エンデュミオンの奇蹟 -the another story- 作:Toa-Kise
当麻くんの声が聴こえた気がした。
意思と裏腹に、朦朧としている意識は未だその輪郭を帯びない。
なんだろう、なんなのだろう、このふわふわした感じは…
まるでこの世界を縛る物理法則から解放されたかのような。
まるでまどろみの中でゆっくりと目を閉じてゆくような。
違う。
この空間を。
この世界を。
私は、
あれは、確か─────
『久しぶりね、奇蹟の歌姫』
聞き覚えのある、聞きたくもない声が突然に両耳に響く。
外部からの刺激に意識が覚醒する。
『そんなに感情を剥き出しにしないでくれるかしら、私は貴方に素晴らしいライブ会場を提供しただけよ』
「あなたの所為で、シャットアウラちゃんが、当麻くんが、たくさんの人が傷ついた…あたしは、私の大切な人が傷つくなら、『そんなもの』はいりません」
『せっかく華やかな舞台を用意してあげたのに、ね』
「どうせ結局はあなたの計画の内だったんでしょう?」
『でも、失敗した。私は死ななかった、死ねなかった』
「…死ねなかった…?」
『そう、貴方は知らないのね、私の願いを』
『私の、唯一の願い。それは、この生命に終わりを迎えること、終結させること。私は過去に幾度も自殺を図り、そしてその全てが例外なく失敗したわ』
「何を言って…」
『死ねないのよ、まぁもっとも私はどこかの「真似ることしかできない二択の人形」と違って後天的なものだけれど』
死ねない…?
この人は本当に何を言っているのだろう…
真似ることしかできない…人形?
『でも今度は違う、今回こそは死んでみせる。
その言葉に。
私は『あの光景』を。
揺らめく炎の中で血を流しながら拳を握り立ち上がる少年と、その向こうに同じくふらふらと立つたった1人の家族の光景を思い出して。
「あなたが何を求めようとあたしは知りません。だけど、あなたがあたしの大切な人たちを傷つけるというのなら」
力強く、言う。
「私は、皆のために『この力』を振るいます」
『…貴方、自分の
「あたしにはこの力が何なのかなんてわかりません。だけど、皆に危害を加えるつもりなら、私はあなたに振りかざします、それが私の理解できない力であっても」
知らないから、なんだ。
それが大切な人を護らない理由になるなんて。
私は決して、思わない。
『大した自信ね。今の貴方は既に、その
「
そうだ。
この浮遊感は。
精神世界のそれだった。
でも私は『これ』を一体どこで…?
『心と身が完全に切り離された状態の貴方に何ができるの?』
「それでも理解のできない力なら行使できるんじゃないですか?」
人間の遥か理解を超える力なら。
私のこの、能力なら。
『振るう身体がないというのに』
彼女は笑って、身体のない今の私にはその姿は見えないのだけれど、その言葉を最後にどこかへ消えたようだった。
無限に広がる空間を浮遊する。
また、意識の輪郭がぼやけてくる。
「…当麻くん」
自分の口から無意識に彼の名が
探す間もなく意識が落ちた。
長らく更新できませんでしたがまぁ待ってくれている方なんていないだろうなので(^◇^;)
文章形態を模索中なので不安定感抜群だとは思いますがどうか勘弁を。
今回は地の文までアリサ語り
最近別シリーズの構想ばかり膨らんでいきます…なぜだ…