オデッサの鬼、オデッサの死神と呼ばれた2人の兵士 作:ナイトメア・ゼロ
ヘリオスは、シャア大佐のザンジバル級機動巡洋艦に回収された。ヘリオスがコックピットから出てくるのを待っていたがなかなか出て来なかった。整備兵は、ヘリオス専用ゲルググに近づいてコックピットを外部から開けてみるとヘリオスはぐったりとしていた。
「おい!大丈夫か!?」
整備兵は、ヘルメットを脱がして呼吸を確かめると息はしていることが確認できた。
「気絶してるのか?」
「どうかしたのか?」
回収されたシャア大佐が整備兵に声をかけると。
「大佐!曹長が気を失っているのです!見た目からでは外傷がありませんので疲労によるものだと思われるのですが」
整備兵はそう答えそれを聞いたシャア大佐は、すぐに医療兵を呼びヘリオスは、医療室に運び込まれるのだった。
「・・・・・・」
どれくらい時間が経ったのだろうかヘリオスは、目を覚ましてゆっくりと起き上がった。
「気がつきましたか?」
話しかけて来たのは医療兵だった。
「気分はどうですか?」
「はい、悪くありません」
ヘリオスはそう答えると医療兵は艦内電話を使って誰かに電話を入れた。しばらくすると。
「気分はどうだ?ヘリオス曹長」
ヘリオスの目の前には赤い彗星のシャアが現れた。突然の有名人・・・・いや、スーパーエースにヘリオスはポカーンと口を開いてしまった。
「私と出会ったことに驚くのは構わないがそんな反応をされれば私も困るのだが」
ヘリオスはハッと正気に戻り慌てて立ち上がると。
「お、お初にお目にかかりますシャア大佐!ぼ、わ、私はヘリオス・ユナイト曹長であります!」
姿勢を正し敬礼をした。
「オデッサの死神と呼ばれたエーススナイパーに名前を覚えられていたとは光栄なことだ」
「え、エースなんて私はそんな」
「ところで今は動ける状態か?ヘリオス曹長」
「は、はい!動けます!」
「そうか。コーヒーをご馳走しよう。着いて来たまえ」
そう言われてヘリオスは、慌ててシャア大佐を追いかけた。
艦長室に入るとララァ少尉がコーヒーを用意してくれた。
(少尉の方に用意された・・・・)
ヘリオス曹長はガチガチの緊張状態でソファーに座りシャア大佐はヘリオス曹長の向かい側のソファーに座った。
「君をここに呼んだのはまず君に礼を言いたかったからだ」
「お礼ですか?」
ララァ少尉がシャア大佐の隣に座ると。
「そうよ。あなたがあそこにいなければ大佐は、あそこで死んでいたの」
そう言って砂糖が入った瓶の蓋を開けると。
「!!」
ヘリオスは過剰に反応した。
「す、すいません!今の私に白いものは見せないでください」
「・・・・一瞬とはいえ、ガンダムとの戦闘による影響が出ているな」
シャア大佐は落ち着いた様子でコーヒーを飲んだ。ヘリオスもソファーに座り直しゆっくりとコーヒーを飲むと。
「あの時、アムロは大佐のコックピットを貫くつもりだったわ。私は大佐を守るために大佐を庇って死ぬつもりだった」
と、ララァ少尉が話し始めた。
「だが、私の死の未来かララァの死の未来を君は変えてくれた。本当に感謝しているよ」
そう言ってシャア大佐は頭を下げた。
「ちょっ、大佐!私なんかに頭を下げないでください!」
そう言って、シャアは頭を上げた。
「ところでアムロってガンダムに乗っていたパイロットのことですか?」
「そうだ。おそらくサイド6で出会った連邦の少年兵だろう。今では、彼もニュータイプとして覚醒してしまったみたいだがな」
「ニュータイプに?・・・・・ウルフと同じ?」
「ところでなぜ、君はあそこにいたんだヘリオス曹長?」
シャア大佐がそう尋ねると。
「テキサスコロニーに身を隠していたんですよ。ソロモンから脱出できたまではいいんですがコックピット内の酸素がもうわずかしか残っていなかったので一番近かったテキサスコロニーを選んだんですよ」
と、答えた。
シャア大佐はララァの方を向くとララァも静かに頷いた。
「嘘は言ってないようだ。ならそのまま、ア・バオア・クーになぜ向かわなかった?」
「脱走兵の扱いを受けないためですよ。ソロモンを制圧した連邦軍の情報を少しでも持ち帰れば脱走兵=死刑なんてことはないと思ったので。まぁ、ガンダムを見てアレを倒せたら大きな土産になるんじゃとも思いましたが」
「保身の為にガンダムを攻撃したのか。なかなか、命知らずなことをしたものだな」
ヘリオスは、面目なさそうに頭をかくと。
「私がキシリア様を通してア・バオア・クーに報告しよう。そうすれば軍事裁判をかけられることはないはずだ」
「本当ですか!?大佐!」
「たが、連邦軍は、ソロモンを制圧しア・バオア・クーとグラナダは、最終防衛ラインになってしまった。軍事裁判をしてる暇はジオンにはないはずだ。だから、安心して戻るといい」
そう言われてヘリオスはホッとしてコーヒーを飲むと。
「ところでこれは私個人の勝手な質問なのだが君はニュータイプのことをどう思っている?」
「?申し訳ありません。質問の意味が」
「ガンダムと戦って君は理解したはずだ。かつて、ジオン・ズム・ダイクンが唱えた言葉以外で分かり合えるというニュータイプ論。そしてアムロ君のような存在もまた、ニュータイプだ。君は、ニュータイプを恐れるか?それとも受け入れるか?」
ヘリオスは少し考えると。
「・・・・・私からしたらどうでもいいですね」
「どうでもいい?」
「はい。私の相棒、ウルフもニュータイプなんですよ。一時的に別れはしましたが幼い頃から孤児院で一緒にウルフと過ごしました。僕からしたらただ勘がいいだけの人間ですよ。嬉しい時があれば笑いますし悲しい時があったらちゃんと泣きますし時々、喧嘩だってしました。人の心が読めるとか言って周りは気味悪がってましたけどニュータイプだろうがなんだろうが僕にとっては、大事な兄弟で大切な家族(親友)ですよ」
「そうか」
ヘリオスはコーヒーを飲み終えると敬礼をして艦長室から出て行った。
「どうだったララァ」
シャア大佐は、コーヒーを片付けているララァに尋ねた。
「はい、気持ちのいい方でした。私もバケモノと言われるか利用されるかのどちらかでした。ですから、ウルフさんの気持ちはよく分かります。私が大佐と出会ったようにウルフさんも彼と出会ったのが幸運だったのでしょう」
「そうか」
そう言ってシャア大佐は、ブリッジに電話をすると。
「進路をグラナダからア・バオア・クーに変更。ヘリオス曹長をア・バオア・クーに送り届けるぞ」
と、言った。