忍殺×遊☆戯☆王 ディアベルスター・ザ・ブラックウィッチ   作:亜面瞳頭

11 / 12
これまでのあらすじ

 熾烈極まるイクサの果て、原罪背負う白魔女の復讐行は終結を迎えんとしていた。仇敵――悪魔アザミナの勝利によって。白魔女の全てを擲った決死の攻手を嘲笑い、聖なる邪荊は確と芽吹いた。最早逃れられぬ永遠の隷属が始まるその時……愛と怒りを秘めて、断罪の黒魔女は戻り来た。


ディアベルスター・ヴェンジェンス:フェイズ1

0101110001101010011100111011101111010001110101010110111011110111

 

「――師よ。どうぞ私を恨んでください。貴女の罪は私が継ぎ、共に背負います。……来たる日の贖罪を共に雪ぎましょう。……それまでどうか、暫く良く憩ってください」

 

 平安の記憶。白き妖木立ち並ぶ森の中、儚げな声が凛と静寂に溶けた。時の流れは立ち枯れて滞り、朽ちゆく身体が白黒の枝木に覆われていく中、視界に映るは黒紫と黄緑の眼をした、色白く美しい女――これからの自分の姿となるはずのものだった。望まぬ千年の眠りに落ちる最後、刹那に視たのはその憐れむ様だった。

 

 欺瞞は完璧なはずだった。善き師たるを演じ、良く目を掛け、名を与え、自らの器に足るまで芽吹きを待った。そして今、遂に収穫を迎えるはずだった。幾年、幾星霜と繰り返してきた行い……それでは何故。何故この身が自由を失う?

 

 果たして女の――門弟たるヨウマの言葉通りに、罪の聖女は恨んだ。世に生を受けて幾度目かの、運命を苛む理不尽を恨んだ。この世ならざる領域に封じられ、やがて自分の輪郭すら覚束無い深淵に融けてなお、身などとうに朽ち、不明瞭な情念の塊に成り果ててなお、自我を保ち続ける核となっていたのは、荒れ野に咲く薊の棘が如き――報復心だった。

 

010薊1110贖罪011薊0101神女00110薊10111101贖罪110薊010101101神女1110111

 

 

ディアベルスター・ヴェンジェンス

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「……ドーモ、アザミナ=サン――ディアベルスターです」

 

 それは青天の霹靂めいて茨の聖者の眼前に現れた。白魔女へ向けた祝福の手を断ち切ったそれは、深淵の如き暗澹を切り裂くような、聖なる悪意に満ちた闇を断ずるような、決断的殺意に溢れる黒緑の閃光、純然たる復讐の権化だった。その眼が、無慈悲に満ちた貌が、茨のニューロンにフラッシュバックした刹那の姿と重なった。

 

「……ドーモ。久方ぶりよの、ヨウマの最後の娘御――『我が』門弟よ」

 

 ケジメ左指を再生長させ、アザミナは嘲るアイサツで返した。「姉共はどうした?さぞ温まる再会だったであろう?」新たな闖入者を前に、冒涜者はいつかの怯懦な少女の姿を回想しながら不遜極まる嘲笑浮かべる。「……怒りを煽りたいなら無駄だ」そんな悪逆の化身の傲慢に反して、かつての面影絶無の黒魔女は粛々と答えた。何故なら「――ロウオォォォオーン!」アザミナの視界の外、側方虚空より大狼と化したシルヴィ!何故なら――既に怒髪天!

 

「GRRRRRR!」「駄犬が」薊贖罪薊!黒狼の咬撃を、茨の権化は振り向きもせずに棘蔦茂らせ阻む!「誰が主か分からせてくれようか」罪の蔦が彼女を捕縛――SHIIING!飛び来たる死の翼が断つ!ルシア!「……小娘共が」「ロウオォォォォーッ!」巨体に物言わせ!裏切りの大狼は茨と激しく衝突!

 

「――ア、アァ……」「……」ふやけた視界に映る、姉たちの魂が仇敵に喰らい付く様を、「シルヴィ……ルシア……」自らの身を縛る茨を黒魔女が斬り除け助け起こす様を、償いに巻き込むまいと自ら切り捨てたはずの家族との再会を、「……アステーリャ――!」白魔女は心底から染み出すセンチメントと共に「……このバカ!」浸る彼女の頬に平手!「ンーッ……!」

 

「……何するのよ……!」「1人で抱え込むな……!」未だ両の眼濡らす白魔女の真正面、彼女の両肩抑えて真っ直ぐに見つめる黒魔女――泣き虫だったはずの妹の顔は、悲哀、歓喜、憤怒、悲願、そして決意……あらゆる感情に塗れていた。「私にも背負わせろ……!」それらを合一するは不退転の覚悟!

 

「……あの日から、全部私が――」「私『達』だ……!私『達』の罪だ……!」その眼は直視を躊躇いたくなるほどに澄んでいた。「だから終わらせるんだ……!私達ふたりで……!」「ウ……ウゥーッ……!」黒魔女の敢然たる復讐への覚悟に、白魔女は滂沱に咽んだ。

 

「ウゥ……ハ……アハ……アンタにそんなこと言われるようじゃ……私、私――」「イヤーッ!」薊!「GRRRR……!」彼女らの背後、大狼は茨に貫かれ虚空へ消失!暫しの顕現不可!だが!確と繋いだ!妹たちに!「――情けないじゃない……!」白魔女は目元からセンチの雫払い、杖を支えに再起!孤独な復讐行に愛する者を巻き込む不退転の覚悟で!

 

 世に蔓延るあまねく悪意よ!彼女らの友愛を!共に罪を背負う決意を!貶したくば貶せ!くだらぬ惰弱の感傷と嘲笑うがいい!その感傷が世を破滅より繋ぎ止める様を!確と見届けよ!

 

「……泣くのはもういいか」並び立つ姉に、ディアベルスターは不敵に笑んだ。「……アーハ……!何のこと……!?」ディアベルゼ、困憊に鞭打ちながら同様に不敵!「それより私に平手カマしたこと……後で覚えてなさいよ?」「ハ、上等……今助けた分は貸しだ」ユウジョウ!

 

「醜き傷の舐め合いよ」冒涜の聖者は、自らの永遠の祝福を拒まんとする復讐の反逆者達を、なお不遜な眼で見下ろした。「……誰の所為だと思ってる」対して断罪の黒魔女は静かな激情に右眼光らせ、平時のイクサ構え、開いた左手を前にかざし、ダガー右逆手に大敵を真正面に捉えた。

 

「……疑問だったんだ……私を狙ってる奴が生け捕りに拘ってたのを……」イクサの前哨、舌戦の口火を切ったのは黒魔女だった。「これだけの力がある奴が私を手に掛けたいのなら……直々に出向いて始末すればいいものを」暗所のサーバー群に蔓延る茨蔦を横目に、殆ど確信めいた口ぶりで。「お前、ここから離れられないんだろう。その身体が仇になったな」「……」復讐者の指摘に、冒涜者はディアベルの躯体を煩わしく微動させた。

 

「……それとも何か、私をあの時やり損ねて、仇討ちが怖かったとでも言うか?」「……フォホホホホホ」侮蔑同然に切られた啖呵を、上位者はまた嘲笑に付し「死出の言葉はそれでよいか」慈悲無く答えた。「お前こそ、最期の言い残しを決めておけ」漆黒の地下、睨み合うカラテ圧の衝突に、アトモスフィアは渦を巻く。

 

「センセイが、姉さんが、お前の犠牲になった誰もが、応報しろと言っている。私達の心もそう望んでいる。それに応えるだけだ」「何たる狂人の戯言。亡者が口など利くものか」「ハ、それなら……自分で試してみろ」「よかろう。元より貴様は我が手で葬ると決めていた。自我持つ惨めなジョルリなど1つで十分」

 

 キャバAAARGHHHHHHン!『8割完りょりょりょりょりょ了……割と終了間近なAARGHHHHH』真黒い『森』の中、冒涜UNIX音声が無情な演算進捗、その終局への差し掛かりの通知をバグノイズ甚だしく叫んだ。「……イヤーッ!」それを皮切りに魔女は征く!

 

「イヤーッ!」蔦腕振るいて薊薊薊!小手調べとばかりの茨の十字連星がディアベルスターへ飛来!薊贖罪薊薊!眼前で加速・増殖拡散!(((……すまない……さっきは盾にするような真似を)))対する黒魔女は、身の内に眠るシルヴィの魂に呼びかけながら、ルシアの魂振りかぶり、散弾めいた凶星へ真正面から駆ける。声無き姉たちは応えた。やってしまえと!「イヤーッ!」SHIIING!

 

 ディアベルスターが真っ向から罪のスリケン流星群を01に両断した先――アザミナ非在!「……ッ!」またも異空へ!対して後方に控えるディアベルゼ!彼女には視えている!空元気振り絞れど彼女は未だ立つのが精一杯……それでも叫んだ!「後ろ!」

 

 「イヤーッ!」黒魔女の背後虚空より邪悪が現出突進!茨の手先をヤリめいて突く!同時に、断ち斬られた茨星を種に、棘蔦が再生増殖・刺突!「イヤーッ!」ディアベルスターはしなやかに身を屈めてこれらを躱す!コンマ1秒、黒魔女の頭の残像を冒涜LAN触腕が貫き、そこへ黒い半月の軌跡が鋭く公転!読者諸氏もハイスピードカメラめいた動体視力で確かに視た!

 

 それは上体を捻り地へ逆立つことで敵手よりバイタルパートを遠ざけ、後の先を薙ぐ上下逆さの回転蹴り――メイアルーア・ジ・コンパッソ。それは立ち枯れの刻、虐げられし者達が生み出したアーツ!支配者へのレベリオンのカラテ!千年の空白抱えるアザミナはこの技を知らぬ!ゆえに!「イヤーッ!」SHIIING!「グウッ!」届く!

 

「……続けるぞ」千切れ飛んだ右腕LAN触手が枯れ萎びたのを尻目に、黒魔女は余剰回転で側宙離脱、蹴り足にクッツキ接合させていたルシエラを手に戻した。「蔦の一本手折った程度で粋がるか、小童が」アザミナは造作も無く片腕を生やし不敵。だが不快だった。

 

「……次だ。次も断つ。その次も断つ。また断つ。何度でもお前を断つ」ダガーの切っ先を怨敵に向け、黒魔女は淡々と慈悲無く言った。「揃いも揃って無謀と無駄に生くる童共よ」冷徹なまでの抹殺の指名を、対する超越者もまた淡々と、嘲りに断じた。

 

「定命共が如何に足掻こうと、我が身の無欠たるを欠くことなど出来はせぬのだ。我が薊の繁茂を永遠足らしめる千星霜。その道程にて、貴様等など路傍のクズ虫よ」「そうか。そのクズがこれからお前も無駄にしてやる」断罪者もまた依然冷徹!

 

「減らず口を」薊薊贖罪薊贖罪薊薊!またも先手は嘲るアザミナ!本体消失と共に暗黒LANケーブル群が黒魔女を包囲するように展開繁茂!「……イヤーーッ!」SHIIIIING!すかさずルシエラ薙いで01伐採するも相次ぎ増殖!

 

 たちまちディアベルスターの周囲から生長した茨は、彼女の頭上までも覆い尽くして半球状構造物を構築!さながら牢獄、なかんずく重罪人を外より隔て封じる劫罰の檻!「フォホ」ざわめく茨の檻格子よりアザミナ現出!「イヤーッ!」「ホホ!」嘲笑置き去りに虚空へ消え!「フォホ!」また現れる!「イヤーッ!」また消失!繰り返し!「チィッ……!」弄ぶ!

 

「童……諱は何と言ったか」黒魔女の眼前!「イヤーッ!」消失!「まあどうでもよい」斜め後方!「イヤーッ!」消失!そして背後!「これより死にゆく生、せいぜいブザマに足掻いてみせよ」「イヤーッ!」また正面転移!「イヤーッ!」「屍を姉共よろしく我が傀儡に加えてやる」「イヤーッ!」「……そこな生き人形共々愛でし時……如何な声で鳴くのだろうな?」虚空より口の端歪める邪悪の視線の先は……檻の外のディアベルゼ!

 

「リゼット」アザミナはまたも黒魔女の間近、茨より瞬間現出し「イヤーッ!」即座消失!「そこで指咥えて見届けるがいい」現出!「イヤーッ!」ディアベルスターは執拗なる01追撃――届く前に消失のち現出!「この童が我が手に堕ちるそのザマを!」冒涜者は黒魔女の攻手意に介さず!周囲で断続的出現と消失繰り返す!外部から閉ざされ、周囲全てが悪魔の転移媒体たるこの状況、ディアベルゼに亜空の怨敵が視えていようとこれでは助言も無意味!

 

(((こちらの方がよほど御しやすい)))断続的瞬間転移に翻弄されるディアベルスターを間近に、アザミナは異空の内で唇を舐めた。黒魔女が先ほどから遮二無二振るう得物、あの日葬った小娘の片割らしき超常の刃は、ヨウマの肉体にとって実際脅威となろう……当たるものなら。

 

 カラテの覚え幾分あれど、この小童の攻めは所詮物理手段のみ。このまま取り合わず機が熟すを待つも良し。あるいは、消耗甚だしいリゼットに傍観に徹することを強いた今、小童を弄んで潰れた折を刈り取り、もって傀儡とする様を見せつければ全て終わる。何をしようとも快く終わる。千年越しの念願が為の電算も終わり近く、何とも愉悦堪らぬ余興か。(((なればブザマな眺めを今少し楽しむか)))

 

 薊贖罪贖罪薊!悪夢の鉄檻めいた茨の伽藍、その四方八方の蔦壁が囚われの咎人目掛けて棘蔓伸ばす!「イヤーッ!」黒魔女は大鎌振るい前方茨切断!相殺しきれず手傷負う!「イヤーッ!」いきおい回転撃、側方茨切断!手傷と共に!「イヤーッ!」更に宙返りと共に死翼薙いで後方茨空中切断!手傷!その着地隙を目掛けて下段茨薙ぎが「……イヤーッ!」蔦格子にダガー突き刺し足場仮設、再跳躍!狂い茂る冒涜ケーブルを切断迎撃続行……着実な負傷と共に!

 

「イヤーッ!イヤァーッ!イヤァーーッ!」SHIIING!SHIIING!SHIIIIING!罪の檻内を鎌とダガーの異形2刀にて縦横無尽に乱れ舞うはディアベルスター、定義すら断つような断罪の01斬撃の黒風!茨を凌ぎ続けるその身、決して無傷ではない!対して……何たる薊の無欠たるや!薊贖罪薊薊贖罪……!伝承の不死大蛇めいて、茨は断たれた端から即座再生繁茂!冒涜の収監セルは依然不朽!既にズタズタの五体で跳び駆ける黒魔女の足掻きは僅かに、だが確実に減退……!籠を出んと飛び回り自傷する愛玩鳥が如く……!

 

「イヤーッ!」茨刈り払い続けるディアベルスターの死角、アザミナ!「……イヤーッ!」黒魔女は第六感に従い、すかさず茨の本体へ向き直り迎撃!「フォホ!」消失!ルシエラの一閃は虚しくグリッチノイズを散らす!そこへ薊!

 

「グワーッ……!」肩に突き刺さった蔦を斬り除け、黒魔女は冒涜包囲網の中心でサイズを背に構えて全方位への迎撃姿勢!削がれゆく全身の血肉をクッツキの赤紫光で繋ぎ止めて痛みを食いしばる!生い茂る茨に加えて本体の攻勢すらも彼女を襲う今、悪魔が消耗を誘っているのは確実。だが躊躇などしていられるものか!

 

 薊贖罪薊薊!茨のドームはまたも全周よりディアベルスターへ蔦を増殖繁茂……!「イヤーッ!」そこへ直上よりアザミナも同時強襲……!全方位より理不尽迫り来る!「イィィィィ……」対する黒魔女は、前傾で腰を落として力溜めた。不可避の波状攻撃、如何にして凌ぐ!?

 

「……イヤアァーーッ!」SHIIIIIII――!ルシエラを横一閃いきおい投擲!冒涜の檻の中、自律回転飛行する死神めいた凶器は無軌道暴走衛星めいて黒魔女の周囲で罪の有線LAN群へ斬撃を見舞う!「イヤーッ!」間髪入れずダガー構え!茨本体の攻手をも凌ぐ!「フォホ!何たるヨクバリ。だが所詮は至らぬ小細工よ」邪悪が爛々とした眼を愉悦に歪ませる折、黒魔女の死角から斬り漏らした茨!薊!「グワーッ……!」ルシアの魂の表れたる大翼鎌、自ら振るわない分、精密性にはいささか欠ける!

 

「イヤーッ!」黒魔女が棘蔦に背を刺された隙を、アザミナは茨腕薙いで殴打!「グワーッ……!」冒涜のカラテ炸裂!ALAS!「……イヤァーッ!」ディアベルスター不倒!吐血しながら足裏を、臓腑の損傷を、無理矢理にクッツキで固定し不退!ダガーで応え……残像斬る!

 

「イヤーッ!」側方転移したアザミナは左腕茨刺突!「イヤァーッ!」黒魔女は刃薙ぐ勢いで回転跳躍回避、旋風脚のカウンター……空を薙ぐ!贖罪薊!虚空へ消えた本体と入れ替わりに茨鞭打!「グワーッ……!」黒魔女は床面に強かに打ち付けられバウンド、ジツを介して瞬間的にウケミ取るも負傷さらに甚だしく!

 

 薊贖罪薊薊贖罪……!未だ冒涜繁栄!「……ッ!」無限湧きめいて格子から生じる茨、外周にてルシエラが刈り取り続けているそれらの一部が空中で凝集、暗器となって再繁茂圧縮!無慈悲攻撃ドローンめいて回転静止する茨スリケン群は黒魔女を包囲展開し……そして薊薊薊!

 

「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」ブリッジ回避!いきおい変則アウー・バチゥド!蹴り脚旋回させて反転跳躍、空中ダガー斜め一閃!全方位より来たる罪の星々をディアベルスターは決断的カラテにて撃墜「――イヤーッ!」茨本体の再強襲!鉄槌めいて茨の両手組んだ一撃で黒魔女を打ち据える!「グワーッ……!」辛うじてジツ防御、しかし床に打ち付けられる!

 

「グ……ウ……!」黒魔女は包囲の只中、鬼仮面砕けた血濡れの顔を苦悶に歪ませ、無視できぬ消耗に静止した。その身もまた物理的激痛に加えてルシエラ酷使の反動に蝕まれる。「どうした?続けよ。我が薊断つと、貴様が言うたのであろう」眼前で悪魔再顕現!「次よ。次も断つがいい。何度でも断つがいい。永遠に無駄を断ち続けよ」再消失!

 

 贖罪薊薊贖罪薊!「フォホホホホ!」罪のLANケーブルの繁茂は天井知らず!瞬間転移速度も最早先の倍以上!だが!「……イヤーッ!」ディアベルスター不撓!既に塗炭の痛みに満ちて尚!茨の獄を血染めに濡らして尚!「イヤーッ!イヤァーッ!イヤァァーーッ!」復讐の火を絶やさず吶喊!

 

「……ッ!」凌遅刑めいた惨き檻の外、ディアベルゼは状況判断迫られる。未だ力の底見せぬ悪魔の翻弄、茨の内では最早外からの助言も意味を為さない速度のカラテ攻防がせめぎ合い――既に主導権はアザミナに。妹一人ではいずれ破局は確実だろう。だが辛うじて抑え込んでいる身の破局――自らの身体に走るヒビも、溢れ出さんとする光も決して無視できぬ。元より無欠の薊、外からの物理介入阻む超自然の檻に如何にして「――ア」気後れる白魔女の視界に光差すは、仄光る黒紫の右手。

 

 電子フェムト秒、ニューロンにて追憶するは、罪に穢されし贖いの路、そのはじまり。(((――全て自らの意志で切り拓きなさい……ディアベルの子……枷より放たれ……アナタの道を……アナタの生を征きなさい……)))旧世紀電算風車跡に住まう稀代のハッカー・ウィッチ、その末期の姿と声。

 

 贖罪の旅路を共に歩んできた意思無きはずの罪宝は、亡き大魔女の忘れ形見は、無言で彼女を奮い立たせた。「情けないわよ私……!」一瞬の怯懦を彼女は自戒した。「最期まで背負うのよ……あの子も……私も!」然り、もう決めたのだ。亡き意志を……センセイを継ぎ……ディアベルを演じるのだ。清算が為の役割を全うするのだ。もう足踏みなど……躊躇いなどするものか!

 

「フォ」「ホ」「ホ」「ホ」「ホ」冒涜LAN監房の中、茨と異界渡るアザミナの瞬間転移の連続は視界に残像焼き付かせ!「イヤーッ……!」依然としてディアベルスターを翻弄!「所詮貴様も」「イヤーッ……!」「身の丈解さぬ童蒙よ」「イヤ――……ッ!」尚も迎撃せんとした黒魔女は片膝ついて身を沈める!断裂しかけの刺傷痛々しい脚は異常痙攣……限界か!

 

「それでは終いよ」ゼロ距離眼前!危うし!「アステーリャッ!」「……終わりだと、誰が言った」復讐者は未だ折れず!気高き覚悟に光る眼で冒涜者を睨み返す!その眼に映るは――IIIING!檻外周から飛び来たる、ルシエラ!アザミナの斜め後方より01剪断斬「――オット」虚空転移回避、死の翼は空しく無を薙ぎ過ぎ行く……!「改めこれで終い――」「いや」「ロウオォーッ!」更に死角より黒狼不完全顕現!シルウィア!獣爪のみでなお!愛する妹が為に報いんと飛び掛かり「――否」

 

「終いよ」無情の亜空転移!獣爪、無を刻む……!冒涜のマバタキ・ブンシンは遂に万策尽きた黒魔女のワン・インチ背後、茨腕で交差薙ぎに首刎ねんと――KBAMN!「――終わってないって……」更に背後空中!「言ってんでしょうがッ!」茨の牢にインターラプトする新たな罪人は――蒼白の光鎧いし白き魔女!

 

「イヤーッ!」ZZZTT!「ヌゥーッ!?」完全なる意識の外より見舞われた奇襲にアザミナは転移遅れる!黒紫光纏う蹴りが背を掠めた!ディアベルゼの強襲、決定打には至らずも邪聖者の威勢を削ぐには十分!(((こ奴、どこから……!)))

 

 超自然の薊の牢に小虫一匹入り込める隙は無い。それではディアベルゼは如何にして――檻の一角、乱雑に穿ち断たれた茨の穴、そこに食い込むは大狼の爪。(((小娘共……!)))先の姉達による攻勢の狙いはアザミナにあらず!ルシエラが飛び過ぎた先――斬り拓いた茨格子に生じた一瞬の隙間、そこをシルウィアは無理矢理にこじ開け続け!もって白魔女はエントリーした!

 

(((……そも、何故こ奴はまだ動ける……!?)))「リゼット……!」「何驚いてるのよ……ふたりで背負うって……貴女が言ったんじゃない」果たして茨の牢の高みよりアザミナが忌々しく見下ろす彼女の姿は、刺創に塗れたディアベルスターと並び立つ贖罪の復讐者の姿は、先ほどまでの満身創痍ではなかった。

 

 それはディアベルゼのジツ、その奥義!身に宿す死霊を、森に彷徨う魂達を、罪に戒められし全ての怨嗟を纏う業!自壊を避けるために漏出を必死に抑え込んでいた恨みの情念、それを自ら臆せず解き放つ!煌々と溢れる怨恨の光は、今や極限まで高密度化され物理的実体伴う外殻となり!彼女の装束を、ヒビ割れた身体を支え覆う!超自然の霊的装甲纏いしその姿は!右手のみならず身体の各所に顕れし黒紫の鴉のその意匠は!モルガナ、そしてセンセイに列なるニンジャにして――紛れもなく魔女の似姿!

 

「死に体が……」「アハ……!さっきから頭に来てるのよ……!」冒涜者の見下ろす侮蔑を、怨嗟鎧う白魔女は憔悴や自滅志願とは無縁の笑みで見上げ返した。「……妹を散ッ々虐め抜いてくれたわねェ!?」凄絶な笑みで!

 

「畢竟、貴様は愚かにも抗うのだな」再起したディアベルゼへ、怒り孕んだ無情浮かべて悪魔は異空へ掻き消えた。ここまで散々に思い知らされてきた亜空転移の翻弄、その起こりであることは明らか!「イヤ――」危うし!白魔女に如何な策あれど、これではモスキート・ダイビング・トゥ・ベイルファイア――!

 

「――イヤーッ!」「グワーッ!」――ハヤイ。ワン・インチ背後に転移したアザミナへ、白魔女の上段後ろ突き蹴りが対の先を貫く!「イヤ――」「イヤーッ!」「グワーッ!」ハヤイ。連続転移の残像群の中、白魔女のボー強打が本体を正確に打ち据える!「……イヤ――」「イヤーッ!」「グワーッ!」「視えてるって……言ってんでしょうが!」ハヤイ……!

 

(((取るに足らぬ亡者共……!未練がましく小童めの肩持つか……!)))亜空のアザミナは只不快だった。忌々しきヨウマの肉体手中に収めし今、森のAdmin権限は、この電子暗黒領域の全ては自らのもの。冒涜演算定義続ける遺物サーバー群と繋がり、我が身たる薊に無欠の力齎すフィールドマジック、フーリンカザン……!それを横紙に破らんとする足掻き……!ヨウマの搾りカスめいた童の足掻き……!それに伍する寄辺無き魂の足掻き……!超越者に食い下がらんとする身の程弁えぬ虫ケラ共の足掻き……!不快……!

 

(((……なれど所詮は迅きのみ!)))薊薊贖罪薊贖罪薊贖罪!檻の内を封殺せんと、茨は止め処なく飽和増殖繁茂!依然アザミナの優位には変わらず!白魔女が如何に仮初の力得ようと、死に体はもう一人!未だ不動の黒魔女さえ始末すればこの増上慢もすぐに――KBAMN!

 

「――さっきからこの檻にもムカついてんのよ……!」包囲の中心で燐光輝く!その出力、先とは比べ物にならぬ!「DAMNED!」ZZZZZZZZTTT!両の手掲げる白魔女を起点に蒼白の閃光が!黒紫の閃電が!茨獄を内から焼き払う――亜空に潜む冒涜者諸共!「グワーッ!?」罪の封牢破れたり!

 

「……これで借り無しね!」茨が枯れ、周囲が開けゆく中、霊鎧纏う魔女は末妹へ快活に笑んだ。「……助けるのが遅いんじゃないか……」「アハ、後で絶対泣かすわ」「……私のことを呼んだ時……何か策があると感じた……だから信じて姉さん達を向かわせた……アリガト」ユウジョウ!

 

「……まだ動けるわね?」「当然……」黒魔女は四肢の損傷を無理矢理にクッツかせ、痛む身体を引き摺るように立ち上がって不倒貫いた。頭部の流血は右眼を覆うように集まり、再度鬼面となって装束を鎧った。断罪の復讐者、その罪断つまで決して倒れぬ……斃れられぬ……!

 

「アレはここの機械に……多分センセイの身体とか知識で何かさせて……それが終わるのを待ってる……。ここで起きた以上の不幸が世界を覆うような……悍ましい事の為に」「それで奴は時間稼ぎか……絶対に終わらせてやる」「……ええ、絶対……」(((……終わらせる、ね――)))

 

 光灯る眼とは対照に、白魔女は内心で黒い未来を諦観していた。(((――多分コレ終わったら私死ぬわね)))ジツの極致が齎す揺り戻しに、最早自らは長くないことを。(((ごめんね……アステーリャ)))それでも覚悟を決めた。この選択に後悔などあろうか。共に罪を背負い、そして自らの犠牲でもって贖罪を終えられるのだ。(((……あいつやっつけるまでは絶対一緒よ)))――愛する妹の未来が為に。

 

 キャバAAARGHHHHHHン!『進ちょちょちょ捗進しししししし進捗9割……殆ど完了なAARGHHHHHHHH』「……色好い報せよの」終焉のカウントダウンめいた電子通知がバグ甚だしく無情に轟く中、冒涜聖者は悪辣なる莞爾と共に再現出した。

 

「ああ、貴様等には凶音か。今にそれも福音に変えてやる」茨の躯体は紫電迸り蒼白光に燻るも、未だ健在。「アハ、それなら貴女は逆ね」「……ああ。お前が死ぬまでの秒読みだ」それでも魔女達は不退だった。ディアベルゼの先のジツにて、無窮を謳う茨の身は確かに燻った。ディアベルスターの先の一撃も無欠たる茨を断った。無謀な復讐などではない。届くのだ。

 

「終わり近きは貴様等よ」確かな反攻を受けてなお、悪魔は怒り滲ませ不遜貫いた。「懦弱共のなけなしの力集めて調子づくか肉人形。この程度で何を為せようか。悠長極まれり」魔女は不退、されど怨敵も健在。攻手届けど……未だ斃れず。

 

 冒涜者にとって、このイクサの勝ちは童蒙共を弑すことにあらず。黒の童は相変わらず、リゼットは幾分か力増したが、それでも致命打には至らぬ。なれば時の満ちるまで、異空転移に注力してあしらい続けるもよし。機械仕掛けの隷僕が、この地と自らを縛り付けたヨウマの呪縛を解くまでを凌げさえすれば、他は些末事に過ぎぬ。

 

 復讐者達にとってはその些末事が、特に時間は一切の楽観視が出来ぬ要素。事を為される前にこの悪魔を殺す。終わらせる。滅ぼす。それが魔女達の唯一にして絶対の勝利条件。委細不明の悍ましき論理計算が終了するまで、猶予は果たして幾ら残されているのか。数時間……10数分……あるいは数分?明確な勝利条件の違いに、未だアドバンテージは悪魔にある。

 

(((――とでも思っているんだろう)))ディアベルスターは瞬間の思考にて仇敵の悪意を汲み、一切退かずに啖呵切り返した。「悠長かどうか、すぐに分からせてやる」アザミナの後方、サーバールームの壁面向こうより高速接近するIP群をその妖緑光の右眼に認めながら。

 

 「……何?」アザミナはまたも虚勢張る魔女の惨めさよりも、背後より迫る気配を訝しんだ。(((……そも、この童……如何にしてここに――)))KRAAAAASH!バンカー内壁無残!

 

「――AARRRRGHHHHH!」壁を破砕しながら吹き飛び現れるは茨傀儡エリュシクトーン!「――ルオオオオーーッ!」間髪入れずその後を追うように突撃乱入、傀儡にマウント取るは大饕獣クレイジー・ビースト!闇深き電子地下墓にインターラプトした茨鎧と巨獣、巨獣の上にはさらに「――イーッピピピピーッ!」「いいぞデカブツ!そのまま抑え込め!」反逆的ケモノ・サイン掲げる複数の影!

 

「――オイ、何だここはァー……!?」「アッ黒魔女!」「一人だけ先に行きやがって!」「ゲ!何なのアイツ!?」「ヘッ、どうせ大したことねえ。こんなシけたとこに引き籠ってるヤツなんざ、たかが知れてるぜ!」巨獣の背より降り来たるは5匹の悪鬼共!古の邪悪存在すらも傲岸不遜に貶める彼らは……!「ドーモ!俺達バッド・アス――!」百鬼羅刹のアウトローたる――「「「「「ゴブリンライダーズ!」」」」」

 

「貴方達……!」「アッ!白魔女もいるぞ!」「よくもオヤブンと俺達をダシにしたな!」「まあ待て」白魔女へ憤慨するコブンを、ガボンガはあくまで冷静なる状況判断の下に諫めた。「黒魔女の言ってた、クソったれな因縁ってのはアレだろ」「……」珍妙なる連中の闖入にあからさまな困惑と侮蔑浮かべる冒涜者、この世ならざる姿の悪魔を見てなお、オヤブンは不動!

 

「どういうつもり……!?あんなの連れて来て――イヤーッ!」「イヤーッ!……バカ共――!」茨の応酬捌く最中、乱入者たちを見やり、意図を掴みかねている姉への返答代わりに、ディアベルスターは悪党達へサムズダウンして、快活なまでに――ともすれば怨敵からすると腹立たしいほどに――叫んだ。「――何もかもブチ壊せ!」

 

「……アーハ……!……いいわね貴方達!全部よ全部!」妹の奇策汲み取ったディアベルゼもまた快哉に命じた。「その辺の何もかも!全部!」

 

「テメェに言われる筋合いは無ェんだよォー……!」果たして特攻隊長、バット振り上げながら白魔女を拒否――KRAAASH!手近な筐体大破!論理計算に支障!「――言われなくてもよォー……!」「ヨロコンデー!」「イピピピーッ!」回線ケーブル断絶!電子網に綻び!「昨日からずっとムカついてんのよねェー!」基盤引き抜き足蹴破壊!周辺機器連鎖障害!「ヒャッキ!」悪鬼カラテにてサーバー無残!冒涜演算遅延!「ナメられてるならチャメす。それが俺達!」ゴブリンライダーズ!

 

「ハッハァー!とにかく手当たり次第滅茶苦茶やりゃあいいんだな!黒魔女に免じてお咎めナシだぜセンセイ!」「関係ありませんぜ!後でボコボコにしてやる!」「よしな!ガボンガがいいって言ってんだ」「……文句を言ってやる!」元より彼らもヤルキ十分!

 

「……何をしている」一方の悪魔は突如現れた胡乱存在の齎すケオスに、ほんの一瞬鼻白んだ。「オラァー……!」「イピピーッ!」自らの計画が為の電子の墓標――ヨウマの魂と密接に結び付く森の根幹なすサーバー群が、賤しきケダモノ共の――それも非ニンジャの――薄汚れた手に掛けられている。

 

「ラセツ!」KRAAASH!「ハッハァー!だいぶ調子戻ってきたぜ!」見る間見る間にサーバー無残……!悲願の成就をこの手にするまでその実残り数分――だった。それが遠のいた。神聖にして遠大な我が野望が蝕まれている……自らの過ちが如何な罪かも知らぬ与太者共に……!こともあろうに定命共に……!

 

 冒涜者は黒魔女の意図に、更に顔を不愉快に歪ませ、手の内で邪星を増殖させた。所詮些末事の無益な足掻き、取るに足らぬ者共――取るに足らぬが故、早急に取り除く。「定命の虫ケラ共が――」「イヤーッ!」「……イヤーッ!」白魔女のインターラプト。茨スリケン投擲をキャンセル、これに対して牽制する他なし。「アハ!急に必死じゃない!何か都合でも悪いのかしら!?」

 

「小童……!」「イヤーッ!」ルシエラ携えディアベルスターも跳躍肉薄!「……イヤーッ!」SHIIING!転移遅れ防御茨腕ケジメ!「グゥッ……!」「望み通りまた断ってやる……お前が終わるまで……!」再生する茨が屈辱に震えるのを間近に、黒魔女は毅然と睨んだ。演算が終わらぬうちに殺せぬと言うのなら……演算を終わらせなければ無問題!

 

「……斯様な獣に縋るは、いよいよ惨めよの――!」KBAMN!「イヤーッ!」反撃を咎めるようにディアベルゼが入れ替わり!「グワーッ!」「アハ!アハハ!また嗤ってなさいよ!さっきまで随分余裕だったじゃない!」「……ジョルリ……!」アザミナは白魔女の煽りへ明確な憤懣浮かべながら異空転移、唯一残された手駒たるエリュシクトーンへ冒涜のエンハンスと共に苛立ち交じりに命じた。「そこな愚獣共を残らず根絶やせ……!」「AARGHHHHH……!」

 

 かくして後ろ暗き復讐と断罪のイクサ場、悪逆無道の混沌来たれり!「オラァー……!」「ウフフフーッ!」「「イーハハハーッ!」」「ヒャッキ!ラセツ!」墓荒らしめいて冒涜サーバー群を更に冒涜蹂躙するはゴブリン達!彼らの心中満たすは使命感などではなく、実際フラストレーションの発散……カタルシス……!

 

「ルオオオォォーーッ!」その悪鬼共のしもべたる巨獣と、相対する茨傀儡もまた混沌齎す!「除去……!除去……!」ビーストに伸し掛かられたエリュシクトーンは超重量に足掻こうと茨振り乱し、周囲を無差別乱打!KRAAASH!KRAAAASH!KA-DOOOOM!巻き添えサーバー群無残!森全体の論理処理、更に減退!

 

(((無能が――!)))傀儡の、激しく周囲を壊す殆ど利敵行為に冒涜者は内心で毒づき、そしてオヒガンの眼を通して確かに視た。茨絡む巨獣の内より自身を睥睨する、茨鎧に本来宿っていたはずのソウルを、傀儡の糸へ干渉するアイトーンの恨みを。

 

(((負け犬風情が弓引くか……自らの力も無きソウル憑きの分際で……!)))かつて薊の力に恭順させるを強い、外界への先兵として飼い殺したソナエの傭兵。茨に冒され肉体失っても、その反逆心は潰えぬ……腹立たしくも。

 

「イヤーッ!」「イヤーッ!」(((……白黒共も調子づきおる)))ディアベルゼの黒紫電纏う地対空高初速トビゲリを捌き、ディアベルスターの01断斬を避け、アザミナは並列思考の狭間で状況判断に駆られた。

 

 傀儡が軒並み枯れ果てた今、演算に更なる遅れ招くことになろうとも、森を満たす超自然リソースを再配分し、獣共を露払いせねば全体の遅延収まらぬ……童の相手は自らがする他なし……。超越者たる自らが虫のさざめきの如き些事に拘い、このような打算を案じる事など、それ自体が許されざる屈辱だった。(((虫ケラ共……この地は我が領域ぞ……!)))

 

「――ルオーッ!ルオォーッ!」KRAASH!KRAAASH!KA-ZOOOM!他方、組み伏せたエリュシクトーンを押し引きずり前肢パウンド振り下ろし続けるはクレイジー・ビースト!進行方向のサーバー機器を破壊しながら後脚で重たく駆ける!半ば知性さえ感じるその動きと眼の奥には、体内に呑み込みし罪宝メモリに宿るニンジャの意志!「AARGHHHHH……!AAARGHHHHHHHH!」かつての肉体は防戦一方――

 

「ルオ……ォォ……!」「ARGHHHHHHH……除……去……!」振り下ろした巨獣の右腕は、急速異常繁茂の末に最早茨が鎧成す籠手に阻まれた。「除去……!除去除去除去除去除去……!」巨獣を下から押し退け、次第に立ち上がらんとする傀儡の身に満ちる棘蔦は更に強靭に増殖生長……!薊贖罪薊薊薊……!

 

「オイ……!デカブツが押されてねえかァー……!」「エッ!囮になってもらってるんですぜ!」「……俺が行く!お前らは一気ブチ壊し継続な!」即座の状況判断、サーバー破壊工作を配下に一任する采配!オヤブン有能!「重点!」「オタッシャデー!」ソンケイの篤きはかくの如し!「イヤーッ……!」

 

「ボス抜きでもヤるぞォー……!全部ヤれって魔女のお達しだァー……!」「「「ヨロコンデー!」」」悪鬼達は依然無軌道ながら悪逆のアンタイ・サボタージュ続行!あの茨の権化が何者で何をしようとしているか、その実彼らに興味は無い。

 

「アイテッ!」「棘に気を付けろォー……!」墓石めいた暗黒UNIXサーバーも、この世ならざる冒涜通信ケーブルの存在も、その理由も興味はない。ただムカつく世界の理不尽に怒り、それに否を突きつけるのみ。モータルなれどカラテはあるのだ。

 

 彼らが反逆破壊行為行っているサーバーの一つに設けられたUNIXモニターには、演算処理の進捗を示す戯画化されたウサギとカエル――そのカロウシ体が茨に身を冒され、ぎこちないマリオネットめいた挙動で荷物を受け渡している冒涜的アニメイシヨンがエンドレス再生されていた……オゾイ!そして進捗は……93.2%を示したまま大幅減速――だが依然稼働中……!

 

「ゲ!マジで何なのあのオバケ!見た目も趣味も最悪ッ!」基盤引き抜きながらミアンダは画面へ毒吐いた。「シマッテコーゼ、オネエサン!」出鱈目にスイッチ類をいじりながらブーンが答えた。「それにチャンスですぜ!ここで魔女のアネゴに恩を売って――」そう話すクラッタが配線を断とうとした時――。「――エ?」

 

 薊薊贖罪薊贖罪薊……!サーバーから生ずる罪のLANケーブルは急速に分岐増殖・凝集して自切、やがて人型を形作り「――AARGHHHHH!」ゴブリン達へ奇襲した!「「「アイエエエ!」」」

 

「オラァー……!」「AARGHHHHH!」ダグがバット振り抜くも手応え皆無!「オニイサン伏せて!」クラッタが閃光弾投擲するも「……AARGHHHHH!」無反応!操る死体のガワすら無い姑息なる茨のミニオン、だが非ニンジャたるサンシタ達には十分な脅威!「コイツを……俺らだけでどうにかすんのかァー……!?」

 

「――フォホ、薄汚き獣共が手をこまねいておるわ」「あらそう!私はどうでもいいけど!」一方、悪鬼達からやや離れて魔女の死合!自らの生をも燃料に、ディアベルゼは爆発的にカラテ燃やして怨敵討たんと宙駆ける。吐き捨てたが事実、彼女にとってゴブリン達は贖罪の渦中には無関係ゆえ無関心だった。

 

 彼らが如何な意思の下にここに来たかなど知る由も無い。彼らとて世の後ろ暗い裏を生きるはみ出し者、時にシュラバ・インシデント、こうした不条理に出くわすこともザラだろう。彼らとてそれを覚悟した上でアウトローの矜持の下に生きている……そう信用した上での無関心……少なくとも彼女は。

 

「――GRRRRRRR!」「ヌゥーッ……駄犬!」白魔女の視界、アザミナの背後より現界したシルウィアが喰らい付くさらに後ろ、悪鬼達の方へと吹く黒風。(((――甘いわよ)))果たしてディアベルスターは、駆けた。迷い無き即座の状況判断……なれど感傷。イクサにおいては惰弱極まる甘さ、だが。(((――優しい貴女はそうするわよね……)))

 

(((――ASAPで片付ける)))シルヴィの魂顕現させて戦線離脱する妹の、暫し背中任せる白魔女へ向けた刹那の一瞥は、言葉介さぬ心からの友愛と信用だった。「――イヤーッ!」果たして姉は、懐よりフロッピーを投げ渡して無言のアイコンタクトで答えた。(((――お姉ちゃんに任せなさい!)))ユウジョウ!「イヤーッ……!」

 

「イヤーッ!」「ロウオォーッ!」「フォホホホ……!」超自然膂力に物言わせてシルウィアを投げ飛ばし、アザミナは未だ嘲った。「やはりあの童は情捨てられぬ!イクサが趨勢も解さず、弱者を顧みるほか能の無き惰弱!」「アハ!アハッ!」白魔女はその嘲りをまた嘲った。「分かんないの!?お前ナメられてんのよ!私達だけで十分って!」「ロウオォーン!」白魔女は黒狼と共に疾走双撃!「……なれば救えぬ愚かさよ!」冒涜聖者は真っ向から茨繁茂で迎え撃つ……!

 

「「「――アイエエエ!アイエーーエエエ!」」」その頃ゴブリン達、清々しいまでに遁走!「クソ……!どうにかボスと合流するしかねェー……!」すれ違う筐体にバット強打する特攻隊長を殿に、乱立サーバーの織り成す迷宮めいた回廊を疾駆!「AARGHHHHH!」薊贖罪薊……!彼らを追走する茨の傀儡は方々のケーブル類に働き掛けて退路を奪い迫る!「アイエッ!こっち!こっちに!」先行するブーンの直感ままにサーバー間を駆け抜ける!

 

「アンタさっきから何持ってんのよ!?」「エ……アッ!チビチャン!」息切らすクラッタの手の内には狂乱の渦中でなお眠る超自然蛇眼存在、ポプルス!逃げ回る最中、どこかの折で見つけ、無意識に回収していた。「りゃ、略奪成功……ヤッター……!」「後でボスに褒めてもらえ――お互い生きてりゃなァー……!」然り!前方、デッドエンド!

 

「……アイエエエ!壁!」既にサーバールーム終端、これ以上の進路は無い!追い詰められた悪党共はラット・イナ・バッグ!そして退路よりは薊!「AARGHHHHH!」「クソがァー……!」不屈のゴブリン達も遂にオタッシャ重点「――イヤーッ!」SHIIING!

 

「AARG/HHHH……!」上空より大鎌のアンブッシュに縦断され茨朽滅沈黙!「……無事かバカ共」「黒魔女……!」「イピッ、助か――」「……AARGHHHHH!」天井から垂れ下がるケーブルよりリポップ!「アイエエエ!」「イヤーッ!」「AARGHHHHH……!」赤紫の超自然物で壁に固着させ阻む!クッツキ・ジツ!

 

「……1体ずつしか出せないらしいな」黒魔女は悍ましき薊のジツの、冷静かつ的確な所見を下した。本来であれば無尽蔵に傀儡を生み出していただろう罪の業、それが著しく出力が落ちているのを見るに、彼らに任せた破壊工作は、先行制圧めいて悪魔の展開を妨害する有効打となっているか。

 

「そんなズタボロで……!アンタ達本気であんなバケモノ相手にするっての……!?」「ああ。最後まで見届けてもらうぞ」理解遥かに凌ぐ超越存在へ畏怖する悪鬼へ、黒魔女は揺るがず答えると、クラッタの腕の内で眠るポプルスを一瞥した。「……そいつを頼む。カワイイだからな」「エッ……アッハイ!」「AARGHHHHH!」「そいつは放っておけ。途中で私が死んだ時は……頑張れよ」「ウェー……」

 

 ――イヤーッ!イヤーッ!GRRRRRR……!

 ――ヒャッキ!ルオオーッ!AARGHHHHH!

 

 93.3%……93.3%……93.……4%……。方々で決死の攻勢が聞こえる中、増設機器のモニタは、緩慢ながら未だ冒涜カウントダウン刻む。猶予は幾分マシになれど、予断は許されぬ。黒魔女は懐の電子毒フロッピーを悪鬼へ投げ渡した。「リゼットからだ。使え」「ど、どうすんだ!」「その辺に適当に挿せ」「AARGHHHHH!」「2つで十分だ――イヤーッ!」黒魔女は再度風となって主戦線へ復帰!「アイエエエ……!まかしてくださいよ……!」

 

「――ルオオォーーーッ!」視点は巨獣と鎧傀儡のイクサにフォーカス、こちらは拮抗勝負――「AAARGHHHHHHHH……!」ALAS……優位に立つは……エリュシクトーン……!

 

「除去除去除去除去除去除去……!」真向からビーストと組み合う茨の戦士幽鬼は、狂気めいた呪詛ノイズ吐きながら周囲に茨張り巡らせ続ける。薊の冒涜の力を更に注がれたその躯体は深緑のオーラに覆われ、視認出来る程のオヒガンの力場の表出が超自然の炎めいて揺らめいていた。

 

「ルオオオオォーーン!」身を縛られた戒められし巨獣――今や内なるアイトーンのソウルは半ば合一していた――は自らの誇りを、哀れなる元肉体の尊厳を取り戻し罪から解放せんと、決死の咆哮と共に拘束に抗う。

 

「AARGHHHHH……!」それを嘲笑うかつての肉体は、断頭処刑にて終わらせんと斧槍を構えた。死した肉体に悪意注ぎ、その本質を葬らんと仕向ける、何たる薊の上位者が齎す冒涜の極み……!

 

「――ヒャッキ!」その優勢を打ち破らんと我らがビッグヘッド・ガボンガ、背後より跳び込みアンブッシュ!「AARGHHHHH!」機敏に反応する傀儡は、どこか恨めし気な音発して、防壁めいて異様繁茂させた蔦で受けた。「グ……!いい加減しつこいってか……テメエもだぜ……!」棘傷にカウンター受けるもオヤブン強靭!

 

(((――随分なコトに首突っ込んでるか?)))ガボンガは俯瞰し、ここまでのケオスを顧みていた。理不尽にも突然ニンジャ憑きとなったあの日、異形の身体となって居場所を、全てを失っても、カラテだけはそこにあった。新たに受け入れてくれる者達がいた。混沌の世にて成り上がるアウトローとして、時にケモノめいて野性的に、時に文明享受者として、自分達の思うがままを生きてきた。

 

 黒魔女とて自分達の栄光が為の踏み台の一つ、くだらない腐れ縁に過ぎない。彼女らの言う通り、実際無関係の悪鬼達がここまで付き合う道理も義理も無い――が、腹が立つ。(((いや、あいつらが可哀そうだとかは思わねえ――)))事情こそ未だ呑み込み切れぬが、察するにこの茨は、ひとりの健気な女を後ろ暗き復讐者に変えるに足る理不尽を振り撒いてきたのだろう。抗えぬ大きな力、理不尽。何とも恐ろしき――腹の立つ不条理。(((――俺達もムカつくから来ただけだ!)))それにエゴのままにNOを突き付ける。シンプルな共感だけがあった。

 

「ひょっとするとテメエも貰い事故かァ、エエッ!?」「AARGHHHHH!」「だったらテメエの代わりに殴ってやるよ!」ガボンガの乱入により、茨鎧は前後ケモノ双撃に挟まれる形に!茨のリソースを巨獣の抑え込みに重点せねばならぬ以上、アブハチトラズとはいかぬ!

 

「ラセツ!」茨足掛かりに跳び、ガボンガは鎧頭部へダーカイめいた我流掌打!ヨーカイヘンゲのカラテ衝撃が、超自然鎧の内に守られた中枢へ浸透、有効打!「AARGHHHHH!?」「ハッハァー!黒魔女様サマだぜ!硬え鎧も内側は弱えよな!」

 

「ルオーーッ!」その膠着の傾きを一瞬の隙に、巨獣は茨振り千切り前肢撃!「ウオッ!危ねえ!」KRAAAASH!「AARGHHHHH!」エリュシクトーン、反応しきれず超質量を正面被撃!抉り飛ばすようなビーストカラテに鎧は大破、茨脈打つ悍ましき傀儡の本体を露わにした。

 

AA……ARGHHHHH……!」薊贖罪薊薊贖罪……!ナムサン……それは人の形を留めている意味が悪意以外に見出せぬ醜悪――茨蔓延る様を見せつけたいが為の肉の苗床……!酸鼻極まれり……!

 

 なおも茨は呪詛の唸り止めず、屍体に偽りの生命滾らせる。命じられるままに、薊の呪いのままに、全てを冒涜せんと。「……ルオオオォォーーーッ!」それは自らをその手に終わらせる悲哀か、それとも穢されし尊厳への激昂か。後脚で二足立ちになった巨獣は、最早獣のそれではない感傷的機微と共に、吼えた。

 

「――イヤーッ!」「イヤーッ!」「GRRRRRR!」「イヤーッ!」「ロウオォーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ……イヤーッ!」「ンアーッ!」

 

「……アハ、随分ご機嫌ナナメね……!」他方イクサの主戦場、黒獣の背に受け止められた白魔女は、怨嗟の蒼白光強めて身を燃やす。「貴様は力増せど迅きのみ。所詮微風如きが勢い増したところで……我が千年の盛りが枯れるものか!」対する悪魔は、リゼットへの歪んだ愛護心すら取り繕わぬ様子で、上位者然と吐き捨てた。然り、白魔女の速度は脅威なれど打点足りず。転移を見切られ、童が速度で勝るのならば、あえて打たせてこれを受け、そこを打つ。途方も無く長き時を、ただ利己の為に費やして力磨きし悪魔のカラテに、欺瞞は無かった。

 

 対峙する白魔女を極限増強せしめる死魂の鎧、それが齎す超速は、堅牢なる守りは確かなれど、未だ決定打には足りず。先の茨獄焼き滅ぼした蒼白黒紫の閃電は、溜めを要するゆえ連発できず。白魔女は冒涜者を確かに押せど、押し切れず――。

 

「ロウオォーーン!」「――ありがとうシルヴィ……ずっとあの子を護ってくれて」シルウィア――長姉の魂の顕れたる黒狼が再度仇敵へ突撃する背上で、ディアベルゼは決意に前を見据えた。これで決めると。「もうすぐだからねルシア……」その視線の先――アザミナの後方より空を切り裂く、次姉の魂たる黒き翼。「だからもう少しだけ……私達に力を!」

 

 SHIIIIIII――!悪魔を断罪せんとルシエラが背後より再びの旋回転飛来!「飛び鼠めが!」無論、アザミナは転移回避、死の刃は茨躯体をホログラムめいてすり抜ける……!「芸の無い童よ――!」――童。異空の内で嘲りに鼻鳴らす冒涜者は失念を悟った。ようやく気付いた。自らの躰の物理空間座標を通過していくルシエラ、その柄先から彼方に伸びる赤紫の鎖が、再現出する自らの周囲を取り巻いていくのを。憤怒に過熱励起していたニューロンに、ようやく一瞬の、ともすれば致命的な過ちに気付く余地が出来た。ルシエラが飛び来た今、ではその使い手は……?

 

「――イヤーッ!」決断的シャウトと共に!復讐の黒刃が闇を切り裂く!黒き森の彼方より鎖辿るように跳び来たりしは黒魔女――ディアベルスター!白魔女は冒涜者を確かに押せど、押し切れず――ただ独りでは!

 

「イヤーッ!」ディアベルスターは鎖手繰る反動でワイヤーアクションめいて空中立体起動、身を捻り首狩り鎌めいた旋風ソバット!「ヌゥーッ!」一切の躊躇無く師の躰を目掛ける蹴撃を、アザミナは茨腕でガード!「イヤーッ!」蹴り反動で黒魔女は滞空維持――薊贖罪薊薊……!それを咎めようと罪の茨は周囲で繁茂――出来ない!「グワーッ!?」

 

『ピガガガガガガAAARGHHHHHHHHH!』突如電子的苦悶の呻きを上げるは森の木々――冒涜演算処理行うサーバー群!「アハ!やってくれたのねケモノ達!」ゴブリン達に託した死のUNIXデッキ破壊ウイルスが、打ち込まれたサーバーを基点に胴枯れ病めいて茨LANで繋がる周囲に感染・増殖……!物理損壊のそれには及ばずとも、演算において重篤な機能不全に陥った!そのフィードバックは一瞬とは言え……茨の源たる冒涜者にも!

 

「イヤーッ!」黒魔女は空中でダガー蹴り込みボレーシュート!「ヌゥーッ!」至近距離射出された凶刃を、ジツの茨生じ損ねた冒涜者は避けるほか無し!(((……よもや勝ちの目か!何たる増上慢……!)))異常集中にて高速化させたニューロン視界の中で、アザミナは自身を睨む黒魔女へ、どす黒い情念沸き上がらせた。

 

 不快。その覚悟に光る毅然の眼が、あの儚き女とは似ても似つかぬ不倶戴天の眼が、何故か重なった。それがどこまでも腹立たしく……黒魔女だけではない。全てが不快だった。(((我が手離れしリゼット……寄る辺無き魂の分際で歯向かう小娘共――)))不快――視界の後方隅、何かしらのセットプレーに走る魔女の姉共。

 

「ロウオォーッ……!」スローモーの時の中、アザミナを中心とした円描くように、射出後回避されたダガーを咥えて超速疾走するシルウィア。その刃の柄先には、やはり赤紫の鎖。それと対角で繋がるは――空中にてルシエラ構える、ディアベルゼ。

 

 KBAMN……!「イヤアァーーッ……!」蒼白黒紫のエンハンスを大翼鎌に施した白魔女は、黒魔女よろしくルシアの魂を断罪投擲……!SHIIIII……!(((見え透いた真似を――!)))アザミナは再度出力取り戻したジツにて、瞬間転移をもってこれを回避――それこそが魔女達の狙いにして、断罪の始まりだった……!

 

(((――これは……!)))アザミナの周囲を取り巻いていた、黒魔女に渡りしディアベルの力――クッツキの鎖、その包囲の径が内周の冒涜者へ急速集束!「ロウオォーッ!」鎖剣咥えるシルウィアが目一杯に駆けて鎖引き絞り!「イヤーッ!」ディアベルゼがもう片端をボーに絡め、アンカーめいて床に打ち込み固定!「グワーッ!?」冒涜の聖者は封印の鎖めいて超自然の縛鎖に繋ぎ止められた!「アーハ!縛るの大好きよねェ!?縛られるのも得意でしょう!?」

 

(((ウカツ……何たるコシャク!)))忌々しく身を捩るも冒涜者は不動!両の腕も、身より生える茨も全て雁字搦め!オヒガンのマバタキ転移は縄抜けには使えぬ!これではアレを防げぬ!アレを避けられぬ!アレを――真正面から跳び来る黒魔女を!

 

「――言ったはずだぞ……お前を断つと……!」ディアベルスターは揺るがぬ決意眼に浮かべて復讐刃振りかぶる!先の投擲にて投げ渡された断罪の大翼鎌は、ディアベルゼのカラテとジツ込められし死の翼を、その解放の一刹那まで研ぎ澄ます!

 

「ヌゥーッ……!」屈辱……!アザミナは現状へただ憤った。自らの苗床でしかない弱者共に、自らが脅かされる……何たる不快。(((だがこの身断てると思うてか)))薊贖罪……!所詮は受けねばいいだけの物理撃!無用と化した機器の茨を戻し、もって迎撃に回す「――ダメ押しィ……よォッ!」ZZZZZZZTTTT!鎖より伝導する白魔女の光!「グワーッ!」

 

「――ルオオーッ!」「AARGHHHHH!」「ハッハァー……!そろそろ終わろうぜ――ウオッ、こっちも終わりか!?」屈辱……!獣めいた醜悪が未だ斃れず。「――アッ、オヤブン!」「黒魔女達も押してるぞ!」「キンボシ・オオキイだッ!」不快……!取るに足らぬ定命者共が誰一人死せず、自らの窮地の下に一堂に会する。さながらこれでは――公開処刑めいて――!

 

「――イイイィィィ……!」真正面ワンインチ距離、罪の茨の根源目掛け、大鎌背に構えて迫る黒魔女……屈辱の……オーテ・ツミ。「アステーリャッ!終わらせなさい!」「「「「トドメヲサセー!」」」」最早不可避の断罪を――。「……よかろう。くれてやる――」――アザミナは不遜に受け入れた。

 

「イイィィィィ……!」死のバイナリ斬撃が今、冒涜者を――。「イヤアアアァァーーーッ!」SHIIIIING!――断つ!「グワーッ……!」

 

 遂に重篤ダメージ――!

 

「――ア……ガ……ウゥ……!」

 

 ――ディアベルスターが!

 

「――やはり不快……どこまでも不快よの」

 

 ――ディアベルスターが!?

 

 何が起きたのか!?先のルシエラ斬撃は確かに冒涜者の頸を袈裟懸けに01二分して断罪!……だがその頸がずれ落ちる01断面から萌えた茨蔦が――!「定命共が思い上がりの……」斬り分かたれた頭と胴を繋ぎ塞ぎ――!「力無き身の程知らずが……我が身に届くと驕る傲慢の……何たる不快や」――健在!アザミナ健在!……そして宙で茨に囚われ苦悶する――黒魔女!「「「アイエエエエーッ!?」」」

 

「黒魔女――!」「AARGHHHHH……!」「グワーッ!」「ルオオーッ!」瞬間的に意識逸らした巨獣と背上のガボンガをエリュシクトーンが捕縛!「……捕らえておれ」茨の身を縛っていた鎖が崩れ落ちる中、只今の異様な様に硬直した周囲を、悪魔は再び自らのアトモスフィアで呑むように、言葉紡いだ。

 

「貴様等は何故無駄を解さぬのか」アザミナの胸元、心臓めいて脈打つ悍ましき果実――ヨウマの魂呑み込むそれこそが、冒涜者のジツの源。この聖なる薊花が齎す加護が一つ、致命に至る一撃に対してその苦痛を外敵へも齎す、冒涜の因果応報の力……!「我こそ無欠、常しえに枯れ果てぬ無窮の薊也」

 

「GRRRRR……!」「……弁えるか駄犬。然り、貴様等が事を起こせば、此度は童の首が疾く落ちよう」超越者は手中に収めた忌まわしき黒魔女へ淡々と、冒涜の茨をさらに這わせた。「テメエ……!インチキも大概にしやがれ……!そこは死んどくのが筋――グワーッ!」悪党が首魁は世の摂理と矜持に反する情景に憤懣するも、縛る茨に咎められ閉口した。「……!」果たしてディアベルゼ、胸の内を報復の激情に満たす白魔女は、それすら呑み込むような、臓腑の底より生じる凍てつくおぞみに歯噛みしていた。

 

(((本当の不死身だっていうの?ふざけるなクソッタレ……!)))二の足などもう踏むまいと決めた。怒りのままに本懐を遂げると。……それでも此度、底知れぬ存在への情念は――恐怖は心底から再び湧き上がった。……私は何を相手にしている?眼前、妹をその邪悪の手に掛けんとしている簒奪者――古代より享楽のままに他者を冒涜してきた悪魔――真なるニンジャ。

 

……貴様等如きに拘うこと、無駄とは言え我が身一度断たれるに甘んじたこと……全て不快也」冒涜者は繁茂苛む虫共を、この瞬間初めて殺意と呼ぶに値する貌で見渡した。「「「……ッ!」」」悪鬼達はこの世ならざる怖気に悲鳴すらも通り越して、ただ凍り付く。NRS発症に至らなかったのは如何な僥倖――否、この後の情景を鑑みるに、意識を飛ばせていた方がどれほど幸いだっただろうか。

 

「決めたぞ。貴様等全てを我がジョルリに加えてくれる。我が身取り戻すはその後、貴様等を弄ぶ折、着実に進めればよい……この童はその手始めよ」「ウ……グ……!」またも悪辣の愉悦を顔に浮かべるアザミナの蔦、冒涜のLAN端子がディアベルスターの身を這い上り伸び行く先は……首元の生体端子。「「……ヤメロー!ヤメローッ!」」自らへ、そして黒魔女へ向けられた悪意を察したゴブリン達は、恐怖に抗いながら必死に叫ぶも、上位者の愉悦を煽るのみだった。

 

「その眼に焼き付けよ咎人共。じきに迎える自らの姿を」「……アステーリャ……!」ディアベルゼもまた、悲愴に叫びを絞り出す以外の選択肢は無かった。自らが動けば妹は冒涜に穢され、永劫の隷属を強いられる――だが動かなくとも末路は変わらぬ……オーテ・ツミ……!

 

「――リゼッ……ト……!」

 

 そうした冒涜者の独壇場に響いたのは、茨に戒められながらもその意志折れぬディアベルスターの、毅然たる覚悟だった。

 

「……センセイは……全てを見ている……いつだって……私達と……共にある……!」

 

「……この期に及んで遺言もくだらぬな」果たして邪なる聖者は、どこまでも弱者達を嘲り……どこまでも敗者を悪辣のエゴの下に穢す……!「なれば師にとくと見せるがいい……貴様の終わりを……ブザマ極まる哀れな最期を!」

 

 冒涜の茨、LAN直結!薊!「グワーッ!ウ……アァ……アア……!」

 

贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪

 

Vine-Profaned Network connecting...

 

Az@mina ver.4000

 

薊薊薊贖罪神女薊薊薊贖罪神女薊贖罪神女薊薊薊薊贖罪神女贖罪神女薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊贖罪神女薊薊贖罪神女贖罪神女贖罪神女薊薊薊薊薊薊薊薊贖罪神女薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊贖罪神女贖罪神女贖罪神女贖罪神女贖罪神女贖罪神女贖罪神女贖罪神女贖罪神女贖罪神女贖罪神女贖罪神女贖罪神女贖罪神女贖罪神女薊薊薊贖罪神女贖罪神女贖罪神女

01011010101101110111101111011011001101011101010011011011001101101001011

11010111001101010110100100110100110101010010101011011011011011011011011

10010101011101101011011011101010011101010101110110101011011001101010101

010101010101101001010101011贖贖贖贖贖贖贖贖贖贖罪11010101010101010111010101

111101010101011011011011贖贖贖贖神罪神神神神神罪神贖贖贖110101010101111010101

101010110101010101010薊贖贖贖神女贖贖贖贖贖贖贖女神罪神贖贖贖101101011011010110

0101010101101神贖贖贖贖贖神女贖贖贖贖神神神神女贖贖女神贖罪贖贖贖贖贖神10110101101

01010101010神女贖贖神女女罪女女贖贖女神女女女女神贖贖女神罪神女神神女女神0101101011

010101011011神罪罪罪罪神神女贖贖贖神女女女女女神薊贖贖女女女神神神神神010110101101

01010101010贖贖贖贖贖贖贖贖女神贖贖贖女女女女女贖贖贖罪女女贖贖女女女女女神01011010

0101011110110神神神神罪神贖薊女神贖贖贖贖贖贖贖贖薊女神贖贖神罪罪罪罪神10101101110

10101010101011101101神神贖贖女神罪罪贖贖贖贖罪罪女贖贖贖罪神0101010101010101110

0110110101101010101010神罪神贖贖贖女神神神神女贖贖贖罪罪神11010110111010101010

01011010110110101011011011神神神神贖贖贖贖贖女神罪罪神0101011010101101101101

01110101101010101010110111011神罪罪罪罪罪罪罪神110101101110101010101111101

01011010101101110111101111011011001101011101010011011011001101101001011

11010111001101010110100100110100110101010010101011011011011011011011011

10010101011101101011011011101010011101010101110110101011011001101010101

薊薊薊贖罪神女薊薊薊贖罪神女薊贖罪神女薊薊薊薊贖罪神女贖罪神女薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊贖罪神女薊薊贖罪神女贖罪神女贖罪神女薊薊薊薊薊薊薊薊贖罪神女薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊薊贖罪神女贖罪神女贖罪神女贖罪神女贖罪神女贖罪神女贖罪神女贖罪神女贖罪神女贖罪神女贖罪神女贖罪神女贖罪神女贖罪神女贖罪神女薊薊薊贖罪神女贖罪神女贖罪神女

 

贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪贖罪

 

「ウアアァアーーーーッ!ア゛アアアアァァーーーーッ!」

 

 黒魔女のニューロンに焼き付く茨のマンデルブロめいた際限無き拡大幻影……!幻想の魔眼めいたシンボル……!強制インストール侵襲する冒涜の増殖攻性マルウェアが……!悍ましき罪の呪いが……!ディアベルスターの自我を犯す……!

 

「ウア゛ア゛アアァァ――AAAAAAARGHHHHHHHHHHHHH……!

 

「ディアベルスター・ヴェンジェンス:フェイズ2」に続く




読んでいただきアリガトゴザイマスドスエ!

 気付けば白黒魔女コンビに新たな絵違いが来たり、本編でクソデカブッダがリアルニンジャにチョップかましたり、ピュリティな12人がアイドル天狗だったりしていましたが、私は元気にノードラッグでニンジャしたりデュエルしたりしています。
 残り2話で完結まで漕ぎ着けたいと思っています。最後までオタノシミいただければ実際幸いです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。