忍殺×遊☆戯☆王 ディアベルスター・ザ・ブラックウィッチ 作:亜面瞳頭
呪われた旧世紀レリックを探すローグ・ウィッチにしてニンジャ、ディアベルスター。とある遺跡での探索行の末、遂に目当ての遺物『罪宝』を発見するも、遺跡を守護する古ニンジャの成れ果て、蛇眼の炎龍フランベルジュが立ち塞がる。燃え爆ぜる蛇龍の猛攻は熾烈を極めたが、彼女の持つ罪宝の力を開放し、これを撃破。壮絶なイクサの後、謎めいた変化を遂げた蛇眼の罪宝と共に彼女は遺跡を後にした。
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「――配合成分が前年度比の5倍!100倍のスゴサ!」「タノシイ足りてますか?貴方」「アカチャンオッキクネ……」世界の喧騒はどこに行こうと不変だ。胡乱な広告音声が騒がしく飾り、人々は周囲、あるいはサイバネ・インプラントが齎す電子の情報洪水、欲望のケオスの中で生きる。それはここ、暗黒非合法な成り立ちの地下街であっても同様――否、むしろ地上よりも顕著だった。
「俺のサイバネ眼がサ、アンタが俺の素子ハックしたって言ってンの、ワカル?訴訟?賠償ヤバイよ?」「アッコラ?俺のバック、かなり怖い人達付いてるよ?ファック・アンド・サヨナラ趣味のヤバイのも知り合いに」BLAMN!「アバーッ!」「アイエッ!」「テメセッゾコラー!通りで騒いでんじゃねえクズ共が!」「アイエエエエ!」互いに虚勢を張るヨタモノの片割れを通りすがりのヤクザがヘッドショット殺。道行く他の通行人は一瞬足を止めるもすぐに雑踏を作り行く。無用なケオスに巻き込まれずに生きる方法は一つ。無関心だ。
「――ファー……」表通りの一瞬の銃火も露知らず、欠伸交じりの無関心に路地裏行くのは黒ずくめの女。『罪宝狩り』のニンジャ、ディアベルスター。フードの下に覗く灰白の髪は艶やかで、だが毛先は淡白なモノトーンのいで立ちに差し込むような、異様な色彩の赤と緑に染まっている。そんな彼女の身に差し込む彩はもう一つ。いつにも増して不愛想な横顔を肩口から覗き込む、カトゥーンのデフォルメされた妖精、あるいは竜めいた赤紫色の存在。
先日の遺跡におけるイクサの後、古ニンジャ、フランベルジュに宿っていた『罪宝』から産まれた謎の存在。割れた蛇眼の宝玉から漏れ出した01奔流と共に生じたこれに、IRC上でwhoisコマンドが働いた時のように、ディアベルスターは無意識にその名を認識していた。ポプルスと。
「……何だ」物言わぬ、だが好奇の目で自身を間近に見つめる蛇眼の化身に、彼女は辟易しながらも口を開いた。対するポプルスは何も答えない。未だ全容の掴めぬ罪宝から転じた謎の存在と共に過ごすこと早数日。彼女の身体は不調を極めていた。
毎日のように寝つきが悪く、そして悪夢にうなされる。悪夢。彼女が呪いに抗い耐え忍ぶ者――ニンジャとして生きる契機となった、復讐と贖罪のクエストが始まったあの日の追憶。罪宝を使用した反動で夢に見ることはこれまで多々あれど、それが最近は毎日のようにスカム映画リバイバル上映めいて彼女のニューロンに焼き付いていた。そして気付けば、身の回りの素子やメモリ、フロッピーといったUNIXガジェットが次々に消えていた。
関係を示唆する確固たる証拠など無いが、全ての異常はこのポプルスを回収してから始まっているのは確かだった。これらは罪宝そのものが周囲に振りまく禍に比べれば実際ささやかでカワイイなものだ。だが、タフに生きる彼女の気勢を削ぐには十分だった。
「フアァ……ア……アー……」今のディアベルスターのコンディションは最悪と言って差し支えない。その辺のヨタモノやヤクザ者であれば問題にもならないが、先日の襲撃者がそうであったように、彼女はニンジャからも狙われている。だが、自身と同等か、それ以上の敵と出会ったとして、打ち合えるカラテを今は発揮出来ない。あの刺客を差し向けた存在の正体も掴めていない今、実態不明の敵との邂逅は何としても避けねばならない。だがその時だった。
KABOOOOOM!
静謐な路地裏に突如鳴る大音響!そして収容所サーチライトめいた光量のヘッドライトが付近の高台からディアベルスターを照らす!「……ッ!」逆光の先に見えるは複数の影とシンボルマークがネオンサインめいて輝く旗!『噂をすればショウジ戸に影』とはよく言ったものか!
「おい黒魔女!待っていたぜ!」
間髪入れず彼女を名指す声。それはこれまでに――忌々しいことに何度も――面識のある集団の首領のもの。不機嫌な様子の黒魔女は心底から呆れた様子で、誰何するまでもなく光向こうの集団の所属を認めた。「またお前らか……」
「ドーモ、チャージャー・ダグです!」「スプローダー・クラッタです!」「マッハ・ブーンです!」「マーシレス・ミアンダです!」「そして我らがオヤブン!」集団の中で一際大きな影が名乗りを挙げる!「ドーモ。ビッグヘッド・ガボンガです!ハハァーッ!」何たる威圧的名乗りか!あからさまにアウトローのアイサツなのだ!「俺たちバッド・アス!」
「「「「「ゴブリンライダーズ!」」」」」
ゴブリン!神話に詳しい読者諸氏はご存知だろうか!集団戦にて略奪、破壊、はたまた特殊詐欺を働く伝承の悪鬼共である!この悪鬼の名を冠するならず者集団もまた、伝承にあやかるように裏社会でイサオシを上げ、のし上がることを夢見ている。彼らにとって悪名高い『罪宝狩り』を討ち取ることは積年の悲願なのだ!
「お前を見つけるのに随分苦労したぜ罪宝狩りィー……!」「またあちこちで暴れてるみたいだなあ!悪党共のIRC-SNSじゃお前の話ばかり!実際羨ましいぜ!」「だがお前の悪運もここまで!オヤブンの情報通り!お前をここで見つけたからだ!」「ウフフ、今日こそアンタ、ラット・イナ・バッグね!」「裏の悪党も恐れるお前に勝つ。そうすりゃこの辺の名声は俺たちの物!」
口々に黒魔女を牽制するアウトロー達!その姿は……おお!ナムアミダブツ!全員が一般的な人間のシルエットから外れた、まさに伝承の悪鬼達のそれである!さらに……アナヤ!全員が特徴的なマスクで顔を覆っているではないか!まさか彼らこそが謎の敵対者が差し向けた新たなニンジャか!?対する『罪宝狩り』は――無関心だった。
「どこ行く気だ罪宝狩りィー……!」「……喧しい」頭上の集団には目もくれず、アイサツにも応じず、冷たく毒づきながら黒魔女は路地の深みを進んでいく。「おい黒魔女。このメモリに見覚えがあるだろう!」「……知らん」「お前!オヤブンの前でシツレイだぞ!」「……黙れ」歯牙にも掛けず!何たる寝不足が祟ったがゆえの不機嫌!だが事情はそれだけでは無い。
ディアベルスターとガボンガ達との因縁はそう浅くない。深くもない。彼らは過去幾度と無く彼女を一方的に襲撃、そして戦略的撤退に追い込まれてきた。だが彼らは折れぬ。高みを目指し、対敵に挑み続ける不撓不屈のアウトロー。そんな無法者共を都度相手にする理由は無い。殺す理由も無い。彼女にとってはウザイ・アノイングな関係性だ。
「オヤブンがどうやってお前を見つけたか知りたいか!」「……どうでもいい」「お前の連れてるチビチャンも罪宝か!?」「……知るか」足早に路地を過ぎようとする黒魔女。その肩の上で我関せずと微睡むポプルス。屋上を並走するゴブリン達。シュールだが互いにシリアス重点である。
「いつもいいようにやられてきたけどなァ黒魔女!今までの俺らと思ったら大間違いだ!今度は協力者のセンセイがいるんだぞ!お前とは大違いの親切な『白魔――グワーッ!」「ウカツ!余計なこと喋ってんじゃないよ!」「スンマセン!」幹部格最若手のクラッタを紅一点ミアンダが打擲!守秘義務!
「イピピーッ!叱られてやんのォ――グワーッ!」囃し立てたブーンを打擲!シリアス重点!「アンタも煩いんだよ!この――」「――イディオット共……」ミアンダの嘆きを代弁するように、黒魔女が吐き捨てた。端的に言えば連中の相手をすること自体はベイビー・サブミッション。だが、煩わしい。
暫し身を休め、仔細不明のポプルスを調べ、また次なる罪宝――討つべき仇への手掛かり――を探す。それが今のディアベルスターがすべきこと。そんな折に飛び込んできたウザイ・ストラグル。彼女が奥ゆかしい古語に精通していれば『ヤンナルネ』と呟いていたことだろう。
「待て黒魔女!」尚も追いすがるガボンガ!「お前が俺たちに用が無くてもな!こっちは大アリなんだぜ!モノドモカカレー!」
「「「「ヨロコンデー!」」」」
首魁ガボンガの号令と共に影が高台より跳び出す!その数実に4……いや8……まだ増える!「……チィッ」明日を鑑みぬ命知らずの多勢がディアベルスターの行く手を遮る!
「まずは俺達と付き合えよォー……!」「イーハハー!」「ダグ=サン!ダグ=サン!ブッコミ・イチバン!」ゴブリンライダーズが切り込み隊長、チャージャー・ダグ!取り巻きのゴブリンと共に開けた路地に躍り出た彼は……おお!禍々しき武装纏う、猪めいた獣に騎乗している!獣の頭部を鎧めいて覆っているのはチームシンボル刻印の施されたサイバネ増設機器だ!
かつて、とあるバイオ系暗黒メガコーポが起こしたインシデントにより、この地下街の各所にはバイオウェポンプロダクトとして飼育されていた実験生物が脱走の末に居着いた。ガボンガ達はこれらを手懐け、必要であればサイバネ強化し、自らの武力あるいはミーミーの誇示として乗り回しているのだ。彼らがゴブリンライダーズを名乗る所以である!
「カチコンダラァー……!」「ブモーッ!」異形の人獣一体となったダグを先頭に、ケモノ・釘バットで武装したゴブリンの面々が黒魔女へと迫る!動物に乗った状態で戦えるのか?疑問に思う読者もおられよう。だが実際、獣の膂力と速度が合わされば、騎乗者の振るう暴力は指数関数的に跳ね上がるのだ!これぞ無法者共が兵法、エクシーズ・タクティクス!
「ブモ―ッ!」獣の殺人的加速突進!牙角を振り上げ刺突轢殺重点!「……イヤーッ!」ディアベルスターはすかさず回転跳躍!「オラァー……!」それを読んでいたかのように獣上のダグが中空の獲物目掛けて得物をフルスイング!四足の加速が乗った無慈悲強打だ!アブナイ!だが!ここからはニューロンを加速させ、泥めいて低速化した時の中でご覧いただきたい!
「イヤーッ!」ディアベルスターは回転跳躍で空中反転、上下逆さまの状態で振り抜かれたバットを左拳で短打し軌道を逸らす!更に間髪入れずに切り込み隊長のこめかみに右拳!真横からのカウンターを受けてダグは横方向へ吹き飛ぶ!除外!乗り手を失った獣が黒魔女の真下を通り過ぎれば、続いて武装ゴブリンのウェーブ!「イヤーッ!」未だ逆さのディアベルスターが左手をかざしてジツを投射!放たれた投網を模ったクッツキ・ジツが武装暴徒を覆い、身動きを封じて転倒制圧!実際にはここまで僅か1秒以下の攻防である!
「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「「「グワーッ!」」」KRAAASH!「ブモーッ!?」通常の体感時間では、黒魔女が一瞬跳躍し路地に再び足を着けたと思えば、そこには路地裏のゴミ山に叩き込まれた切り込み隊長と大漁釣果めいて捕らえられた配下のゴブリン達、そして行き止まりの壁に激突する獣の姿があった。彼女の肩の上、ポプルスは未だに睡眠!何たる圧倒的なニンジャのワザマエか!
蟻と象の賭け試合が成立しないように、非ニンジャたる彼らとディアベルスターとでは地力の差が種の壁めいて分厚く聳える。さよう、非ニンジャ。リーダーたるガボンガを除けば、ゴブリンライダーズはケモノ・パンクス(注:バイオサイバネによる身体改造で動物的特徴を取り入れる思想)のモータル(注:ニンジャでない定命者、人間)による集団である!
「ダグ=サン!」「ヤバイッテ!オヤブン!」「落ち着け。うちの特攻隊長はタフだ。それにヤツを倒すのはここじゃねえ!気にせず続け!タタミカケロー!」高台より陣頭指揮を執るガボンガがサンシタの狼狽を鎮める。弱小ながらもソンケイ確かなリーダーなのだ。
「シューッ!」SPIT!SPIT!ダグの軍勢を退けたディアベルスターを目掛け、建物の隙間を縫うように飛来する液体!「……ッ!」咄嗟に身を屈め回避した彼女の視界の先には新たな敵影!
「ウフフフ!ヤッテオシマイ!」「シューッ!」ゴブリンライダーズが紅一点、マーシレス・ミアンダ!彼女が乗り手とするのは三つ眼のコブラめいた大蛇だ!「シューッ!」SPIT!蛇行しながら黒魔女目掛けて体液を吐く!有毒!
「イヤーッ!」ディアベルスターはダガーを振るい毒液を斬り払って防御!タツジン!だがそこにミアンダがインターラプト!「これが欲しいんでしょ!」一瞬の隙に鋭く打ち込まれる調教師めいたムチ!蛇行するコブラの上から放たれる予測困難な攻撃軌道が迫る!SNAP!ムチが黒魔女を打擲!確かな手応え!「……ッ!」「ウフフーッ!もっとしてあげる――エ?」ムチが戻せない。打ち据えたはずの黒魔女の顔面とムチの先端を固着して繋ぐ――赤紫の光。
「イヤーッ!」ジツを介した防御でディアベルスター無傷!そのままムチ先を掴むと固定解除と共に激しく振り回す!「ンアーッ!?」「シューッ!?」ムチを手放さないミアンダが側方へ飛ばされる!「イヤーッ!」更に続けて振り回した勢いで横回転跳躍!乗り手不在で動揺するコブラの側頭部へ無慈悲な回転蹴り!「シューッ!」ダグの隣のゴミ山にミアンダが大蛇もろとも叩き込まれる!2連除外!ポイント倍点!
「よくもオネエサンを!」DOOM!DOOM!息衝く暇無く新たなゴブリン襲来!古代の恐鳥類めいた風貌の怪鳥を駆るスプローダー・クラッタだ!怪鳥の尾羽根や首元にはサイバネ増設された違法改造出力スピーカー!絶えず大音量でケモノ・パンクロックを流し続ける様はまさしく生きる騒音問題!迷惑!
「……喧しい!」不愉快極まる顔で迎撃用意するディアベルスター!だがその背後!「イーピピピーッ!」指数関数的加速度で迫る新手!寒色のサーベルタイガーめいた獣に乗り来たるはゴブリンライダーズ最速のマッハ・ブーン!
「ゴアーッ!」寝不足のニンジャ動体視力では手こずる程の速度纏う急襲!「……イヤーッ!」辛うじてバックフリップ回避!しかし着地寸前のディアベルスターの視界に映るはブーンとすれ違うように迫る怪鳥!「避けられるか!?コレデモクラエ!」そこに騎乗するクラッタが何かをばら撒く!
FLAAASH!DOOOOM!「グワーッ!?」ゴブリンライダーズ爆音担当謹製のフラッシュバンが炸裂!ディアベルスターは咄嗟に光から顔を守るも音は防ぎきれず平衡感覚減衰!同じく至近距離にいたクラッタと怪鳥はスピーカーの逆位相音響とマスク装備につき被害軽微!足を止めること無く駆け抜ける!
「オヤブン!今ですぜ!」「でかしたぞ!全員俺に続け!イヤーッ!」よろめく黒魔女の頭上から遂に迫り来るはゴブリンの頭目!残りの配下を引き連れ降り立つ彼が騎乗するのは、見事な鬣持つ獅子!「オォォオーン!」獅子の身体の装甲バイクめいたサイバネ機器と、頭部に据え付けられたリーゼントめいた威圧的カウルは、まさにビッグヘッドに相応しい!
「ア……アァ……!」地面を踏みしめる感覚を未だ確かめる黒魔女を前に取り巻きが多勢で押し掛ける!「イーハハーッ!」「オヤブンが出るまでもありませんぜ!俺たちでキンボシ・オオキイだ!」「待て!ヤツを侮るな――!」
「……イヤアァーッ!」上下感覚の覚束ないディアベルスターは自ら背中を地面に付けウインドミル回転蹴り!「「「グワーーッ!」」」取り巻きがツイスターに巻き込まれたデブリめいて吹き飛ぶ!実際ヤバレ・カバレな無軌道ブレイクダンスだがキンボシに逸ったサンシタを迎え撃つには十分!更に回転運動でニンジャ平衡感覚を揺り戻して復帰!アブハチトラズ!そして依然としてポプルス熟睡!アカチャン!
「侮るなと言っただろうが!イヤーッ!」「オォォオーン!」ガボンガを乗せた獅子が、ボスの矜持感じさせる咆哮上げながらディアベルスターに迫る!配下の獣に比べて速度は劣る。だがその巨体とガボンガの重量が加算された膂力重点の突撃は、実際危うい威力のカラテとなる!
「イヤーッ!」ディアベルスターはこれに真正面から迎え撃たんと走り寄る!素人目に見ても自殺行為だ!「オォォオーン!」既に両者零距離!黒魔女の眼前には獅子の頭部に増設されたサイバネカウル!アブナイ!「イヤーッ!」「何のつもりだ――グワーッ!?」「オォォオーン!?」正面衝突起きず!代わりに悶える獅子の背から跳ね飛ばされるガボンガ!その背後に立つ……ディアベルスター!
何が起きたか、ニンジャ動体視力をお持ちの方であれば明快!あわや衝突の刹那、黒魔女は獅子の腹下にスライディングで潜り込み、滑り抜ける一瞬の交錯で装甲の手薄な腹部へ驚異の5連撃!ゴレンダ!そのまま股下を潜り抜け衝突回避!
「オォォオーン……」「……もういいだろう……!」グロッキーの獅子を尻目に、ディアベルスターは不毛なイクサに心底から呆れた。「いいや!まだこれからだぜ黒魔女!」だがリーダー不屈!エクシーズ・タクティクスが使えずとも自らのカラテでもって宿敵に挑む!
「イヤーッ!」獅子の背から着地したガボンガが急接近!カラテ漲らせた上体は平時よりも更にパンプアップし、逆立つ髪が炎めいて揺らめく!「ヒャッキ!」そのまま鈍重な外見の巨体に見合わぬ速度で黒魔女へ距離を詰め!「ラセツ!」真上から叩きつけるような、独特な掌打を見舞う!
「イヤーッ!」ディアベルスターはこれを正面からは受けず回り込むようにステップ回避!KRAAASH!アスファルトを打ち砕く確かなカラテ威力!ガボンガのヘンゲヨーカイ・ジツから繰り出されるカラテは、荒削りで動きも読みやすいが、実際まともに受ければダメージは確実だ。平時の『罪宝狩り』からすれば弱敵でも、彼もまたニンジャには違わないのだ!
「ヒャッキ!」「イヤーッ!」「ラセツ!」「イヤーッ!」「ヒャッキ!」「イヤーッ!」「ラセツ!」「イヤーッ!」「ヒャッキ!」「イヤーッ!」「ラセツ!」「イヤーッ!」
KRASH!KRASH!KRASH!KRAAASH!オヤブンの決断的な連続掌打!ディアベルスター、回避に徹し防戦一方か!否!「ヒャッキ――ヌゥーッ!?」更なる掌打を繰り出そうとしていたガボンガの踏み込む足が止まる。否!動かせないのだ!
「……いい加減にしろ……!」堪忍袋が温まってきた様子の黒魔女、その片手からガボンガの足元に向けられている、揺らめくジツの軌跡。回避中に地面に放たれていたクッツキの力がオヤブンの両足を完全固定!「オォ……!?」ヤバイッテ!
「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」
打撃トレーニング木人めいた不動状態のガボンガに容赦なく浴びせられるカラテ!カラテ!カラテの嵐!必死のスウェー回避を潰し!ガードを貫き!体格差などものともしない暴の応酬!黒魔女が寝不足によるカラテ不足でなければオタッシャもあり得る勢いである!オヤブン!アブナイ!
「……まだだ……ぜ!」だがリーダー不屈!ディアベルスターが本調子でないことを加味しても驚異的なニンジャ耐久力!「俺達の勝ちは……お前を倒すことだけじゃないんでな……!」崩壊盤面めいたボロボロの身で不敵に笑う!「……何?」訝しむディアベルスターの左側方から迫るは……最速!
「イピピーッ!」再び突撃マッハ・ブーン!「ゴアーッ!」路地脇のネオン看板「ばそきやん」を蹴り、加速して跳び来たる神速の虎!先も辛うじて避けられた程の速度、状況判断を誤ればたちまち獣爪の餌食だ!ジツを解除しガボンガから距離を取る他は無し!
「イヤーッ!」ディアベルスター、ムーンサルトで退避!「ゴアーッ!」間一髪、空中で逆さになった頭部の数インチ下を獣爪が掠める!奇襲攻撃は不発!「イピピーッ!」だがゴブリン喜色!「……ッ!」ここでディアベルスター、異常に気付く!肩が軽いのだ!「略奪成功!ヤッター!」ブーンの駆る獣、その後部に乗るサンシタゴブリン、その手には……ポプルス!彼らの狙いは当初よりこれにあった!
「オヤブン!ガッチャ!」「でかしたぞ!動けるヤツは全員離脱しろ!余力あるヤツは牽制しつつ離脱!」未だ動ける取り巻きを引き連れたガボンガが一転、ダウン復帰した獅子に飛び乗り逃避に走る!「サヨナラだぜ黒魔女!」「お前に勝てなくてもなァ―ッ!『罪宝狩り』から逆に値打ち物をハントしたとくれば!俺たちの評判もウナギ・ライジングよォ―ッ!」「イハハハハハーッ!」逃げ去るサンシタ達が勝ち誇る!ゆえにサンシタ!
「……」「……じゃあなァー黒魔女ォー……!」「……ウフフフ!オタッシャデー!」俯くディアベルスターの眼前を通り過ぎていくのは、ゴミ山除外状態から復帰したダグとミアンダ、そして複数の取り巻き。取り残される彼女を嘲笑うかのような見事な快走である!おお黒魔女よ!涙ぐんでいるのか!
「…………の……この……」だがここでひとつ考えていただきたい!あなたは激務に追われている最中、一切の笑いどころのないブルシットな冗談を仕掛けられたとして、果たして相手を許せるだろうか?先のイクサの疲労も十全に癒えぬ上に、そこに積み重なる心身の不調で状況は最悪。さらにその原因と思われる怨敵への手掛かりを奪われたディアベルスターは――。
「……この……バカ共……!」
――彼女は弾けた。
「ゴブリンライダー・グランドエントランス」終わり
「ドラマティック・スネークアイ・チェイス」に続く
読んでいただきアリガトゴザイマスドスエ!
忍殺準拠で言えば基本的に右(シリアス)の罪宝ストーリーにおいて左(リラックス)を一挙に引き受ける存在、ゴブリンライダーズついに登場です。例によってだいぶイマジナリ妄想でキャラ付けをしました。登場人物の少ない罪宝で一度に沢山名前付きのキャラ動かせるの貴重であることだなあ。タノシイ!
次回、ゴブリンオタッシャ重点!イクサスタンバイ!