変態美少女の脳内にすんでます。怨霊じゃありません   作:昇竜ケンシロウ

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2話目


白昼堂々通報されたいのかお前はっ!

「りんねお前、昨日事故あったって! 大丈夫なのかよ?」

 

「ピザぁ。なんだなんだお前、地が出るくらいに私ちゃん様が心配だったのかぁ? 愛い奴よのぅ」

 

 

 自分が自我を取り戻した翌日。普通に平日なので登校したりんねの肩をガシッと掴んで、りんねより少し背の高い少女がそうりんねに尋ねる。りんねにピザと呼ばれた彼女の名は壇 姫子(だんひめこ)。億球学園中等部の1年生で、りんねとは幼稚園の頃からの付き合いの所謂幼馴染で、地元の名士の一族のお嬢様で、でも似非お嬢様口調で精神的に慌てるとに地のはすっぱな口調が出てくる狐耳金髪ロング縦ロール巨乳美少女というそんなに盛る必要がある? ってくらい属性過多な美少女だ。……いやマジで属性多いな。

 

 ちなみに彼女がピザと呼ばれている所以は家に親が居ないりんねの誕生日会に皆でお菓子を持ち寄ろうとした際、全く空気を読まずに親から渡されていたブラックカードでピザを注文してきた事が原因だ。

 

 りんねは口元を嫌らしくゆがめながら両手をワキワキと動かして姫子ちゃんの胸へと手を伸ばし、間髪入れずに飛んできた平手打ちに撃墜される。現在時刻は朝の8時20分。登校して最初に行う行動が幼馴染へのガチ目なセクハラを仕掛けるのが雑餉(ざっしょう)りんねという生き物だ。

 

 そのりんねの形のいい尻が割と手加減抜きで蹴り上げられた。

 

 

「ぎょぺえっ!?」

 

「白昼堂々通報されたいのかお前はっ!」

 

「てめぇチビ! 私ちゃん様の御御尻(おみしり)に何ししくさりやがられますことよ!?」

 

「混ざってる。なんか色々混ざってんぞりんねー」

 

 

 りんねの尻を蹴り上げたチビと呼ばれる少女は、小柄な体と慎ましやかな胸を張ってりんねとにらみ合いを始めた。彼女の名は鈴木 一花(すずきいちか)。りんねや姫子と同じく億球学園中等部の1年生で幼少期からの幼馴染である。姫子が大人っぽい、綺麗系の顔立ちの美少女だとしたら一花は日本人形のような整った顔立ちの可愛らしい少女だ。

 

 どちらもハーレム要員として狙われているだけあり、非常に整った顔立ちをしている。りんねも含めてこの世界に来てからは前世では見たこともないような美少女ばかりを見ている気がするが、もしかしたらこの世界は全体的に美形率が高い世界なのだろうか。

 

 そうだとしたらなんとも羨ましい限りである。

 

 

 

 

「|ほえへはへふぉふぁふぇふぃふぁいふふぁっふぇ?《それで今日から金稼ぐんだっけ?》」

 

 学校からの帰り道。人気のない田舎道を必死の形相で舌を伸ばしながらりんねがそう尋ねてきた。

 

 

――ああ、うん。そうなんだけどその話の前に何をやってるのか聞いても良い?

 

「昨日、お前が引きこもってる間に読んだエロ本にな」

 

――あ、なんだか聞きたくなくなってきた

 

 

 りんねが言った引きこもっている、という言葉は外部からの情報を遮断するという意味合いだ。これを行うと自分の意識はりんねの内側に閉じこもる事が出来、りんねが何をしても自分にはそれが分からなくなる。

 

 なんだそれ、と思われるかもしれないがこれが非常に重要なのだ。主に自分の精神衛生上の問題で。

 

 というのも、自分は趣味嗜好こそ違うがりんねを自分自身もしくは非常に近しい親族のようなものだと認識している。感覚としては鏡に映っている自分が勝手に動いているようにりんねを見ている。

 

 この認識を踏まえた上で雑餉(ざっしょう)りんねという生き物を対象に当てはめると、自意識を表に置き続けて居ると鏡に映っている自分がエロ本を眺めながら非常に下品な笑顔で盛っている姿を頻繁に目にする、という結論に達するのだ。

 

 いやぁ、キツいっす

 

 気分は過去のやらかしを夜寝る前に思い出して呻きながら眠れなくなるアレだ。現在進行形の黒歴史なんてただただ死にたくなるものを延々見せつけられるのは流石に勘弁してほしい。

 

 という訳でどうやら体の制御権を持つりんねに直談判した所、りんねは条件付きでそれに同意して目出度く自分はいつでも引きこもれる一部界隈の人間にとって天国のような状況を手に入れたのだ。

 

 ちなみにりんねが出した条件は欲求不満のJDがリスクを求めて火遊びするスポットの検索だったため秒で却下し、協議の結果今後朝7時に目覚まし代わりに起こすというものに決まった。りんねは目覚まし時計を高確率で破壊する癖があるため、叔母さんへの金銭負担を考えれば~と上手く誘導が出来た形だ。

 

 なんだかんだ叔母への負担を気にする程度の人間性がりんねにあってよかった、と胸を撫で下ろしたところで、りんねが言葉を続ける。

 

 

「女を蕩けさせるテクニックの一つに鼻舐めってのがあってな、こいつを上手く決めれば素直になれない子猫ちゃんもイチコロらしいんだわ!」

 

――お、おう。それとさっきのハエを目の前にしたカエルの物まねとがどういう関係で?

 

「テクニックは磨かなければ意味がないから自分で自分の鼻を舐めて本番に備えようって寸法よぉ」

 

――そっかぁ。がんばってね

 

 

 たった数十秒の事なのに心の底から時間を無駄にしたと感じながら、先ほどの質問への答えを返す。

 

 

「んで、どんくらいで100億稼げそうなんだ?」

 

――それ本気なんだ。まぁ100億はともかくりんねが自前で稼げるようになればくるめさんにかける負担も大分少なくなると思うよ?

 

「|ふぁー、ふぉふぁふぁふふぉふぁふふぃふぁふぇふぇふふぁふぁふぁふぁふぃふぁふふぁふぁででででで!《ああ、叔母さんを楽にさせれるんなら私ちゃん様もででででで!》」

 

――せっかく稼げる当てもあるし、使えるものは有効活用しないとね

 

 

 顎が外れたらしく悲鳴を上げるりんねから視線を逸らし、目的地である公園に目を向ける。

 

 夕日に照らされた公園は、暖かい季節だからだろうか隅の方にブルーシートで目張りされた段ボールハウスが幾らか存在し、そこに住むだろう住人たちが何をするでもなく佇んでいるのが目に映った。

 

 うん。りんねもやる気を出しているし。

 

 使えるものは有効活用しないとね?




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