龍神の息子として龍生を紡ぐ   作:ラン乱

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龍人の息子として龍生を紡ぐの最終投稿から2年余り、本編を一新して書き直しました。文章の書き方も少なからず学んだ。


目覚めは最悪

重たい瞼が開き、まず目に入ったのは、まるで神殿のように荘厳な天井だった。

 

 それだけで、自分が“どこか違う場所にいる”という違和感は確信に変わる。

 

 ――けれど、それよりも先に気づくべきことがあった。

 

 自分の身体が、異常だった。

 

 「……なんだよ、これ……」

 

 呟いた声に自分で驚く。声が、妙に低い。そして胸元に手をやれば、肌が熱く、どこか硬質な鱗のような感触。背中には何かが生えかけていて、腰のあたりから何かがうねるように伸びている。

 

 「尻尾……? は、なんで……!?」

 

 混乱は一瞬で頂点に達した。どこだここは、なぜこんな姿に? 夢か、幻か。

 

 そんな中――ふと、記憶の断片が蘇る。

 

 

 

 夜。見上げた月がやけに大きく、白く輝いていた。

 

 夢の中のようだった。けれど確かに、目の前に“それ”はいた。

 

 男だった。けれど、人ではなかった。

 

 長い銀髪、額に生えた漆黒の角、金色の瞳。そして、どこか懐かしい、けれど重みのある声。

 

 「……お前を迎えに来た」

 

 そう言って、微笑んだ。その笑顔に敵意はなかった。けれど、その言葉の意味も、行動も、すべてが現実離れしていた。

 

 気づけば、意識は深い闇に落ち――

 

 

 

 「目が覚めたようだね。気分はどうだ?」

 

 その声に、振り返る。

 

 そこにいたのは、記憶の中にいた“男”やはり人ではない存在、だが威圧感はなく、むしろどこか穏やかな雰囲気を纏っていた。

 

 「誰……なんだよ、あんた……ここはどこで……俺の体に何をした……!」

 

 バラムは静かに立ち上がると、ゆっくりと暁に近づき、ひざをついた。

 

 「すまない、驚かせてしまったね。君の名は“暁”……で間違いないだろう?」

 

 その優しげな声に、暁は警戒を解きかけた。

 

 「……あぁ、だけど、なんで俺の名前……」

 

 「私はバラム・レイン。龍の一族を束ねる者。君を、こちらの世界“シルバーダ”へ連れてきたのは私だ」

 

 「はぁっ!? 勝手に……!」

 

 怒りが込み上げる。しかしバラムは、申し訳なさそうに微笑みながら続けた。

 

 「……勝手なことをしたのは認める。けれど、君には“この世界で果たすべき役割”があると信じている。私の血を分け与えたのは、それだけの意味があってのことだ」

 

 「血……?」

 

 暁の目が見開かれる。バラムは小さく頷く。

 

 「君は、私の血を受け入れ、龍人として生まれ変わった。……君は、もう人間ではない。そして、この世界で――私の息子として、新たな人生を歩むことになる」

 

 沈黙。

 

 重い言葉だった。だが、バラムの声には一切の押し付けがなかった。ただ、見守るような――親のような眼差しだけがそこにあった。

 

 「……なんで、俺なんだよ……」

 

 その問いに、バラムは答えなかった。ただ一言。

 

 「それを知るためにも、まずはこの世界での生活を始めてみよう」

 

 暁は、混乱したまま、ただその言葉を飲み込むしかなかった。

 

 

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