多分遊戯王世界に転生したんだけど事件にも巻き込まれずアラサーになってしまった 作:道長(最近灯に目覚めた)
友人にアイディアもらって書いてます。
正直何書いていいか分かんないので内容はアレです。がっかりさせてしまったら申し訳ない。
「モンスターすら攻撃表示で出せんとはな! それでも男かね、君は! ワタシのターン、ドロー! 手札から『デーモン・ソルジャー*1』を召喚! そのまま攻撃!」
「召喚時、メインフェイズ放棄時は特にありません。戦闘時も特になし、『超電磁タートル*2』が破壊され墓地へ」
「ふん。娘の前だから紳士ぶってるんだろうがワタシは誤魔化されないぞ。カードを二枚伏せてターンエンド」
「それはお父さんが単に乱暴なだけ……」
「あー、気に障ったんなら謝ります。じゃあドロー。……なんでこのカードが、モンスターをセット、こっちもカードを1枚伏せてターンエンド」
「その程度で娘の先生とは呆れたものだ。ドロー、『可変機獣 ガンナードラゴン*3』を妥協召喚!」
「あっ」
「デメリットモンスター…、しかもレベル7」
流石に『征竜*4』はないだろうが、高確率でバックは。
「ここでリバースカードオープン! 永続トラップ『スキルドレイン*5』。このカードは発動時にライフを1000払い、フィールドの表側表示のモンスターの効果を無効化する! 『デーモン・ソルジャー』は何も影響はない。だが」
「妥協召喚された『ガンナードラゴン』のステータスは元々の数値に戻る」
「うわぁ、お父さんのデッキ5歳の時と全然変わってない……」
「そのとおりだ先生。だが人が話している時に割り込むのはマナー違反じゃないか?」
「あ、はい。すいません」
「リスペクトが足りんよ、リスペクトが~」
「こんなお父さんリスペクトされたくないよぉ」
対面には真遊理さんと遊守くんのお父様がいる。そして明らかに自分を敵視している。真遊理さん曰く、こうなったのには先週の夕飯時の会話が発端らしい。
「真遊理、遊守、地区大会突破おめでとう」
「ありがとう。父さん、母さん」
「うん……ありがとう」
なんとか地区予選を突破したわたし達双子は、いつもより豪勢な夕飯を前に両親からお祝いされていた。弟は三位で突破、私はベスト8だった。元々持っているデッキは、『白き森』のように初動どうこうというレベルですらないから、どうしてもムラが大きい。同じ魔法使いベースのデッキだけど、プレイングでカバー出来る部分はあまり多くない。
元々が小さい頃に組んだデッキにおに……、じゃなくておじさんの『ディアベルスター』と『罪宝』を足しただけだから限界はあるんだけど。
このまま支部大会を突破するのは難しい、多少の魔法・罠のほかは、ステータスの順にバニラモンスターで埋めている状態だ。となると『白き森』の皆に協力してもらうしかない。けれど
「でもよ姉ちゃん、『黒魔女ディアベルスター*6』なんてカード、いつ当てたんだよ。教えてくれたっていいじゃん」
「あはは、わたしもびっくりしちゃった。こんなに強いカードだとは思わなかったから」
「そうねぇ。遊守は残るかもとは思ってたけど、まさか真遊理もだなんて」
「そうだなぁ、どうだ真遊理、久しぶりに父さんと一勝負、どうだ?」
「う~ん、ちょっと疲れてるしやめとこうかな……」
『ディアベルスター』だけでこの反応だ。『白き森』の子達を使ったら質問攻めどころか、窃盗を疑われて警察に連れていかれるかもしれない。なにより使うならおじさんに明日、ちゃんと許可を取らないと。
そしてお父さん相手には、攻撃力1900以上のモンスター相手にひたすらサンドバッグを召喚していた記憶しかない。
「どうせ父さんのは『スキドレ』貼って殴るだけだろ? いい加減見飽きたぜ」
「何を言ってるんだ遊守。最近ちょっとだけ構成を変えたんだぞ。流石に『ガンナードラゴン』だけじゃ寂しいからな」
そういえば最後にお父さんがデュエルをしてるのを見た時は、装備魔法を付けたユー君の『オーダー*7』に押されてたなぁ。相手の攻撃力が3300を超えると、お父さんのデッキは途端に旗色が悪くなる。『ガンナードラゴン』がいても『禁じられた聖杯*8』1枚では対処できず、除去があまり入ってないから守備でひたすら耐えるしかなくなる。
「ウッソ『バルバロス*9』入れたの?」
「流石にそれは母さんが許してくれなかった。でも昔のカードを整理してたら面白いカードを見つけてな、1枚だけ買い足したんだ」
「何買っても『スキドレ』は変わんないんだろ? まぁオッサン曰く「最終盤面が決まっているデッキは強い。誘発をケア出来るルートか止められる盤面、あるいはおまけを添える余裕があれば尚よし」って言ってたけど」
「なんだそれ?」
お父さんとユー君が首を捻っているが、自分には心当たりがあった。『白き森』を先攻で回して目指す一つの目標が、万能妨害二枚に『白き森のわざわいなり*10』+αだからだ。実際は手札が悪かったり、手札誘発を受けたりするからもうちょっと妨害の質は落ちるけど。
おじさん相手には『増殖するG*11』がなければ、万能妨害二枚を優先する場合が多い。『影衣融合』を通すと、結局ネフィリム連打でこっちの妨害をはがされる場面が多かった。速攻魔法持ちの融合相手だと『白き森の魔狼シルウィア*12』の裏守備妨害が機能しにくいのも大きい。もし万能妨害か最低限『うらら*13』が構えられないのなら、展開しない方が良いまである。
「オレも分かんないや。姉ちゃんは?」
「わたしもちょっと思いつかないかな」
ごめんなさい。嘘ついてます。今、万能無効を先出しするルートを考えてました。おじさんに初めて『ニビル*14』を出された時は理解出来なかったけど、ニビルのリリースは効果だから、『シルヴィア*15』先出しで被害を最小限に抑えられることまで教えてもらってます。
「オッサン……? 遊守、誰かに教えてもらってるのか」
お父さんはユー君の言葉が気になったようだ。
「遊守」
お母さんが、少し咎めるような言い方で弟の名を呼んだ。
「あっ。最近いつもと違うカードショップ行ってさ、そこで相手になってもらった人が言ってたんだ。めっちゃ強かったから色々話を聞いたんだよ」
一瞬だけ焦った様子を見せたが、すぐに取り繕って言葉を続けた。私の弟とは思えない回転の速さだ。
お父さんには私が危ない目にあったことを伝えてない。丁度2週間位の出張に行っていたのと、お父さんに一から説明すると、ちょっとメンドくさくなるとお母さんが判断したからだ。アカデミアの警備と、その後ろには海馬コーポレーションの支援があると聞いて、余計なことはしないと決めたらしい。その時、お母さんはわたし達にこう言った。
「お父さんがほぼ自宅警備員になるのと海馬コーポレーションのセキュリティ、どっちがいい?」
実質一択だった。
この日はお父さんがおじさんについて、これ以上聞くことはなかった。
そして次の日、おじさんに『白き森』を大会で使うことに許可をもらい、いつもどおり相手をしてもらって家に着くと
「真遊理、あのオジサンは誰だい?」
その日生まれて初めて「お父さん、邪魔だなぁ」って思った。
出会ってすぐ、真遊理さんのお父さんから「娘を個室に連れ込んでナニをやっている」と言われた。
「個人レッスンです」と答えたらグーが飛んできた。
なんで? 遊戯王だからか。
その後、店長と真遊理さんがとりなして何とか落ち着いて話が出来た。誘拐されかけた点は省いて、「彼女は自分なりに進路実現を目指して頑張っており、我々は協力しているだけです」という旨を繰り返し伝えると、とりあえずは納得してくれたようだ。真遊理ちゃんはその間、私と店長にかわいそうなくらい申し訳なさそうな顔をしつつ、時折生ゴミを見るような目で父親を見ていた。あれ? きみってそういう子だったの?
「だが、君には本当に娘を教えられる実力があるのかね?」
ということでデュエルすることになった。
なんで? 遊戯王だからか。
そしたらまぁ手札が酷いこと。こっちに来てからここまでの手札事故はちょっと記憶にないレベルだ。
手札誘発二枚に『超電磁タートル』、『影光の聖選士*16』と『シャドール・ビースト*17』、先攻なら『超電磁タートル』と今は使いようがない『影光の聖選士』を伏せるしかない。そして相手のターンに『亀』が雑に殴り倒されて、こっちのターン。今度は入れてないはずのカードが来たが、今は使いようが無いため伏せるしかない。壁モンスターは迷うが『エフェクト・ヴェーラー』か。
これは恐らくデッキに拗ねられている。こっちに来てからはしばらくなかったんだが……。
「だ、大丈夫なの? え? ちょっと危機感が足りないからいい機会?」
そして『スキルドレイン』が発動されて今に至る。まさか『スキドレバルバ』とは。デッキタイプとしてはかなり古いが、いざ実際に対峙すると困る。『ネクロバレー*18』がない分マシか。
「バトルだ! 『デーモン・ソルジャー』で伏せモンスターに攻撃!」
「『エフェクト・ヴェーラー』が破壊される」
「次に『ガンナードラゴン』でダイレクトアタック!」
「何もありません。ライフが1200に」
攻撃力2800の迫力は中々だったが、あくまでソリッドビジョン。痛みはない。光で目は少しチカチカするが。
「ターンエンド、……随分余裕があるな?」
「結構焦ってますよ。でも、それを含めて楽しむのがDMですから」
カードゲーム好きで駆け引きを楽しめないプレイヤーはほぼいないだろう。私は特に、押され気味の鍔迫り合いから捲り捲られが一番好きだ。『スキルドレイン』にそれがあるかと言われるとノーコメントと言わざるを得ないが。
「ターンもらいます。ドロー」
引いたカードは悪くない。少し機嫌を直してくれたか?
「あの、おじさんが負けちゃうと教えてもらえなくなっちゃうかも、だから……え? そこまでする気はない、あの弁えてない新人より私の方がいい? 新人って今も肩越しに手札を覗いている子ですか?」
だが、すぐに動けるわけじゃないから一旦待つしかない。
「モンスターをセット、カードを1枚伏せてターンエンド」
「……だが実力が伴わないのではなぁ! ドロー、よし。」
なにか引かれたか。『羽』や『指名者』は勘弁してほしいが。
「君に私の秘密兵器を見せてあげよう。手札から『サンダー・ドラゴン*19』を墓地に送って効果発動! デッキから『サンダー・ドラゴン』を2枚手札に加える。そして『融合』!」
「嘘だろ?」
流石にその顔ぶれでアレ*20は想定外だぞ!? いや『スキドレ』かサーチ妨害、どちらかが刺さればというコンセプトのものは見たことはあるが、それにしては構築が偏りすぎでは……?
「融合召喚! 現れろ! 『双頭の雷龍*21』!」
むしろ『スキドレ』下だと効果より3200打点が出てくる可能性の方がやっか……、ん?
「どうだ真遊理! 凄いだろ!」
出てきたのは「二つの口を持つ闇の支配者*22」のそっくりさんだった。……手札を2枚使って「ガンナードラゴン」と同打点、デッキ圧縮によるキーカードの引き込み、手数の補強という面で見ると結構ありだな。そしたら融合を生かすのに『ワイアーム*23』あたりが欲しくなる……、自分にはやっぱり事故が怖いな。
「あの新人は力はあるし、やろうとしていることを邪魔する気はないが、肝心なところでガバりそうだから全部任せるのは不安? そろそろおじさんに身を固めてほしい? 何言ってるんですか『ミドラーシュ』さん!? あ、うん。凄いね。お父さん。ちょっと『シルヴィ』も余計な事言わないで! そもそもおじさんはもっと大人の人が……、え? かわいければ問題なし? それにおじさんはお尻派? 別にわたしはかわいくないです。でもお尻ってどういう…… 」
思った以上に真遊理さんの反応が薄い。
ごめんなさい、お父様。真遊理さんは、自分のせいでただの融合一回程度じゃ物足りなくなってます*24。なんなら『アザミナ』は魔法カードだけで融合し始めるし。しかしお父様は気づいていないのか「うんうん」と頷いている。
「そうだろう、そうだろう。では攻撃だ。『ガンナードラゴン』でセットモンスターにアタック!」
「攻撃宣言時、墓地の『超電磁タートル』を除外、バトルフェイズを強制終了させます」
「なっ」
そうなるよなぁ。カード名だけで判断しなくてはいけないから、知らなければ対応できない効果だ。
デュエルディスクの仕様で相手のカードの効果は発動するまで分からない、効果発動の宣言はしなくてはいけないので、フィールドや手札で発動するカードはまだしも、しれっと墓地に送られたカードや破壊時、除外時のカード効果への対処は非常にめんどくさい。初見相手だと『指名者』系があっち以上に使いにくい。しかし『墓穴の指名者*25』が無いと勝てないゲームもあるから結局抜けないのだ。
「やるじゃないか先生、だがその伏せカードではこっちのモンスターを倒せないということだろう?」
「ええ。おっしゃるとおり、『激流葬*26』や『聖なるバリア ミラーフォース*27』のような一気に状況を覆すカードではないのは事実です」
「ならここから逆転するのは難しいだろう。君に娘を指導する力は無いということだ」
「まあ、そうですね。センスは彼女の方が遥かに上です。今まで教えたことも、いずれは自力で気が付いたでしょう」
センスや思考速度は彼女の方が上だろう。それは事実だ。人間としても自分より余程社会のために働ける存在になると思っている。それは遊守君に対しても同じだ。情けないことに、勝敗を分けているのは経験値とカードパワーという身も蓋もない話なのである。
「お父さん! 流石に言い過ぎだよ! おじさんも私はそんな人間じゃあ……」
珍しい、真遊理さんがこんな大声を出すなんて。君も不満や怒りを面に出せるようになったんだなぁ。我慢するだけの(都合の)いい子が、よく一歩を踏み出したと思う。
「真遊理。お前が本気なのは伝わってきている。本当なら今からでもアカデミアへの入試手続きを行いたいくらいだ。だが、大人の社会は実力の部分が大きい。勝負の世界なら尚更だ」
「お父さん……?」
「だからこそ、ちゃんとしたところで学ぶべきだ。勝負か、あるいは指導のプロにな」
「尤もですね。自分はしょせん素人ですから」
やっぱり真遊理さんと遊守くんのお父さんだ。自分も二人にそれなりの情は持っているつもりだが、親ほど真剣には向き合えない。
「で、でもわたしやユー君はおじさんが……」
「でもじゃない。お金の心配はするな。何のための残業と休日出勤だ」
「お金の問題じゃないよ! わたしは現役のプロが教えてくれるって言われてもおじさんの方がいいもん」
おや。言い切られちゃったか。お父さんも驚いている。……うーん。これは
「真遊理?」
「あーお父さん、自分には子育ての経験がない未熟者ですから、お二人に口出しする資格がないことを承知で言います」
こういうの、柄じゃないんだけどね。そう言われたならちょっと援護しようか。……オウンゴールにならなきゃ良いけど。
「あんまり子どもを子ども扱いしない方がいいですよ。存外自分の現状を分かってますから。良いか悪いかは別として。たとえそれでも失敗しても……、失敗もできずに大人になるよりよっぽど大人になれますよ。あんまり酷い時は、フォローが必要だと思いますけど、所詮は他人の意見なので参考までに」
失敗も出来ない子ども時代よりはいいんじゃないかなと思うんですよ。自分、ぶつかったことのない小さなきれいな石より、あちこちが削れて磨かれた大きな原石のが好みなので。
二人ともデッカイ原石だと思うよ。まだまだぶつかる事は多いだろうけど。
「ということでバトルフェイズ終了後、何かありますか?」
「……何もせずターンエンドだ」
ホントはメインフェイズに入ってくれた方が都合が良かったんだけど、こっちでも問題ない。
「ではエンドフェイズにトラップ発動、「落ち影の蠢き*28」。このカードはデッキから『シャドール』カードを墓地へ送ります。もう一つ効果がありますが、そちらは使わず。『シャドール・リザード*29』を墓地へ、墓地に送った『リザード』の効果、デッキから『シャドール』カードを墓地に送ります。『シャドール・ドラゴン*30』を墓地へ送り効果発動。フィールドの魔法トラップを破壊します。そちらの『スキルドレイン』を破壊。どちらも墓地での発動なので、『スキルドレイン』の適用外です』
「なんだと!?」
これでリバース効果が機能するようになった。これのおかげで当時『クリフォート*31』とやりあえたんだよな。懐かしい。
「そろそろお仕事の時間ですか。ちょっとおじさんに格好つけさせてくる? ……じゃあ、またお話しさせてもらってもいいですか」
「何もなければ処理後に『影光の聖選士』を発動。墓地の『シャドール』モンスターを表側か裏側守備表示で蘇生します。『リザード』を裏側守備表示で蘇生。あとはなにもありません」
「こちらも何もない……」
次のドローカードは何となく察しがついた。
「ではターンをもらってドロー、やっぱりな」
精霊が見えるわけじゃないが、やれやれと肩をすくめる『ミドラーシュ』がいる気がする。
「メインフェイズに入ります。何もないならまず『リザード』を反転召喚、効果発動。フィールドのモンスターを1体破壊します。対象はそちらの『ガンナードラゴン』」
「なっ、そんな効果が。だがリバースカード発動。『禁じられた聖杯』。フィールドの表側表示のモンスター効果を無効にし、攻撃力を400上げる。対象はもちろん君の『シャドール・リザード』!」
「それに対してはチェーンありません」
破壊は出来なかったがこれでバックが0枚。仮に手札誘発があってもある程度捲れる。
「では手札より通常魔法、『影衣融合*32』を発動」
「融合!?」
「このカードは1ターンに一度、フィールド・手札のモンスターを融合素材にして『シャドール』融合モンスターをEXデッキより融合召喚出来ます。また、相手フィールドにEXデッキから特殊召喚されたモンスターがいる場合、デッキから融合素材を選ぶことも可能になります」
「……つまりどういうことだ?」
お父さんの顔が宇宙猫になっている。
私も初めて見た時はそうなったよ。いくら融合の手札消費が激しいからって、そういう解決の仕方をするのかよと。今じゃ制約や『うらら』に引っかかる方が気になるけど。
どうやら真遊理さんが解説してくれるらしい。
「お父さんのフィールドにEXデッキから出した『双頭の雷龍』がいるでしょ。だからおじさんはデッキからカードを墓地に送って融合モンスターを特殊召喚出来るの」
「なるほどな。……それっておかしくないか?」
だって遊戯王だし。
多分、無効にする手段は持ってないな。
「理解はされているようなので効果を処理します。融合条件は『シャドール』モンスター+光属性モンスター。デッキから『影衣の翼 ウェンディ*33』と『エフェクト・ヴェーラー*34』を墓地に送って融合召喚、『エルシャドール・ネフィリム』。着地後、何もなければ墓地に送られた『ウェンディ』、『ネフィリム』の特殊召喚時の効果を発動。チェーン1『ウェンディ』、チェーン2『ネフィリム』」
「まだ効果があるのか……」
げっそりしてるところ*35申し訳ありませんが、まだあるんです。
「何もなさそうなのでチェーンを解決します。『ネフィリム』効果は『シャドール』カードをデッキから墓地へ送ります。『影衣の原核*36』を墓地へ、『ウェンディ』効果でフィールドに『シャドール』モンスターを裏側守備でデッキから特殊召喚します。『シャドール・ヘッジホッグ*37』をセット。墓地に送られた『原核』の効果を発動、墓地の『シャドール』魔法トラップ1枚を回収。『影衣融合』を手札に。『影衣融合』は1ターンに一度しか使えないのでご心配なさらず」
まぁ、融合する手段は他にもあるんですけどね。
「永続トラップ発動、『影衣の偽典*38』。1ターンに一度メインフェイズにフィールド、墓地から素材となるモンスターを除外し『シャドール』モンスターを融合召喚します。このカードで融合召喚されたカードは直接攻撃が出来ません。また、フィールド上に融合召喚されたモンスターと同属性のモンスターがいる場合、そのモンスターを対象を取らずに墓地へ送れます」
「君は今、何をやっているんだ?」
「遊……デュエルモンスターズです」
通るなら4000は削りきれるな。これ。
「フィールドの『屋敷わらし*39』、墓地の……『ドラゴン』のが優先度は高いか。『ウェンディ』を除外。条件は『シャドール』モンスター+地属性モンスター、『エルシャドール・シェキナーガ*40』。『偽典』効果で『ガンナードラゴン』を墓地へ送ります」
「何もない……」
ケアすべきは『ヴェーラー』か? あるなら『ネフィリム』に打ってそうだが。
「ではバトルフェイズに入ります。『シェキナーガ』で『デーモン・ソルジャー』に攻撃」
「破壊されて700ダメージ」
大分冷静になってくれたな。そりゃこれだけのカードパワー差を目の当たりにすればそうなる。
「『ネフィリム』で『双頭の雷龍』に攻撃。『エルシャドール・ネフィリム』は特殊召喚されたモンスターと戦闘を行う際、ダメージ計算前にそのモンスターを破壊します」
「相打ちすら取らせてもらえんか。だが『リザード』で攻撃したとしても私のライフは1100残る。決着は次のターンだな」
「いえ、そうでもないんですよ。まずは『リザード』で直接攻撃」
通った。『ゴーズ』もない。
「そのあと墓地の『影光の聖選士』と『ドラゴン』を除外して効果発動。私のフィールドのモンスター1体の表示形式を裏側守備か表側守備表示に変更出来ます。『ヘッジホッグ』を表側守備表示に。リバース効果発動、デッキより『シャドール』魔法トラップを手札に加えます。速攻魔法『神の写し身との接触』を手札に加え、処理後に発動。これは『融合』の速攻魔法版となります。素材は手札の『シャドール・ビースト』とフィールドの『ネフィリム』。さぁ、もう一回!」
録画を見るかのごとく、再召喚された『ネフィリム』を見てお父さんの手が動く。
「……サレンダーだ」
最早呆れたような笑みを浮かべて、デッキに手が置かれた。
「しかし良かったのかい。お父さんは本気で君のことを考えてくれていたよ?」
「いいんです。わたしと遊守はおじさんの教え方が一番合ってると思うんです。それにおじさんだってカイザーとのスパーリングパートナーだって黙ってたじゃないですか」
「パートナーってわけじゃないよ。お互い仕事の合間に一戦交える程度さ。わざわざ言うことじゃない」
対戦後、お父さんは指導を認めてくれたのだが、色々質問攻めにあった。すると店長が余計なことを答えるものだから遂には月謝の話にまで発展してしまって困った困った。
「面白いものは金払ってでも見ますよね。二人の成長はそれくらい目覚ましいものがありますよ」と答えて、無理矢理納得してもらった。実際新作アニメを手が届く距離で観てるようなものだし。危なそうなら手伝いたいとは思うけど。
「あとお父さんのことはもうちょいかまってあげた方が良い。……出来ればデュエル以外で」
「はい、けどやっぱり『スキルドレイン』はあんまり好きになれそうにないです」
どうやら一番の原因は、最近真遊理さんとあまり話せてないことだったようだ。お父さんがオッサン化すると大変めんどくさい生物になるのである。全国の娘さんは寛大な心をもってお父さんに接してほしい。
その後十年振りに親子でデュエルしたのだが……、結果は真遊理さん今まで見たことがない黒い笑顔を浮かべていたとだけ言っておこう。『白き森』なら『スキルドレイン』下でも誤魔化しは効く。
今は真遊理さんがお詫びに送っていくと言われたので、押し切られた次第である。JCに押し切られるオッサンの図とか情けなくてしょうがない。まぁ、情けないのは今に始まったことじゃないか。
「ところでおじさんに質問なんですが」
ものすごく真剣な顔だった。なんならお父さんを説得していた時よりも。有無を言わせない雰囲気がある。
「おじさんがお尻派なのは本当ですか?」
「なんで?」
遊戯王だからか*41(超速理解)。
すまないが休ませてくれ。死ぬほど疲れてるんだ。
展開に関する質問はいくらでも受け付けますのでいくらでもどうぞ。
以下相変わらず超絶蛇足。
おじさん
カイザーのスパーリング相手。とは本人は思っていない。たまたま出先で出会い、調整相手がいなかったカイザー亮に頼まれたのがきっかけ。搦め手を多用するおじさんはカイザーの仮想敵としては申し分ない相手だった。なんならその辺のプロより歯ごたえがあるため、何度か誘いを受けてるが全て断った。今ではお互いの都合がつけば会う仲。カイザーとしても純粋な腕比べとなるおじさんの相手は楽しく、結果的に今の関係は大正解だったと思っている。丸藤亮の大人になってからの友人。
『シャドール』にはその辺りの癖は把握されている。M∀liceにも一部。だからM∀liceの恰好はおじさんの趣味である。が、今は『ファイアウォール・ドラゴン』に検索履歴とDドライブを守護されており、良くわからずに学習していた頃の初期のデータしかない。
のちにその事実を知り『ファイアウォール・ドラゴン』をさん付けで呼ぶようになり、彼専用のハードディスクを購入、崇拝の対象とする。
なおM∀liceが来てからうかつに自家発電も出来なくなったため、今世で初めてお高い風呂屋に行った。でも前世から変わらず素人の方は捨てれてない。残念ながらその時の様子は最強の守護竜でもカバーしきれず、M∀liceに一部流出してしまっている。哀れ。
精霊の行動をぼやきつつも、互いの信頼は厚い。誰かに託すなら『M∀lice』、地獄に連れていくなら『シャドール』のつもり。
真遊理
おじさんに開発されきって、並大抵の効果では動じなくなった悲しき乙女。リアリストとしては正解だが、デュエリストと主人公としては道を間違えてしまった。支部大会2回戦で優勝候補と対峙、『神判』でも『坊主ビート』でもなく、『魔導』に対して『白き森』を使い勝利。一躍優勝候補に躍り出た。
成長したように見えてただの内弁慶。学校では相変わらず。支部大会後に色々騒がれるが、使われていない空き教室と音もなく登下校を行う謎のスキルで乗り切った。でも間違いなく前進している。
今回でM∀liceの存在について知った。が、視聴者目線だとM∀liceも『白き森』も映らない。基本的にオッサン同士のむさくるしいデュエルのみが写っている。そのためどうやって『スキルドレイン』を攻略したのか放送後話題になった。
M∀lice
帰宅後は大分不機嫌だった。不機嫌なのに、明日仕事なのに一晩中話しかけてくる高性能自立型AI。とある親父殿を笑いながら愚弄しており、ミーム知識だけやたらと学習している。そのため下ネタには寛容。でも浮気は許さない。
彼女でも先輩の正体は分からず、とくさんの答えは出せない。微妙にポンコツになったのは前二つを常に演算しているのが原因。出会わなければ本来のM∀liceになれたのに。
『シャドール』
主をいじりつつ信用している。知らない人間に使われるつもりは無いため、おじさんにはとっとと身を固めてほしい。カードの精霊のため年齢差という感覚が希薄。子供の面倒見る気満々。でも色々と教育上よろしくないと思われる。
主が行くなら地獄だろうと躊躇はしない。
『白き森』
相変わらず後ろから野次を飛ばしているが、肝心な場面でからっきしな姉4人。まじまじと見る下2人、気になりつつも直視出来ない次姉。いざそんな場面になると顔を覆ってしまう長姉、でも1番そういうのに憧れている。
下2人は大人になっても経験値皆無。むしろ悪化した。
後に長姉は真遊理を通しておじさんとデートした。
『ファイアウォール・ドラゴン』
おじさんの検索履歴とDドライブの守護竜。おじさんからカードの中で唯一さん付けで呼ばれる。専用の外付けハードディスクを購入され、本来のスペックを発揮出来るようになった。カードの時は自重しているが、サイバー空間での有事の際は三頭に分身しピーク時の力を駆使して侵入者を撃退する。
なんなら自立型高性能AIより男の心情というものを理解している。何かあったらDドライブは綺麗に掃除してあげるつもり。