オデッサの鬼、オデッサの死神と呼ばれた2人の兵士 作:ナイトメア・ゼロ
「予想以上の戦果報告だな。よくやったアトラス大佐。モビルスーツの偵察のみならず前線基地の確保をしてくれるとは。これで、ベルファウスト攻略への足がかりになるだろう」
オデッサ基地へ帰還しアトラス大佐は、マ・クベ中将に報告書を提出していた。
「しかし、鉱山基地でもそうでしたがやはり連邦軍はモビルスーツの量産に成功しているようですね。あの時のタンクもどきはともかくあのヒトガタはおそらくデータを多く手に入れる為に作られた量産用試作機だったのかもしれません」
「それは間違っている」
「と、言いますと?」
「諜報部によるとあれは我が軍から鹵獲したザクをコピーしただけのものだ。君の言うとおりデータ集めの為に量産されたのかもしれないがあの機体では微々たるもの。本命は別にあったのだよ」
「別に?」
マ・クベ中将は、アトラス大佐にある映像を見せた。
「サイド7でシャア少佐が持ち帰った映像だ」
「シャア少佐?あの赤い彗星ですか?」
「そうだ。キシリア様が送ってくださった。見てみるがいい」
映像には赤いモビルスーツにタンクもどき、そして白いモビルスーツの戦闘映像が映っていた。赤いモビルスーツとタンクもどきは簡単に破壊されたが白いモビルスーツは、偵察に来ていたザクを瞬殺した。
「・・・・・」
映像を見ていたアトラス大佐は、声が出なかった。
「連邦はV作戦と名付けていたみたいだが性能は見た通りだ。我が軍のザクを遥かに上回っている。おそらくだが、こっちが連邦の正式なプロトタイプなのだろう」
「あの性能で試作機なのですか!?」
「どちらにせよ、これほどの性能を持ったモビルスーツが量産されればジオンもひとたまりもないだろう。キシリア様は対モビルスーツ戦闘に秀でた新型機を急がせているようだが間に合うかどうか」
マ・クベ中将は、置いてあった壺を人差し指でチンと小さく鳴らした。
「報告ご苦労、下がってよいぞ」
「ハッ!失礼しました!」
アトラス大佐は敬礼をして司令室から出て行くと机の引き出しからレポートを取り出した。
「どうやら私も急いだ方がいいようだ」
そう言って【統合整備計画】と、書かれたレポートを極秘ファイルに挟んだ。
オデッサ基地、整備場。そこではウルフ専用陸戦高機動ザクの整備作業が行わらておりウルフはコーラを飲みながらその作業を眺めていた。
「あ、ウルフ大尉!」
話しかけてきたのはルミア技術少尉だった。名前を呼ばれウルフはチラッとルミア技術少尉を見たがすぐにザクの方に目を向けた。
「あ、あの、ウルフ大尉は、グール隊に所属してたんですよね?大尉はどうしてアトラス隊に移動したのですか?」
「・・・・・・」
「あ、あの」
ルミア技術少尉の質問を無視していると。
「ウルフ!」
ヘリオスがやって来た。
「ヘリオス軍曹!ウルフ大尉を呼び捨てしないでください!階級はウルフ大尉の方が上なん・・・キャ!」
「どうしたヘリオス?」
ヘリオスの呼び捨てにルミア技術少尉は叱ろうとしていたがウルフが肩を掴んでルミア技術少尉を強めにどかした。
「もう、昼メシの時間だ。一緒に食いに行こうよ」
「えっ?もうそんな時間?」
「ほら、早く行こうぜ。あ、ルミア少尉も一緒に行きます?」
ヘリオスがそう言うとルミア技術少尉は呆れた顔で。
「あのですね、尉官と兵士じゃ食堂が違うでしょ!ウルフ大尉、食事は尉官専用の食堂で」
「・・・・・ヘリオスと一緒に行っていいのか?」
「え?」
「ヘリオスと一緒の食堂じゃねぇと俺は食う気はない」
「な、何を言ってるんですかウルフ大尉!」
「まぁまぁ、落ち着いてくださいルミア少尉。ウルフ、お前も落ち着けって。ウルフは、マ・クベさん・・・じゃなかった。マ・クベ司令から特別に兵士食堂を使ってもいいって許可をもらってたんですよ」
「そうなの?」
「はい・・・・あ、よかったらどうですか?僕達と一緒に」
「結構です。私はまだウルフ大尉専用ザクの整備がありますから」
「あ、そうですか。それではお疲れ様でした。ほら、ウルフ早く行こうぜ」
そう言って、2人は食堂に向かった。
ヘリオスとウルフが食堂で昼食を食べていた時だった。
「ウルフ大尉、ヘリオス軍曹はいるか!?」
アトラス大佐が入ってきた。
「はい!」
ヘリオスは立ち上がり姿勢を正すと。
「昼食中にすまない。仕事だ」
そう言われると2人はすぐに出撃の準備に入った。
「今回の目的は連邦の補給を遮断することだ。連邦の支配下にあるこの町に輸送機ミデアが5機向かっていると情報が入った。この補給部隊にはモビルスーツを載せている可能性があり補給部隊を壊滅させモビルスーツの配備を阻止する」
「アトラス大佐、敵の防衛部隊は現在どのようになっているのですか?」
ヘリオスが手を上げて質問すると。
「現在、敵の防衛部隊もそれほど多くはない。多くはないが最近、攻略部隊が攻めあぐねているらしい。もしかしたら、イギリス前線基地で見たヒトガタではなく鉱山基地を襲ったヒトガタとタンクもどきがいるかもしれない」
「チッ、補給を許してたのかよ」
ウルフは舌打ちをしてそう言った。
「大尉の気持ちも分かるがあそこに補給をしていたのは精鋭の補給部隊だ。味方が気づかなかったのも仕方がないことだ」
「ということは今回はその精鋭部隊じゃないってことですか?」
「かもしれないなヘリオス軍曹。実際、今回の部隊は明らかに今までの動きと違う。囮なのか、罠なのか、或いは・・・・ただの素人か」
「そうですか・・・・・ウルフはどう思う?」
「ただの素人だろ。嫌な予感とか全然しねぇから」
「ウルフがそう言うならそうなんだろうな!」
そう言ってヘリオスはウルフと肩を組んだ。
(あれはニュータイプが見せる勘なの?グール隊じゃそんなことをできる人なんていなかったし彼もそんなことできなかったはずなのに・・・・一体どういうことなの?)