大航海時代で成り上がり!   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

16 / 32
ハンス船長とグッドラック号はどうなったか

 チャーリー達がドーバーで売春宿を開いて数ヶ月……一緒に航海をした仲間であるハンス船長は絶体絶命のピンチに陥っていた。

 

 チャーリーとの航海で幸運を使い果たしたハンス船長最後の航海はとにかく悲惨そのものであったのである。

 

 まずグッドラック号は同じであるが、前回航海した仲間の多くは南海会社からのボーナス等が多く支払われており、金銭的に困窮しておらず、陸地で貯金をまだ使いきれてなかったので、船に乗ることを拒否した。

 

 あとはスペインと関係悪化で水夫の徴兵が始まり、水夫に徴兵される者も相次いだ。

 

 なのでハンス船長は前回多かったベテラン水夫ではなく、見習い水夫の比率が多くなってしまったのである。

 

 それでも何とかなるだろうと楽観的に見ていたが、航海開始直後にコレラが船上で大流行し、船医を含めた高級船員がバタバタと亡くなり、船員の3分の1が病死してしまい、序盤から暗雲が漂っていた。

 

 なんとか3週間かけてジョロフ王国に到着するが、奴隷は売っていないの一点張りでイギリス商館だけでなく、他の商館からも追い出されてしまい、船員を補充してアフリカの黄金海岸と呼ばれる地域(アフリカ中央のくぼんでいる場所 コートジボワールからコンゴ民主共和国まで)に船を進めた。

 

 しかし、この新しく補充した船員が地雷になることになる。

 

 なんとか黄金海岸沿いの国を半年かけて行き来して、奴隷を集めるが、度重なる嵐や疫病により奴隷がガンガン亡くなってしまい、利益が出るか怪しいレベルまで資金を使ってしまったのである。

 

 そんな状態で大西洋を3ヶ月かけて横断したものの、キューバは取引停止になっていたため、ジャマイカに移動する。

 

 ジャマイカで衰弱していた奴隷が多かった為に買い叩かれてしまい、それでも積荷を積んで航海を続けようとしたが、船員達の統率が限界を迎え、反乱が発生。

 

 グッドラック号はアフリカで船員になっていた水夫達に乗っ取られ、バハマにある海賊共和国に移動することになってしまった。

 

 そのままグッドラック号は海賊にジョブチェンジし、ハンス船長達は海賊共和国にて降ろされてしまい帰る手段を失ってしまう。

 

 ハンス船長は残った船員と共に海賊共和国から脱出を試みた中、ウッズ・ロジャーズ率いる英国艦隊が海賊共和国に到着し、ウッズ・ロジャーズはバハマ総督就任と、イギリス国王から今海賊を辞めるんなら恩赦するという言葉により海賊共和国は崩壊。

 

 海賊共和国を取りまとめていた船長達が次々に恩赦を受け入れて海賊から足を洗ったからである。

 

 ハンス達はそのままロジャーズ提督の下で働くことになり、数ヶ月……海賊の密貿易で成り立っていたバハマ経済は海賊を取り締まった事で破綻してしまい、破産してしまうかもしれないという状態になってしまう。

 

 そこでロジャーズ提督はある物をかき集めて貿易をするために小型の貿易船を用意して交易船の航海長にハンスを抜擢。

 

 心機一転頑張ろうと決めたハンスだったが、出航早々に元海賊だった船員が反乱を起こしてしまい、船だけは助かったが、積荷を奪われてしまう。

 

 ちなみにこの時反乱した水夫達は後のバーソロミュー・ロバーツという大海賊時代最大の海賊の母体にまで成長し、カリブ海とアフリカの海上貿易を崩壊させるまでになるのである。

 

 積荷を奪われたハンス達であったが、出航した船が2隻だったために片方が生き残り、バハマの経済破綻をギリギリで回避するのだったが、1719年に次なる貿易に出向いている最中にハリケーンに巻き込まれてしまい帰らぬ人となるのだった。

 

 海賊船になったグッドラック号は名前を幾度か変えながらハンスよりは長生きしたのだが、度重なる航海により数年でボロボロになり、1720年にカリブ海にて破棄される。

 

 これがハンスとグッドラック号の最後であった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハンス船長が大冒険をしている中、俺ことチャーリーの会社経営は順調であった。

 

 銀から生み出される宝石人間が薬学の知識があるために、俺は5シリング銀貨から4人ほど追加で男の宝石人間を生み出し、正露丸の量産をお願いした。

 

 ロンドンで俺と一緒に正露丸を作った錬金術兼薬剤師をドーバーに呼んで高値で雇入れ、銀の宝石人間達と一緒に様々な薬を作ってもらった。

 

 で、正露丸が量産されて赤痢や腹痛に効く事が話題になると、薬剤師の給料以上に儲かり、ジュエリーカンパニーの主力商品へと成長していくことになる。

 

 他にもまだ開発されていなかった固形のチョコレートにするためのカカオバターを抽出する機械を俺がチョコレートの作り方を知っていたので教えて、薬剤師の兄ちゃんに作ってもらい、それをチョコレートを扱う会社に売り込んだところ特許料を支払う契約が結ばれ、板チョコが開発されたりもした。

 

 他には粉末ココアの開発にも成功し、それも特許料でじわじわっと儲かることになるのだった。

 

 1718年段階では特許料は微々たるものであったが、これがチョコレートとココアが広まるにつれて莫大な収益を産み出していくことに繋がっていくことになる。

 

 俺が歴史に初めて書き残されたのは、この板チョコと粉末ココアの共同開発者として名が残ったのである。

 

 まぁまだ収益が微々たるものだったので売春宿を辞めるには至らず……というか売春宿の利益の方が大きい状態であった。

 

 

 

 

 

 

 

「ご主人何作ってるの?」

 

「ん? ヨーグルトケーキの改良を少々……というかレシピ本を作ってる」

 

 コンゴウが俺に尋ねてきて、俺はそう答える。

 

 また航海する時、俺は船長をやりたいのであって、料理長に拘束されるわけにはいかない。

 

 そうなった時に船上で作れそうな料理のレシピ本を作っておけば他の人物が料理を作ってもまともな料理が出てくるだろう。

 

「これはお金になりそうですよ……」

 

「そうか? だったら保存食の瓶詰めの方が金になりそうだが」

 

「瓶詰めは高いですからね。客船じゃないと数が用意出来ないと思いますよ」

 

 瓶詰めは高い……というかガラスが高かった。

 

 産業革命前でガラスの瓶も高級品。

 

 少量の調味料をいれるのには良いが、船上で数ヶ月分の食料の瓶詰めは現実的では無いのである。

 

 正直次の航海があるなら日本が太平洋戦争末期に作った陶磁器の保存食容器(防衛食容器)を作れたら作りたいが、あれはゴムがいるのでコルクで代用出来ないものか……。

 

 ちなみに瓶詰め自体も100年後の発明なのでだいぶ時代を先取りしていたりする。

 

 例えばであるが、洋酒に漬け込んだフルーツを使ったプラムケーキなんかも俺は開発していたりした。

 

 本来開発されるのは18世紀末期のアメリカであるため、50年以上先取りした発明であるが、栄養価が高く保存性の高い食材で作ることが出来るので、19世紀の船乗りから重宝されていた料理である。

 

 材料は小麦粉、バター、卵、砂糖とフルーツ類で、卵だけが長期保存できない為に、船内に鶏を持ち込むか、酢を強めたマヨネーズで代用するしか無い。

 

 ただ船上でも十分に作れる料理ではある。

 

 他にはチョコレートクッキーやチョコレートバーなんかも開発をしていた。

 

 特にチョコレートバーはなかなかの力作で、常温でも現在3ヶ月経過したが、味が変わらない為に湿気に注意すれば船上でもある程度は耐えられる保存食になる素質を秘めていた。

 

 他にはベシャメルソースをベースにホワイトソースにしてそれをペーストにしてからソースを固形に固める実験もしていた。

 

 これが成功すれば船上で牛乳が入手出来なくてもクリームシチューを食べることが出来るからである。

 

「でもご主人、食材を腐敗させない能力を手に入れたから、ある程度は野菜や肉、魚を鮮度の良い状態で食べられるんじゃないの?」

 

「そうだが、物理的に入手出来ないことがあるだろ? 船に牛乗せるにしても人数分の乳を出してくれるとは限らないし」

 

「まぁそうね……」

 

「コンゴウも金貯まったら男に性別変更して、船員として働いてもらうからな」

 

「はーい、それまでは娼婦として稼ぎますよー」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。