ARMORED CORE LAST RAVEN ~Unsung Overture~ 作:唯名瞬
3機の<クランウェル>が真っ直ぐ空を突き進む。進む先には巨大なシェルター式の都市の姿がはっきりと見えてきた。その街は<クランウェル>に吊るされたACの中にいる人間は皆知っている場所であった。
『もうすぐ作戦領域のセントラル・アークに到着ね。準備は良い? ヴィラス』
機体側面に「101」とマーキングされた<クランウェル>に吊るされた<ヴェスペロ>のコクピットに座るヴィラスはルシーナに「大丈夫だ」と一言返して、モニターに映るセントラル・アークの姿を見やる。ヴィラスはここにはレイヴン登録の為とガレージ割り当ての間の仮住まいで1週間程居た事があっただけだ。
ヴィラスにとってはあまり思い入れの無い場所であるが、今回の依頼主であるレイヴンズアークとってはそうでも無い。
今回の依頼は放棄したセントラル・アーク内部の調査。機体チェックは既に終えており、後は投下を待つだけだが、ヴィラスには少し不安があった。
それは今回の依頼内容ではなく、愛機の機体構成だ。<クランウェル>に吊るされている<ヴェスペロ>は前回出撃した時と構成が大きく変わり、頭部が<H01-WASP>、コアが<CR-U75U2>、腕部が<CR-A82SL>に変更。そして脚部は<ヴェスペロ>本来の機体色である紺色ではなく、緑掛かったグレーの迷彩塗装をされた四脚型の<LF04-LIZARD>に変更されている。
先日の戦闘でフレームの構成パーツ全体を損傷した<ヴェスペロ>は次の出撃までに修理が間に合わないとヴィラスは判断して全て変更することにしたが、脚部だけはこれまでの戦闘で不調を抱えたままであり、所有しているものでまともに使える脚部がもう無かった。
そこでヴィラスは戦死したコキノ・ケラトが所有していた<リノケロス>のパーツを買い取って使用しているものの、買い取った脚部パーツは四脚型。ヴィラスは四脚型を使用しての実戦は未経験だった。少ない時間でシミュレータでのテストはしたが、どこまでやれるかは正直まだ分からない。
『目標地点に到着した。これよりACを投下する』
<クランウェル>のパイロットからの通信が入る。ヴィラスは投下に備え、コントロールスティックを握った。その数瞬後、固定フックが外れる音が聞こえ、重力が一瞬だけ消える。ACが投下されたのだ。モニターの高度計がみるみるうちに下がっていく。地面まで残り200メートルを切った所でフットペダルを踏み、ブースターで機体の姿勢制御をして着地に備える。
数秒後、<ヴェスペロ>は地面に着地。コンソールで簡易チェックを行う。機体の異常は無い。ヴィラスは機体を少し動かして挙動を確認する。挙動こそは普段任務で使っていた脚部と違いはあるが、シミュレータで動かした時と比べてあまり操縦感覚は変わらない。後は実戦で慣らして良いだけだとヴィラスは思った。
レーダー上に友軍機を示す輝点が4つ表示される。同時にACが地面に着地する衝撃音が複数、<ヴェスペロ>の周りで響く。
グレネードキャノンタイプの武器腕<CR-WA74GR>が特徴的な青ベースの迷彩塗装をした中量二脚型AC<スピットファイア>。
マシンガンとグレネードライフルだけのシンプルな装備をした黒と紫の軽量二脚型AC<シュバルツナーゲル>。
レーザーキャノンタイプの武器腕を中心に重装備を施した金色の逆関節型AC<ハーデンパールト>。
両腕にライフルと背部のミサイル、レーダーという堅実な装備で固めた緑色の中量二脚型AC<ライブングスロース>。
いずれもこの依頼を受けたレイヴンの駆るACであった。
5機のACの前にセントラル・アークのゲートが立ち塞がっている。そこに向けて<ハーデンパールト>が左背部のラージロケットを放つ。本来ならAC用ロケットでも簡単に破壊されるような代物ではないが、特攻兵器によって脆くなっていたゲートは3発ほどぶつけると派手な音を立てながらあっさりと崩れて、大きな穴が開いた。
そこから侵入すると、広大な街の残骸。巨大なビル群が何百と立ち並び、その中心にはそのビル群より倍近くもの高さのビルの残骸がそびえ立っている。そこがレイヴンズアーク本部。かなり離れていてもその巨大な姿はすぐに分かった。
この街にレイヴンを志した者たちが集い、ピーク時には200名以上のレイヴンがここから世界中に飛び立っていった。しかし、天井は特攻兵器によって破壊されて複数の大穴が空き、そこから差し込む太陽の光が照らした街にはかつての面影は既に無く、無人の廃墟と化していた。
『やっぱり、結構破壊されているな……』
<ハーデンパールト>のパイロットである”G.o.L.d/79”がボソッと呟くのが聞こえる。特攻兵器によって街の殆どはもう機能出来ない程に破壊されていた。この街はアライアンスやバーテックスをはじめとする武装勢力も全く手を付けていないので、大量の瓦礫が散乱し、ACでもこの中を進むのは少々厳しい。中には特攻兵器で破壊されたであろうACの残骸も転がっている。
『マップデータを送るわ。これでセントラル・アーク内の調査をお願い。実際は崩壊が進んでいる箇所が多いと思うから瓦礫の崩落には注意して動いてね』
ルシーナからデータが送られてきたのを確認して、マップを表示させた。セントラル・アーク全体が作戦エリアになっているだけあって、かなりの広さになる。それに加えてルシーナの言う通り、瓦礫だらけで手付かずのこの街で安全に動けるルートを探すには時間が掛かりそうだ。
『使える施設があるか……ね。この状態じゃ、ある方を探すのが難しいんじゃないかな?』
『使えそうな施設か。まず、あの施設は見た感じもうダメだな』
<シュバルツナーゲル>のパイロット”スタークス”の怪訝そうな声に<スピットファイア>を駆るフライボーイは少し笑いながら答えると愛機の右腕を一棟のビルに向けた。
向けた先はレイヴンズアーク本部ビル。かつて、ジャック・Oがアークの首脳陣に対してクーデターを仕掛けた際、このアーク本部ビルに対しても攻撃を行ったが、建物自体には大した被害は無かったという逸話があるくらいに頑丈だった。だが、特攻兵器の直撃を受けた本部ビルは上層部分が崩壊して消失してしまい、その伝説を過去のものにしていた。
『……確かに。アレは簡単に壊れそうになさそうだったのに、特攻兵器の前じゃ為す術も無かったってことか。後は通信施設にガレージくらいだね』
スタークスが納得したように答えると、G.o.L.d/79が楽しげに声を上げた。
『他にあればそいつをマーキングすりゃいい。使えそうかどうかなんていうのはアークが勝手に決めてくれるだろうよ。ま、ガレージにはまだパーツもあるかもしれんし、それも一緒に持っていくか。良い追加報酬になるぞ』
アークからはパーツの拾得に関しては何も言ってはいない。好きにしていいという事で解釈しているのだろう、金が一番だと公言するこのレイヴンはそれも目的にしているようであった。
『この広さです。ここは調査するエリアを決めて、各個で調査をする事にしましょうか』
『それが良い。エリア分けしておけばやり易いな。ならば、私は西地区を調査する』
『じゃあ、ボクは東地区を回るとするよ。何かあったら知らせてくれ』
『俺は南だな。この辺りを見るとする。損傷が少なそうなガレージとか見つけたら言ってくれよ』
「俺は北地区に向かい、そこの調査を行う」
ヴィラスは他のレイヴンの割り当てからそこに決める。
『では、自分は本部ビルのある中央近辺を調査します。フォローがいるようでしたら呼んでください。位置的には直ぐ来られますので』
<ライブングスロース>のパイロット”マーフィ”の提案に全員が乗り、各自の調査箇所が割り振られた。意見が分かれることは無かったのは、この依頼をこなすにはそれが一番効率的だと、ここにいるレイヴンは皆納得していたからだった。
『では、2時間後にこのゲート前に集合という事にしましょう』
調査だけという単純な任務だが、不測の事態は起こり得る。レイヴンたちは装備の状態を各自確認すると、5機のACはブースターを吹かし、それぞれの持ち場へ向かう。
『変わったカラーリングだね。君の機体は』
興味あり気にといった感じの若く中性的な声がヴィラスのヘルメットに入り込んできた。
ゲートから一番遠い北地区へ向かう<ヴェスペロ>と並走する<シュバルツナーゲル>からだ。瓦礫だらけの街を単独で動くのはやはり難しい。ランドマークとしている本部ビル跡までは南地区を担当する<ハーデンパールト>以外の4機は同行する事になった。スタークスは<ヴェスペロ>の上半身と下半身の全く違うカラーリングに少し興味が沸いたという感じで聞いてきた。
「脚部は別の機体から持ってきたものだ。深い意味は特に無い」
ヴィラスは素っ気なく返した。時間に余裕があれば塗っていたかもしれないが、今回はそんな時間は無く、そのままにしている。別に気にする程では無かったが、他のレイヴンから見れば一風変わって見えるものだったようだ。
『そうなのか。という事はそのパーツは初めて使うのかい? 大丈夫なのか?』
「シミュレータである程度は慣らしておいた。後は実地でどうにかする」
『実地でね……今回の任務は調査だけとはいえ、無理はしないでくれよ』
機体の挙動にようやく慣れてきた頃だ。基本的な動作は問題無い。後は戦闘時の機動くらいだ。ヴィラスが当初抱えていた不安はほぼ消え去っていた。
『脚部は機体の動きの違いが明確に出るからな。油断はしない事だ』
スタークスに続いてフライボーイからも心配そうな声が上がる。
アーマード・コアの最大の特徴である柔軟なパーツ換装だが、搭乗するレイヴンの戦闘スタイルが確立していくとフレーム構成もある程度固定化されていく傾向がある。特に脚部に関しては機体全体の構成の土台とも言えるパーツの為、一度決まってしまうと変えるのが中々難しい箇所だ。タイプの違う脚部を使えば操縦感覚もガラリと変わるので、それを慣らす為の訓練も必要になる。それを充分にこなして任務毎に構成を変えてやっていくか、しっかりと自身の戦闘スタイルを確立させてそれに合った構成でいくのか、これもレイヴンたちの腕の見せ所でもあった。
「分かっている。いざとなったらマーフィにフォローをしてもらうよ」
『ええ、任せてください。準備はしておきます』
丁寧な口調を決して崩さないこのレイヴンは機体に両腕のライフルを振らせながら応答する。僚機として味方の補佐を主に担当してきたというマーフィ。目立つことはあまりなかったが、アークでは常に中位を保ってきたレイヴンで、ランクを大きく下落させたことは無い。それだけ安定した戦績を維持できる腕を持っているという事だ。
マップデータと実際の状況を見ながら迂回させながら進んでいく。時折G.o.L.d/79からの通信が入ってくるが、使えそうな施設は見当たらないという報告だけだ。当然だろうとヴィラスはモニターに映る街の様子を見やると半ば諦め気味の溜息を吐いた。予想は出来ていたとはいえ、ここまで破壊されている街には何の価値は見出せない。
『アークは本気でここを再建するつもりなのかよ。見渡す限り瓦礫しか無ぇぞ、この辺り』
ヴィラスが今しがた考えていた事を代弁するかのようにG.o.L.d/79が口にした。依頼内容からアークはこのセントラル・アークを復旧させて、機能をこちらに移したいという考えを持っているようだった。ブリーフィングで依頼主である現首脳部からこれは当然の任務だという尊大な態度が依頼を受ける前から透けて見えていた。
『そうでなかったらボクたちにこんな依頼を寄こさないよ。名前は忘れたけどやけに上から目線だったね、あの担当官は』
同じブリーフィングを受けていたからだろう、スタークスが少し不満げな声を上げる。
『アークが唯一所有していた街だからな。規模の大きさからいって拠点として利用するには中々魅力的じゃないか。このままほったらかしにして、他の組織にみすみす渡したくは無いだろう。特にバーテックス辺りなんかにはね』
『ジャック・Oなんかにまたこの街を盗られちまう様なことがあれば、それこそお笑い種ってやつよ。アークの威厳なんざ、地に落ちるどころか地中に埋まり込むくらいだ』
『もうそこまでいっているよ。その地中に埋まってしまった威厳ってやつを掘り起こしたいんだよ。彼らは』
かつて持っていた絶大な影響力を一刻でも早く取り戻したい。その一つ目の手段がこの依頼なのだろう。それで自分を取り巻く環境が良い方向に変わるのであればいいのだが、この依頼の成否に関わらず、そう大きく変わるとは思えないというのがヴィラスの素直な感触であった。
4機はゲートから5キロ程離れた所で動きは止まった。進路上に倒壊したビルが複数折り重なった状態で横たわっていて進むことが出来ない。
『困りましたね。広範囲で崩壊している。飛び越すには一苦労しますよ、これは』
『そのまま行くか。これくらいの高さなら超えられるよ』
「踏み込んだ先で崩落して生き埋めになるかもしれないぞ。こんな瓦礫の山、ACの重さでそのまま沈むかもしれない」
『……それもそうだね。さて、どうやって進もうか』
「迂回できそうなルートはあるか、フライボーイ」
『西にある商業エリア跡のブロックからであれば下手にここを飛び越えるよりは安全に──いや、ちょっと待て……何か飛んできたな』
機体を飛び上がらせて周辺を探っていたフライボーイが声を上げた。ヴィラスはレーダーを見やると自機前方に輝点が複数示されている。明らかに敵だと判った。
『ボクら以外に誰かいるのか?』
『何処かの武装組織が既に根城にしているかもしれませんね』
4人は機体に武器を構えさせた。マーフィの言う通り、もしここに武装勢力がいれば最悪の場合、交戦もありうる。
『……ん? あれは……』
スタークスが少し警戒したような声を出した。瓦礫を飛び越えて出てきたのは、ガードメカの一種である<ジェリフィッシュ>が5機。旧企業軍でも多く使用され、現在でもアライアンスはもちろんのこと、各武装勢力でも使用されているポピュラーな機体だ。4人の機体を見下ろすような形で空中に漂い、ボディ中央にあるカメラアイが赤く光っている。
《未登録機体ヲ確認。警告! 警告! 速ヤカに撤退シナケレバ直チニ排除スル。警告! 警告!……》
開いていた回線に入ってきた機械音声は目の前の<ジェリフィッシュ>からのものだった。これは明らかに武装組織の持つものではない。
『おい、どうした。何があった?』とG.o.L.d/79の声が飛び込んでくる。
『先客……ではないな。セントラル・アークの保安システムか。都市機能は既に破壊されているのに、保安システムだけは何故かまだ生きている様だな』
「こんな厄介なものがまだ稼動しているのか。なんでまた……」
『恐らくですが、保安システムがインフラと別系統で独立稼働していたのでしょうね』
セントラル・アークは他の都市とは違ってどの企業の支配下に置かれていない「中立都市」として扱われている為、企業の軍隊が駐留できず、戦闘用MT等を配備させることが出来ない。代わりに都市の防衛は多数のガードメカを運用して行っていた。仮に非常事態が起きても、セントラル・アークに居住しているレイヴンの駆るACに任せれば良い。実際のところ、これが他の勢力に対して大きな効果になっていた。
《警告! 警告! 警告!》
『──っ! 撃ってきた?!』
暫く睨み合いになっていたのが不味かったのか、<ジェリフィッシュ>は機体下部のパルスガンを放つ。だが、これは威嚇のつもりだろう。パルスレーザーは4機の目の前に落ち、地面を焦がすだけだった。スタークスはモニターに映る<ジェリフィッシュ>を睨みつける。<ジェリフィッシュ>は<シュバルツナーゲル>をサーチすると、再びパルスガンを向けてきた。モニターにはロックオンされたという警告が出ている。
保安システムの<ジェリフィッシュ>は4機のACを「不法侵入してきた敵性機体」と判断している様だ。ヴィラスは右腕に装備したマシンガン<WR07M-PIXIE3>を1機の<ジェリフィッシュ>に向けようとする。
『ヴィラス、待って。攻撃すれば恐らく保安システムはこちらを排除対象とみなして、セントラル・アーク中のガードメカが迎撃モードで起動を始めるわ』
『貴方のオペレーターの言う通りです。もっと厄介なことになりますよ。何機いるかは分かりませんが、ここの全ガードメカと正面衝突は御免こうむります』
マーフィが宥める様に言った矢先に<ジェリフィッシュ>が再び威嚇射撃。続けざまに放たれるパルスレーザーが4機の前に落ちるが、<ジェリフィッシュ>たちからの警告が止むことは無い。
「話し掛けてもダメかな……」
『所詮は機械だしね。話が通じそうにないよ、これは』
『”番犬”だけはまだ生きていたとは……ここは大人しく後退した方が得策かな。それと、これはアークに確認しないといけないな。調査任務に大きな支障になる』
「そうだな。鬱陶しいけど、ここは退いた方が良さそうだ」
ヘルメットに入ってくる喧しい音声に嘆息しながらもヴィラスたちはコントロールスティックを握る。だが、機体を動かそうとした瞬間、4人は機体に急加速を掛けて一気に後退する。
4機のいた場所に<ジェリフィッシュ>のパルスレーザーが飛び込んできたからだ。今度の場合は威嚇ではなく、完全に機体を狙っていた。
《未登録機体ニ敵対意思ガ有リト判断。コレヨリ敵性機体ノ排除ヲ開始スル》
5機の<ジェリフィッシュ>からの通告メッセージ。その直後に4機に向けて再びパルスレーザーを発射。4機は散開して回避する。
『ちょっと待て、どういう事だ? そもそもボクたちはアーク所属のレイヴンだっただろ。何で未登録機にされているんだ』
「多分、保安システムに登録されている機体のデータベース辺りが吹っ飛んでいるんだろう。──また狙ってきたぞ」
瓦礫に四苦八苦しながら後退するヴィラス達のヘルメットに入ってきた機械音声と共に、レーダーに複数の輝点が示された。保安システムが完全にヴィラス達を排除対象として認識したのだろう。赤い輝点は次々と増えていき、いつの間にかその塊が4機を囲むように近づいてきている。
「……不味いな。反応が増えている。遅かれ早かれ、俺たちは保安システムから排除対象にされていたな。これは」
『こうなってしまった以上、逃げても無意味ですね』
『マーフィの言う通りだ。これはもうダメだろ。こちらも反撃するよ』
スタークスがそう告げると<シュバルツナーゲル>の右腕に備えたマシンガンが<ジェリフッシュ>に向けて弾丸が放たれる。5機の<ジェリフッシュ>が直撃を受けて爆散した。
だが、レーダー上の輝点はさらに増えていく。既に輝点の数は優に50を超えているだろう。そしてこれらは更に増えていく事は間違いない。それを証明するように輝点はレーダーを覆いつくさんとばかりに次々と赤く染まっていく。アライアンスはじめとする組織がこのセントラル・アークに手を付けていなかった本当の理由がヴィラスには何となく分かった。アライアンスの公式見解では「多数の巨大な瓦礫が広範囲に散乱。地盤も非常に脆くなっており、作業用重機を動かすことが不可能」としていたが、実際はこんな厄介な”番犬”が大量にいて、手が打てないという事だ。
大抵のガードメカと呼ばれる兵器単機での火力は他の兵器に比べると貧弱ではあるが、それが何十機と束になって襲い掛かって来られれば話は別だ。戦闘用MT、場合によってはACでさえ致命傷になりかねない。「質より量」で攻めてくる恐ろしい相手にもなりうるという事だ。
「ルシーナ。<クランウェル>を呼び戻してくれ。ここは引き上げた方が良い」
『ええ、分かった。いま呼び戻すわ』
『ここを調査するには、もう少しこちらの頭数とガードメカの対処方法が必要だね。また後日出直しってとこかな』
数条のパルスレーザーが一斉に飛んできた。ヴィラスたちは瓦礫だらけの地面でも何とか機体を御してそれを回避する。だが、それを回避した矢先に別の方角からまたパルスレーザーが4機のACに向かって放たれ、機体を焦がす。ガードメカは一方的な数で潰しに掛かってくるつもりなのだろう。ヴィラスたちを囲む様に空中を移動している。その姿はその名の通り海を漂う”クラゲ”によく似ている。
フライボーイは愛機の両腕のグレネードキャノンを構えさせ、<ジェリフィッシュ>の集団に向けて弾を放つ。弾は<ジェリフィッシュ>の集団に直撃し、爆発を起こす。<ジェリフィッシュ>がかなり密集していたことにより、爆発の余波を受けて周りにいた十数機の<ジェリフィッシュ>が姿勢制御不能になり、地面に墜落していった。
集団の一部に穴を開けると、今度はヴィラスが<ヴェスペロ>に右腕のマシンガンを構えさせて、ふらついている<ジェリフィッシュ>の集団へ弾丸をばら撒くように放つ。まともに照準を定めてはいないが、群れるように集まってくるガードメカには有効だ。対AC戦を想定した武器の威力は、ガードメカのような薄い装甲程度なら簡単に破壊することは出来る。次々と<ジェリフィッシュ>が炎を吹き上げて堕ちていった。
一時的に攻撃が弱まるのが分かると、その隙を突いてヴィラスたちは<ジェリフィッシュ>の集まりがもっとも薄くなっている方へ機体を全速力で動かす。不整地でかなりの振動がコクピットを襲ってくるが、そんなことを構っていられない。フットペダルを強く踏み込んで<ジェリフィッシュ>の集団を振り切る。
『おかしい……回収部隊と通信が繋がらない』
ルシーナの怪訝そうな声がヴィラスのヘルメットに入り込んできた。
「繋がらない? 何やっているんだ、連中は」
『ボクのオペレーターも繋がらないって言っているよ。ねぇ、これはマズイ事になってきていないかな』
『回収部隊に何かあったのか? ……くそう、また反応が増えている。アークは何匹ここに番犬どもを置いていたんだ』
レーダーを見ながらガードメカの少ない方を探して逃げる。それでも<ジェリフィッシュ>をはじめとするガードメカの追撃は止まない。ゲートに戻るつもりではあったが、それを塞ぐ様にガードメカが現れて、行く手を阻もうとしていた。
『身を隠せるところがあれば良いですけど……!』
<ライブングスロース>の両腕のライフルから弾丸が放たれると、また空中で火球が咲く。それを考えている合間にもガードメカは瓦礫の合間を縫ってヴィラス達を狙ってきている。迎撃はしているものの、流石にキリが無い。ガードメカ相手とは言え、数で圧倒されている状況で機体がもつかどうかも分からない状態だ。
幾つかのビルの合間を抜け、かつて大通りであったあろう場所に辿り着く。そこも多数の瓦礫で埋め尽くされていた。ガードメカの姿は見えない。先程まで追ってきていたガードメカも流石にACの速さには追い付けていない様でレーダーの隅に数機程映っているくらいだ。だが、ヴィラスは妙な気配は装甲越しから感じる。レーダーを見据え、注意深く機体を動かす。
唐突に前方にあったビル跡から数機のガードメカが飛び出してきた。ヴィラスはその機影を確認すると、ブ-スターを全開にして向かいのビル跡の陰に隠れる。その数瞬後、<ヴェスペロ>の後方で大きな爆発が起きる。それはグレネードによるものだった。
『あれは、”シマリス野郎”……! まさかセントラル・アークにも配備されているとはな』
敵の機種は<U10G-F・SQUIRREL>。”シマリス”を意味する可愛らしい名前と裏腹にAC専用に匹敵するグレネードランチャーを備えた高火力武器を持つガードメカ。ミラージュによって開発されたそれはまだ少数ではあるものの、ミラージュの軍事施設で配備されている事は知られていたが、こんなものまであるのかとセントラル・アークの守備体制が異常なくらいの厳重さだったことが改めてヴィラスたちは思い知る。
『まずい……また反応が……』
スタークスの焦る声が聞こえる。彼女もあのガードメカの脅威は知っているらしい。ACがこのエリアに入り込んできたことにより此処で待機中のガードメカが起動したのだろう。再び、レーダーに赤い輝点が次々と示されてくる。もう少しすればヴィラスたちを追いかけていた残りの機体も追いつく。悠長にしていられない。付近でまた爆発が起き、コンクリートが砕ける音が聞こえる。侵入者を排除するのなら街の事などお構いなしなのだろう。盾にしているビルもこれ以上はもたない。それだけ<U10G-F・SQUIRREL>の火力は強大なものだ。
「まあ、このまま隠れてはいられないな……」
崩れかけてきたビル跡から<ヴェスペロ>が飛び出し、<U10G-F・SQUIRREL>の群れに向けてマシンガンを放つ。<U10G-F・SQUIRREL>も防御力に関しては他のガードメカとあまり大差ない。ボディへ簡単に風穴が空き。堕ちていく。その隙にECMメーカを射出。後続からの攻撃を少しでも遅らせようとした。
残った<U10G-F・SQUIRREL>がまたグレネードを放つが、ヴィラスはブースターを全開にして別のビル跡の影に隠れ、それを逃れる。だが、<U10G-F・SQUIRREL>の集団は再び攻撃を加えることなく撤退していった。<U10G-F・SQUIRREL>は強力なグレネードランチャーを搭載しているが、機体サイズに合わせて大幅に小型化されているので、弾数が3発のみと少なく、それ以外に武器は持っていない。それを打ち尽くしたら撤退するようにプログラムされているようだ。
「とりあえず、厄介なシマリスは何とかなったか……」
『そうはいかないようだね。今度はクラゲに追いつかれたみたいだ』
「そうだったな……こいつらもいたんだよな」
ヴィラスはレーダーを見やると。多数の反応が再び出ていた。先程、ヴィラスたちが振り切ったガードメカの集団が追いついてしまった。半ば呆れ気味の溜息が思わず出てきてしまう。だが、後退しようとした矢先、火球が<ヴェスペロ>の近くで数発炸裂し、<ジェリフッシュ>の集団が部品を撒き散らしながら吹き飛んでいく。レーダーには味方機の反応が1つ増えていた。
『やっと追いついたか。お宝探しは残念ながら一旦中断みたいだな』
ヴィラスは機体を後方に向けるとそこには<ハーデンパールト>の姿。両腕のレーザーキャノンが<ジェリフッシュ>を吹き飛ばしたのだ。
『アークから依頼の変更通達が来たわ。セントラル・アーク内部の調査は中止。稼働中の保安システムの停止に任務内容を変更とのことよ。今、マップ情報の更新データを送るから確認して』
ルシーナが依頼変更を告げて来た。アークもこの状況を把握したのだろう。ヴィラスはモニターに表示されたマップを確認する。セントラル・アーク内の東と西の方角に対して1ヶ所ずつ赤い点が示されていた。東はA-01という名前のガレージがあった場所。西はAC用演習場のあった場所であった。
『A-01ガレージの地下に置かれている方が北と東方面のガードメカを制御。演習所地下に置かれている方が西と南方面のガードメカを制御しているとのこと。けど、どちらかが停止しても残った方のサブシステムが起動して街全体をカバー出来るようにしているから両方のシステムを同時に破壊しないといけないわ』
「少々厄介だな」とヴィラスは小さく漏らして各武器の残り弾数の確認と簡易の動作チェックを行う。ガードメカの一団が一掃された今であればそれをする余裕はある。機体の損傷も装甲がパルスレーザーで少し焦げた位で、戦闘の継続は可能であることは確認できた。
レーダーに新たな反応。そしてモニターには大量のガードメカがヴィラス達に向かってきているのがはっきりと見えた。<ジェリフィッシュ>に<AEW360R>、そして<U10G-F・SQUIRREL>のバリエーション機である<U10M-F・SQUIRREL>の姿があった。
ざっと見て機数は30を越えているようだ。だが、これもほんの一部に過ぎないだろう。もたついていたら、先程撤退していった<U10G-F・SQUIRREL>も戻ってくる可能性もある。非常に危険な状態だ。既に数機のガードメカが銃口を向けている。これだけの数から一斉に撃たれれば例えACでも無事では済まない。
『ここは二手に分かれるぞ。G.o.L.d/79、スタークス。お前たちは演習所に向かってくれ。ヴィラスは私と一緒にガレージに向かうぞ。マーフィは周辺のガードメカの掃討と私たちの突破の援護を頼む』
フライボーイが即座に指示を出す。それに対して反論するレイヴンはいない。そんな事をしている余裕は無かった。
目標地点の座標をマップにセットしてヴィラスはフットペダルを意識して強く踏み込んだ。一刻も早くこの任務を終わらせる。その一心だった。
ガードメカの集団の一部が大きな炎に包まれ、爆発を起こす。それはACのライフルによるものだった。更に無数の弾丸が残りのガードメカの集団を撃ち抜いて、再び爆発が起こる。
<ライブングスロース>と<ヴェスペロ>が自機を囲っていたガードメカを一掃したところだった。
多数の敵を相手に出来るマシンガン等を装備した<ヴェスペロ>と<シュバルツナーゲル>がガードメカを掃討。その先にある管理システムの破壊に高火力の武器を装備した<スピットファイア>と<ハーデンパールト>がそれぞれ担当し、目的地点に辿り着くまでの間は広域レーダーを装備した<ライブングスロース>がフォローに回るという作戦を取る事にした。
「レーダークリア。ここは大丈夫だ。助かったよ、マーフィ」
『ええ、こちらの方は任せました。丁度、スタークスたちの後方に反応がまた出ているので援護に向かいます』
<ライブングスロース>が飛び去るのを見届けると<ヴェスペロ>と<スピットファイア>は地面に落ちたガードメカの残骸を蹴散らして目標地点へ機体を進める。
途中、何機かガードメカが出てくるも、2機で対処可能な数だった。視界にA-01ガレージと呼ばれていた場所の姿が映る。
地下にあるガレージへと繋がるゲートは少し潰れてはいるが、原型は留めている。<ヴェスペロ>がマシンガンでゲートを破壊して2機は中へ侵入した。内部はそれほど崩れてはいなく、MTはもちろんACも通れるスペースは残っている。
100メートル程進めば外の光は届かなくなり、周りは闇に包まれる。<ヴェスペロ>のメインカメラが暗視スコープモードに切り替わり、2機は更に奥へと進む。
ルシーナからマップの更新データが届く。
『ガレージ最奥部の壁。そこにカモフラージュされた扉があって、その向こうにある地下通路を下った先に目標の保安システムは設置されているとの事よ』
「俺の後ろから離れないでくれ」
『了解。君の機体のブースター炎だけが頼りだ』
暗視スコープ機能を搭載していない<スピットファイア>が迷わない様に<ヴェスペロ>が先行する。レーダーを見る限り、地上のガードメカはまだこちらに向かって来ては無さそうだった。
奥に進むと、開けた空間に出る。ACガレージだ。機体を動かすだけで地面に積もっていた埃が大量に舞い散る。ここの空気は相当悪そうだなとヴィラスは感じた。辺りは特攻兵器襲来時の混乱によるものか、ガレージの専属メカニックたちが使用していたと思われる作業用車両が幾つも乗り捨ててられ、機材が散乱して放置されていた。
相当数のACを格納出来るようになっているらしい。マップでは同様の空間があと2つ、左右に通路で繋がってある。もし、ガレージが健在であれば、ここには数十機のACが並び立つ壮観な空間を見ることが出来たのだろう。だが、それが叶うことはもう無い。
『懐かしい場所だ。ちゃんと見えていればもっと良かったかな』
「ここを使っていたのか」
『新米の頃に半年程だが、使わせてもらっていたよ』
「半年……結局は離れたんだな」
『住むにはここは申し分ない充実さがあったよ。だが、常時あのデカい塔から監視されている気がして窮屈な気分にもなった。それに、私のレイヴンとしての生き方にはここを住処にするには合わないと思ったんだ』
「そうだったのか」
『君もそうだったんじゃないのか?』
「俺は使っていない。理由は単純にここのシステムが分からなかっただけだよ。ちゃんと理解していれば利用していたかもしれない」
ヴィラスの答えにフライボーイは「なかなか面白い理由だな」と微かに笑った。
最深部まであと少しの所でレーダー上に複数の反応が出る。恐らくガレージで待機していたガードメカだろう。レーダー上の輝点は直ぐに増えて既に2機を囲み始めていた。
「こいつらは俺が片付けるから先に行け。お目当てはもう近い。あんただけで行ける筈だ」
『任せておけ』
『熱源反応を多数探知。ガードメカよ、気を付けて』
ヴィラスは機体を<スピットファイア>の後方に位置付ける。モニターにはガードメカの姿を捉えていた。機種は<ラット>。ある意味この場所におあつらえ向きの機体かもしれない。
左腕の<WL06M-FAIRY>も構えると、<ラット>の大群に向けてマシンガンを乱射した。弾丸を浴びた<ラット>が次々と炎を上げて爆発する。すると<ヴェスペロ>の背後で一際大きな爆発音。
『通路を見つけた』とフライボーイから通信が入る。
後方確認モニターには壁に大穴が空き、<スピットファイア>が入っていくのが見えた。ヴィラスは<ヴェスペロ>を後方へ飛ばして通路入り口を塞ぐ様に機体を止める。フライボーイが保安システムを破壊するまで入口への侵入を阻止する事に努める。
両隣のフロアからも<ラット>がこちらに向かって来る。そして地上で撃ち漏らしたであろう<ジェリフィッシュ>もガレージに侵入してきたのも見えた。今度は左背部に装備したチェインガン<CR-WB69CG>を展開。先程と同様に弾丸をばら撒く。
ガードメカを破壊している間、ヴィラスは妙な感覚になった。突然の敵対行動といい、ガードメカの動きはこのセントラル・アーク自体が意志を持って動かしているように思えてしまった。
ただ保安システムだけが偶然生き残り、プログラムに従いこの街を変わらず防衛しているだけだが、『ここは我々の住処だ。人間の来るところではない』そう言っているみたいだった。あの紅い機体との交戦した記憶がそう考えさせてしまうのだろうか。
再び背後から爆発音と振動。
その直後にガードメカの集団が一瞬痙攣したかの様な動きを見せ、そして一斉に停止した。
保安システムが破壊された事により、ガードメカの機能が停止したのだろう。<ジェリフィッシュ>が次々と地面に落ちる音が聞こえてくる。
『片付いた。保安システムの端末は跡形もなく吹っ飛ばしてやったよ』
通路から<スピットファイア>がゆっくりと出て来た。同時にG.o.L.d/79から演習所地下にあった保安システムの破壊とマーフィから地上のガードメカが機能停止したという通信が入ってきた。
『こちらでもガードメカ全機の機能停止を確認出来たわ。任務はこれで完了ね』
「これで終わったか。こんな廃墟もう調べる価値は無いだろう」
『それはごもっともだけど、アークはどうかしら? 再調査を依頼するかもよ』
「俺はもう受けない」
『気持ちは分かるわ。今回の任務は労力に対して報酬が見合わない感じはするけど……』
少し不満げなヴィラスをルシーナが宥めようとするが言葉が途切れる。
「どうした?」
『反応が出ている……数は1。これは……』
ルシーナの言葉にヴィラスはレーダーを確認する。<ヴェスペロ>のレーダーレンジにはまだ入ってきていない。
「何だ?」
『確認中よ。それにしてもスピードが速い。もうすぐそちらのレンジ内に入ってくると思うわ』
突然現れた反応。間違いなく敵だろう。今日は色々と起こる日だとヴィラスは機体の簡易チェックを行う。
* * *
地上で待機していたマーフィもレーダー上に反応が出ている事を確認していた。スピードからしてもうすぐ視認できるだろう。肩部の予備弾倉からライフルのマガジンを取り出して迎撃態勢に整える。1機だけらしいが、こちらは大分消耗している。既に右背部のミサイルは撃ち果たしていた。油断は出来ない。
機影を視認。大きなブースター炎が見える。オーバードブーストだ。機種はACと断定。そのシルエットがはっきりと見えてきた。二脚型のAC。
警告音。ロックオンされた。マーフィは機体を後方へジャンプさせる。同時に前方で青い光と衝撃音が炸裂。高出力レーザーだった。更にもう1発飛んでくるのを見て左へ機体を跳ばす。回避に成功。だが、警告音はまだ止まない。
<ライブングスロース>の頭上をACが飛び越えていく。機体は白のカラーリングだ。それをモニターで視認したマーフィはコンソールを操作。
「この機体は……まさかここで会えるとは思いませんでしたよ」
コンソールモニターの表示を確認してマーフィは照準を白いACに合わせる。<ライブングスロース>の両腕のライフルから数発の弾が放たれるが、白いACはオーバードブーストを起動して射線から逃れていく。
機影を失ったがマーフィは冷静にレーダーを見やる。レーダー上の輝点は自機の真後ろに示されていた。
背後に付かれたかと機体を旋回させようとするが、激しい衝撃が機体を襲い掛かる。同時にレーダーディスプレイが動作停止。左背部に装備したレーダーが破壊されたと頭部コンピュータからの通知。それを聞く間に更に衝撃。今度は部位破損アイコンの左腕部分が赤点滅。左腕が破壊され、ライフルが消失した。
バランスを崩し、よろけながらも機体を御して旋回。残された右腕のライフルを構えるが、モニターには白いACが左腕に装備したレーザーブレードを構えて突撃してくるのが映されている。
「やられるか……だが──」
マーフィはトリガーを引き、ライフルを発射。白いACはそれを左右のブースト機動で回避すると<ライブングスロース>へ肉薄。レーザーブレード<WL-MOONLIGHT>の光刃がコアを薙ぎ払った。
コアの上部が吹き飛ばされた<ライブングスロース>はそのままゆっくりと倒れ、動かなくなる。暫くした後切断面から小さな爆発が続けざまに起き、機体は炎に包まれた。
それを見届ける様に立ち尽くす白いACの左肩には「大剣を振りかざす十字架を背負った天使」のエンブレムが炎に照らされて紅く煌めいていた。