オデッサの鬼、オデッサの死神と呼ばれた2人の兵士 作:ナイトメア・ゼロ
ウルフは、イラついていた。ソロモンから無事、宇宙要塞『ア・バオア・クー』に撤退することには成功したがソロモンに相棒のヘリオスを置き去りにしてしまった。ウルフは、ヘリオスが戻って来るまで残るつもりだったがガトー達に無理矢理アトラスに戻されてしまったのだ。
ヘリオスは、無事なのか。
ヘリオスはちゃんと生きてるのか。
せめて連邦軍の捕虜になっていてほしい。
と、ヘリオスの生存を願っていると。
「すいません。ここにウルフ少佐はいますか?」
ウルフがいる休憩室に入ってきたのはなんと、ルミア技術中尉だった。
「・・・・・ルミアか」
「ウルフさん!」
ルミア技術中尉は、ウルフの前に立つと。
「その・・・・・・ヘリオス曹長の事は聞きました。ビグ・ザムの支援の為にソロモンに残り・・・・・行方不明者になったと」
オデッサでウルフの監視役をやっていただけあった。もし、この時、ヘリオスを戦死扱いしていたら間違いなくウルフに殴られていただろう。
現に、ウルフの前でヘリオスが戦死した事を触れ回っていた兵士は、ウルフにボコボコに殴られたのだから。
「大丈夫だ。アイツは・・・・・・ヘリオスは絶対に生きてる!きっと、ソロモンから逃げ出したんだ。ソロモンから逃げ出せなかったしても最悪、きっと捕虜になってるはずだ。アイツは頭がいい。きっとバカなマネはしないはずだ・・・・・・絶対にそうだ」
こんなに不安そうな顔をしたウルフを見たことがなかった。
「・・・・・で、何しに来たんだ?慰めに来ただけじゃないんだろ?」
ウルフがそう言うと。
「さすが、ニュータイプですね。今回私は、ウルフ少佐のギャンを改造するようにキシリア様に言われて来ました」
「キシリアに?」
「はい。私は、今は、ニュータイプ研究機関、フラナガン機関に所属しています。ニュータイプ研究所所属だったウルフ少佐の為にウルフ少佐のギャンをニュータイプ専用モビルスーツに改造するように言われ、ア・バオア・クーに来ました。ウルフ少佐は、それを使ってア・バオア・クーの防衛に参加してください」
そう言って、ルミア技術中尉はウルフ専用ギャンの改造設計図をウルフに見せるのだった。
ヘリオスは、岩山の後ろに隠れてスコープで覗いていた。
「面倒なことになったな」
スコープの先には、偵察をしに来たのかファンファンが3機、装甲車が4台、テキサスコロニーに入ってきた。サイド5をジオンから奪還するためかそれともなにか別の狙いがあるのかは知らないが少なくとももう、このコロニーにはヘリオスを除いてジオンはいない。偵察をするだけ無駄だろとヘリオスは考えていた。
その時だった。
「!?な、何をしてるんだ?」
ヘリオスは自分の目を疑った。連邦軍が装甲車から降りると難民の人々を傷つけ始めたのだ。グレネードランチャーを持った兵士もいるのか難民達の簡易住宅を破壊し適当な人を取り押さえると銃口を向けていた。
「ちょっ、うそだろ?」
ヘリオスは、試作型ビームスナイパーライフルを構え監視を続けた。連邦兵は捕らえた難民達を暴行し始めた。
「・・・・・」
連邦兵達の悪行を見てヘリオスは静かに怒っていると。
「!?」
突然、アラームが鳴った。上を見てみるとそこにはヘリオスを発見したのかファンファンが信号弾を撃ち上げヘリオスに向けて誘導ミサイルを発射した。ヘリオスは誘導ミサイルを躱し試作型ビームスナイパーライフルを向けビームを発射。ビームは、ファンファンに命中しファンファンは、爆発した。それを見たのか殘り2機のファンファンがヘリオスに向かい連邦兵も装甲車に乗り込むと動き出した。
「くらえ!!」
ヘリオスは、先頭を走ってる装甲車を狙撃。狙撃された装甲車は爆発し後続の装甲車は狙撃された装甲車を避けて向かってくる。
後続の装甲車も破壊しようとすると。
「ッ!!」
ファンファンがヘリオスに向けて誘導ミサイルを撃ってきた。ヘリオス専用ゲルググもシールドこそなかったが装甲はそれなりにあった為、ファンファン程度のミサイルを受けても大きなダメージにはならなかった。ヘリオスは、2機目のファンファンに試作型ビームスナイパーライフルを向け狙撃、撃破した。3機目のファンファンも同じように撃破した。
次は地上を走ってる装甲車に目をやると装甲車は攻撃をしながらハリオに向かってきた。命中してもそれほどダメージはなくヘリオスは落ち着いて試作型ビームスナイパーライフルを向け直した。
「・・・・・・そこだ!」
ヘリオスは、狙いを定めて狙撃するとビームは装甲車を貫通し3台まとめて撃破した。
「戦闘終了と。難民の人達は、大丈夫かな?」
一応、様子だけでも見るために難民区に向かってみた。ブーストを吹かし難民達の前に姿を現し。
「皆さんご無事ですか?」
と、訊ねた。
「おい!あれって」
「間違いない。ジオンのモビルスーツ」
難民達はヘリオス専用ゲルググを目にすると。
「こ、この悪魔!!」
1人の女性がヘリオス専用ゲルググに向けて石を投げた。
「お前達のせいで!私は、故郷を失ったんだ!!お前達がコロニー落としをしたせいで!!お父さんもお母さんも死んだんだ!!」
女性は泣きながら叫び石を投げた。
「そうだ!!てめーらジオンが戦争を起こしたせいで俺の息子は死んだんだ!!返せよ!!返してくれよ!!俺の息子を!!」
そう言って男性も石を投げ始めた、それに続くようにどんどん難民の人達は石や砂、残骸を投げ始めた。
コロニー落としの怨みや家族を戦争で殺された悲しみ、故郷を破壊された憎しみの言葉がヘリオスに向けて投げられた。
「・・・・・」
この時、ヘリオスが感じていた感情は・・・・・・・罪悪感に近い悲しみだった。ヘリオス本人はブリティッシュ作戦に参加したわけではない。しかし、彼らは、1週間戦争で故郷を居場所を失った人達だ。
(これが独立戦争の犠牲者達)
今のヘリオスには彼らには同情することしかできず彼らの恥を祈りながらその場を立ち去ることしかできなかった。