多分遊戯王世界に転生したんだけど事件にも巻き込まれずアラサーになってしまった 作:道長(最近灯に目覚めた)
思ったよりリシドの扱いを気にされている方が多かったので回想形式でお送りいたします。
羽蛾プロの相談をとりあえずは解決し、リシドとの『負けたら即日挙式デュエル』というクソてぇなデスマッチを辛くも勝利したあとは、比較的穏やかな日々を過ごせていた。何でそんな事態になったかって? リシド救出という名目の埋葬の任務を、イシズ様から依頼され迷宮城に潜入していたのだが、味方だと思っていた『フォルトナ』*1が裏切っていたのが原因だった。本当は正式な挙式の隙に乗じて、脱出させるふりをして式場にリシドを連れ込む予定だったのだが、指定された扉の先にあったのは何故か決闘場。開催主席には迷宮城の姫*2がいた。ただし毛玉だらけの芋ジャージを着て。
「『フォルトナ』さんから言われてね? 使用人の幸せを願うのは主人として当然のことだけど、相手の気持ちを全く考えないのも良くないと思ったのよ。どうやらそっちの世界には人権っていう概念があるそうだしね? だから、リシドが勝ったら契約は一旦破棄してあげる。でも招待状はもう配っちゃったから、アナタが負けたら、そちらの『ルキナ』*3さんと挙式ね。何かいい感じらしいし、結婚なんて勢いよ」
「はぁ!? 誰がこんなやつと!?」
「えっ。私の人権は? この世界でも対象耐性くらいの価値あるんじゃ? 両手で無言のガッツポーズするのはやめろ。リシド」
こんなに醜いガッツポーズ初めて見た。城之内VSキースの名場面を汚すな。
『ルキナ』に関しては……、余計な事は言わないでおこう。うん。何言っても状況を悪化させる未来しか見えない。
あと、そんなこと言われるようなことをした記憶はない。精々飯炊きと一々トゲのある労わりや感謝、愚痴に適当に相槌を返しただけである。自分の起案を上からツッコまれるのは社会人として当たり前だ。それに比べれば余程可愛げがあるからね。
流石にプライベートまでは付き合いきれん。どこかでドMの男を探してくれ。
「こっちの結婚式は対象を取らないのよ*4。ほら、儀式召喚の生け贄って基本的に効果で墓地送り扱いでしょ? 急な話でごめんなさいね」
いや結婚式は対象取るだろ。花嫁連れ去りは物語の王道だろうが。えっ、サクリファイスエスケープってそういうこと?
「聞いたことないんですけどそんな結婚式!? しかも生け贄って言っちゃってますし!」
「夜のこと考えたら実質儀式召喚でしょ」
ドラマとかアニメでよく見るような豪華な肘掛け椅子で頬杖を突きながら、『アリアス』から恭しく献上されているスナック菓子を摘まみながらそんなことを言う。
流れるようなシモ発言、俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。いや。気付きたくなかったよ。
えっ。これ大丈夫? よそに見せられない絵面だよね?
「下ネタの城のラビュリンス*5はルールで禁止スよね?」
「迷宮城はルール無用よ」
私は激怒した。負けたら『ルキナ』と挙式とかいう地獄の釜の蓋を吹き飛ばすような暴挙に*6。トドメに「本日、午後の日付で招待状を送っておりますので。キャンセルされる場合の補填はお願いしますね」といつの間にか背後にいた『アリアス』*7に言われた。驚いて振り向いたら消えていて、今度はポテチではなくマカデミアナッツチョコレートを姫様に献上していた。その流れ、無限に食える奴じゃん。やり過ぎるとブタになるぞ。
あまりに鮮やか過ぎてツッコみ損ねたが、なんでこんなゴミみたいな企画に対しても準備が良いの?
結婚解消チャンスを得たリシドは強敵だった。気迫もそうだったが、使ってきたカードもヤバかった。何せ普通にガチの『刻印を持つ者』*8デッキだったから。『神』*9系罠も『ドミナス』*10系罠もガン積みで先攻宣言という、前世でも台パン必至の罠パカク〇デッキだったが、こちらとて負けるわけにはいかなかったのでフルパワー『M∀LICE』*11でやらせてもらった。無論『イグニスター』*12と『スプラッシュ・メイジ』*13も込みで。
目には目を歯には歯を、ク〇デッキにはク〇デッキをと、ハンムラビ法典にも書いてある。どんなデュエルだったかって?
相手の先攻に刺さる誘発を引けなかったから、後攻こちらのスタンバイフェイズに『アポビスの蛇神』*14を発動した後ろ5伏せの『リシド』とやり合う羽目になった。
まずはスタンバイフェイズの『蛇神』発動に対して『増殖するG』*15を発動、これには迷いつつもリシドは『聖王の粉砕』*16で無効、そこからメインフェイズに突入。
『Dormouse』*17初動に『澱神アポビス』*18、チェーン3でこっちが手札の『霊王の波動』*19を発動、そこにチェーンで『アヌビスの審判』*20でこっちの『インパルス』を無効にし『Dormouse』も破壊。が、そのせいで『Dormouse』効果を無効に出来ず、除外された『White Rabbit』*21が帰還効果を発動、これにはチェーンなし、特殊召喚時効果で『11』*22をセットし、『Rabbit』を『リングリボー』*23に、これには『神の宣告』。
盤面の数が重要なリンクデッキにとってはかなり厳しい状況だったが、自分は墓地の『Dormouse』対象に手札から『マグナムート』*24を発動、リシドは苦悶の表情を浮かべながら、これを伏せていた『インパルス』で無効にして破壊。
あの時の目、今思うと祈ってたんだなって。「終われ。終わってくれ……!』って。私も前世のMDでの昇格戦で、後攻引いた挙句、誘発が『うらら』1枚しかなかった時、そういう目をしていたに違いない。
そのあと手札から後攻ドローで引いてきた『March Hare』*25を発動すると、リシドが発狂した。絶叫に耳がキーンとなった。やっぱ怖いっスね。イシュタール家は。
あとはいつものサイバース展開である。やはり『メイジ』もそうだが、『ウィッチ』が便利過ぎる。『ウィキッド』より強いのでは? メインギミックに4妨害受けて、なんでほぼフル展開しつつオマケで3ドロー出来るのだろう。『宣告』は『Red Ransom』*26か、リンク値を3まで伸ばす展開モンスターまで待った方が良かったかもしれないが、仮にやられても手札最後の1枚は『ウィザード@イグニスター』*27だったからリカバリー可能だった。そもそも『リングリボー』アクティブになること自体が罠デッキにとってはリスクになる。召喚時に効果を説明したのも効いたのだろう。一応使うたびに効果は説明しているから、『リングリボー』だけが特別という訳では無かったのだが。
えっ、全持ちが過ぎる? 相手もほぼ理想盤面だったから、それはお相子だろう。全持ちハンドには全持ちハンドを以って贖いとすると、ピラミッド・テキストにも書いてある。
「私を置いていくなアアア! いや、貴様だけが助かるのは納得いかんぞ!? 私が間違っているのか!?」
「「参りましょう。旦那様♡」」と捕食者2人にズルズル引きずられつつ、よく分からないことを叫んでいたが、無事挙式された。式の翌日に会った際、心なしか頬をがこけていたように見えたのは気のせいだと思いたい。齢を重ねるとそもそも体が追い付かなくなるものだが……、『悪魔の技』*28ってそういうこと?
再会が腹上〇による葬式だけは勘弁してほしい。
既婚者が娑婆に戻ってこれるはずがないんだよなぁ。海場社長のライバルですら冥界で眠っているのだから。『ネクロバレー』も最近*29、やっぱ復活は良くないって言ってるし。
参加後、結局宿泊することになって、『ルキナ』とダブルベッドで寝る羽目になったが、何もなかったからヨシ!
『フォルトナ』からガチ説教されていたが、見なかったことにしよう。次からあっちの出張は日帰りだな。領収書の分別と報酬金と経費の計算は、絶対に手伝わないことを決意した。今年はKCとの取引が絡んだから面倒くさいぞー。地獄を見るがいい*30。
「しかしどうしたものか。ただの大会だけだと、プレイヤー単体の強さが判別しにくいのも事実。だからと言ってこの世界でリミテッドは金がかかり過ぎる。それじゃ子どもは参加できなくなるしな。結局財力のある大人や一部のプロプレイヤーにしか流行らなくなるか……」
モクバ副社長に「なんかそれなりの有望株を判断する方法考えろ」という無茶ぶりをされ、珍しく企画する側に回ることになってしまった。真っ先に思い浮かんだのが『リミテッド』*31系で、『ドラフト』や『シールド』戦だった。
が、そもそもこの世界で流行って無いのは何故か考えたら、すぐに思い当たることがあった。そういやGXで『エド・フェニックス』が8パックでデッキ作ってたなと。しかも当時の環境とは言え、それで十代とデュエルになっていたのだから、下手な構築戦より格差が生まれる可能性がある。シンプルに引き勝負が2段階発生するわけだから。
なら発売元はどうしているかというと、特に何もしていない。下手に大量生産すると値崩れを起こして、カードショップや個人資産にまで影響を及ぼすからだ。実質紙幣の発行元みたいな存在になっている。本来はこうなる予定では無かったそうだが、あくまで体験版として作成した初期のカードが飛ぶように売れ、高額で取引されるのを見て下手に量産が出来なくなったのが原因らしい。
だから新カードも環境が大きく変わらないように、ちょぼちょぼ市場に流すしかなく、テーマデッキを組める人間が少数になるようだ。
となるとシナジー前提のモンスターや、魔法・罠より、ステータスの高いモンスターや確実に1対1交換のできる除去をみんな求める訳で。
なんなら低ステータスのモンスターを使うのは恥みたいな風潮があるからね、この世界。
「お悩みの様ですね。マスター」
自宅で紙に適当な事を書きなぐっていると、M∀LICEから声をかけられた。本日はカード化されている格好ではない。創作でありがちな不思議の国のアリススタイルである。なぜかウサミミだけは付けているが。
「あぁ。それなりの有望株……恐らくセンスありそうな子どもや、即戦力になりそうな大人を見繕えるようなイベントを考えろと言われてな」
「ちなみにどういった目的なんですか? 何か大規模なトーナメントでも開催するんです?」
「それもあるのだろうが。精霊界とのやり取りが多少できた都合上、独占とはいかなくても可能性のある人間を出来る限り把握したいだろう? 見える人間に頼るのは再現性にムラが出るからな。遊守くんだって全部が見える訳じゃないし、真遊理さんだってこれから先も、ずっと見れるか分からない。現状個人に頼らず把握する方法を考えろ、ということじゃないかな?」
疑問形なのはモクバ副社長には先述の無茶ぶりのことしか言われてないからだ。何この大喜利みたいな仕事。仕事なんて「やーねー*32」でも言ってやろうか。
即日クビになるな。次の就職先は決まってないしやめておこう。自分に回ってくるということは精霊絡みを含めて考えろということなのだろう。
「実は一つは思いついている。店の方でいくつかデッキを準備してもらって、ストレージにあるカードを3枚までいれてやるっていうレギュレーション。それぐらいなら小遣いの範疇の参加料で企画できるだろうし、数をこなせば精霊が原因の乱数の偏りも可視化されるだろうから。あとカードショップも在庫を有効活用出来て一石二鳥だろ?」
前世で500円のブロックオリパをそのままデッキにしてやったものをベースに、少しだけ競技性高めた遊び方だ。ストレージの引きもあるし、運の要素を含めて悪くないと思うのだが。
が、M∀LICEを見ると思案気に首を捻っている。
「何か問題はあるか?」
「いえ。そのベースとなるそこそこのデッキはどうやって用意するんですか? マスター。それなりにやり取りが発生するよう除去や打点補助、ある程度均一化した質のモンスター、全部実物だと大きなショップでも、数はそこまで準備出来ないと思いますよ? その在庫も考えないといけませんし。以前のイベントの様にコピーカードでも使うんですか?」
「……失念していた。コピーはあれで使用料が取られるからな。定期的にやるとコストが嵩む。それにせっかくなら田舎の小さなショップでも遊べるやり方がいい。母数もそうだが、地域による格差は可能な限り避けたい」
自分はこの世界でも、デッキを組むことにそこまで不自由したことが無かったから忘れていたが。『はさみ撃ち』ですら値段が付くからな、この世界。盗難対策はデュエルディスクとネットワークを挟めば大体予防出来るだろうが。
「ありがとう。M∀LICE。すまんな。いつも私の至らなさをフォローしてもらって」
エッヘンと言わんばかりに胸を張った。……そこは真遊理さんと明確に違うんだよな。
「伴侶として当然のことをしたまでです。……アイディアとしては有りよりだと思いますが、うーん」
「いやーキツイでしょ。しかしショップへの負荷は見積もりが甘かったな。単体除去位いくらでもあるものだと思っていた」
「……拗ねますよ?」
素で言ったら頬を膨らませてソッポを向かれた。マズい。
「悪かった。以前のこともあるし、今度の買い替えで携帯端末のスペックを上げるから許してくれ」
「……カメラとマイク性能も高めでお願いします。もうちょい露出をあげるべき……? でもさすがにこれ以上は……、オリジナルは色々成長してますけど、うぐぐぐ……」
一人でなんか唸っている。そっとしておこう。
「うぅ……元はほとんど変わらなかったのになんでこんな格差が……、格差社会は滅ぶべきです。富めるものが富み、貧するものは永遠に貧乏なまま。こうなったら同志を集めて全てを1つに……」
「……ん? 今なんて言った」
「えっ? 資本主義はやっぱりク〇なんで、同志と革命を……」
「そんなこと考えてたのか……。やめておけ、その先にあるのはより酷い格差社会だ。首都とそれ以外を見てみろ。じゃなくてだな。さっき最後の方なんて言った?」
「……同志を集めて全てを1つに、ですか?」
「それだ」
思わずハイタッチしようとしてM∀LICEとは出来ないと気付いた。PCの画面に手を当てると、最初はよく分からなかったようだが、おずおずと掌を合わせるように腕を上げた。
「やっぱりお前は最高の相棒だよ」
「……! ですよね! やっぱりM∀LICEが№1ですよね!」
ウザい位のどや顔だが、今回ばかりはお手柄だ。調整はシビアだろうが、結構面白いんじゃないか、これ。
「で、何を思い付いたんですか?」
「思い付いたというより、前提条件を固め過ぎていたことに気付いた。別にデッキを人数分用意する必要はないし、何なら40枚から60枚である必要もない。ちゃんとした競技にするならガチガチに固めなきゃならんが、厳密に順位を決める必要性が薄いならそこはある程度妥協していいんだ」
新しい紙に切り替えて書き込んでいく、M∀LICEが興味深げに手元を覗きこんでくる。
「ハーフデッキでも良いが……、一つのデッキを対戦相手同士で共有、墓地と除外ゾーンも共有してもいいかもな。バランスを考えなくてはいけないが、デッキ切れを勝利条件として認めるならデッキ枚数も40枚にこだわる必要はない」
「デッキを共有することでアドバンテージをとれるドローカードに多少なりともリスクを課すという訳ですか。デッキに戻す系も役割が変わってきますよね? モンスターの戦闘力も加減しなくてはいけませんよ」
「そうだな。でだ、回数はやってみなくては分からないが、デッキじゃなくてストレージからカードを引けるチャンスを作る。だからレベル4までのモンスター1体でもギリギリ捲れる位の性能のモンスターを基準にした方が良いかもしれない……とりあえずレベル5の半端な通常モンスターで試してみよう」
あくまで仮題だ。だが方向性を煮詰め、バランスを考える案としては悪くない。
「レギュレーション名『モリンフェン』。とりあえずこれでバランスを考えてみよう」
要は某TCGのダン〇ーンゲームみたいな遊び方です。昔大会で持て余した時間でやってた遊び方ですね。サーチ先が相手の手札に会ったりして、意外と面白く遊べました。特に強貪使うデッキはマジで別ゲーになります。
結局、多少話せる相手がいれば、どんなクソゲーそれなりに楽しめるんですよね。
昔『ソ〇 生命の木とアスガルドの神々』というクソ映画を間違って借りて友人と観ましたが、発泡スチロール製のハンマーとかオレらでも出来るスローモーションごっことか、パッケージのキャラいつ出んのとか、ツッコみながらまぁまぁ楽しく観れたんですよね。クソ映画としては浅瀬の部類というのもあったのでしょうが。ちなみに自分は『UBW』を勧めました。
何が言いたいかと言いますと、MDの『キラーチューン』は大分やってます。レベル上げられる上に『スナッチー』いないエクストラでどうしろと? 『ドラゴンテイル』は『うらら』貫通が難しくなった挙句、変な草がいるせいで魔法融合が一回しかできないせいで、捲ろうにも捲りきれないし。まともな対抗馬がいないのに、なんで『ハルモニア』以外フルパワーで実装したんですかね?
あと『B2B』 に演出つけてないのは分かってないと思ってます。壁紙がある? 色々と動くところ見たくないですか? アレ。
需要調べ(反映出来るかは別)
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どうでもいい話(思いついたら)
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シリアス込み長編系(恐らくは飽きる)
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恋愛系(別に書いてもろてええですよ)
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R-18(言い出しっぺの法則はご存知?)
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その他(その時はメッセージや活動報告で)