 

 

─────誰もいないベッドが 残されているのみだった。

 




ということで、シリアスに頑張ろうということで、はい()
どうでしたでしょうか、ちゃんと物語になってるといいのですが…自分で書いているとわからなくなってくるものです(^_^;)
読んでくださった方には大きな感謝をm(_ _)m
よければ第三回もよろしくお願いします。
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