忍殺×遊☆戯☆王 ディアベルスター・ザ・ブラックウィッチ   作:亜面瞳頭

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これまでのあらすじ

 『罪宝』と呼ばれる呪われたレリックを求めるニンジャ、ディアベルスター。目当ての遺物が眠ると噂される遺跡を目指す途中、何者かによって彼女の捕縛を命じられたニンジャ、アイトーンが強襲。クローンヤクザの物量による包囲とグレイブカラテでディアベルスターを追い詰めるも、ローグ・ウィッチとしての本領を発揮した黒魔女はこれを退け爆発四散せしめた。


ディバインテンプル・オブ・ザ・スネークアイ

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 地下街より遥か南東に位置する古代遺跡。神殿を擁立していただろう、かつての文明の威光は歴史の彼方に消え去り、もはやその由緒も失われて久しい。だが考古学、とりわけ隠されしこの世の真実に精通している者、あるいは狂人であれば、その由来に気付くことが出来るかもしれぬ。壁に刻まれたヒエラティックテキストめいた古代象形文字、その随所には四方の尖った十字記号が記されていた。すなわちスリケンである。

 

 このニンジャ存在の関与が示唆される遺構の中を進む者あり。彼女もまたニンジャである。『罪宝狩りの悪魔』、または『黒魔女』ディアベルスター。呪われし旧世紀のデバイスを蒐集しているはずの彼女が何故このような遺跡にやって来たか?前話をご参照いただきたい!

 

「フゥーッ……」呼吸を整え、全身に流れる見えぬ力の流れを確かめるように、彼女は大きく息を吐いた。思い出すのは謎の刺客アイトーンとクローンヤクザによる先の襲撃。ここに辿り着くまでの疲労は決して軽微ではない。だが休む暇もない。この先にあるという曰くの正体が、彼女の追い求める『罪宝』であるのなら、此度のイクサはここからが肝要となる。

 

「……ああ、私も感じる。ここにある」誰かへの返答らしき言葉を、『罪宝狩り』は独り言ちる。孤独の果てに生み出したイマジナリ存在との対話か?コウモリめいた外套の翼膜が、首元の黒狼じみた襟巻が奇妙に震える中、自身以外の生の気配が皆無な通路を、彼女は遺跡の奥へ奥へと進んでいく。

 

 果たして神殿の最奥部、UNIXブルーライトとは異なる、古代神秘の青光湛える大祭壇に、それはあった。――否、いた。町ひとつ立つほどの広大な遺跡空間、その中心に、神話の大蛇の如き巨体持つ、有翼の蛇龍が、青黒い炎を内に秘めながら闖入者を睥睨していた。その額には……おお、ナムアミダブツ!禍々しき蛇眼を内包する赫々とした宝玉が、第三の眼かのように鎮座している!宝玉から頭部に浮き出る茨の電子回路めいた紋様は、龍の内で燃える青炎と混ざりあい、超自然の異能を巨龍へ齎しているようだった。

 

「AARRRRRRRRGHHHHHH……」棲み処を侵す矮小な存在を前に、蛇龍は忌々しく呻きながらその首をもたげる。その動きに自我は感じられない。今や龍の主体は額の宝玉――『罪宝スネークアイ』にあった。然り、罪宝である。インターネットと無縁なはずの超古代の場所に何故?疑問に思う読者諸氏もおられよう。現状の説明は限られる。だがこれも罪宝という呪われた遺物の一側面だとは言っておこう!

 

「ROAAAARRRRRRRRRR!」蛇龍の天を衝かんばかりの大咆哮!常人が間近で聞けばたちまち恐慌の後に発狂死不可避!だがニンジャたる黒魔女は、その声に僅かに顔をしかめたかと思えば、咆哮に言葉を返した。「……ドーモ、ディアベルスターです」アイサツ。先の怪物の唸りもまたアイサツであった。言葉介さぬ獣めいた吠え声には、だが同等の存在であれば確かに理解出来る名乗りの意図が込めてあった。フランベルジュと。

 

 かつて守り神とさえ崇められていた古のニンジャは、今や謎の呪物にその身を冒され、荒れ果てた遺跡に墓守めいて陣取るカイジュウへと成り果てた。この末路に至るまでの足跡を知る者はどこにもいない。自我無き龍の思考は今や破壊――カラテのみ。自身の苦痛に満ちた眠りを妨げる者は排除するのみ。

 

 対する罪宝狩り、簒奪者にして復讐者たる彼女が取るべき手段もカラテのみ。災い振りまく罪宝を制し、手中に収める。如何な背景があろうと、立ち塞がる者は打倒せねば彼女の本懐は遂げられない。カラテあるのみ。姿形の大きく違う両者のあり様は、だが確かにニンジャのイクサの構図であった。

 

「AARRRRRRGHHHH……!」奇怪な唸りを上げながら、その額の罪宝で睨みつけるように蛇龍は魔女を真正面に見据える。その内で燃える炎は、空気の送り込まれた炉めいて次第にその勢いと熱を増していく。「……分かってる。出し惜しみはしない」またも独り言ちた黒魔女は、大敵を睨み返すようにダガーを構える。決闘の開始を予感させる張り詰めた空気の中、彼女の片眼を覆うメンポの奥、その眼が蛍光緑色に妖しく光った。

 

「AAARRRGGGGHHHH!」イクサの始まり、龍の内から爆ぜるように青黒の炎が吹き上がる!先に仕掛けるは蛇眼の炎龍フランベルジュ!見た目にそぐわぬ速度で蛇行突進!バッファロー殺戮武装鉄道めいた超質量の巨体がディアベルスターを喰らわんと迫る!「イヤーッ!」黒魔女はすかさず真上に跳び退きこれを回避!ジゴクの超特急が足元を通過!KRAAAASH!蛇龍の突撃を受け、彼女の後方にあった神殿の離れが無残な瓦礫へと変わる!一挙手一投足が致命的な破壊を生む!なんたる恐ろしき異形ニンジャの膂力!だが力だけではない!

 

「GROOOOOOOWLLLLLLL!」未だ空中のディアベルスターをめがけ、瓦礫の山から切り返してきたフランベルジュはさらに加速し折り返し突進!ワームめいた柔軟な身体が可能にする、無軌道変則的な超速の突撃が彼女を襲う!アブナイ!回避不可能か!?「イヤーッ!」だがディアベルスターは宙で神殿の石柱に片手を向け、超自然の物体を飛ばす!彼女の持つ力、クッツキ・ジツだ!放たれたジツが硬質・粘質兼ね備える鎖となり石柱と彼女の片腕を繋ぐ!

 

「イヤーッ!」ディアベルスターはそのままフックロープ巻取り機構めいてジツで自身を手繰り、柱へ向かって反動跳躍!致命的捕食突進を回避!「GROOOOOOOWLLLLL!」宙の獲物を喰らい損ねたフランベルジュがまたも遺構に頭から突っ込む!KRAAAAASH!祭壇へ至る大階段を無残に破壊!「AAAAARRRRGHHHHHHH!」速度が増した分、頑健な祭壇の基礎部分へ強かに顔面を打ち付けた蛇体がのたうち回る!

 

「イヤーッ!」好機と見たディアベルスターは柱から柱へ、ジツによる移動を織り交ぜながら回転跳躍、のたうつ巨体の上へと降り立つ。「AARRRRGHHHHHHHH……!AARRRRRRRRRRRRRRRRGHHHHHHHH……!」目指すは龍の急所にして罪宝の在り処、頭部。未だに激しく呻き悶える大蛇の揺れを、その身体から噴き出る青黒炎をものともせず、罪宝狩りはその身の上を駆ける。だがその時だ!

 

「RRRRRRRRRRRR……」にわかに力を溜めるように、フランベルジュが低く唸る。何かの予兆かのように、全身から青黒の光が勢いを増してこぼれ行く。「……イヤーッ!」ディアベルスター、瞬時に状況判断!そして跳躍!ニンジャ第六感の命ずるままに、炎龍の身体から降り、大階段からも飛び退き距離を取る。「ROAAAAAAAAAARRRRRRRRRRRRRRRRR!」フランベルジュが怒りの大咆哮!そして――!KRATOOOOOOOOOM!大規模爆発!それと共に龍の内で燃え盛る劫火が、祭壇を焼き尽くさんと解放される!

 

「グワーーッ!?」空中で爆風の余波を受け、防御も空しくディアベルスターが後方に吹き飛ぶ!KRAAAAASH!石壁に打ち付けられ遺構無残!果たして無事か!?「……チィッ」ディアベルスター健在!咄嗟のウケミとジツによる衝撃軽減で被害は中程度。ワザマエ!「あの炎……厄介な」瓦礫から身を起こし、忌々し気に遠ざかった目標を見やる。実際、あのまま走り抜けていれば、今頃無残な炭化物の欠片となって遺跡に散逸していたことだろう。

 

「AARRRRGGGHHHHHHHHH……!」罪宝宿す蛇龍はと言えば、未だ大階段上でその身をくねらせている。先の突発的な炎の奔流も溜めが必要なのか、今やその身体は燻るのみ。「イヤーッ!」なればこそ攻め時は今。再び急所を、罪宝を抑えんと、ディアベルスターは空中に炎揺らめく祭壇の方向へと走る。――炎。先の爆発で一時的に立ち消えたはずの炎。それが群れを成して彼女の行く手を阻むように降りしきる。「……ッ!」

 

 爆発と共にフランベルジュの身から溢れた炎、それが主を守るように襲撃者を取り囲む。やがて分かたれた炎は炎色反応めいて多彩な色合いに変わると、明確な敵意を秘めた形を成した。「GRRRRRRR……!」ワイトバーチ。主が名乗りを上げたように、炎もまたアイサツの唸りを発した。紫の炎が揺らめき、四つ足の獣めいた異形となって黒魔女に飛び掛かる!その顔にあたるだろう部分にはあの罪宝にも似た宝玉があった。「イ……イヤーッ!」ディアベルスターは一瞬の迎撃を思案したがすかさず前転回避!

 

「イヤァァ……!」彼女が先ほどまでいた場所を異形の拳が打ち砕く!鎧を着こんだ緑の炎とでも言うべき異形のアンブッシュだ!さらに回避した先に追撃!「KEEEAHHHH!」鳥、あるいは竜を象った青い炎がディアベルスターめがけて突撃!「イヤーッ!」咄嗟に身を屈めワーム・ムーブメント回避!どちらの炎にも、紫炎の獣と同じく赫い宝玉が見える。オークエクセル。紫炎に続き、緑炎と青炎も異形の名乗りを上げたようだった。「……これもあの炎からか……!」

 

 先のフランベルジュの爆発は迎撃だけでなく、眷属の召喚をも兼ねていた。罪宝に蝕まれた哀れな古ニンジャのジツが、本来何であったかはもはや推し量ることも不可能だが、それが今や呪物の力と合わさり、攻防一体のカラテでもってディアベルスターを追い詰めんとしていた。

 

「GRRRRRR……」「KEEEEAAHHHHH……」「イヤァァ……」気付けば炎の包囲はその数と密度を増し、数時間前のイクサにも似た様相を成す。だが炎に生体LAN端子は存在しない。先ほどのイクサを打開した手も使えない。行き着く先はジリー・プアー(注:徐々に不利)の末の、物量差による死か。「……来い」包囲の只中、果たしてディアベルスターはカラテを構えた。

 

「イヤァァ……!」緑炎がディアベルスターに拳を繰り出す!常人であれば防御不可能につき焼死は不可避!「イヤーッ!」だが鋭い打撃音!「AARGHHH……!?」黒魔女の短打が異形の拳を迎撃、破壊せしめる!「イヤーッ!」さらに緑炎が怯んだ隙を逃さず、その頭部に当たるだろう部位の宝玉めがけてダガーを一閃!ここまで僅か1秒の攻防!「AARRRRGGHHHHHHH……!」緑炎の怪物オークの一体が無酸素状態のロウソク火めいて急速消失!撃破!だが炎を叩く事など出来ようか?ニンジャのカラテは時に物理法則をも超克する!

 

「GRRRRRRR!」「KEAHHHHH!」入れ替わるようにワイトバーチ、エクセルの双撃!地を駆ける顎が、宙を裂く爪が、ディアベルスターの前後から迫る!「イヤーッ!」ディアベルスターはダガーをワイトバーチへ投擲!「AARGHHHHH!?」紫炎の獣の眉間、急所の宝玉に刃が深々と突き刺さる!しかし背後には青炎のエクセル!だがニンジャ動体視力をお持ちの方なら気付いただろう。ワイトバーチに突き刺さったダガーの柄、そこから黒魔女の手先に伸びるクッツキの鎖を!

 

「……グッボォーイ!」「AARRRRRGHHHHHH!」番犬めいて繋がれた炎獣の鎖を膂力に任せて振り抜き、ワイトバーチを鎖鉄球めいて後方に放り出す!飛び行く先には……低空で滑空突進するエクセル!「「AARRRGGHHHHHH!」」宝玉同士が正面衝突!紫炎と青炎は分解消失!通算ワンターン・スリーキル!

 

「「イヤァァ……!」」なおも続く蛇炎の襲撃!此度は緑炎が二体、ニオーめいて息つく暇も無く襲い掛かる!「イヤァァ……!」左からショートフック!「イヤーッ!」ディアベルスターはジツを再度鎖状に生じると両手でこれを張り、オークの打撃を絡め取って無効化!「イヤァァ……!」だが、やや遅れて右方からは速度と質量纏ったタックル!『ウルフをやり過ごしたらその先にライオン』のコトワザが示す通りか!だが罪宝狩りの謂れに欺瞞無し!

 

「イヤーーッ!」左オークの打撃を絡め取ったディアベルスターは、その勢いを維持したまま両腕の鎖を捻り上げ、腕から腰、腰から足へ渾身のカラテを込めて振り向き回転!緑炎を右から迫る巨体に投げつける!「AARRRRRRRGHHHHHHHH!?」相手の勢い、ジツによる超自然鎖の反動、自身のカラテ、全てを利用した変則的イポン・ゼオイ!「「AARRRGHHHHH!」」炎龍の眷属はまたも正面衝突によって消火消滅!フンサイ!

 

「GRRRRRRR……」「KEAHHHHHH……」「イヤァァ……」だが依然炎の勢い衰えず!怒れる蛇龍の包囲網は哀れな獲物がカラテを振るい、その火の粉を払おうとする度に勢いを増していく。「フゥーッ……!」内に漲るカラテは未だ十分、しかしそれも永遠には続かない。このままではいずれ失速、歴史上の黒魔女裁判めいて火炙り殺も時間の問題か。「……分かってる。出し惜しみはしないって決めたからな」またも虚空と対話!ああ!ディアベルスターすわ発狂か!

 

「KEAHHHH!」またも背後より迫るエクセル!アブナイ!「2人とも――」次第に熱量を増す包囲の最中、罪宝狩りは自身の片眼と同色に光る奇妙な形状のフラッシュメモリを取り出し「――私に力を貸してくれ」首元の生体端子に直結した。

 

 SHIIIIIIIING!「KEAH/HHHH……?」刹那、甲高い金属音のような、風裂く異音が黒魔女を取り巻く炎の中で響く。「AARGHH/HHHH」彼女の背後から襲い来る青炎の眷属、その身体が斜めにずるりと落ち消え――炎が01両断された。

 

 おお……ゴウランガ!彼女の背負う新たな得物を見よ!黒魔女装束の腰下を構成していたコウモリ翼めいた外套、それが硬度と鋭さを備えた恐ろしい大翼鎌として顕現する!これぞ罪宝狩りの扱う死の罪宝『ルシエラ』である!鎌?呪われし旧世紀のデバイスが何故武装に変わるのか?それを明らかにするためには、今はただ備えていただきたい!一つ確かな事は――彼女のメインフェイズはこれからだということだ。

 

「……イィヤーーーッ!」殺戮の黒風と化したディアベルスターが包囲炎の中を縦横無尽に跳び駆ける!「「「イヤァァ!」」」「「「GRRRRRRRRR!」」」「「「KEAHHHHHHHHHHHH!」」」炎の眷属はこれを迎え撃たんと四方八方から襲い来る!だが!ルシエラを解き放った罪宝狩りが相手では、最早捲り札無しで最終盤面に挑むが如し!「イヤーッ!イヤーッ!イヤーーーーッ!」SHIIIIIIIIIIIIING!「「「AARGHHHHHHHHH!」」」ギョクサイ!

 

 前方から迫るワイトバーチ複数体を横薙ぎに両断!勢い回転跳躍して上空のエクセル群を斬り刻む!その直下、対空迎撃の構えを取るオーク目掛け死の翼を脳天から振り下ろす!着地からコンマ1秒、なお止まらぬディアベルスター、地面を蹴り、再度色付きの暴風へ転じる!

 

「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤァーーーーーッ!」最早炎が対応しきれぬ速度ですれ違いざまに01切断!01両断!すべてを破壊せんとする無慈悲01斬撃の嵐!やがて包囲の中心に戻り来た彼女が大鎌を肩口に構えザンシンすれば――!「「「AARRRRRRRRRGHHHHHHHHHHH……!」」」スネークアイの眷属無残全滅!ダイカッサイ!

 

「フゥーッ……」数の利は既に瓦解している。相変わらず炎龍の炎からは眷属が生じ続けるが、今やリスポーン狩りめいた様相を成すのみ。必死の足掻きを見せたフランベルジュも最早オーテ・ツミ――フランベルジュ。この炎の根源たる罪宝の蛇龍は今――?

 

「……!」視界の後方、冷光に照らされていた地下遺跡に、真昼間のごとき光が煌々と輝く。既に昏倒から目を覚ましていた蛇眼の炎龍が、明確な殺意をその三つ眼に浮かべ、祭壇麓のディアベルスターを睨んでいた。その身から漏れ出た怨念が形作るは――青黒の炎。

 

「ROAAAAAAAAARRRRRRRRRRRRRRRRRR!」破局を予感させるジゴクめいた叫びが神殿中を揺らす!ああ……ナムサン!大翼広げ首をもたげる炎龍の口腔へ、全身の燃え盛る青黒炎が、破滅の光が収束していく!この後起きる事は想像に難くない。逃れ得ぬ大量破壊だ。

 

 如何にして凌ぐ?ジツで射程外へ退避?炎龍目掛けて走る?どれも間に合わない。――使って。そうした窮地の中、ニューロンに響く虫の報せめいた声。「……ああ分かってる!」放たれる終末を前に、罪宝狩りは忌々しく顔をしかめた。

 

「ROAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAR!」フランベルジュがヒサツ・ワザ、必滅の青黒カトン・ブレス!祭壇から遺跡の地平を焼き尽くさんばかりの炎の奔流が、全てを呑み込む!恐ろしきは古を生きたニンジャ存在に更なる力齎した罪宝の魔力!

 

「「「AARRRRRRRRRRRRRRRRGHHHHHHHHHHH……!」」」炎そのものであるはずの眷属諸共!一切を焼き払う!やがて劫火が過ぎ去った後の遺跡だったものは、火に押し流され、融け落ちた石塊群がハカバめいた様相を為す、異様な空間へと変わり果てた。ALAS!

 

「GROWLLLLLLLLL……ROAAAAAAARRRRRRRR……!」祭壇で空虚な勝利の咆哮を上げるはフランベルジュ。その虚しい吠え音からは憔悴が明らかであった。対する黒魔女、哀れディアベルスターは黒々とした塊となって無残焼死――否!「GROWLLLLLL……!」蛇眼の炎龍が訝しむように唸る先、祭壇麓の黒塊が立ち上がり、青黒炎ちらつく焼け跡を闊歩している。黒塊とは――おお……!神話の大狼めいた巨獣である!「GRRRRRR……!」黄緑の双眼が真っ直ぐに蛇龍を見据えている!そしてその上に立つは――ディアベルスター!

 

「出し惜しみは……しない!」これぞ黒魔女の持つもうひとつの呪遺物、裏切りの罪宝『シルウィア』!解き放たれた大黒狼の護りが破滅的カトンより彼女を生き延びさせたのだ!

 

「ロウオオォォォォン!」恐ろしくも気品漂う咆哮を上げ、黒狼は四肢を駆る!巨体からは想像出来ぬ速度で祭壇へ迫る!「ROARRR!ROARRR!ROARRR!」炎龍が牽制の単発火球を複数吐き出す!だがジゴクめいた獣はこれを機敏なステップで回避!DOOM!KABOOM!背後の爆発に失速することなく、むしろ加速を続けながらその爪牙を龍へと向ける!

 

「イヤーーッ!」大階段上部まで差し掛かったところでディアベルスター跳躍!シルウィアの疾走による慣性が乗り、さながらカタパルト射出!さらにその手にはルシエラの大鎌!眼前で吠える罪宝龍を刎ねんと迫る!だが!フランベルジュ!

 

「RRRRRR……!」全身から炎が集束する再びの溜め動作、口から漏れ出る青黒の炎!これは先の破局カトンの前兆か!危うし『罪宝狩り』!退避を!だが怯まず。「RRRRRRRR……!」憎悪と憤怒に染め上げられたフランベルジュの視界には、冷たくも決断的な眼をしたニンジャがひとり――ひとり。大狼シルウィアはどこへ?

 

「GRRRRRRR!」「RRRRRGHHHHHHHHHHHH!」フランベルジュの斜め後方、突如虚空より黒狼の頭部が顕現!死角からの咬撃が炎龍の喉笛を噛み潰す!カトン・ブレス不発!「イィィィィィ……!」「AARG……HHHHHHH……!」真正面から跳び来るは『罪宝狩り』。刹那、かつての自分の名すら忘却した古ニンジャの眼には、迫る黒魔女がカイシャクの一振りを恵む慈悲深い死神めいて映っていた。

 

「イィィヤァァァアーーーーーッ!」SHIIIIIIIIING。ルシエラの死翼が閃き、蛇龍の頸部は滑らかにずれた。「AARGHHHH……」断面で01分解されたその頸が祭壇に落ち、力無き断末魔の声を上げた。サヨナラ

 

 KRATOOOOOM!一呼吸遅れてその蛇体が爆発四散!噴き出る青黒の炎は、だがそれ以上何も燃やすことなく立ち昇るように消失していく。もってイクサは終結した。 

 

「ハァーッ……ハァーッ……!」罪宝を呼び戻したディアベルスターは片膝立ち、ダガーを杖めいて祭壇上に刺す。強力無比な超自然レリックの力は、使用者に看過できぬ反動を齎すのだ。だが、この苛酷な探索の目標はまだ終わっていない。

 

 祭壇中央には忌々しき赫の蛇眼。今や主無き罪宝スネークアイは恨めしげに黒魔女を睨むのみ。「……今度は私に憑くか?やってみろ」脅威が去ってなお異様なアトモスフィア醸し出す遺物に、ディアベルスターは臆せず手を伸ばした。だがその時。

 

「……これは」宝玉に走る、ピシリとしたヒビ。01の光が亀裂から漏れ出し、ディアベルスターの眼の前で蛇眼が分解消失していく。やがて光が収まると、そこには奇妙な存在がいた。

 

 カトゥーンの妖精めいた見た目の、あるいはデフォルメされた赤い竜のような、不可思議なる存在。害意なくキョトリとした眼でディアベルスターを見つめる生物の額には、だがあの宝玉。これは何処から来たのか?あの罪宝が転じたものか?前例無き事態に彼女も当惑を隠せなかった。

 

 対して謎の存在は、飼い主に懐くペットめいてディアベルスターに跳び寄り、その肩に乗った。「……」一瞬迎撃を思案したが、純粋なまでに敵意を感じなかった。「……何にせよ回収だ」予想外の収穫を肩に、罪宝狩りは祭壇を後にする。

 

 彼女が去った後、方々が熔融し崩れ落ちた神殿は、もはや如何なる訪問者も訪れないだろう瓦礫に埋もれた空洞を、静かに冷たく光らせ、ただ静謐だけがいつまでも残っていた。

 

「ディバインテンプル・オブ・ザ・スネークアイ」終わり

「ゴブリンライダー・グランドエントランス」に続く

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「どこ行きやがった『罪宝狩り』ィー……!」

 

「探すぞ。街で最後に見たときにはこっちの方に歩いてたってのは確かだ!」

 

「こんなとこまで来ますかねぇ……アッ見てくだせぇ!クローンヤクザだ!」

 

「アイエッ!何人いやがんだこれ!123456……タクサンだ!」

 

「タクサン死んでますぜオヤブン!」

 

「このイディオット!言われなくても見りゃワカルでしょ、ねえガボンガ――」

 

「……見つけたぜ!」

 

「ガボンガ?」

 

「オヤブン、見つけたって何を?」

 

「何時間前か知らねえが、ヤツはここでヤクザ連中とやりあった。これが絡むくらいにはでかい揉め事をだ!」

 

「アー……何スかそのメモリ……アッそれ罪宝!?」

 

「これがあってヤツが無関係なハズねえ。確かにここにいた!」

 

「ウフフ、それでどうするの?」

 

「オネエサン俺でも分かりますぜ!オヤブンならきっとグワーッ!」

 

「バカ!スゴイ・バカ!奥ゆかしいやり取り邪魔してんじゃないよ!」

 

「スンマセン!」

 

「で、どうすんだボスゥー……?」

 

「街に戻るぞ。そこでヤツを見つけて、今度こそ俺たちが頂く!景気付けだ!俺たちバッド・アス!」

 

「「「「「「ゴブリンライダーズ!」」」」」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

「ワー!治った!本当にまた動いた!ありがとう!」

 

「私からもお礼を言わせてください。この辺りではUNIX一台修理するのもままなりませんので……」

 

「アーハ!これくらいお安い御用よ」

 

「あの……ですが貴女に対価として差し出せるような素子を……私は持っていません」

 

「お代はいらないわ。でも……そうね、この辺の怪しいお店のこと何か知らない?」

 

「え……?」

 

「私とびきり悪い噂話が聞きたいの。そういうのが分かったり、詳しい人の集まるお店、知らない?」

 

「……3ブロック先のバーに、この辺りの情報屋が集まる場所があるそうです。ですがそこはもっと治安が……」

 

「大丈夫、スリルには慣れてるわ。あなたもカラダニキヲツケテネ!」

 

「ありがとうハッカーのお姉さん!」

 

「……あら、ハッカーは少し違うわね。私は魔女(ウィッチ)。親切な『白魔女』よ」

 

「『白魔女』?魔法?ニンポ使うの?」

 

「……ええ。覚えておいてね、世の中には悪い魔法使いもいるのよ。……悪魔とかね」

 

 

「ゴブリンライダー・グランドバッシュ」/「ディアベルゼ・ジ・オリジナルシンキーパー」終わり

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

◆罪◆

 

罪宝ニンジャ名鑑#XXXXXX【ディアベルスター】

 

呪われし『罪宝』と呼ばれるレリックを追い求めるローグ・ウィッチ。

確かなカラテに加え、自身もまた罪宝の力を宿し戦う。

そのバストは豊満であった。

 

◆宝◆

 

 

◆罪◆

 

罪宝ニンジャ名鑑#XXXXXX【アイトーン】

 

戦士甲冑に身を包む傭兵ニンジャ。

堅牢な装甲とポールウェポンを活かした攻防一体のグレイブ・ドーの使い手。

何者かによる指令の下、クローンヤクザを率いてディアベルスターと交戦した。

 

◆宝◆

 

 

 

◆罪◆

 

罪宝ニンジャ名鑑#XXXXXX【フランベルジュ】

 

古の時代より生きていたリアルニンジャ、その成れ果て。

元のニンジャネーム及び所属していたクランは不明(カイジュウ又はヘビのアーチ説が有力)。

『罪宝』の力に呑まれ自我消失し、かつての自身が崇められていた神殿跡に棲み付いていた。

特殊な炎によるカトンを操り、また炎から罪宝の眷属を生み出しこれを使役する。

 

◆宝◆

 

 

 

 




読んでいただきアリガトゴザイマスドスエ!

 というわけで罪宝姉弟子たちもようやく登場、戦闘描写をめちゃくちゃイマジナリ妄想で補完した蛇眼神殿スネークアイ回です。ほぼジツみたいな性能の罪宝を少なくとも二つ使えると考えたら、黒魔女って忍殺準拠だと無法な強さしてない?
 それからイクサ開始時のディアベルスター=サンはきっとカードイラストのポーズしてるんだ俺はちのうしすうが高いから分かるんだ。
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