オデッサの鬼、オデッサの死神と呼ばれた2人の兵士   作:ナイトメア・ゼロ

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ミッション49 終戦

 大破したヘリオス専用ゲルググJとバックパックを破壊されスラスターもイかれてしまったアシュラは、少しずつア・バオア・クーから離れていく。気を失っていたヘリオスは、先に意識を取り戻したウルフに叩き起こされた。

 

「どうウルフなんとかなりそう?」

 

 コックピットから出てみるとブースターを確認しているウルフにヘリオスが声をかけた。

 

「ダメだ。ブースターが完全にイかれてやがる。こりゃ、修理に出さねーと無理だ。まぁ、例え直せる状態だったとしても俺やお前じゃブースターの応急修理とかできねーけどな」

 

 ウルフは、機体に腰をかけて戦闘中のア・バオア・クーを見た。

 

「どんどんア・バオア・クーから離れていくな」

 

「一応、SOS信号は、出してるけどあんまり期待できないかもね」

 

 戦闘で発生した光を眺めながらヘリオスが答えた。2人はしばらく沈黙しア・バオア・クーの戦闘を眺めていた。

 

「それにしても強かったなガンダム」

 

 沈黙を破ったのはウルフだった。

 

「生き残ったから言えるんだけど、もう、ほんとにしばらくは白いものは見たくないよ。基本、ブラックコーヒーしか飲まないけどもし、砂糖を入れる時があったらこれからは黒砂糖にするよ」

 

「完全にトラウマになってんじゃねーか」

 

 ウルフはククッと笑いヘリオスはジト目でウルフを睨みつけると。

 

「そういえば、前にこんなこと言ってなかったっけ?「格闘戦に持ち込めば俺の圧勝だ」って」

 

「・・・・クソッ。覚えてたか」

 

 悔しそうな顔で目を逸らした。

 

「仕方ねーだろ。ガンダムのパイロットが俺の予想を遥かに上回って成長してやがったんだからよ」

 

 悔しそうに言い訳気味に答えた。

 

「というか、さっきから気になってんだけど・・・・・なんだ。あのキラキラは?」

 

 ウルフの言ったことにヘリオスは首を傾げた。

 

「キラキラって・・・・・爆発の光のこと?」

 

「何、言ってんだよ。ほら、ア・バオア・クーにキラキラ光ってる空間があるだろ」

 

 ウルフは、指を指すがヘリオスの目に見えてるのは爆発の光だけだった。

 

「?」

 

(もしかして、ヘリオスにはあの空間が見えてないのか?)

 

 そう思っていると。

 

「それよりもどうなるのかな僕達」

 

と、ヘリオスが言った。

 

「SOS信号を出してるけど、もし、誰も僕達を助けに来なかったら僕達は、このまま遭難して死ぬのかな?」

 

「運が悪かったらそうなるかもな」

 

「・・・・・・もし、僕達が死んだら地獄行きかな?戦争とはいえたくさん人を殺しちゃったからな」

 

「地獄行きか。だったら一緒に逝くか?」

 

 ウルフは、まるでコンビニへ行くかといような感じで言った。

 

「お前が地獄に行くんだったらどこへでも一緒に行ってやる。針山でも血の池でも無間地獄へでもどこへでも一緒だ」

 

「ありがとうなウルフ」

 

 その時だった。

 

「ん?」

 

 後ろから連邦軍の輸送艦【コロンブス】が来た。

 

「これは・・・・・・地獄へのお迎えなのかな?」

 

 ウルフはハンドガンを抜きヘリオスの前に立つと。

 

「こちらは、天空の女神隊所属の病院船です!ジオンのパイロット様、武装を解除してください!そうすれば、傷の手当てと安全を保証します!」

 

「天空の女神隊?どこかで聞いた事があるような」

 

 ヘリオスは首を傾げながら聞き覚えのある名前を思い出そうとした。

 

「どうするヘリオス?」

 

 ウルフはどうするかヘリオスに訊ねると。

 

「・・・・・ウルフハンドガンを捨てて。僕も捨てるから」

 

 そう言ってヘリオスはハンドガンを宇宙空間に投げ捨てた。ウルフも同じようにハンドガンを捨てて2人は両手を上げるとコロンブスから2人の救助兵が降りてきた。2人は救助兵に回収され艦内に入りヘルメットを脱ぐと2人の前に1人の女性将兵が来た。

 

「お久しぶりです。ヘリオス・ユナイト曹長」

 

 ヘリオスは女性将兵の顔を見て驚愕した。

 

「あの時の病院船の」

 

「病院船部隊【天空の女神】隊の隊長をしていますフローラ・グラファン少将です。再開できて嬉しく思います」

 

 そう言って、フローラ少将は、右手を出して挨拶を求めた。

 

「お久しぶりです、フローラ少将」

 

 ヘリオスは、フローラ少将の右手を握り握手をした。

 

「ヘリオス、誰なんだその女は?」

 

「まだ、オデッサにいた時に救出した病院船部隊の隊長だよ。雪原地帯での作戦行動中に出会ったんだ」

 

「あの時は、本当に助かりました。ヘリオス曹長がいなければ私達はどうなっていたか」

 

 フローラ少将は、懐かしむような顔で言った。

 

「それでは、ジオンの戦士の皆様方。治療室はこちらになります。ご案内致しましょう」

 

「隊長自ら、案内してくれるのは光栄だなウルフ」

 

「あぁ」

 

 ウルフは警戒した目でフローラ少将を睨みつけていた。2人はフローラ少将の後ろを付いて行きその後ろに救助兵が2人付いて行った。

 すると。

 

「どーなってんだよ!この病院船は!?」

 

と、怒鳴り声が聞こえた。

 見てみるとそこには腕の骨を折ったのかギブスと三角巾で固定をした連邦兵が治療室で治療を受けているジオン兵を指さして怒っていた。

 

「ここは連邦軍の病院船なんだぞ!なんで敵兵を入れてんだよ!ジオン兵なんかクソ野郎しかいねーんだからほっときゃいいじゃねーかよ!!」

 

「今、治療中なんです!勝手に入ってこないでください!!」

 

 医療兵が連邦兵を止めているが連邦兵は、医療兵を払いのけ医療器具のハサミを手にすると。

 

「ジオンは1匹残らず殺すべきなんだ!ジオンは生きてちゃいけないんだ!!」

 

 そう言ってハサミを振り上げ治療中のジオン兵を殺そうとした瞬間。

 

「やめなさい!!」

 

「フゲッ!!」

 

 フローラ少将が素手で連邦兵を思いっきり殴った。

 

「ここは病院船です!命をかけて戦う戦士達の傷を癒すための場所なのです!そんな場所に連邦もジオンも関係ありません!!救える命であるならば神の名の下に全力をもって救うのが私達なのです!!そんな神聖な場で殺しをするのは戦士以前に人としてやってはならない行為なのです!!次、同じようなことを繰り返すのであれば戦争犯罪者として牢に閉じ込めますよ!!」

 

 フローラ少将が大声でそう言うが。

 

「あの、隊長。彼、隊長に殴られてノビてるのですが」

 

 あたりどころが悪かったのかそれともフローラ少将がすごいのか連邦兵は気絶していた。

 

「大丈夫です!私達でケガをさせても私達で治療すれば問題ありません!すぐにそこの戦士の治療をお願いします!」

 

 そう言うと早速、治療に入った。

 そしてヘリオスとウルフもフローラ少将から治療を受けていた。

 

「しかし、すごいですねフローラ少将。あんなに簡単に制圧するなんて」

 

 ヘリオスがそう言うと。

 

「たまにいるんですよ。ああいう方が。正直、ジオンを怨む理由は分かりますがだからと言ってこの病院船での戦闘は許されません。そんな方達を押さえ込む為に覚えました」

 

「そうなんですか」

 

「見たところ、大きな傷もありませんし大丈夫そうですね」

 

「診てくれてありがとうございます」

 

 ヘリオスはフローラ少将にお礼を言うと。

 

「・・・・・ありがとう」

 

 ウルフもぶっきらぼうに頭を下げお礼を言った。

 

「構いませんよ。それにヘリオス曹長は、あの時、助けていただいたお礼もありますし」

 

 その時だった。

 

「隊長、戦場に動きがあります!これを聞いてください!」

 

「私は、突撃機動軍司令官のキシリア・ザビ少将である。連邦軍に告げる。ギレン・ザビ総帥は、戦死した。よって、我がジオンは連邦軍に対し降伏をすることに決定した。そしてその際、このア・バオア・クーにて連邦政府との交渉をしたい。交渉に応じなければこちらには、ソーラーレイの第二射の照射準備が完了している。連邦軍も正しい行動をすることを期待する」

 

「え?ギレン総帥死んじゃったの!?」

 

「ア・バオア・クーが落とされたような感じじゃないな。何があったんだ?」

 

 誰もが信じられない状況だった。なにせ、地球連邦軍とジオン公国軍の戦争は突然、終戦してしまったのだから。

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