「…来やがれ!ガミ公!ここから先には進ません!」
思えば、このときは舞い上がっていたのかもしれない。量産型とはいえ憧れだった〝ガンダム〟を与えられ、頼もしい同期とともに戦場に出る…まるで物語の登場人物だ。だから、勘違いした。
「…っ!やばっ…」
「クソっ…すまん!先に逝く!」
「白鳥!松岡!クソォォォ!」
最後に残った同期の2人…白鳥と松岡が撃墜された。この小隊ももう僕1人…これまでだな。なら最期にせめて…!
「一緒に死んでもらおうか!ガミ公ォォォ!」
そのまま、ガミラスの船に突撃した。
───
「っは!…はぁっ!はぁっ!」
どうやら、〝戻ってこれた〟らしい。周りを見渡すが、ここがどこだかわらからない。医務室ではありそうだが…
「あ、目が覚めたんだね。レイ君」
目が覚めてすぐ見えたのは幼馴染の如月千歳…ちーちゃんだった
「ちーちゃん…?そっか、ならここは…」
「うん、第三戦略研究所。近くに墜落してたからここで治療してたの。」
「ありがと、ちーちゃん」
そう言い、ちーちゃんに抱きつくと優しく抱き返してくれた。
「はいはい、変わってないね。レイ君」
安心したためか僕はそのまま寝てしまった。その後、僕は研究所防衛隊に配属されることになり、そのまま少しの時間が経った。
警報音が鳴り響き、基地内部が揺れる
「敵襲か…!なら!」
あいつらの敵を討てるかもしれない!そう思い格納庫へ走り格納庫に到着すると、目の前で格納庫が崩壊した。…おそらく俺のF91も無事では済まないだろう。
「クソっ…なら避難…!」
避難ブロックへ走っていると、外に向かって移動している叢雲三尉を見つけた。
「叢雲三尉!避難ブロックは逆方向です!」
「チトセちゃんが外に行っちまった!俺は今──」
「わかりました!なら、僕が行きます!叢雲三尉はとっとと避難してください!」
何か言おうとしていた叢雲三尉を無理やり避難ブロックに避難させて、僕は外に出てちーちゃんを追いかけた。
───
「相変わらず無鉄砲な…!何かあったらどうするつもりだったの!?」
「レイ君…」
「ガミラスを見に行って、実際に見たのは大昔の沈没戦艦…位置的に言えば戦艦大和か…」
その後、その場にいた古代三尉や島三尉としばらく話してから、研究所に戻った。
「ここなら、ヤマトがよく見える」
「ちーちゃん。ヤマトの見送り?」
地球の希望であるヤマト出航の日。ちーちゃんが外に出ているのを見つけた僕はついて行っていた。
「うん。せっかくだし。」
「そうか。しっかり見ておきなよ。これが最後になるかもしれないしね」
「そんな縁起の悪い…!」
「ははは、ごめんね…でも、過剰に期待するよりも悲観的に見ていたほうが良い。」
僕は自分が行方不明になっていた一年間を思い出していた。…あの世界もまた、夢のない、明日が見えない世界だった。"彼ら"は頑張っていたが僕は…
「ガミラス…!」
そうちーちゃんが憎らしげに言うと同時にガミラス艦が攻撃し、地上に着弾する。そのうちのいくつかが研究所に直撃、中にいた人間はほぼ死んでるだろうな。
「とりあえず走って!まだ生き残りがいるかもしれない!」
───
「誰かいないか!?防衛隊の高田と如月だ!生きてたら返事をしてくれ!」
人は居ない。そりゃそうだ。ガミラス艦の攻撃は地球製のものじゃほとんど防げない。当然、人に当たれば死ぬわけだ。
「ガミラス…!まだ地球から奪い足りないの…!?海を奪って、人の生命を奪って、未来を奪って、そして、希望まで奪うの!?」
チトセの悲痛な叫びを尻目に近くにあったハンガーを見てみると…
「…お前ら生きてたか!あと、この機体はなんだ!?」
「機体?ちーちゃん!こんなの三日前にあったっけ?」
「え?なかったと思うけど…ここでは機体の開発なんてしてなかったはずだし…どうして…こんなものが…」
「ここにあるのは2機…僕たちがやるしかないみたいです。叢雲は左側のに、ちーちゃんは右側のに乗って。」
「…レイ君は?」
「やりようはある。」
そうして、ちーちゃん、叢雲三尉は機体に乗り込んだ。こんなのヤマトにも宇宙世紀にもないイレギュラーだよなぁ…そもそもヤマトとガンダムが共存してるスパロボ世界だし、今更か。
「な、何だよ。この機体…!乗ってる人間のことちっとも考えてないだろ!」
「コックピットの安全性はパイロットスーツ無しでも乗れるくらい高いのにどうなってるのよ、これ!?」
二人がしばらく苦戦していると、この機体が突然安定しだした上、FCSもオートになったようだ。さて、僕も…
「来い、ヘリオース!」
スパロボZにでてきたヘリオースだ…見た目はアスクレプスに近いがヘリオースの方がしっくりきたのでこっちにする、といってもアスクレプスのガワって装甲みたいなもんなんだけどね。"向こう"に行って帰ってきたときに気づいたら持っていた。問題があるとすれば、前世でスパロボZをやってなかったことか…
「まあ、だいじょうぶだろ。これなら下手でもやれる…!」
「ヤマトへ、こちら…貴艦前方のMS。後はこちらに任せてほしい。」
「了解」
叢雲三尉がヤマトへ通信するとすぐに返答が帰ってきた。有能。
「この機体…修理装置までついてる…。 危なくなったら、これで応急処置をすれば、 何とかなるわね。」
「叢雲三尉!左の2機をやってください!右の2機は僕がやります!ちーちゃんは援護を!」
最後の一言だけは接触回線で言った。仮にも公的な通信で普段の呼び方をするわけにはいかん。
「了解!」
「わ、わかった!」
そのまま敵に突撃し、叢雲三尉が最初に接敵する。
(守ってみせるさ…人類の、地球最後の希望を!)
「当たれ!そして…死ね!」
バカみたいな勢いで加速し、すれ違いざまに月光─手持ちレールガンみたいなもの─を乱れ打ちしたうちの何発かが直撃し、ガミラス機が爆散する。なかなか強いな、これ。
「すごい…これなら…!」
「うん、これでMSでもガミ公と戦えそうだ。…よし、これで終わりだ!」
そのままの勢いで残り一機のガミラス機に取り付き、旋風─腰についている可変速粒子砲─をゼロ距離で打ち込む。…ちーちゃんが。
「ガミラスを全滅させちゃった!レイ君すごいよ!」
「ちょっ…揺らさないで…!…お、動いたか」
僕らの機体の下側にあったヤマト─沈没戦艦に偽装していた─が発進した。そのままの勢いで主砲の…陽電子衝撃砲だったかを惑星間弾道弾、通称遊星爆弾に打ち込み、破壊した。…ちゃんと原作通りだな、うん。イレギュラーなことが起こったせいで芹沢さんの言うように溶けちゃったらどうしようもなかった。そんな事を考えているとモニターに文字が表示された。
「これって、略式の命令書?」
「いきなりそんなこと…そんなの届いてないし…」
…イレギュラーだ。何回目かな、もう気にしなくていいか。そのうちゲッターとかマジンガーとか出てきてもおかしくないぞ、この世界。あっちの世界にはSEED、00、ナデシコにダイターン、会社があるからマイトガインもいるはずだし、他にもいそうだ。こっちはF91…いや、クロスボーンか、とヤマト。面子がスパロボなんだよなぁ…あの2機もパンプレストオリジナルだとすれば納得だし。にしてはこっちの世界の作品数が少ないけど。どうせ宇宙世紀なら逆シャアあたりが良かったな…アムロとかシャアとか会ってみたかった。…クロスボーンの"ヤツ"はアムロとは認めない。そもそも会えるかも分かんないし
「レイ君?行かないの?」
「うん。命令書は届いてないからね。ま、別ルートで合流できないか試すから。いってらっしゃい」
「…わかった。待ってる。」
ちーちゃんの機体がヤマトに近づくと、ハッチが開いた。その後に叢雲三尉の機体もヤマトに搭乗した。搭乗の操作はオートだったっぽい。便利極まりない。
高田怜(たかだ れい)
本作の主人公。新正暦世界出身であり、如月千歳の幼馴染。よく付き合っていると勘違いされる。幼い頃に千歳と同じく自身の家族を喪っているため、本物のきょうだいのような関係性を築いている。ガミラス艦に突撃した後、第1次連合・プラント大戦と蜥蜴戦争が勃発し、メガノイドの反乱が同時発生する前の西暦世界出身に転移しておりその時に次元力(推定)を操る力を手に入れている。