オデッサの鬼、オデッサの死神と呼ばれた2人の兵士 作:ナイトメア・ゼロ
「驚いたな。この報告書は確かなのかマ・クベ」
オデッサ基地の司令室。そこにはオデッサ基地の司令官マ・クベ中将とグラナダ基地に滞在している突撃機動軍総司令官、キシリア・ザビ少将が映像越しで話していた。
「私もこの件については判断が難しくなんと言ってよいのやら」
「・・・・・・グール隊所属の隊員が別の隊員と、それも戦略的価値もない小規模基地の警備兵と連携し連邦軍のモビルスーツを撃退した?連邦軍のモビルスーツ開発の情報はこちらも入手していた。モビルスーツのことに関しては驚きはしなかったがグール隊の者が一介の警備兵と連携するなど聞いたことがないな」
「彼らはニュータイプ研究の際、戦闘特化に調整されているはずです。他人との共感能力を失った彼らに連携は不可能なはずですが」
「だが、しっかりと連携をしてみせた。ヘリオス・ユナイト。一体何者なんだ?」
「・・・・・キシリア様。私から1つ提案があります」
「アトラス・ファーンデット中佐。本日付けで君は中佐から大佐に昇格だ」
「ハッ!ありがとうございます!(鉱山基地を連邦に奪われた責任をとらさせるって思ってたけどなんで昇進してるんだ?)」
ヘリオス達が滞在している空港ではアトラス中佐が大佐に出世していた。色々と疑問に感じていたがとりあえず貰えるものは貰っておこうという考えで喜んでいると。
「それでアトラス大佐。本国から君の働きを評価され君にギャロップを支給することが決定されたようだ」
「!?ギャロップを!?それってつまり」
「おめでとう。これで君も艦長の仲間入りだ」
(ありえない!!いくらなんでもおかしすぎる!!大佐への昇進だけじゃなく陸戦艇まで任されるなんて!)
「私は敗戦の将です。基地司令がお1人で逃亡された際、私は部下達を1人でも多く生かす為に鉱山基地の放棄、撤退を命じました。軍からの追放、最悪死刑までも覚悟をしていました。司令、本国はなぜ私にここまでのことを?」
「キシリア少将のご命令だ」
「キシリア少将が?」
空軍指令、頷くと説明を始めた。
「アトラス大佐のところにいるグール隊のウルフ中尉だったか?彼の働きが君の報告書からキシリア少将のお耳に入ったようだ。そこでキシリア少将は、ウルフ中尉をテストしてみたいようなんだ」
「・・・・・それは、ウルフ中尉がニュータイプの可能性があり・・・・或いは何かの実験を行おうとしているのですか?」
「・・・・・・アトラス大佐。君はどこまで知ってるのかな?」
「噂程度しか知りません。グール隊はニュータイプ研究で生まれた人造人間、或いはモルモット隊だと」
「・・・・・グール隊に関しては私からは何も言えないが・・・もし、その噂が真実だとしたらなぜ一介の警備兵に心を開き、連携をとることができた?キシリア少将もウルフ中尉がグール隊らしからぬ行動に強い興味を示している。だからこそ、試してみたいのだろう。彼が真の意味でニュータイプに覚醒してるのかどうかを」
「私はその監視役ですか?」
「いや、監視役は別の人材を用意するようだ。君はその目でウルフ中尉の活躍を報告しろとのことだ」
「了解致しました。それでは失礼します」
アトラス大佐が部屋を出るとゆっくりと息を吐いた。
(とりあえず首皮一枚繋がった。ウルフ中尉が軍曹の友人だったから結果が良い方向に向かったけど遠回しにウルフ中尉が私の部隊への移動になった。ヘリオス軍曹は喜ぶかもしれないが元グール隊の人間が来るのを良しとしないだろうな。まったく、とんだ貧乏くじを引いたものだ)
そう思いながらアトラス大佐はその場を離れた。
「これがギャロップか?」
空港に到着したギャロップを一目見ようと集まる軍人達。そこにウルフの一言があると彼らは関わりたくないのかウルフから距離をとった。
「アトラス大佐のだって」
ウルフの親友、ヘリオスは本を片手にウルフの隣に来るとこのギャロップがアトラス大佐の物だと伝えた。
「ウルフ、その書類はなに?」
「移動命令だ。グール隊からアトラス大佐率いるアトラス隊に移動になった」
「えっ?マジ?ってことはまた一緒にいれるじゃん!!」
「嬉しいのか?」
「嬉しいに決まってるだろ!孤児院にいた時はずっと一緒だったけど里親が見つかってからすぐに離れ離れだっただろ?まぁ、今は戦争中だからあれだけどそれでもまた一緒にいれるのは嬉しいよ!」
「・・・・・そういうことを言ってくれんのはお前だけだよヘリオス」
2人がそう話していると。
「ウルフ中尉、ヘリオス軍曹!早くザクをギャロップに搭載しろ!仕事の時間だ!」
そう言われてウルフは、ザクをヘリオスは旧ザクをギャロップに搭載した。
「ウルフ中尉、ヘリオス軍曹。我らアトラス隊初の任務が来た。森林地帯に61式戦車が12台が進軍中、君達2人の仕事はその戦車中隊の壊滅だ」
「一個中隊の進軍先はどこか予測立ってんのか?」
「おそらく、我が軍に制圧された中都市の奪還が目的なのだろう。あそこは現在、モビルスーツが配備されておらず残ってる戦力は1500人の歩兵とマゼラアタックが3台だけだ」
アトラス大佐がそう説明していると。
「でしたらこのポイントで待ち伏せすることを提案します。このポイントで待ち伏せし僕がマゼラトップ砲で狙撃します」
ヘリオスがマップにある小さな丘を狙撃ポイントと割り出し待ち伏せの作戦を立てた。
「なら俺は向かい側にある丘から奇襲する。俺が前で暴れて後ろでヘリオスが敵を狙撃する。完璧な作戦だ」
「理論上はな。ウルフ中尉、この作戦は君が囮になることで成功率が高くなる作戦だ。やってくれるか?」
アトラス大佐がそう訊くと。ウルフはバカにするような笑みを浮かべ。
「ヘリオス。大佐はこう言ってるけどお前はどうなんだ?」
と、訊いた。
「大丈夫ですよアトラス大佐。例え、あの時の連邦製モビルスーツが出たとしても僕とウルフなら負けません」
「そうだ。俺とヘリオスのコンビは無敵だ。誰にも負けねーよ」
本来ならこのウルフ中尉の言葉使いや態度は目を見張るものであるがアトラス大佐も口角が上がった。
小さな丘でマゼラトップ砲を構えながら伏せているヘリオスの旧ザクと向かい側の丘で伏せているウルフのザク。2人は静かに61式戦車が来るのを待った。そして情報通り12台の61式戦車が来た。
「ウルフ。情報通り61の一個中隊が来た。行くぞ」
そう言ってヘリオスは先頭の61式戦車を狙撃した。その狙撃に合わせてウルフも左手にヒートホーク、右手にザクマシンガンを装備して大ジャンプして戦車中隊の頭上からザクマシンガンを連射した。61式戦車は一気に3台破壊されそのまま足下にいた61式戦車を踏み潰しヒートホークでぶった斬った。
一気に6台も破壊され戦車中隊も混乱していたがそれでもすぐにウルフをなんとかしようと砲口がウルフに向けられた。しかし、ヘリオスが狙撃し戦車を一台破壊したことで穴ができた。ウルフはそこに向けて緊急回避をし61式戦車の砲撃を躱した。ウルフの体勢が直るまでの間、ヘリオスは一番近い61式戦車を狙撃し破壊するとウルフはヒートホークを投げて破壊した。
「残り3つ」
ウルフは、ザクマシンガンを構え撃ちまくると一台は移動して当たらなかったが残り2台の戦車は破壊された。最後の一台もウルフを狙っているがウルフを撃つ前にヘリオスが狙撃し戦車中隊は全滅した。
「ウルフ、敵は全滅した。作戦終了だ」
「あぁ、それじゃ帰ろう・・・!?」
ウルフの頭に電流が走った。
「ヘリオス、気をつけろ!」
「ん?どうしたんだ?」
「来るぞ!でかいのが」
そう言ってヒートホークを拾い構えた。ヘリオスもウルフの言葉を信じてマゼラトップ砲を構えると。
「マジか。まさか、陸上戦艦が来やがった」
2人の前に超大型陸戦艇が現れた。