変態美少女の脳内にすんでます。怨霊じゃありません   作:昇竜ケンシロウ

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その額にして334万円。端数は切ってある

 働いたものにはそれに見合う報酬を与える。資本主義社会において対価というものはもっとも重要なものだと自分は考えている。やりがい搾取。賃金未払い。唾棄すべき言葉だ。そんなものを他者に強要してくる組織はそもそも営利企業として間違っている。潰れてしまえクソどもが。

 

 ……ごほん。前世の感情に引きずられてしまったな、猛省しなければ。

 

 とまれ働きには報いるというのは自分が自分自身に課したルールのようなものだ。己がされて嫌だったことを身近な者にしたくないからね。

 

 という事で。

 

 

「こちら野茂さんのお給金となります。ボーナス込みですね」

 

「お。おおおぉぉぉぉ」

 

 

 ドン、と机の上に乗せられた札束に野茂さんが感嘆の声をあげる。その額にして334万円。端数は切ってある。

 

 野茂さんには太刀川競輪場以外の都内の競輪場でも車券を買ってもらっており、それらの車券の配当と更にりんねが行っている場立ち予想屋での予想代やご祝儀を含めた利益が総売り上げとなる。そこから野茂さんの生活費や移動費など諸々の経費を除いた純利益が1000万少しになり、その3分の1が野茂さんの取り分となるわけだ。

 

 いやぁチート様様である。この分かりすぎる眼があれば競輪や競馬、それに競艇などでいくらでも資金稼ぎが出来るのだから笑いが止まらない。

 

 とはいえ何事もやりすぎは禁物。余りに当たりすぎると八百長を疑われて痛くもない腹を探られる羽目になるかもしれないのだから、的中率は50から70%の間を日によって行ったり来たりするくらいが望ましいだろう。

 

 それに、荒稼ぎしすぎると税関に目を付けられるかもしれないからね。念のために複数の場外車券売場を使っているがしばらくは大人しくした方が良いだろう。

 

 

「そのためにも今月は次に向けた準備に当てます。まずは拠点となる住居と、野茂さんは確か免許持ってましたよね。失効していないなら野茂さん名義で車を購入しましょう。もちろんこれらのお金はこちらで出します」

 

「し、失効はしてません。更新が去年だったんで、はい。その、住居というのはどういう……自分は前の住宅を滞納で追い出されたので賃貸が借りれるかは分からないんですが……」

 

「なるほど。ならまず……こちらで前払いで住居を貸してくれる不動産屋は探しておきますので、その滞納分を清算して身ぎれいになってきてください。そちらは今回の稼ぎからで大丈夫でしょうか?」

 

「はい!」

 

 

 自分の問いかけに野茂さんが背筋を伸ばして力強く返答してくる。なんだか最近、野茂さんの自分に対する態度がこう、やたらと暑苦しくなっているような気がするが気のせいだろうか。大体わかる眼を駆使すれば彼の内心も読み取れると思うが、正直見るのが怖い。

 

 ままええか。一先ず野茂さんについては置いておくとして拠点を考えなければならない。この拠点というのはりんねの目標であるえち♡えちハーレム計画とかいうクソバカみたいな名前の計画を実行するために使うものだ。

 

 今後の展望としてはまず、野茂さんの立場を固めて社会的な信用を取り戻してもらう事が必要になる。りんねは所詮未だに中等部の学生で、世間的に見れば責任能力のない子供だ。なにかしら大きなことをする際には大人の立場と信用が絶対に必要になってくる。その時の為にも、野茂さんにはホームレスではなく自身の足で立つ社会人であるという立場を持っていてほしい。

 

 その為の受け皿の為にも、まずは登録できる住所が必要だ。野茂さんのように手足となって動いてくれる人員の住居にもなるし、今後車両を運用する事を考えると駐車場付きの一軒家くらいが望ましいだろうな。

 

 この皇国でも少し前にバブル経済とやらが弾けたみたいで土地がべらぼうに安くなっているから、その余波を受けて安く貸し出されている貸家もそこそこあるだろう。

 

 狙い目は管理会社を通さずに貸し借りを行いたい個人のオーナーかな。出来れば金に困っている人が良い。金に困っている場合、一括現金で2年分くらい支払うと言えばかなり有利な契約を結べるだろうし。

 

 

「あとは美人。美人の家主だなこれは外せない」

 

――家主であることと美形であることに因果関係はないからね?

 

「美少女でも良い」

 

 

 そういうこっちゃないんだけどなぁ。

 

 いつも通りなりんねに適当に生返事を返し、この日の会議は終了した。一旦身辺の整理をするという野茂さんを待つ間に良さげな物件を探すつもりだったのだが。

 

 

「ほ、本当に一括で借りてくれるのです!?」

 

「ああ、勿論だとも。私ちゃん様は美少女との約束は必ず守る主義なんだ。だから、ね?」

 

――その子に不埒な真似したら次のテストでの助力は一切やらないからね?

 

 

 まさかりんねの希望通り。美少女の金に困った家主が見つかるとは見抜けなかったね。この自分の大体わかる眼をもってしても。




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