オデッサの鬼、オデッサの死神と呼ばれた2人の兵士   作:ナイトメア・ゼロ

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ミッション26 オデッサ防衛戦⑥

「そうか。ヘリオス曹長も悪運が強い。いきなり飛び出したウルフ少佐に発見されたのだから。(いや、この場合は強運とかではなく必然だったのかな?)」

 

「はい。いきなりモビルスーツで勝手に出撃して驚きましたよ」

 

 アトラス隊の隊長、アトラス大佐がウルフの無断出撃を報告していた。

 

「ヘリオス君の様子はどうだ?」

 

「深く傷ついていました。無理もありません。短かったとはいえ初めてできた部下でしたから」

 

 ウルフからの報告によると発見してヘリオスの肩を掴み呼びかけたらこの世の終わりのような表情で錯乱していたのだ。支離滅裂な言動を繰り返しウルフも落ち着かせようと努力したが無駄だった。やむを得ずヘリオスの首を絞め気絶させてからウルフ専用陸戦高機動ザクに乗せて連れ帰ったのだ。

 

「それよりもマ・クベ司令。本気なのですか?オデッサはジオンの生命線なのですよ?」

 

「決定事項だ仕方あるまい」

 

 マ・クベ司令は続けてこう言った。

 

「遺憾ではあるが我が軍はオデッサを放棄する」

 

と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヘリオスは罪悪感でメンタルをやられていた。短い付き合いだったとはいえ初めてできた部下を死なせてしまったからだ。あの時、自分がもっと周りを警戒していたらヤオ軍曹は死なずにすんだ。あの時、襲ってきたジム小隊を全滅させればあんな言い合いをせずキム軍曹とゾルダ伍長を死なずにすんだ。

 いろんなIFが頭の中によぎった。だけど、一番怖かったのはあの時、みんなが死んだ時、その中にウルフもいたような気がしたのだ。

 

「いやだ、いやだ」

 

 ウルフが死ぬかもしれないというIF。これがヘリオスの中にある恐怖を増大させてる理由だった。部下が死んだのも悲しいが自分のせいでウルフを死なせてしまったら・・・・・そう考えると震えが。

 

「ヘリオス」

 

「!ウルフ?」

 

 いつの間にか目の前にウルフがいた。

 

「・・・・・相当まいってるみたいだな」

 

 ウルフはヘリオスの隣に座った。

 

「何があったんだ?」

 

「・・・・・キム軍曹達が死んだ。僕の目の前で死んだんだ」

 

「そりゃ戦争中だからな。死ぬのは当たり前だろ?」

 

「分かってるよ。分かってるんだけど・・・・・初めてだったんだ。僕が指揮をして死んだ人達を見たの。キム軍曹達が死んだのを見た時、頭の中がグチャグチャになって訳が分からなくなった。罪悪感とかいろんなIFが頭の中に思い浮かぶんだ」

 

 ヘリオスは涙を流しながらそう言った。

 それを聞いたウルフは。

 

「よかった。ヘリオスがこっち側に来てなくて」

 

と、笑った。

 

「?どういうことウルフ?」

 

「俺さ部下が死んでもなんとも思わねぇんだよ。グール隊にいた時も仲間を肉盾にするのは当たり前。気に入らない、邪魔な奴がいれば殺す。それが当たり前だったんだ。それに・・・・・」

 

「?それに?」

 

「いや、なんでもない。とにかく俺は本当に仲間の死に興味がなかった。今でもそうさ。俺の最優先は、ヘリオスお前だ。お前を守れるなら仲間がどれだけ死のうが興味がない。・・・・・まぁ、最近1人だけ増えたかもしれねぇけど、まぁ、とにかく、ヘリオス、お前は部下の、仲間の死を悲しむことができる。俺にとっちゃそれはすごいことだと思うんだ。だからこそ、お前はこっち側に来ちゃだめだ」

 

「こっち側?」

 

「そうだ。お前がいる場所はまだ、戦争の浅瀬だ。戦争が終わってもまだ引き返せる。だけど、俺がいる場所は、戦争の深い所。そこまで入ったらもう、引き返せない」

 

 そう言ってウルフは立ち上がった。

 

「ヘリオス、お前もそろそろ潮時だ。PTSD(心的外傷後ストレス障害)を患ったことにして本国へ帰れ。ヘリオスだってかなりの戦果を残したんだ。報奨金もたくさん出ると思うし大学だってまだ、卒業できてないんだろ?」

 

「え?どういう」

 

「オデッサは放棄されることが決定した。俺はオデッサ撤退のしんがりをすることになった」

 

「!?」

 

「お前はザンジバルかHLVに乗れ。お前が安全に帰るまで俺がなんとかするから」

 

 そう言ってウルフは戦場に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ビッグトレーで指揮をとってるレビルに通信が来た。相手はオデッサの司令官マ・クベ中将からだった。

 

「単刀直入に申しましょう。オデッサから手を引いていただきたい」

 

「それは君達が降伏すると捉えてよろしいのかな?マ・クベ中将」

 

「こちらにも相応の準備がある・・・ということです」

 

 マ・クベ中将の言葉にレビルは、難しい顔をした。

 

「我々の要求がのまれなかったならパリ、ロンドン、ベルリン、このオデッサも消滅することになるでしょう」

 

「それは、南極条約を破棄するということか!?」

 

 レビルは、机を強く叩き怒鳴った。

 

「条約は条約です」

 

 マ・クベ中将の余裕な態度を見てレビルは考えた。彼の言ってることは全部デタラメなのか。それとも本気なのか。時間稼ぎなのか核戦争も覚悟の上なのか。

 

「私としてもこれ以上の文明の破壊は望まない。懸命なご判断を期待しています」

 

 この時、連邦軍の進軍は一時的に止まった。しかし、レビルは作戦の中止など考えておらず手を前に出し進軍の意思を見せると連邦軍は、再び進軍を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「作戦の目的はできるだけ多くの兵士を逃がすことです。ウルフさんの任務は宇宙へ逃げるHLVとザンジバルを護衛することです」

 

「分かってるよルミア」

 

「ご武運を祈ります。ウルフさん」

 

 ウルフはウルフ専用陸戦高機動ザクで突撃した。

 

「おい!あの赤いザク、オデッサの鬼じゃねーのか!?」

 

「ま、まずい!全員周囲を警戒!死神もどこかに隠れてるぞ!」

 

 ウルフは、ヒートランサーで陸戦型ジムを真っ二つにしザクマシンガンでジムを撃破した。後方でザクマシンガンを構えていたザクの部隊も弾幕を張り可能な限りウルフを援護した。

 

「うおおおおおっ!!」

 

 ヒートランサーでロケットランチャーを持っていたジムをぶった斬り61式戦車を蹴り飛ばして別の61式戦車にぶつけ撃破した。

 

「ヘリオスの下には行かせねぇ!!」

 

「すげぇな。本当に鬼みたいだ」

 

 ウルフの戦いを見ているザクがそう言った。

 

「HLV1号機が飛び立ちました!続いて2号機の打ち上げ準備に入ります!」

 

 ルミアがウルフに伝えると。

 

「ウルフ!フライマンタの部隊が爆撃をしようとしてる!対空防御を頼む!」

 

 アトラス大佐が指示を出した。

 

「もうやってる!」

 

 報告よりも先に見つけていたウルフは、ザクマシンガンを構えフライマンタに向けて弾幕を張った。何機かのフライマンタは撃墜したがそれでも抜かれてしまった。

 

「まずい!」

 

 爆弾が投下されると思った時だった。

 

「!?」

 

 ビームがフライマンタに命中し次々と落ちていった。ウルフはHLVの方を見るとそこにはガンキャノンがいた。そしてガンキャノンに誰が乗ってるのかすぐに分かった。

 

「ヘリオス!お前なんで鹵獲モビルスーツに乗ってるんだ!」

 

 おそらく最低限の攻撃の仕方しか教えられてないのかもしれない。外部スピーカーにすることができずとりあえず親指を立てていた。

 

「ったく、無理するなよな!」

 

 ウルフは向かってくる敵を片っ端から撃破していき空から来る敵はガンキャノンのキャノン砲とビームライフルで迎撃した。

 

「あ、あの赤い奴に死神が乗ってるのか!?」

 

「すげぇ、次々と爆撃機を撃破してるぞ」

 

 2号機も打ち上げに成功し続いて3号機の打ち上げ準備に入った。

 

「よし、ヘリオス!急いで乗るんだ!ウルフは、限界まで防衛してくれ!」

 

 アトラス大佐が指示し支援をしていたザクは、HLVに乗り込みヘリオスもビームライフルとキャノン砲を撃ちながら中に入った。ウルフも全力で襲ってくるジムや戦車を迎撃しているが流石のウルフも限界だった。ザクマシンガンを持っている左腕が破壊された。

 

「ウルフさん!もう限界です!早く戻ってください!」

 

 ルミアの通信を聞いてウルフは軽く舌打ちをすると空を飛び始めたHLVに向かって大ジャンプをした。

 必死に手を伸ばしたが届かなかった。ウルフは、ヘリオスだけでも宇宙に帰れるならそれでいいかと思い諦めた。その時だった。

 

「えっ?」

 

 ヘリオスが乗ってるガンキャノンがウルフの右腕を掴んだのだ。

 

「ヘリオス!お前!」

 

 ヘリオスはウルフを引っ張り上げHLVに乗せるとハッチが閉まった。そしてヘリオス達は無事、オデッサからの撤退に成功したのだった。

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