南海事件についておそらくほとんどの人が知らないと思うので俺が説明していこう。
そう言っても俺も神様の書庫や前世、そして今世のコーヒーハウスで聞いた情報になるが、まずこの時代のイギリスはとにかく戦争をほぼずっとしています。
具体的に言うとまず現時点が1717年……俺の年齢は16歳。
俺が産まれた1701年から1713年までずーっとスペイン継承戦争という戦争をイギリスは続けていました。
スペイン継承戦争はスペイン·ハプスブルク家とスペイン·ブルボン家のどちらがスペイン王位を継承するかの戦争で、ヨーロッパのほとんどの国を巻き込む一大戦争となりました。
ちなみに別名はアン女王戦争で当時イギリスのアン女王が在任期間だったためにそう言われるが、この戦争でスペインのヨーロッパの支配地域(ベルギー地域やイタリアの一部他色々 ジブラルタルもこの時にイギリスに奪われる)を失陥し、スペインの衰退が顕著になり、イギリスの台頭が始まったきっかけでもある。
この戦争の名前になっているアン王女は17回妊娠したのに大人に成長した男児が居ない(というか女児もことごとく早世)してしまった不運な女王であり、戦争終結の翌年に死去している。
更に絶対王政の象徴として歴史の教科書に出てくるルイ14世も1715年に死去し、イギリスもフランスも、そして渦中だったスペインも混乱してしまい、4年間だけは束の間の平和期間となる。
なお12年も戦争をしていたので各地で遺恨が残りまくりであり、特に徴兵されていた兵士や水兵が戦争が終わったので解雇されまくり、失業者が溢れかえった。
ただ商船の水夫の需要は多く俺みたいに商船乗りとして活躍する人物が多かったのだが、それを良しとしなかった人物達がカリブ海で海賊となり暴れ回っていた。
1716年にはカリブ海のイギリス植民地だったとある島が海賊に乗っ取られてしまい、海賊共和国が建国されたりもしている。
ちなみにその海賊共和国の統領が俺と接触したベンジャミン・ホーニゴールドその人である。
まぁこの人はイギリス船は襲わないことを部下に徹底していた為、イギリス商船はカリブ海を比較的安全に航海することが出来ていた。
このホーニゴールドの部下にあの有名な黒ひげことエドワード・ティーチが居たりする。
これが1717年現在の各国の様子で、話は戻り南海会社はどんな存在かというと、1711年に戦費調達に苦悩したイギリス政府の役人が政府の補助金を使って立ち上げた貿易会社であり、講和したスペイン領との黒人貿易で利益をあげようと船舶に投資が行われていた。
俺達が最新鋭のブリッグ帆船に乗れるのはこの設備投資のおかげである。
しかし貿易事業は思ったほど利益がでず、損益の一部でも回収するために始めた宝くじ(1718年より発売なので1年後の未来)が好評となり、会社の立て直しに成功する。
現在の南海会社は会社を立て直す為に貿易事業にバンバン投資していた最後の時期である。
そんなんだから青年のハンス君(25歳 元二等航海士君)が、前の船長の紹介があったとはいえ、新しい船長になれたのは、船長に足りうる経験(1周以上大西洋航海経験者かつ複数回の航海経験あり)があることで、そんな人材は他の企業も取り合いになっていたので、若くしてハンス君は船長になることが出来たのである。
そして肝である南海会社の株価は歴史に残るくらいの上昇と下落を行い1720年1月には1株100ポンドが6月には1000ポンドを超えるところまで上昇、それをピークに8月頃までは800ポンド付近を推移し、そして僅か3ヶ月で一気に150ポンドまで下落するのである。
ちなみに象徴となったのがこの南海会社であり、他にも多数の株式会社が同じ様に株価の上昇と下落を行う。
これにより大勢の投資家が損を出し、賄賂として南海会社の株を譲られていた政治家達も大打撃を受けてしまい、しかも政府が株価の上昇を止めるような法案を出したからだと投資家達の怒りを買い、政界にまでバブル崩壊の余波は飛び火し、結果当時の政権が崩壊するまでに至るという大事件である。
ちなみに今の南海会社の株価は営業が上手く行ってないこともあり50ポンド付近をうろちょろしていた。
この大事件を利用してのし上がる計画を俺は立てており、俺は南海会社貿易成功の暁には俺、コーラル、アクアがそれぞれ1株南海会社の株をボーナス代わりに譲り受けるものとするという契約を盛り込んだ。
この試みは成功し、貿易が成功したら株をボーナスとして支給しようという契約を交わし、俺は計画通りに事が運ぶ幸運を噛み締めた。
で、俺は航海までに準備を着々と進めるのであった。
「2袋の石炭ってこれでいいのか?」
「あぁ、ありがとうございます」
まず俺は宝石人間を作るために石炭を2袋分を船に持ち込む。
これは料理長として船長のハンスに木炭の代わりに乗せるぞと言っていたので問題は無い。
勿論経費で購入している。
そしてコーラルとアクアの2人に手伝って貰って保存食をとにかく作っていく。
まずはコンビーフ。
コンビーフの作り方は言ってしまえば塩漬け肉に漬ける時と煮る時に野菜を加えて味付け肉にし、それを瓶に詰めてコルクで詰めて真空にする。
缶詰が出来ないのでほぼ瓶詰めになるが、他にもソーセージだったり魚の燻製、干物、塩漬けを買っていく。
ザワークラウトも忘れず作り、あとはスペインから輸入されているオレンジを買い込んでジュース、ジャム、ドライフルーツに加工していく。
イギリスと言ったらライムのイメージがあるかもしれないが、それはイギリスがインド植民地を得てからの話で、値段的にはスペインで栽培されているオレンジが一番安く、次に地中海産のレモンという感じであった。
なのでスペインと貿易出来ているうちはオレンジを買った方が安いのである。
まぁオレンジジュース等は壊血病になってからでも効果があるので、予防策として毎日ザワークラウトを食っていれば基本なることは無いハズである。
そして今回は秘密兵器としてパスタを大量に用意をしていた。
ビスケットでは腹を満たすのに苦労する為、湯がけば柔らかく食べやすいパスタが良いと俺は判断した。
なので俺はパスタを作る専用の機械まで購入して、乾燥パスタを大量に用意し、それを食べるためのソースも色々作って瓶詰めにした。
最悪塩パスタでも腹は膨れるからな(栄養は死ぬが……)
他にもインド産の米を購入。
海水を使うことになるがパエリアみたいにして食う事をイメージしていた。
勿論酢たっぷりのマヨネーズも瓶詰めにして作っていく。
出来ればカレーの様な香辛料まみれの物も欲しかったが、まだ香辛料が高い時代なので今回はスルー。
あとは硬いパンやビスケット、バターやチーズ、オートミール用の食材などなどを用意し、あと飲水に関しても少量の石灰を混ぜることで飲水を長持ちさせつつ、便秘や赤痢予防になる(とされている)飲水も用意した。
あとは石鹸……やっすい油を使った石鹸を作り医療品として船に持ち込む。
余った時間で錬金術を研究している薬剤師とロンドンの酒場で仲良くなったのでブナや松から採れる木タールを複数回蒸留し、半透明になった独特な匂いのする液体を固形化及び錠剤にし、水あたりで苦しんでいる水夫に実験で飲ませると効果があり、正露丸(勿論イギリスなので別の名称である)が完成した。
俺は作れるだけ作ってもらい、それを赤痢止めとして船に持ち込み、俺の権限で持ち込めるだけの用意は整えるのであった。
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