双子カラスは迷宮時代を駆け抜ける   作:@7281mo-mu

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探索者協会

  ダンジョンが民間へと開放されることになった数日後、ジブン達は探索者免許の試験を受けるために長野県の県庁所在地へと来ていた。

 日本で出現したダンジョンは長野県の空き地に出現した物だけで、試験会場は長野市のダンジョン近くに急ピッチで建設された専用の施設となっている。

 なお、ネットではこういうときは『東京か京都だろ』とかいう声があがっていたとかないとか。

 

 ちなみに、ダンジョンがいきなり民間に開放されたのには理由があるらしく、権力者たちが『民間に開放せよ』みたいな何者かの神託を受けたかららしい。

 ガセネタだと判断する人達は多くいたが、とある動画サイトに信託と思わしき動画が上がっていたらしい。

 その動画を再生すると、声の主の言葉が未知の言語なのに意味がわかってしまうそうだ。

 

『神は言われた。「子どもたちよ、来たるべき日までに我が試練を乗り越えよ。私が与えた試練の大穴はあなた達に進化を促すだろう。大穴は誰のものでもない」と』

 

 これ、完全に「超常的存在」関連の案件だね。

 

 これで超常の存在が明らかになったことで、いろんな界隈が狂喜乱舞したそう。

 ちなみに、動画の中にある「神」というフレーズは、聞く人の宗派によって変化し、仏とか神話の大神の名前に聞こえたり、どっかの偉大なる邪神の名前に聞こえたりするらしい。

 そのせいで、カルト教団が出現したり、神を語った教敵と評する人が現れたり、若干混沌とした状況になってるみたい

 ・・・さすがに、他所の神性の名前を語るのはやりすぎだったようだ。

 

 それで、我が国は最低限の調査をした後、民間に開放することになったらしい。

 なお、推定神性存在の声を無視し続けると、だんだん声がデカくなっていって、24時間後にはヘビメタを聞いてるみたいになるらしい。

 何その新手の拷問。

 

 幸い、了承するとその声は収まるらしい。

 だが、やっぱり辞めた!とかすると、再び声が聞こえるようになったらしく、現在の国の上層部の人達はノイローゼ一歩手前だそうだ。

 お疲れさまです。

 

 そんな感じで、探索者になって開放されたダンジョンへと潜るために、日本中の夢見る者達が長野市に向かっているそうだ。

 数日後には、希望者があまりにも多すぎるため、抽選式になったようだが・・・

 

 ジブン達も、家計のためにそのビックウェーブに乗ろうとしたけど、両親に猛反対された。

「危ない」だとか、「学校はどうするんだ」とか、正論を怒涛の勢いで出されたのだ。

 こちらも負けずに、「安全に気をつける」、「学校は通信制にするし、そもそも羽が邪魔で授業に参加できない」とか、懸念を一つ一つ説き伏せてって、最終的には土下座してなんとか受けさせてもらえた。

 ちなみに、探索者になるための費用なジブン達で出せとのことだ。

 

 探索者試験の抽選の結果、見事2人共当選し、準備を整えて長野へ向かったのだった。

 

 軽い旅行気分で電車に乗って移動。

 駅で周囲の視線一身に受けながら、覚醒者専用の電車(いつのまにかできていたらしい)に乗車した。

 移動中は試験勉強や学校の宿題をやる。

 これも、両親との約束だから。

 長野に着いたら予約しておいた宿に泊まり、試験当日まで勉強及び観光をして今日という日を迎えたのだった。

 

 ・・・ちなみにナンパというものにあった。

 関わるのが面倒くさいという感情もあったが、今まで遭遇したこともなかったので、少しだけ面白いと感じた。

 ナンパしてきた人達は、速歩きで撒きました。

 

 

 数日間、ちょっとした観光気分で長野の街を歩いたり、食べ歩きしたいという誘惑に駆られたり、学校の課題に四苦八苦して過ごしていると、あっという間に試験当日になった。

 試験開始予定の2時間前に、ジブン達は試験会場へと向かって行く。

 試験会場は、前日の内に下見に行ってたので迷うことはない

 だけど、早めに行動して損は無いから・・・。

 

 宿から10分ちょっとで、試験会場へと到着した。

 試験会場となっている建物は新築だったので、外装がキレイで凄く巨大だった。

 まるでどこかの病院みたいだ、と思い入り口付近にあった看板を見てみると、そこにはデカデカと「探索者協会」と書いてあった。

 ラノベの世界に迷い込んだようで興奮した。

 

 中に入ると、まんま病院のエントランスのような構造だった。

 エントランスを見回すと、普通の人間だけではなく、自分たちと同じように変化したと思われる猫耳の男性に、カエル男、江戸時代くらいの傘を被った人物等、様々な姿があった。

 もちろん、普通の人間も半数程いるけど、やはり人外の姿をした人達が目立つ。

 そんな異なる姿をした「覚醒者」達は、全員がこちらへと視線を向けていた。

 ビビるから辞めて欲しい。

 

 ちなみに、「覚醒者」とは異種族となった人達のことを指す名称だ。

「亜人」や「デミヒューマン」という案もあったけど、覚醒者の中には人間と変わらない姿をした者もいたことと、差別的発言になるのではないか?という意見もあったことから、「覚醒者」という呼び名になったようだ。

 数日前、政治家が決めたってニュースでやってた。

 

 数多の視線にビクビクしながらも、手元の資料を確認しながら手順通りに受付に行く。

 そして、受付にいる美人に該当するだろう女性に試験表を申し込み表、個人情報の一部が書かれた書類を渡す。

 

「「お願いします」」

「え、あ、はい、わかりました!只今、手続きさせていただきます!?」

「「?」」

 

 なぜか、受付嬢があたふたしている。

 ・・・そういえば、ジブン達は美少女になっていたな。

 しかも、人外クラスの美しさの。

 始めて見た人なら、驚いてもおかしくないか。

 

 ・・・そもそも自分達はなんで女体化したのだろうか?

 ネットで調べてみても、性別まで変わったという例は見られなかった。

 そもそも、なんで一番に考えるべき疑問に気がつかなかったんだろうか。

 ジブンがアホに思え、少し落ち込んだのだった。

 

 ・

 ・

 ・

 

  エントランスに待機するように言われたので、2人で隅の方に座った。

 なんかこっちをチラリら見てくる人もいるが、ジブン達は気にせず試験の勉強をする。

 

「そういえば、ジブン達はなんで女に?」

「・・・確かに、なんでだろう」

「変身前に見た記事が原因?」

「変身前にあの双子の美少女キャラの記事見てたかっらて?・・・いやいや、流石にそんなことは・・・あるかも」

 

 早速勉強に飽きてきたジブン達は、そんなくだらないことを話していると、ジブン達がいる場所に見知らぬ男が近づいて来た。

 背丈は130cmくらいで少年のようだが、顔はいかついオッサンでヒゲも生えている。

 おそらく、小人かドワーフ系の種族だろう。

 

「よぉー、嬢ちゃん達。種族は鳥人間か?ちょっと背中の羽触らせてくれねぇか」

「アマ、変質者が来たから」

「わかった。職員呼んで来る」

「待て待て待て待てぇい!?いきなり声かけたのは謝るから、それだけは止めてくれ!?」

 

 変質者が何か言っているが、とりあえず話だけでも聞いてやろう。

 

「アオ、一応話は聞く?」

「いいけど、スタンバイはしておこう」

「そんなに警戒しないでくれよ。・・・俺は娘の付き添いで来たようなものだからよー」

「「娘?」」

 

 すると、頭に河童が付けている皿みたいな物を乗っけた女性が、慌てた様子で近づいてきた。

 

「ちょっとお父さん!?周りの人の迷惑かけないでよ!」

「でもおめぇ、この子達の羽を触りたいって言ってたじゃねえか」

「無理にとは行ってないわよ!!」

 

 どうやらこの河童っ娘が触ってみたいって言い、その言葉を受け取った彼女の父親がジブン達に頼みに来たらしい。

 

「どうする?」

「別にいいんじゃない?それくらい」

 

 蒼規は、何でもないように言う。

 ・・・まぁ、減るもんでもないし触らせてあげるか。

 ちょうど親子喧嘩も終わったようで、河童っ娘はこちらに近づき頭を下げる。

 

「父がごめんなさい。・・・そして、厚かましいかもですが、背中の羽を触らせてください!」

「「・・・」」スッ

「!・・・あ、ありがとうございます!」

 

 そのまま、時間が来るまで羽をワシャワシャされた。

 

 ・

 ・

 ・

 

 試験の時間になったので、愉快な親子と分かれたジブン達は、筆記試験をサラッと終わらせ、次の面接を受けるために待機している。

 筆記試験は推定神性存在が作ったものらしく、作成代行者に神託を下しているらしい。

 もしかして、神性存在って暇なのか?

 ちなみに、試験内容はファンタジーの内容が多く出ていたので意外と楽しく解けた。

 

「Kの15番と16番の方、どうぞ」

 

 ジブン達の番号が呼ばれた。

 ちなみに、蒼規が15番でジブンが16番だ。

 ・・・というか2人同時?

 他の人は1人ずつだったんだけど・・・。

 

 悩んでいてもしょうがないので、職員の案内に従い、 と共に面接会場へと向かう。

 

 ・・・しばらく職員の人の後を歩いていると、他の部屋より厳重な場所に連れてこられた。

 話を聞くに、覚醒者と呼ばれる人達は力が強いため、こうした場所に連れてこられるのだとか。

 ・・・とりあえず、納得しよう。

 

「「失礼します」」

「どうぞ」

 

 部屋に入ると、面接という感じの机が配置してあり、奥の方の椅子には赤い帽子を被った女性とエルフの女性の2人がいた。

 帽子被った女性は、黒く長い髪とエルフみたいな尖がった耳をしており、切れ長の鋭い目からは、理知的で冷血な雰囲気を感じる。

 対して、もう1人のエルフの人は、輝くような金色の髪を三つ編みにしており、ふんわりとした優しげな顔立ちをしている。

 ただ、自意識過剰でなければ、エルフの人のジブン達を見る眼が若干、血走っているように見えるのは何故だろうか・・・。

 

 そんな、独特の雰囲気を醸し出す2人に気圧されていると、赤帽子の女性が口を開いた。

 

「2人共、どうぞ座ってください」

「「はい。失礼します」」

「一応面接だけど、形式とかは気にせずに楽な態度でいいです。いつも通りのリラックスしたしゃべり方でいいわ」

「「はい。わかりました」」

「まだ硬いけど・・・まぁいいわ。それでは面接を始めます」

「「はい。よろしくお願いします」」

 

 赤帽子の人は、ジブン達を安心させるように優しく語り掛けてくれた。

 どうやら、この人は外見ではわからなかったが良い人そうだ。

 だが、そう来ると逆に、エルフの人がどういう人かが気になってくる。

 エルフの人は、ジブン達が入室してからずっとこちらをガン見してくる。

 そのせいで、気が休まらない。

 

「それでは、最初の質も」

「先輩」

 

 エルフの人が口を開いた。

 その声色は顔と同じでとっても優しげな感じなのだが、どことなく不安になるのは・・・本当になんで?

 

「・・・なんですか、茂木(もえぎ)さん。今は面接中ですので、手短に話してください」

「クール系人外美少女を相手に面接って、何だか興奮しますよね!」

 

 目の前の金髪美人エルフは、そんなことをのたまった。

 

「「・・・」」

「・・・。では、改めて面接を開始します。私が質問をするので、変に考えずに」

「「わかりました」」

「えっ、待って先輩、流石に無視は酷い、ってもしかしてこのまま面接始める感じですか、そうなんですねわかりました余計な事はいいませんから、机の下に構えてるナイフ仕舞ってください!?」

 

 ・・・こうして、ジブン達の面接は始まった。

 

 (注):ここからは文章の形式が変わります。

 

 赤帽子「えーっと・・・それではまずは、そちらの白髪のお嬢さんの方から。貴女のお名前と種族、名前を教えてくれるかしら?」

 白カラス「はい。・・・僕の名前は北豊蒼規です。種族はフギンです」

 エルフ「白髪の透明系美少女な上に僕っ娘、ね。・・・滾るわ」

 赤帽子「黙れ、茂木。それにしても、種族はフギン・・・フギン?・・・まぁいいわ。では隣のお姉さん?妹さん?自己紹介をどうぞ」

 黒カラス「はい。ジブン・・・僕・・・私の名前は北豊天規です」

 黒カラス「後、種族はムニン。・・・弟です」

 黒カラス「覚醒してからは、一度に20文字しかしゃ」

 赤帽子、エルフ「「しゃ?」」

 黒カラス「・・・べれないので、どうかご了承ください・・・」

 エルフ「赤面してる、カワイイ!!」

 赤帽子「本当に黙ってなさい、茂木。それにしても・・・覚醒したことによって言葉に影響が・・・って待って!?今、貴女は、自分の事を男って言わなかった!?・・・あっ、ごめんなさい、つい取り乱してしまったわ。まさか男だったなんて・・・」

 白カラス「僕も男です」

 赤帽子「えっと、そっちも、男・・・?」

 エルフ「男の娘・・・イイ!———ぐべらっ!?」

 赤帽子「黙れ変態」

 白、黒カラス「「・・・」」

 赤帽子「御見苦しいところをお見せしました、申し訳ありません。・・・ところで、質問なのですが、覚醒時にデメリットがあるんですか?」

 黒カラス「ジブン以外の人は他はわからないです」

 赤帽子「そうですか。・・・貴重な情報を提供してくださりありがとうございます」

 黒カラス「お役に立てたのなら、嬉しいです」

 赤帽子「では、次の質問に移ります。お2人は何故、探索者になることを希望するのでしょうか?」

 黒カラス「はい。借金返済のためです」

 赤帽子「はい、借金返済ですね。・・・借金?」

 白カラス「天規の発言を補足しますと、ついこの前に自分の身体能力を制御しきれずにナイター塔っていうデカい建造物に体当たりしてしまい、そのまま折ってしまったんです」

 赤帽子「ナイター塔を折る!?え?嘘じゃないのよね!?」

 エルフ「あれ?その話、どこかで聞いたことがあるような・・・」

 白カラス「ナイター塔を折ったせいで、1000万くらいの借金を負いました。なので、僕達は一刻も早く返済のためのお金を稼ぎたいんです。どうか、よろしくお願いします」

 黒カラス「よろしくお願いします」

 エルフ「いいわ、2人供合格よ!!」

 赤帽子「勝手に合格させないで。というか、復活早いわね変態」

 エルフ「やめて、そんな風に言わないで」

 赤帽子「・・・そう、ごめんなさい。貴女相手だとしても、流石に言いすぎt」

 エルフ「興奮するじゃん」

 赤帽子「貴女、覚醒者になってから欲望に忠実になったわね」

 エルフ「ふふ、照れるじゃない」

 赤帽子「褒めてない。とりあえず静かにしてろ変態。〈フェアリーパラライズ〉」

 エルフ「あばっ!?」

 赤帽子「監視員さん。この変態を裏へ持って行って」

 エルフ「ほ、ほっほへわはひほはいひょひへほはいはいはんほわはひが(こ、ここで私を排除しても、第2第3の私《変態》が)」ドナドナ~

 赤帽子「うるさい、黙れ、さっさと去れ」

 バタン

 赤帽子「・・・」

 白、黒カラス「「・・・」」

 赤帽子「え、えっと・・・それでは、面接を再開します」

 白、黒カラス「「はい。わかりました」」

 赤帽子(こ、この2人・・・。目の前で行われた奇天烈な騒動を、気にした素振りを感じられない・・・!)

 

 その後は、何事もなく面接が進められた。

 

 

 

 




 次回に続きます。
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