龍神の息子として龍生を紡ぐ   作:ラン乱

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風が告げる、はじまりの日

ガルピア学校の朝は早い。

空に浮かぶ大きな校舎には、今日から新しい学び舎としての命が吹き込まれる。サクリアが足を踏み入れた教室には、すでに数人の龍人たちが揃っていた。

 

教室は1学年1クラス構成、生徒数はわずか10人。だがその空間には、確かな個性と力を感じさせる気配が漂っている。

 

教室の扉が開き、現れたのは担任教師、レガル・ノート。鋭い目つきと筋肉質な体つきからして、見た目はまるで戦士のような教師だった。

 

「よーし、今日からこのクラスを受け持つことになった、レガル・ノートだ! 分からないことがあれば、何でも俺に聞け! 遠慮すんなよ!」

 

元気よく拳を掲げるレガルに、生徒たちは少し驚きながらも、どこか安心感を覚えた様子だった。サクリアもまた、彼の力強い声に少し興味を持つ。

 

午前中の授業が順調に進み、昼の鐘が鳴る。

 

食堂のような空間で、サクリアはメアリと一緒に席を見つけて座ろうとしたそのとき――

 

「ここ、隣いいかな?」

 

と、すっと現れたのは、一人の少年龍人。淡い緑色の髪に森の香りを纏ったような雰囲気を持っていた。

 

「俺はネロミア・オウル。辺境の森から来たんだ。よろしく。」

 

「俺はサクリア、で、こっちはメアリ。」

 

「よろしくね、ネロミアくん!」と、メアリが笑顔で返す。

 

三人で食事を始める中、他愛もない会話で穏やかな時間が流れていく。

 

しかし、その空気を切り裂くように、少し高慢そうな声が背後から聞こえてきた。

 

「ふふっ。ここにいたのね、サクリア様。」

 

現れたのは銀髪に近い白金の髪を持つ少女。名はセレイン・トーラン。その見た目と態度から貴族であることは一目瞭然だった。

 

「あなたと私、将来は結ばれるべきなのよ。だってあなた、龍神の子でしょう?」

 

サクリアは箸を止め、少し無言になった後、口を開いた。

 

「……その話、どこから出てきた?」

 

「父が言ってたの。あなたと私が結ばれれば、我が家の名誉は永遠に守られるって。」

 

サクリアは苦笑いしつつも、その場を静かに見つめる。そして――

 

無詠唱で、セレインの足元に極小の風魔法を発生させた。

 

「きゃっ!」

 

セレインは転び、何が起きたか分からず戸惑いの表情を浮かべる。

 

「俺、結婚とか興味ないから。ただ、普通に学校生活を送りたいだけ。」

 

セレインはゆっくり立ち上がり、サクリアをじっと睨む。

 

「今の……あなたがやったのね?」

 

サクリアはそっぽを向いたまま、淡々と答える。

 

「足元だけじゃなくて、他のところも気をつけた方がいいと思うよ。怪我するから。」

 

セレインはその場から離れ、ややふてくされたように自席へと戻っていった。

 

メアリは少し心配そうにサクリアへ声をかけた。

 

「……サクリア、大丈夫?」

 

「うん、問題ないよ。ちょっと、風が吹いただけさ。」

 

彼の視線の先には、穏やかに流れる空気だけがあった。

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