双子カラスは迷宮時代を駆け抜ける   作:@7281mo-mu

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 ちゃんと投稿できてるかが心配で怖い・・・


ゴールデン!

 「これだけモンスターを倒してると、殺傷に慣れてきて怖い。罪悪感が薄れる」

「・・・蒼規、ずっと無理してた?」

「えっ、い、いやぁ?ソンナコトナイヨ?ホントダヨ?」

「・・・まぁ、いっか。進むよ」

 

 ここへ来るまでの道中は、数日前に行ったマッピングと蒼規の記憶を頼りに進んでいった。

 その際、6階層に着くまでに遭遇したモンスターや宝箱は基本的に無視する。

 どうせ、もっと先の階層へと進めばもっと良い物が出るだろうし、何よりジブン達のダンジョン攻略は期限を決められたので、序盤であろうこの階層の探索ではあまり時間を費やしたくない。

 そんな、もったいない、という気持ちを飲み込んで先を進んでいく。

 

 こうして、ジブン達は出現モンスターの変化がある6階層に辿り着いた。

 ここからは、ジブン達がまだ探索していない未知の領域なので、攻略速度を落として周囲への警戒を引き上げた。

 この階層では、途中で遭遇したモンスターや宝箱は無視しない。

 だって、もったいないもん

 

 

 そのまま6階層の狭く暗い通路を歩いていると、前方の暗闇の中でぼんやりとだが、5体の小鬼を発見した。

 6階層に入って体感30秒での遭遇。やっぱりエンカウント率が高い。

 

「・・・武器持ちがいる」

「ナイフ持ちが2体で、剣が1体。残る2体は丸腰だ」

 

 5体の小鬼は、前の階層の小鬼と同じように腰蓑だけの格好だが、武器を持つ個体が現れた。

 ちなみに、これまで遭遇した小鬼は腰蓑以外を装備してなかった。

 

「グギャギャギャーー!!」

「「ギャギャーー!!」」

 

 来る!

 そう思った瞬間、奥から“矢”が飛んで来た。

 

「「!」」

 

 小鬼だけでなく周囲への警戒も続けていたお陰で咄嗟に回避することができた。

そして、矢の飛んで来たであろう、小鬼達がいる場所の後方を確認する。

 するとそこには、洞窟であったため薄暗くて見え辛かったが、曲がり角に弓を構えた小鬼が隠れている事に気が付いた。

 

「バックを盾に、奥をやる」

「気を付けて!」

 

 ジブンは、蒼規に簡潔ながらそう言うと、物が入っているのでそこそこ膨らんでいるバックを盾にし、小鬼達へと突っ込んでいく。

 そんなジブンの無謀な行動に驚き、一瞬だけ動きが止まった小鬼達だったが、これ幸いと突っ込んできたジブンへと襲い掛かる。

 

「はい、そこやらせない」

「グギャッ!?」

「「ギャバッ!?」」

 

 それを見逃す蒼規ではなく、1体の小鬼を木刀で叩いて、2体の小鬼がいる方へと吹っ飛ばす。

 吹っ飛んできた仲間にぶつかった小鬼は、気絶したのか動かなくなった。

 ラッキー。

 

「グギャギャ!!」

「邪魔」

「ギャブッ!?」

 

 剣持ち小鬼の斬撃を持ってた木刀で叩き落とし、カウンター気味に斬り返す。

 蒼規と木刀で戦闘訓練した甲斐があった。

 

 剣持ち個体があっさりとやられたからか、動きを止めた最後のナイフ持ち。

 それを蒼規が仕留める様を横目に、曲がり角に隠れているであろう弓持ち小鬼へと向かう。

 そして、念のためだが、先に木刀を曲がり角に突き出す。

 

 ―――ヒュン

「ほらやっぱり、待ち伏せしてた」

 

 バックを前に抱えながら、ジブンは曲がり角から飛び出して弓持ち小鬼を蹴り飛ばす。

 すると、当たり所がよかったのか、既に弓持ち小鬼は身体を灰と化して崩れていく。

 まさか、蹴りだけで倒せるなんて思わなかった・・・。

 

 弓持ち小鬼のドロップアイテムである魔石と、ボロボロな弓矢を拾って蒼規の元へと戻る。

 蒼規は、気絶していた小鬼にトドメを刺しているようだった。

 

「ありがと、うまくいった」

「それはよかった。ならさっそくドロップアイテム拾って進もうか。それと、そのバックの中身は僕が預かる?」

「・・・お願い」

 

 今回の戦闘で、ダンジョンの危険性が上がっていると感じた。

 小鬼が武器を持ち始め、前衛を囮に待ち伏せして狙撃するという、賢い戦略をとってきた。

 気を抜いていたら、今頃はあの弓持ちに気づかずに、そのまま頭を射貫かれていただろう。

 だから、これからは絶対に油断できない。

 そう確認し合ったジブン達は、気を引き締めて先へと進んだ。

 

 

 順調だった。

 想像以上に順調だった。

 現在、9階層にいるのだが、これまでの道中では想像以上に楽々と進むことができた。

 

 これまでに出現したモンスターは、1~5階層に出たモンスターに加えて、武器を持った小鬼や、ホーンウルフに乗った小鬼が出てきたくらいだ。

 後は、一度に10匹以上の群れと出会うことがあったくらいか・・・。

 そんな感じの階層だったが、ジブン達にとっては苦戦するようなモノではなかったらしい。

 

 やはり最大の要因は、モンスターの動きの遅さと貧弱さだろう。

 この階層で1番俊敏が高いらしいホーンウルフの動きでも、余裕で目で追える程度であり、ジブン達のこの体の身体能力がいいこともあって、飛んで来る矢に不覚を取ることもなかった。

 なので、現在のジブン達の被弾数はゼロ。

 これは、戦闘素人を脱却したと言えないジブン達にとって、快挙と言えるのではないだろうか。

 

 一度に遭遇する数も驚く程に増え、ウサギとオオカミが仲良くジブン達に襲い掛かってきたり、ネズミ、ウサギ、コウモリが連携攻撃をしてきたりと、モンスターに生態系ってあるのだろうか?という疑問を抱きながらも残さず討伐していく。

 数が増えても無理せず1体1体丁寧に対処していき、時には先程、蒼規がやったようにモンスターを味方のぶつけるという戦法をとり敵を攪乱することで、斬り込む隙を作ったりする。

 それと、ジブン達の攻撃力は意外と高いらしく、相手を1撃で倒すことができるのも余裕がある要因の1つだろう。

 何気に、戦闘よりもドロップアイテムを拾う方が時間をかけてる気がする。

 

 そんなこんなで、順調に9階を進んでいたジブン達だったが、それは急に現れた。

 

「アマ、ストップ」

 

 蒼規の言葉に、足を止めるジブン。

 

「どうした?何かあったか?」

「ある意味凄いのが見える。ほらあそこ」

 

 蒼規が指を刺している方向を見ると、そこには薄らと金色の光が見えた。

 ・・・何あれ?

 

「・・・どうする?覗いてみる?」

「覗こう。情報料のためになるだろ」

 

 そう言って、光源へと向かう蒼規。

 ジブンも、それに続いて光源に近づく。

 そして、光源があるであろう曲がり角を慎重に覗くと、そこには“金色に光るスライム“がいた。

〈鑑定〉。

 

(ゴールデンスライム)

 

 ご、ゴールデンスライム・・・!

 

「・・・確かに凄い」

「うん、そうだね。・・・それで、どうする?アレは倒す?その場合どっちが行く?」

 

 見たことも情報も無いモンスターなのだが、どこかで見たことがあるような気がするからか、蒼規は既に倒す方向で話している。

 まぁ、ジブンもゴールデンスライムって、倒すといいことがありそうなイメージがあるし、倒したいという気持ちはある。

 けれど、もし危険な存在で、ジブン達でも対処できない相手だったらどうしよう。

 でも、蒼規は倒す気満々だし・・・うん、決めた。

 

「ジブンが行っていい?」

「・・・次は僕に譲ってよ。絶対倒せよ~」

 

 気の抜けた声で、ジブンを応援する兄。

 見るからに気を抜いてやがる。

 何かあった時は逃げようと言い含めて、ジブンは金スラに気が付かれないように曲がり角で身を潜め、金スラの様子を窺う。

 

 金スライムとかそういう系統の存在は、大体硬いか速いか、またはその両方が優れているという印象を持つ。

 だが、その分見返りも大きく、大量の経験値だったり、金だったり、レアアイテムだったりが貰える。

 無駄なリスクは負いたくないが、このタイプの敵はレアな物を落とすと定番であるだけではなく、次にいつ遭遇できるかわからない可能性がある。

 または、ジブンが抱いた印象は全部間違いで、ヤバイモンスターなのかもしれない。

 

 何故、ジブンはボーナスモンスターみたいな奴にこんな警戒しなければならないのか、という疑問を抱きながらも、こっそりと近づき始める

 まだ金スラはジブンに気が付いていないので、このまま不意打ちをしよう。

 手始めに金スライムの頭上に全力で斧を叩きつける。

 

 パァン!!

 

 金スラがはじけ飛んだ。

 弱っ。

 

「嘘・・・。もっと硬いと思った。・・・ん?」

「うわぁ、オーバーキルすぎる。・・・どうした」

 

 あまりにもあんまりな金スラの弱さに、理不尽であるとわかっていながらもドン引きしていたが、数秒前まで金スラのいた場所に何かが落ちているのが見えた。

 拾ってみると、落ちていたのは金色のコイン。

 というか、これって・・・

 

「「ガチャコイン!」」

 

〈鑑定〉

 

 ――――――――――

「金コイン」

 使用者に、輝かしい未来を掴み取るチャンスを与える金色の硬貨。

 運命はアナタの運次第。

 簡単に言うと、「ダンジョンガチャマシーン」で使える高ランクのコイン。

 ――――――――――

 

 どうやら、ガチャコインであっていたようだ。

 しかも予想していた通りで、銅コインよりもランクが高い。

 これは絶対にガチャを引かなければならない・・・。

 さて、問題があるとすればだが、

 

「「・・・」」

「誰が使うか、ジャンケンで決める?」

「負けたほうは銅コインの取り分倍で」

「・・・わかった」

 

 こうして、平和的に今日のガチャについて決まり、探索後のガチャが楽しみになったのであった。

 

「・・・この金ぴかって、報告しなくちゃいけないかな?」

「・・・黙っておけば。とられるかもよ」

「「・・・」」

「「はぁ」」

 

 隠し事が増えたことで生まれた、新たな罪悪感を抱えたまま・・・。

 

 9階層を乗り越えて、ついに10階層にたどり着いた。

 階段を降りると、4mくらいの大きな金属製の扉がある広間に出てきたのだが、恐らくここが10階層なのだろう。

 周囲を少し調べたが、罠らしき物やモンスターが潜んでそうな場所は見つけられなかった。

 ダンジョンの壁の中に潜んでいたら、調べる術のないジブン達ではどうしようもないが・・・。

 

「多分だけど、この扉の先ってボスいる」

「じゃあ、ここ安全そうだから昼食にする?」

「もう昼なの?」

「ちょうど12時になったところ」

 

 確認してみると、時計の針は12を指していた。

 時の流れって速い。

 

 ジブン達は、軽めの昼食を摂って少しの休憩を取った後、手早く戦闘準備をし始める。

 

「そういえば、中の様子見れる?」

「知らない。確認してないから」

「じゃあ見てくる」

「覗いた瞬間に目にグサってされないでね」

「・・・やっぱ止めた」

 

 別に、日和っているわけではない。

 ただ、必要のないリスクを負うのが嫌なだけ。

 

「準備はいい?今度は僕が先に入るから、それに続いて入ってきて。何かあったら撤退って言うからすぐに扉を出て。出れなかったら死ぬ気で戦う。いい?」

「わかった」

「怪我には気を付けて。・・・それじゃ」

「「GO!!」」

 

 ジブン達は、それぞれの武器を盾のように構えながら、勢いよく扉を開いた。

 

 




「ゴールデンスライム」
 戦闘能力は同階層のスライムと同様に大したことはないが、「俊敏」と「耐久」が比べ物にならない程に高い。
 とはいっても、「俊敏」のランクは「C-」で、「耐久」は「D-」なので、双子のように優れたステータスを持つ探索者にとっては普通に狩れるリターン割高モンスター。
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