・・・これからの更新は不定期になる可能性があります。ですが、皆様を待たせないようにできるだけ頑張って編集、投稿していきたいと思っています。
どうか、これからも拙作をよろしくお願いします。
「・・・流石に面倒」
「どこへ行っても蚊の群ればかりで嫌になる」
襲い掛かってきた蚊の軍勢を何とか蹴散らしたジブン達は、現在は葉っぱが生い茂る木の上に避難していた。
ここならば、そう簡単には見つからないだろう。
「それで、どうする?引き返す?」
「すぐに15階層へ引き返したいけど、何か攻略の糸口は掴みたいな。まずは情報共有しよう」
「わかった」
ジブン達は、それぞれが見つけた情報を,それぞれの視点で話し合った。
まずこの階層の特徴としてわかったことは、ビックモスキートが階層中に溢れかえっていることだ。
少し探索をしたのだが、あの黒い柱に近づくにつれて蚊の数が増えるわで、最初に3体しか出会わなかったのは奇跡と思える程に多数の蚊が存在した。
1度に数10体規模ののビックモスキートの群れを相手するのなんて、この階層では珍しく無いくらいだ。
そして、ビックモスキートは自分達とは別種のモンスターを襲うこともわかった。
1回だけ、蚊の群れが小鬼の群れに群がる様子を目撃したのだが、小鬼に何体かやられても恐れずに次々と襲い掛かる蚊の軍勢に押し負け、最後には体のどこかに口の針で刺されて吸血によって干乾びる。
そんな、ショッキング映像を見た。
それを見てわかったのだが、どうやらモンスター同士の戦いで死んだ場合、魔石やドロップアイテムは落とさないようだ。
この新情報については、もしかしたら協会側は把握していないかもなので、情報料目的で報告するのもアリかもしれない。
そんな、蚊が溢れるこの階層だが・・・
「この階層、稼ぐのに向いてない」
「そうだね。モンスターは既に蚊によって狩られるし、大量にいる蚊をどれだけ倒しても、魔石を落とさない。・・・何これ、嫌がらせ?」
蒼規の目のハイライトが消えている。
多分だが、ジブンも同じような目をしているだろう。
ジブン達は、戦利品を手に入れるためにモンスターを倒しているのに、何も収穫がないのならただのくたびれ損だ。
早くこの状況を何とかしたいが・・・。
「次の階層へと続く階段が見つかればいいのだけど・・・」
「それも見つからない。・・・もしかしてだけど、蚊ばし」
「かばし?」
「・・・蚊柱のある方向にあるんじゃない?」
「うわぁ」
蒼規が、ジブンの意見を聞いて、ゲンナリとする。
もし次の階層に行きたいのなら、あの遠くに見える黒い柱を形成する規模の蚊の群れと戦わなければいけないと言われれば、誰だって顔を顰めるだろう。
少なくとも、ジブンはそう思う。
そんなことを考えていたのだが、ある方向の景色が変化していることに気が付いた。
「・・・ねぇ、蒼規」
「何」
「あの蚊柱、こっちに来てない?」
「・・・は?」
よく見ると黒い蚊柱は、竜巻みたいに少しずつだが移動しているように見える。
あのくらいの移動速度だと、残り数分くらいでこの場所へと来るんじゃないか?
そう思ったジブンは、焦りで思わず冷や汗をかく。
「どうする?・・・アレ?」
「早く逃げるよ」
蒼規は、いつの間にか木の下へと降りていた。
ジブンも、その後を追うように迫りくる蚊柱から距離を取ろうとする。
だが、そこでアクシデントが起きた。
「ボオオオオオォ!!」
「「!?」」
ジブン達の進路を塞ぐ様に、木の姿をしたモンスターが現れたのだ。
〈鑑定〉。
(トレント)
トレント!
ファンタジー作品でお馴染みの、歩く木のモンスター。
「森林層」であるこの階層にいるモンスターとして違和感はないが、このタイミングで遭遇したくなかった・・・!
「邪魔っ!!」
ジブンは、前方にいる蒼規を追い抜いて、トレントの胴体へと鉞での横薙ぎを叩き込む。
トレントの図体が上下に分かれ、ズンッと音を立てて倒れる。
しかし、
「―――っ!遅かったか・・・」
「これ、かなりまずいね」
ジブン達の周囲には、大量のジャイアントモスキートが飛び回っていた。
巨大蚊の大群は、騒がしく羽音を立てながらジブン達の周囲を“ぐるり”と周って包囲する
これじゃまるで、黒い壁だな。
そんな感想が思い浮かぶ中、後ろを振り返るとそこには、ジャイアントモスキートでできた黒い蚊柱が迫っていた。
―――その蚊柱から針が放たれる。
「「!」」
針の速度は、「洞窟層」の弓持ち小鬼と同等くらい。
だから、それを難なく避けてから、ジブン達を攻撃してきた下手人を見つける余裕があった。
あの巨大な蚊柱の中央に在る“5m程の巨大な蚊”の姿を。
〈鑑定〉
(ビックモスキートクイーン)
「クイーンなんだ・・・」
トレントと同じく、ラノベやゲームで登場するモンスターのリーダー格。
自身より下の同系統モンスターを使役するモンスターの総称。
だが、キングと違って統制するだけでなく、己の下僕たるモンスターを自身の手で生み出すことのできるモンスター。
それが、ジブン達のラノベとかゲームで手に入れた、名前に「クイーン」が付くモンスターのイメージだ。
もし、ジブンの記憶にある情報が当てはまるのなら、周囲の巨大蚊はすべてあのクイーン個体によって生み出されたモノ。
そして、雑兵であるジャイアントモスキートから魔石が落ちなかったことを考えるに、あのクイーン個体こそが本体であり、アレを倒さなければ巨大蚊がドンドン生み出されてしまう。
それならば、まず狙うべきなのはクイーン個体だ。
残りの蚊は、クイーン個体を倒した後にどうするか考える。
「とりあえず、矢であの女王蚊を狙ってみるね」
「頼んだ。護衛する」
蒼規は、これまで練習してきた弓矢を使い、遠距離攻撃を仕掛けるようだ。
ジブン達の器用のステータスがそれなりに高いこともあって、蒼規の弓矢の使い方を習得するのが予想以上に早かった。
だけど、まだ細長い物に対して矢を当てる技術はないらしく、放った矢は悉く女王個体に避けられるか、巨大蚊がその身を犠牲にして防いでいる。
「中鬼の朱弓」に内包されているスキル〈剛弓〉も使っているが、このスキルはあっさりと避けられる。
しかし、このスキルで放った矢は、射線上にいるジャイアントモスキートをまとめて吹き飛ばせていた。
こちらへ接近してくる蚊は、ジブンが鉞をブンブンッと振り回して吹き飛ばしている。
相変わらず脆い。
戦闘開始から1分が経ったが、既にジブン達が倒した蚊は100を超えているだろう。
恐ろしいのは、これだけやってもジブン達に襲い掛かる蚊の数が減る気配がないということだ。
・・・ヤバイな。
ザコ敵の数が多くて、蚊の殲滅速度が追いついていない。
耐久こそ紙みたいに脆いから、威力が無くとも広範囲を誇る魔法があれば何とかなったのに・・・。
体感、こちらへ接近してくる蚊の数が増えているような気がする。
これってもしかして、階層中の蚊がジブン達へ襲い掛かってきている?
その時、ジブンの脳内に思い浮かんできたのは、この蚊の群れが他モンスターを襲う光景だ。
黒い塊となった蚊によって、身体中の血を吸われて干乾び、最後には砂の様に崩れ去るモンスター達の姿。
もしかしたら、このまま続けていれば体力が尽きて、ジブン達もあんな目に遭う?
・・・。
よし、撤退しよう
「・・・アオ、もう逃げたほうがいいと思う」
「どうやって!?退路は巨大蚊で防がれてるのにっ!」
「空中に行けばいい。ジブン達には〈飛翔〉がある」
「!」
ジブン達は、これまで1度も〈飛翔〉スキルを使ったことがない。
「洞窟層」では狭いし、「森林層」は木々が邪魔だしで、“飛翔”などできるはずもなかった。
地上でも、航空法?か何かの法律で、人の敷地内では空を飛んではいけないという法律があったので、〈飛翔〉の練習をする場所がなかった。
「・・・いや、でも!もし僕達が〈飛翔〉スキルを制御できなかったら、地面に落ちるか、蚊の群れのど真ん中に突っ込んで死ぬかだぞ!?」
「大丈夫。包囲を抜けるだけに使用す」
「だーかーらー!」
もちろん蒼規の言う通り、ジブン達が〈飛翔〉スキルを制御できるか、という疑念がある。
ジブン達は、未だに自身の能力を使いこなせていない。
また、借金を負った要因であるナイター塔をへし折った件から、未知の能力を使う事に対しての恐れがある。
だから、今まで〈飛翔〉スキルに向き合わずに逃げてきた。
けれど、この状況では何らかのアクションを起こさなければ、ジリ貧になるのは目に見えている。
ならばジブンは、一縷の望みに賭ける・・・!
後から考えてみれば、この時のジブンは焦りで正常な判断ができていなかったのかもしれない。
死への恐怖心があったかもしれないし、未知の状況に直面したことでパニックになっていたのかもしれない。
「先に行く。すぐに追いかけてきて」
「え?ちょっ待っ」
「〈飛翔〉」
だから、ジブンは普段ではやらない、蒼規よりも先に撤退する選択をしてしまった。
その結果・・・。
ジブンの体が凄い速度で打ち上がり、蚊の群れに思いっきり突っ込んだ。
「あっ―――」
「・・・え、は、はぁ!?バッカヤロォーーー!!」
後から蒼規に聞いたのだが、ジブンは〈飛翔〉スキルを使用すると同時に、ロケットみたいに打ち上がり、蚊の群れを突き破っていったそうだ。
その時に、奇跡的にビックモスキートクイーンに命中したらしく、蚊の群れは灰となって消えたそうだ。
そして、ジブンはそのまま墜落し、木の上に落ちたのだという。
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回収後・・・。
「ガチャの取り分は、半分で」
「・・・」
無茶したことと心配をかけた罰として、次のガチャでのジブンの取り分が大幅に減った。
悲しい・・・
人間ロケット